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繁栄(上) の商品レビュー

3.8

46件のお客様レビュー

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2014/06/20

合理的な楽観主義者が語る世界は何の心配もいらなさそうだが本当だろうか?確かに昔は良かったという幻想とは裏腹に明らかに今の方が良いというデーターはあふれている。世界中で平均寿命は伸び、新生児死亡率は概ね低下しており、2005年は50年前と比べると地球上の平均的な人間で所得は3倍にな...

合理的な楽観主義者が語る世界は何の心配もいらなさそうだが本当だろうか?確かに昔は良かったという幻想とは裏腹に明らかに今の方が良いというデーターはあふれている。世界中で平均寿命は伸び、新生児死亡率は概ね低下しており、2005年は50年前と比べると地球上の平均的な人間で所得は3倍になり、摂取カロリーは3割増以上で寿命も30%以上延びた。人口の爆発的な増加にも関わらず世界中の人々が手に入れられる商品やサービスは増大した。間違いなく物質的な豊かさはましてきている。 では物質的な豊かさで人は幸福になったのかというと2008年に人は豊かになるにつれ幸せになるという分析が示されている。まあこれには否定的な意見の人も多いだろうが個体数が増え、寿命が延びているのだから繁栄しているというのは間違いではない。交易がその鍵になったというのが著者の考えで、自給自足の生活よりもそれぞれが専門性を高め物々交換を始めたことで収穫量が増大する。交易は信頼を醸成し信頼が取引コストを下げる。当然上手くいかないこともあるが交易量の増加は一方通行といって良いだろう。 世界大戦のイメージにも関わらず戦争(国家間やら隣の村やら)で死亡する人数は近代になり減っているしそういう意味では世界は平和になっている。日本だって殺人事件の件数は減り続けているのだ。少し古いデーターだが2003年の日本人の屋外での死亡原因第一位が交通事故なのに対し、家庭内での事故(転落、転倒、浴槽での溺死、誤嚥による窒息などなど)の方が多い。 下巻に入るとマルサスの人口論、ローマクラブの成長の限界にこれでもかこれでもかと反証をぶつけ続ける。最後の山は気候温暖化だがそれにたいしても問題なしとゆるがない。恐らく人口は100億か多くても150億で飽和すると見られており、問題はそれを抱え続けるだけの資源が続くかなのだが、過去にも同様の警告はいくつもあり、その度新たなイノベーションで食料も燃料も増やし続けてきた。必要に応じて新たな発明が起こるのでこれからも大丈夫というのが著者の主張だ。ビル・ゲイツでもそこまでは言わないだろうという楽観論だが、いろんな懸念があることはわかっていて、それでもあえて楽観論者でいようではないかということだ。 過去より今の方が良いという主張には賛成ながら、今まで大丈夫だったからこれまでも大丈夫と言い切られてもちょっと真に受けるのはどうかと思う。まだ大丈夫だというのと今のままで良いというのとは違うし著者の楽観論も必要に応じて変化すると言うのが前提にある。まあ暗い話に飽きた人には良い本なのでは。

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2013/12/11

昔からことあるごとに、昔は良かった、今はよの末だと言われているが世界は確実に平和に幸福になっている。 現在パリに住む中級レベルの主婦とルイ14世を比べても主婦の方が便利で幸福度は高いはず。 今さかんに取り上げられている危機、エネルギー問題、人口爆発、国際紛争などもきっと人類は解決...

昔からことあるごとに、昔は良かった、今はよの末だと言われているが世界は確実に平和に幸福になっている。 現在パリに住む中級レベルの主婦とルイ14世を比べても主婦の方が便利で幸福度は高いはず。 今さかんに取り上げられている危機、エネルギー問題、人口爆発、国際紛争などもきっと人類は解決に向かって進めるはず。と世の中にあまた出版される世紀末系の書籍、言論を笑い飛ばす本です。

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2013/05/06

1.「技術」によって世界はより良くなっている。 2.「分業」によって「技術」は産まれる。 3.「交易」によって「分業」は可能となる。

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2013/01/27

今更だけど、先進国豊かすぎる。 人類のこの繁栄は交換と専門化によるものである。 これが市場の力だ。アダム・スミスとリカードに敬礼。 集団的知能の2章が興味深かった。 テクノロジーやアイデアは交易ネットワークで複製維持され、 イノベーションと呼ばれる変異を起こしてきた。 逆に交易...

今更だけど、先進国豊かすぎる。 人類のこの繁栄は交換と専門化によるものである。 これが市場の力だ。アダム・スミスとリカードに敬礼。 集団的知能の2章が興味深かった。 テクノロジーやアイデアは交易ネットワークで複製維持され、 イノベーションと呼ばれる変異を起こしてきた。 逆に交易のない小さなネットワーク (よくあるのがローカルな狩猟採集民、極端までいくと自給自足)では テクノロジーはゆるやかに退化していく。 ネットワークの一員として、専門性を高めたいと思った。

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2013/01/18

ブラックスワンとあわせて読むのが吉。 「今まで大丈夫だったからこれからも大丈夫」というのは、悲観論者のこの世をよくするための努力を軽く見すぎているし、水俣をはじめとする個別の悲劇をミクロのものとして無視をしすぎている。

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2012/12/23

人類はますます繁栄する!というポジティブな考え方。 歴史的に見て、人類は分業をすすめる事であらゆることが専門化・高度化していき、さまざまな技術的・資源的な問題を解決してきた、らしい。 人類が貪欲に資源を浪費するよりも、技術革新が問題を解決するスピードの方がはやい、とのこと。 私個...

人類はますます繁栄する!というポジティブな考え方。 歴史的に見て、人類は分業をすすめる事であらゆることが専門化・高度化していき、さまざまな技術的・資源的な問題を解決してきた、らしい。 人類が貪欲に資源を浪費するよりも、技術革新が問題を解決するスピードの方がはやい、とのこと。 私個人的にはこの説に賛成。 最近のシェールガスのニュースを見ると本書のことを思い出す。 そのちょっと前までは原油国際価格の高騰がニュースになっていた..と思う。

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2012/11/29

「物々交換」出来る能力が、仕事の専業化と技術革新を可能にした。 ネアンデルタール人等は埋葬したり言語を話したりの文化は持っていたけど、分業は出来なかったのではないか。狩も男女一緒に行ってたのでは、という仮説はとても興味深い。 脳の容積が進化の分け目ではなくて、機能の違いが重要...

「物々交換」出来る能力が、仕事の専業化と技術革新を可能にした。 ネアンデルタール人等は埋葬したり言語を話したりの文化は持っていたけど、分業は出来なかったのではないか。狩も男女一緒に行ってたのでは、という仮説はとても興味深い。 脳の容積が進化の分け目ではなくて、機能の違いが重要。 当たり前のように聞こえるけど、そうやって断言する学者さんはあまりいなかったような気がする。 わかりやすくまとまってます。

Posted byブクログ

2012/10/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 明日の夜11時からNHK Eテレ「スーパープレゼンテーション」で、著者のマッド・リドレーによる「アイデアがセックスするとき」が放送される。英国のベストセラー作家、マット・リドリーによる人類の歴史から「アイデアの進化」について面白い発表がなされると宣伝している。  確かに、エス・イー・エックスとは、ほかの言葉でもいえるがあえて刺激的な言葉を入れることで、印象に残りやすい。著者は、一般にあふれている悲観論に対して、いろいろなデータを集めていけば、今生きている時代が一番という信念に基づいて書いたのが、今回の本だ。  プロローグが「アイデアが生殖するとき」として、2つのものが写真に載っている。それは、コンピュータのコードマウスと、50万年前のハンドアックス(握斧 あくふ)だ。これらを見たとき「何だ」と思った。著者曰く、手に取りやすい形になっている点では、今も昔もそうなるが、機能に関しては違いがはっきりしている。マウスは、いろいろなものが組み合わさっている。その一方のハンドアックスは、シンプルな素材からできている。著者は、ここから人類は、途切れることなく相当な変化を遂げていることが言いたいために、この2つのものを引き合いに出した。  「合理的な楽観主義者」という著者の本を読むと、人類の現状が必ずしもお先真っ暗闇一色に染まっていないことが分かる。マスコミは、暗いことを顕微鏡で拡大して騒ぐのが大好きなので、悪い方向に社会が進む論調になりがちだ。だからと言って、盲目的な楽観論も良くない。バランスを取るのは難しいなあ。 スーパープレゼンテーションのサイト http://www.nhk.or.jp/superpresentation/next/

Posted byブクログ

2023/01/04

全体を通して、交換と専門化が繁栄を促進してきたという主張を貫いている。紹介されている事例は多いが、過去の歴史のあらゆる発展を交換による繁栄の考え方で説明しているため、いささか単調である。 化学肥料や遺伝子組み換え作物を用いた集約農業によって自然の新たな開拓を抑制できるとか、化石...

全体を通して、交換と専門化が繁栄を促進してきたという主張を貫いている。紹介されている事例は多いが、過去の歴史のあらゆる発展を交換による繁栄の考え方で説明しているため、いささか単調である。 化学肥料や遺伝子組み換え作物を用いた集約農業によって自然の新たな開拓を抑制できるとか、化石燃料を使うことによって燃材のための森林伐採や鯨油をとるための捕鯨をせずに済むといった主張は、議論としてはおもしろい。しかし、自然の破壊を「本当に」憂慮しているにもかかわらず、楽観論で終わっているのは物足りない。 交易が進んだことで殺人や残虐行為が減少したとの見解は興味深い。交易が成立するには、相手に対する信頼が必要であるというもっともな指摘とあわせて考えると、交易利益による淘汰圧も働いたのではないかとも想像してしまう。 著者は、これまでの様々な悲観論が当たっていないことや、賞を受けている事例もあることを批判している。主張は理解できるが、問題を提起してその対策を講じることが人間の能力であり、その能力が繁栄をもたらしていると考えるなら、悲観論は問題提起の仕方が極端で、結論が行き過ぎているだけであり、正に人間の能力が発揮されたものだとも思う。悲観か楽観かの問題ではなく、様々な意見を「交換」することが発展や問題解決につながるのだろう。 ・食品を農家から店頭まで運ぶまでに排出されるCO2は、生産・消費の過程で排出される総量の4%に過ぎないため、フードマイレージの概念は根本的に欠陥がある(自給自足生活に批判的)。 ・現代の狩猟採集民の成人男性の死因の30%は殺人。ヨーロッパでは、産業革命以前の殺人の発生率は今の10倍も高かった。交易に熱心だったオランダとイギリスで早く減少した。 ・8万年前よりだいぶ後に、ミトコンドリアL3型の一団がアフリカ東部あるいは南部から北部に広がった。 ・3万4000年前に骨の槍の先端、2万6000年前に針、1万8000年前に骨の槍投げ器が登場した。 ・1800年以降に商業化が進んだが、それ以前は、処刑や手足の切断、生贄、動物の拷問などが娯楽として行われた。19世紀になって、奴隷制度や児童労働、闘鶏などが容認されなくなり、さらに商業化が進んだ20世紀後半には、人種差別、性差別などが認められなくなるなど、感受性が進歩した。奴隷売買を廃止し、カトリック教徒を解放し、貧しい人々に食べ物を与えたのは商業国民だった。 ・軍事クーデターによって独裁者の支配下に入った国は、その時点でひとりあたりの所得が平均1.4%下落している。 ・ノーマン・ボーローグが農林10号と農林ブレヴァーを交配して、1955年に3倍の収穫をあげるコムギをつくりだした。 ・陸生植物による年間の一次生産量6500億トンの炭素のうち、人類が23%を利用している(作物の収穫が800億トン、燃やされるのが100億トン、農耕・都市・牧畜によって成長を妨げられるのが600億トン。Haberl et al. 2007)。西ヨーロッパと東アジアでは、植物生産の半分近くが人間の胃袋に収まっているが、他の種の取り分が減ることはほとんどない。 ・古代ギリシア・ローマをつくりだしたのは、フェニキア人が発明した二段櫂のガレー船。地中海全体で交易が盛んになり、専門化を促進した。 ・中国では、不安定な周王朝期に初めて経済が繁栄し、三国時代に文化と技術が栄え、五代十国時代の発明と繁栄を宋王朝が受け継ぐなど、盛期は国が分裂していた時に訪れている。黒死病の後、西ヨーロッパでは独立都市国家における商人の活躍によって交易利益が促進された。明は産業と交易のほとんどを国有化し、市民の日常生活にも干渉した。

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2012/10/22

世間は、これからの世界への不安要素を語る本、テレビ番組、論考で溢れている。だがこの本は、人間の生活レベルが加速度的に向上し続けている事を教えてくれる。 人口の増加が、交換と分業の仕組みを発達させ、それによって生産性が飛躍的に高まり、結果生活が豊かになっている事を教えてくれる。 ...

世間は、これからの世界への不安要素を語る本、テレビ番組、論考で溢れている。だがこの本は、人間の生活レベルが加速度的に向上し続けている事を教えてくれる。 人口の増加が、交換と分業の仕組みを発達させ、それによって生産性が飛躍的に高まり、結果生活が豊かになっている事を教えてくれる。 これから下巻をゆっくり読み込みたい。

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