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予想どおりに不合理 増補版 の商品レビュー

4.2

85件のお客様レビュー

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2011/05/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

行動経済学の本です。人は以下に合理的に行動できないか? を様々な視点から実験・検証しています。 理論上はそんな行動はしないハズなのに、人のココロによって行動が変わってしまう(不合理)ということをまとめています。今までに読んだ行動経済学の本とは少し違った内容も載っていたので、新しい発見が出来ました。 気になった点を2つほど書いてみます。 人間、比較できることが非常に好まれるのだそうです(P23~) 比較の出来ないものより、比較できるものがあればそちらを中心に良し悪しを考えてしまうのだとか。何かを選ばせるとき、(比較が出来る)おとりの選択肢をつけるかつけないかで、選択結果が変わってしまうのだそうです(比較が出来るほうを選びやすくなるのだそうです) 何かを選ばせるとき、このような方法を使うことで意図したものを選ばせやすくなるのかと思います。 詳細はこちらの方が詳しく記述していまして、合わせて読んで納得しました。 A Successful Failure http://d.hatena.ne.jp/LM-7/20100224/1267021310 もう一つ、「社会規範と市場規範」(P113~)という考え方が気になりました。何かへの協力・支援等について、お金が絡まないケースでは「社会規範」が適用されて、社会貢献などののために喜んで手助けをする。ただし、少額であっても給料を出す等のようにお金を絡ませると「市場規範」の考え方に移行してしまい、正当な対価・他との比較・与えられた報酬分の仕事しかしない、などの考えになってしまうのだとか。 私も、ビジネスとしてやっている人はかなり厳しい目で見てしまいがちです。反面、ボランティアでやっている時は協力したいと思ったりします。その人達の想い・熱意は実は変わらないかもしれないのに...「ビジネス(=お金が絡む)」と聞いた時点で、やはり目線が厳しくなってしまっていることに気づきました。 ゼロコストと社会規範(P160)の記述も興味深いです。チョコレートを売るとき、価格を下げていくと需要量は増えていくのに、ゼロコストにすると有料だった時より需要量が減るという。ゼロコストにすると、社会規範の考え方によって、他者のことや周りのことを考え始めるのだとか。 趣味でやっている間は楽しいし周りも協力するけど、少額でも事業としてやりはじめると途端に面白くなくなる・敬遠されてしまう理由はこの社会規範と市場規範の考え方にあるのだと感じました。 ネットワークビジネス(マルチ商法)が、健康や幸せの共有・みんなが幸せに、等をメインに押し出すところが多いのは、市場規範の考えにならないようにしているためなのかもしれない? と感じます。直販投信など、投資に関するものも、金銭面の事をあまり出していないと思います。それはお金だけじゃない想いがあるのと同時に、「社会規範」を適用したいのかな? と考えてみたりしました。 ビジネスにしても交流にしても「お金」を絡ませるか否かが、大きく心理を分けているのが現状だと思いました。こういった性質は知っておいたほうがよいかな? と思います。

Posted byブクログ

2011/03/31

この本のキーワードとして「プラセボ効果」がある。要は、「効く」と思い込むことで、一定以上の治療効果がただのビタミン剤などに発生するというあれだ。これは、「知る」ことが必ずしも人間にとって利益に繋がらないことを示している。何かを盲目的に信じられることは(それが何であれ)、ある意味幸...

この本のキーワードとして「プラセボ効果」がある。要は、「効く」と思い込むことで、一定以上の治療効果がただのビタミン剤などに発生するというあれだ。これは、「知る」ことが必ずしも人間にとって利益に繋がらないことを示している。何かを盲目的に信じられることは(それが何であれ)、ある意味幸せになれる秘訣なのかもしれない。それでもあえて「知る」ことを欲したいとは個人的に思う。しかし、その代償として私は「まずは疑ってかかる」という姿勢を手にしてしまった(もちろん、自分なりに理解、納得できれば、その後は信用しますが)。 読んでいて(大袈裟だけど)マトリックスを思い出した。ずっと「幻想」を見続けたまま、死んでいきたい。つらい「現実」など見たくはない。でも、傍からその姿を見ると、愚かさを感じる。でも、本人が幸せならそれでいいのでは? 知るべきか、知らざるべきか? それが…

Posted byブクログ

2011/03/07

人間の行動の非合理さが次々に暴かれて面白い。 これを読むと世の中に対する理不尽な期待感がなくなって楽になるかも。

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2013/11/24

・市場規範と社会規範の比較が興味深い。 ・現在、(従来の経済学による合理的人間を想定した)市場規範の長所ばかりが強調されるが、(最近の行動経済学によれば)そもそも人間は不合理なのだから、社会規範の長所をもっと見直しても良いのではないか?という著者の主張に納得。 ・何年か前に、...

・市場規範と社会規範の比較が興味深い。 ・現在、(従来の経済学による合理的人間を想定した)市場規範の長所ばかりが強調されるが、(最近の行動経済学によれば)そもそも人間は不合理なのだから、社会規範の長所をもっと見直しても良いのではないか?という著者の主張に納得。 ・何年か前に、経済学の合理的思考法に目ウロコして以来、市場規範にばかり目が向いていた自分にとっては、社会規範へのゆり戻しの訴えは、逆に新鮮に感じた。

Posted byブクログ

2010/11/09

人間は合理的に行動する。それが、経済学の常識である。 だが、あなたは本当に合理的に行動しているのだろうか? 新しいYシャツを買いに行ったはずが、帰り道には何故か特価の靴下を手にしていた、という経験は無いだろうか。 様々な要因が関与して、人間は経済学の常識を破り、不合理に行動してし...

人間は合理的に行動する。それが、経済学の常識である。 だが、あなたは本当に合理的に行動しているのだろうか? 新しいYシャツを買いに行ったはずが、帰り道には何故か特価の靴下を手にしていた、という経験は無いだろうか。 様々な要因が関与して、人間は経済学の常識を破り、不合理に行動してしまう時がある――しかしそれは、決して予測できない事態ではない。予想可能な、不合理なのである。 友人が「面白い」とお勧めしてくれた本(多分、友人本人は『増補版』を読んだ訳ではないでしょうが)。 予備知識0で買ってしまったので、これが経済行動学の本であることすら、買って初めて知りました。 自分は以前、経営学を軽く齧ったことがあるので、そのときのことをちょっと思い出しながら読んでました。 『行動経済学』とは、『経済学』と『心理学』とをミックスしたもの、と言った感じでしょうか。 自他の経験から、こういう場合に人は不合理な行動をとりがちである、ということを考える。 では本当にそうであるのか、仮説を立て、条件付けをし、それを実験する。その結果から、また新たなる仮説を立て、条件付けをし、実験し――本書の流れとしては、基本的にこういう状態となっています。 人は「無料!」という魔法の言葉を聞いた途端に愚かになる。 比較対象のあるもののほうが、比較対象のないものよりも多く選ばれる。 人の感じるプラシーボ効果(思い込み効果)は、値段に比例する。 どのような場合に、人は不正を働きやすくなるか。 一つ一つのテーマが、興味を引きます。しかも実験とその結果を淡々と述べているだけなので、説得力もある。 ですがまあ、こういう本として当たり前なのですが、学問的でちょっとばかり読みにくいです。 毎日ちょっとずつ読み進めて、やっと読めた!という感じです。 内容は面白いですが、普段、小説以外の本を読みなれていない人であるなら、もしかしたら途中で断念することになるかもしれません。

Posted byブクログ