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繁栄(上) の商品レビュー

3.9

45件のお客様レビュー

  1. 5つ

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2024/03/03

過去から現在までの人類の歩みを交換、分業、交易によりどうイノベーションを起こしてきたかよく分かった。自然淘汰による進化、タスマニア効果、クズネッツ曲線、緑の革命、生物多様性、遺伝子組み換え等著者の教養の幅広さがよく分かった。人類の歴史のことをよく考えてみたい。

Posted byブクログ

2024/02/23

二枚の写真。ハンドアックスとコンピューターのマウス。どちらも人間の手の中にぴったり収まるようにデザインされている。マウスは、集団的知性による産物だ。ある時点で、人間の知性は、他のどんな動物にもない集団的・累積的になった。 良くできたプレゼンのスタートだ。その時代の文明の利器は、...

二枚の写真。ハンドアックスとコンピューターのマウス。どちらも人間の手の中にぴったり収まるようにデザインされている。マウスは、集団的知性による産物だ。ある時点で、人間の知性は、他のどんな動物にもない集団的・累積的になった。 良くできたプレゼンのスタートだ。その時代の文明の利器は、人間社会そのものを映し出す。模倣と交換。この二つの概念が飛躍的に人類を発展させた。本書は、この事について徹底的に考察し、解説する。 文化的進化にとっての交換は、生物学的進化にとっての生殖とまで述べる。生殖は複製であり模倣、遺伝子や欲求の交換でもある。リカードによる比較優位の概念では、交易や交換が各々の得意分野を伸ばすだけではなく、分業による存在価値を見出していく事を示す。 一方で上巻で気になったのは、タスマニア効果だ。隔絶された文明では、テクノロジーは進化せずに退歩する。企業でも度々そういう事がある。新たな取り組みが定着、管理されぬ限り、無能、無気力な担当者により失速し消えていく。文明において画期的な発明も、それを継承する能力や意欲がなければ滅びていくのだ。だからこそ、催事や教育が必要だという事だし、欲望交換と紐付けたシステムが重要だったのだろう。日常にタスマニア現象は頻繁している気がする。

Posted byブクログ

2024/01/06

交換、分業、交易によりイノベーションが起きる。壮大な人類の歴史に自分が今、どこにいるのかわからなくなるほどである。

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2023/06/12

交換・分業なくして繁栄なし。自給自足は貧困化し退歩する。 なんとなく自身と重ね合わせてしまって1人が楽な個人働きしてる身に染みる。

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2020/02/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

今日、昔のほうが暮らしやすかったと考えている人がいるが、このバラ色のノスタルジアを抱くのは概して富裕層に限られる。 繁栄とは交換と専門家による。 最後通牒ゲーム 市場を広く用いる社会は、協力と公平性と個人の尊重を旨とする文化を築く。集団的頭脳に浸っているほど、人は気前良くなる。 人類の反映の歴史は、双方が恩恵を得るノン・ゼロサム取引の再三の発見につきる。 交換は双方に二重の恩恵をもたらす。 世間はゼロサムの発想に支配されている。 マルクス主義は資本家が金持ちになるのは労働者が貧しくなるからだといったがこれは誤りだ。 思いやりは本能的なものかもしれないが、相乗効果はそうではないのだ。 交換は信頼を生み、信頼は交換を割かんにする。 2008年におきた金融危機 信頼が足りなければ、反映はしだいに失われるだろう。 豊かな国々が豊かなのは、国民の技能や、経済活動を支えている制度や慣習の質に負うところが大きい。 農業とは、分業と交換をほかの種まで広げることにほかならない 資本とは、いうなれば、必要に応じて別の機会に使うために蓄えられ保存されている一定量の労働 経済学者はすふに「市場の失敗」を口にする。 それはそれで正しいが、もっと大きな脅威を生むのは、「政府の失敗」だ。 政府が経営するのは独占事業なので、ほとんどが非効率と停滞に陥る。 中国明の衰退はこれに由来する。

Posted byブクログ

2019/05/21

「今」ほど最高の時代はない。そして人類の生活レベルは地球規模でなお加速度的に向上している。。。どっちかというと「おれらこのままじゃやばいよね」的な主張を好んで読む自分からするとある意味新鮮だったりして面白い。「交換」が人類発展のパラダイムシフトである、ということは、内田樹さんも言...

「今」ほど最高の時代はない。そして人類の生活レベルは地球規模でなお加速度的に向上している。。。どっちかというと「おれらこのままじゃやばいよね」的な主張を好んで読む自分からするとある意味新鮮だったりして面白い。「交換」が人類発展のパラダイムシフトである、ということは、内田樹さんも言ってたなぁ。そのとおりかもしれん。

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2018/11/06

でこぼこがあるにしろ、世界は繁栄の一途をたどっている、そしてその繁栄の一番の原因は物品やアイデアの「交流」と分業にあるという本。原題は「現実的楽観主義者」。上巻は、理論編。ここでも、大事なロジックは『残酷な〜』同様、比較優位説。下巻では、近代以降、悲観論者のいってきたことが、いか...

でこぼこがあるにしろ、世界は繁栄の一途をたどっている、そしてその繁栄の一番の原因は物品やアイデアの「交流」と分業にあるという本。原題は「現実的楽観主義者」。上巻は、理論編。ここでも、大事なロジックは『残酷な〜』同様、比較優位説。下巻では、近代以降、悲観論者のいってきたことが、いかにまちがっていたかを、笑っちゃうくらい、しつこく論破する。文明論好きな人は、読んで損無い!""

Posted byブクログ

2017/01/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

2010年刊。「赤の女王」の著者の作で期待したが、今一歩か。本書の主張は、時代を問わず、物々交換と分業の進展が技術的・文化的進歩を招来し(リガードの比較優位論)、その情報を保有する者が一定数存在するがゆえに、技術的知見が退歩(著者の言う「タスマニア効果」)しない、ということ。ただ、これだけなら、それは尤もであるものの、新奇とは言えず、情報の流入・発信の阻害は回避すべしとの教訓くらいしかなさそう。しかも、提示するファクトが乏しく(やや良いとこ取り過ぎ)、人類史的に物々交換を創出・発展させた理由の説明は不足。 また、農業革命でも蒸気機関の発明でも、なぜ、その時期に、かかる知見が生まれ拡大して行ったのか、本書では十分な説明がなされたとは言いがたい。技術開発史とそれを生み出した生物学的要因とが混同され、説明が混乱している感。例えるなら①旧石器時代等の遺物の地域比較で物々交換がいつ始まったのか、ある程度は特定すること(三内丸山遺跡で他地域の黒曜石が発掘された例を想起)、②複数の技術的知見の伝播状況を世界史的視野で検討しないと説得力がないのでは…。そういう気がする。

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2015/02/21

人類は今までも繁栄してきたしこれからも繁栄し続ける。人類史上、今ほど豊かで格差のない社会はなかった。そしてその豊かさは『交易』によって実現した。というお話。まさにこの本の要諦は『交易』の一言に尽きると思う。まず交易によって豊かになり、都市ができ、最後に王や政府や王朝などの権力によ...

人類は今までも繁栄してきたしこれからも繁栄し続ける。人類史上、今ほど豊かで格差のない社会はなかった。そしてその豊かさは『交易』によって実現した。というお話。まさにこの本の要諦は『交易』の一言に尽きると思う。まず交易によって豊かになり、都市ができ、最後に王や政府や王朝などの権力によって搾取され、衰退していく。それぞれが得意なものを作って交換したほうがみんな豊かになるというリカードの説がよく理解できる。前巻は10万年前〜5千年前までの話。

Posted byブクログ

2014/06/20

合理的な楽観主義者が語る世界は何の心配もいらなさそうだが本当だろうか?確かに昔は良かったという幻想とは裏腹に明らかに今の方が良いというデーターはあふれている。世界中で平均寿命は伸び、新生児死亡率は概ね低下しており、2005年は50年前と比べると地球上の平均的な人間で所得は3倍にな...

合理的な楽観主義者が語る世界は何の心配もいらなさそうだが本当だろうか?確かに昔は良かったという幻想とは裏腹に明らかに今の方が良いというデーターはあふれている。世界中で平均寿命は伸び、新生児死亡率は概ね低下しており、2005年は50年前と比べると地球上の平均的な人間で所得は3倍になり、摂取カロリーは3割増以上で寿命も30%以上延びた。人口の爆発的な増加にも関わらず世界中の人々が手に入れられる商品やサービスは増大した。間違いなく物質的な豊かさはましてきている。 では物質的な豊かさで人は幸福になったのかというと2008年に人は豊かになるにつれ幸せになるという分析が示されている。まあこれには否定的な意見の人も多いだろうが個体数が増え、寿命が延びているのだから繁栄しているというのは間違いではない。交易がその鍵になったというのが著者の考えで、自給自足の生活よりもそれぞれが専門性を高め物々交換を始めたことで収穫量が増大する。交易は信頼を醸成し信頼が取引コストを下げる。当然上手くいかないこともあるが交易量の増加は一方通行といって良いだろう。 世界大戦のイメージにも関わらず戦争(国家間やら隣の村やら)で死亡する人数は近代になり減っているしそういう意味では世界は平和になっている。日本だって殺人事件の件数は減り続けているのだ。少し古いデーターだが2003年の日本人の屋外での死亡原因第一位が交通事故なのに対し、家庭内での事故(転落、転倒、浴槽での溺死、誤嚥による窒息などなど)の方が多い。 下巻に入るとマルサスの人口論、ローマクラブの成長の限界にこれでもかこれでもかと反証をぶつけ続ける。最後の山は気候温暖化だがそれにたいしても問題なしとゆるがない。恐らく人口は100億か多くても150億で飽和すると見られており、問題はそれを抱え続けるだけの資源が続くかなのだが、過去にも同様の警告はいくつもあり、その度新たなイノベーションで食料も燃料も増やし続けてきた。必要に応じて新たな発明が起こるのでこれからも大丈夫というのが著者の主張だ。ビル・ゲイツでもそこまでは言わないだろうという楽観論だが、いろんな懸念があることはわかっていて、それでもあえて楽観論者でいようではないかということだ。 過去より今の方が良いという主張には賛成ながら、今まで大丈夫だったからこれまでも大丈夫と言い切られてもちょっと真に受けるのはどうかと思う。まだ大丈夫だというのと今のままで良いというのとは違うし著者の楽観論も必要に応じて変化すると言うのが前提にある。まあ暗い話に飽きた人には良い本なのでは。

Posted byブクログ