七人の中にいる 改版 の商品レビュー
過去に犯した罪から逃れ、平和に暮らしていた晶子のもとに届いた手紙と写真。 そこには、忘れたくても忘れられない人間が死体となって写っていた。 罪を償うことなく逃げおおせた者にとっては、過去の犯罪は忘れてしまいたいものだろう。 けれど、被害者はけっして事件を忘れない。 晶子にとっては...
過去に犯した罪から逃れ、平和に暮らしていた晶子のもとに届いた手紙と写真。 そこには、忘れたくても忘れられない人間が死体となって写っていた。 罪を償うことなく逃げおおせた者にとっては、過去の犯罪は忘れてしまいたいものだろう。 けれど、被害者はけっして事件を忘れない。 晶子にとっては自分の手を血に染めたわけでもなく、同行していた者が勝手に暴走した結果の殺人・・・ただそれだけだったのだろう。 時が経ち、徐々に晶子の中で事件が風化していったのは仕方のないことかもしれない。 晶子の視点では、家族を除いてはみな怪しくみえてしまう。 愛犬を殺した犯人が同じ屋根の下にいる。 けれど、愛する娘と夫には過去の過ちを知られたくはない。 守り通さなければならない秘密を抱えたまま、晶子は恐怖に脅えるしかない。 一方、晶子から調査を依頼された元刑事は、独自の推理を働かせる。 情報源の晶子からもたらされるものは、脅えている人間特有のあやふやなものばかり。 その中で、見当違いを繰り返しながら徐々に真相に近づいていく。 気になったのは犯人がいなくなった後の晶子たちだ。 やけに前向きなラストがすっきりしなかった。 たぶん犯人がいなくなる本当の原因は隠されたままなのだろう。 でなければペンションを続けていく・・・などとは言えないはずだ。 過去の事件がまるでなかったことのように暮らしてきた晶子。 そのときの言い訳は生まれてくる子供だった。 そしてまた、同じ言い訳で犯人の動機は隠されていくのでは?と思う。 晶子は何の罪にも問われない。 時効云々ではなく、事件には何も関係のない第三者としての立場を守りながら・・・。 そんなふうに物語後を想像してしまうのだけれど。 途中で犯人が想像できてしまう展開。 そして、晶子にどうしても共感できないどことなく不満が残る結末だった。
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ペンション「春風」のオーナーである「村上晶子」は,過去に恋人と古くからの友人の3人で強盗殺人の罪を犯した。強盗殺人事件は,既に時効になっているが,村上晶子のところに,「おれは両親と姉を殺した犯人を決して許さない」という復讐を示唆した手紙と写真が届く。 村上晶子は,旦那でありシェフであった洋一と死別し,郁夫という現在のシェフと再婚することにし,ペンションの常連客が,パーティをすることとなった。 物語は常連客の一人,元刑事の佐竹が脅迫状を送付したのはだれかを捜査するパートとペンションの描写から構成される。常連客のうち,上流階級であるはずの三枝夫妻が既に破産していたり,影山夫婦が実は不倫の関係だったりするなど,嘘をついており,これらの嘘が「実はこの人達が脅迫者では…」と思わせる。晶子の娘である村上あずさが連れてきた小説家,「見城美彦」が葛西家の生き残りの一行かと思わせるが,佐竹の捜査で一行は既に死亡していたことが分かる。最後は,脅迫者は一行の叔父が脅迫者であると分かり,晶子は北町を疑う。 真相は,中条郁夫が脅迫者だったというもの。中条郁夫は晶子を追い詰めるが,最後はあずさを殺すことができず,自害する。 正直,ミステリに慣れている人であれば,脅迫者が中条郁夫であることは分かってしまうだろう。ミスディレクションがない。作者があとがきで書いているとおり,本作はサスペンスであり,本格モノではないということだろう。ただ,サスペンスとしてもそこまでのスリルはない。今邑彩らしい小説のうまさでプロットの弱さをカバーしている感じ。★3で。
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ううーん、イヤミス系(笑。 読んでる最中ももやもやするし、後味もなんとも。 いやいやいや、子供が熱を出していなければ…ってそこは違うだろ! 指一本触れてなくても加害者は加害者だしなーと。 最後だけ毅然としてたけど、それすらも…。 でもなんだかんだおもしろかったです。 ラストまで一...
ううーん、イヤミス系(笑。 読んでる最中ももやもやするし、後味もなんとも。 いやいやいや、子供が熱を出していなければ…ってそこは違うだろ! 指一本触れてなくても加害者は加害者だしなーと。 最後だけ毅然としてたけど、それすらも…。 でもなんだかんだおもしろかったです。 ラストまで一気に駆け抜けて読んだ感じ。
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「ルームメイト」が大変面白かったので他の作品も読もうと思っていたら、私が貸した「ルームメイト」を読んだ奥方が文庫化されている今邑彩作品を片っ端から買っていました。その中からまずこちらをチョイス。 うーん、私は「ルームメイト」の方が好きかな? いや、十分楽しめましたけど。 さ、次は...
「ルームメイト」が大変面白かったので他の作品も読もうと思っていたら、私が貸した「ルームメイト」を読んだ奥方が文庫化されている今邑彩作品を片っ端から買っていました。その中からまずこちらをチョイス。 うーん、私は「ルームメイト」の方が好きかな? いや、十分楽しめましたけど。 さ、次は「卍の殺人」を読みます。
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殺害描写は好き嫌いに別れるが、犯罪者の描写残忍差が、後半の復讐に重みを持たせていると思います。最後のどんでん返しは、さすが…って思う。サスペンスの要素が多いこういう立て付けの小説は大好物。また、読見直したい一冊に。
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すごーく長く時間をかけて、ちょっとずつ読みました。わりと面白いんじゃないかな。犯人は途中から読めるので、大どんでん返しはないですが。結末は好みがわかれそう。
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約二十年前に強盗犯であった女性がその金でペンションを買い取り生計を立てていたが、当時の惨殺された医者一家の血縁者に命を狙われる話。 もうね、強盗犯が(自分で手をくだしたわけではないとは言え)のうのうと暮らしているってだけで気分がよくない。 結局、主人公は言い訳ばっかりだし、なんだか犯人もどうしてそんな復讐をしたいのかさっぱりだし、そもそも逐次型に順番に登場人物を疑っていく手順はまだるっこしい以外の何物でもない。 要するに面白くはない。もしくは、感情移入することができない。 人間観察力が高い作者であるから、もう少し違う設定だったら面白く感じられただろうと感じた。
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犯人は結構早い段階で分かっちゃったけれど、主人公晶子が疑心暗鬼に苛まれ追い詰められていく様がサスペンスフルに描かれているので楽しめました。 ただ晶子が過去の犯罪に対して ”肇がやったこと。自分達は殺人には無関係。巻き込まれただけ” ってスタンスで、現在の見えない脅迫者に対して被害者スタンスなのがどうもなぁ。 時効を迎えたとはいえ、過去に犯した罪は消えない。 いやいやいや、そもそもの発端はあんたでしょうが!という思いが拭えず、終盤はいらいらしました(笑) 娘もどうよ? いっそ殺されてしまえばスッキリしたかも、、、。
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あまり、期待はしてなかったのですが、想像以上に良かったです。ミステリー物は、1番短にいるものが犯人と言うのがインパクトが強い印象を受け、でもだからこそ、犯人がばれがちな矛盾を抱えてしまいますが、話の運び方、徐々に真相に近づいて行く感じが好きです。事件を捜査する人間を登場させる事で...
あまり、期待はしてなかったのですが、想像以上に良かったです。ミステリー物は、1番短にいるものが犯人と言うのがインパクトが強い印象を受け、でもだからこそ、犯人がばれがちな矛盾を抱えてしまいますが、話の運び方、徐々に真相に近づいて行く感じが好きです。事件を捜査する人間を登場させる事で、展開も早く、飽きさせない長さになっていると思いました。
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サスペンス要素満載。本格的推理小説ではないが、巧みに推理を混ぜ容疑者候補が次々とかわる主人公の気持ちや内面がうまくあらわされていました。個人的には7人全員が犯人だったらと勝手に想像してみました。今邑作品は読みごたえが有ります!
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