平成大家族 の商品レビュー
出て行った娘たちがそれぞれの理由で戻ってくることになり突然8人の大家族に。 家族個々の視点で描かれているのが面白い。 それぞれ抱えている問題は深刻だったりするけどどこかほのぼのしており悲壮感はなく家族っていいなあと思う読後感。
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題名のとおり。 解説では、「東京バンドワゴン」シリーズに触れられているけど、私から見ると、全然風合いの違う作品。バンドワゴンさんは、ノスタルジック&ファンタジックですよね。そして、この作品は・・・ 登場人物のそれぞれの山アリ谷アリの人生(序盤に谷が次々にやってきますが)が、元...
題名のとおり。 解説では、「東京バンドワゴン」シリーズに触れられているけど、私から見ると、全然風合いの違う作品。バンドワゴンさんは、ノスタルジック&ファンタジックですよね。そして、この作品は・・・ 登場人物のそれぞれの山アリ谷アリの人生(序盤に谷が次々にやってきますが)が、元二世帯住宅+物置で、ゆるく交差し、次の道を見つけ出すまでのお話。幸せのレールのようなものが機能しなくなったなら、じたばたしながら、己の力を振り絞り、谷の時期をやり過ごすのは、それぞれにとても大切なこと。 あと、上下関係が希薄な中で誰かと暮らしていくのには、適度な距離感や、いい意味での鈍感さや忘れっぽさ、等々が必要かな。 題名の「平成」というのも象徴的だけど、この元二世帯住宅というのも、象徴的。次に来るのは、さらに年を取った老夫婦と3人の子どもたちが直面する看取りと、この住宅の相続問題だろうなぁ、などと考えたら、背筋が寒くなりました。人生の谷、谷、谷、に出会った時、羽を休める場所は、次の時代には、どうなるのでしょう。 なんてことを書いてしまいましたが、この作品に描かれる人生の谷は、リアルで、決して甘くはないのに、読み終わってみると、不思議とからっと明るいお話でした。
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「ヒントを出そう。少なくとも、私は猫ではない。」 (龍太郎) 家族のことを知ってそうで実は知らない。 それでも一緒にいるだけで心強い。
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30を過ぎた息子、90を過ぎた姑と暮らす夫婦の元へ結婚して出ていった娘たちが戻ってくる。 長女は夫と息子の家族と共に。 次女は離婚して。その後、子供が宿っていることに気付くといった具合。 そこが昔の家族とは違い、平成となっている所以なのだろうなぁ。 2017.12.15
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序盤は、何とも救いようのない家族が当主・龍太郎宅に集まる描写に、がっかりしながら読み進めた。「さようなら、コタツ」のようにオチのない物語だったらどうしよう、と……でも、尻上がりにジワジワと面白くなってきた。訳あって集まった家族が、それぞれ様々な問題に対峙していくうちに、それぞれが...
序盤は、何とも救いようのない家族が当主・龍太郎宅に集まる描写に、がっかりしながら読み進めた。「さようなら、コタツ」のようにオチのない物語だったらどうしよう、と……でも、尻上がりにジワジワと面白くなってきた。訳あって集まった家族が、それぞれ様々な問題に対峙していくうちに、それぞれが収まるべき鞘に収まっていく。そんな構成に好感が持てた。
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最近、中島さんばかり読んでいるけれどこの作品が今のところ一番面白い!計8人、後に9人の大所帯をとてもうまくまとめている。中だるみもない。それぞれに個性の強い緋田家の面々、長男が30歳にしてひきこもりというのがすごく現代ぽいのに悲壮感まるでなし。長男はある時から悟り、むしろ外に出な...
最近、中島さんばかり読んでいるけれどこの作品が今のところ一番面白い!計8人、後に9人の大所帯をとてもうまくまとめている。中だるみもない。それぞれに個性の強い緋田家の面々、長男が30歳にしてひきこもりというのがすごく現代ぽいのに悲壮感まるでなし。長男はある時から悟り、むしろ外に出ないということを決断したから天晴。でもその長男がなんと。。タケおばあちゃんのエピソード、長女夫のエピソード素敵だった。山田洋次監督の『家族はつらいよ』を彷彿とさせる。話は違うけれど。誰も不幸にならない良質なホームドラマ、ここに有り。
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『小さいおうち』しか読んだことがなかった中島京子。直木賞受賞作のそれは映画化されたさいに原作ということで読み、とても心に沁みました。その作風しか知らなかったら、これは森見登美彦などにも通じるコミカルなタッチ。びっくりしましたがさらに好きになりました。 72歳の緋田龍太郎と66歳...
『小さいおうち』しか読んだことがなかった中島京子。直木賞受賞作のそれは映画化されたさいに原作ということで読み、とても心に沁みました。その作風しか知らなかったら、これは森見登美彦などにも通じるコミカルなタッチ。びっくりしましたがさらに好きになりました。 72歳の緋田龍太郎と66歳の妻・春子。90歳を過ぎた姑と30歳のひきこもりの息子との4人暮らし。いろいろ文句はあるものの、穏やかに暮らしていたはずだった。ところが、事業に失敗して破産した長女一家が同居させてくれと言う。続いて次女が出戻ってきて、一気に倍の8人所帯に。 本作はそのひとりずつの目線で語り継ぐ11話。なにしろ1話ごとのタイトルからして面白い。龍太郎が好んで使うややこしい横文字に始まり、「酢こんぶプラン」、「公立中サバイバル」、「時をかける老婆」などなど。特に好きだったのは長女の息子編。家にお金がなくなったせいで、猛勉強して入学した私立から公立への転校を余儀なくされ、公立でどう生き延びるかをひたすら考えます。各話にたびたび姿を現す少しボケ気味の姑もなくてはならない存在。時折声に出して笑ってしまうほどユーモラスでした。 『小さいおうち』以外ノーマークでしたが、これは大人買いしたくなってしまう作家です。
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要介護の義母と妻、 そして引きこもりの息子、 4人で生活しているところへ 長女夫婦とその息子、 そして次女までもが実家にやってくる。 いると、煩わしかったり気がかりも多かったりするが、 いよいよ旅立ちます、となると 妙に寂しい。 引きこもりの理由、それぞれの家族の事情が平成風...
要介護の義母と妻、 そして引きこもりの息子、 4人で生活しているところへ 長女夫婦とその息子、 そして次女までもが実家にやってくる。 いると、煩わしかったり気がかりも多かったりするが、 いよいよ旅立ちます、となると 妙に寂しい。 引きこもりの理由、それぞれの家族の事情が平成風。 なんだかんだで面白かった。 結局、緋田家は春子さんが家長みたい。
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小さいおうちもこの作品も、害のない安心して読めるよい作品だと思います。人物が順々に入れ替わり、彼あるいは彼女の他人にはわからない本当に個人的な出来事を重ね合わせて物語は紡がれます。 きっとどの家庭も、ワタシんちも、こんなふうにして幸せだかそうでないんだかわからない毎日を送って...
小さいおうちもこの作品も、害のない安心して読めるよい作品だと思います。人物が順々に入れ替わり、彼あるいは彼女の他人にはわからない本当に個人的な出来事を重ね合わせて物語は紡がれます。 きっとどの家庭も、ワタシんちも、こんなふうにして幸せだかそうでないんだかわからない毎日を送っているんでしょう。
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【2016.5.3】 タイトル通り、まさに「平成」の「大家族」の物語なのだな、と。 考えてみたら家族というのは定義が難しい。血がつながっている、一緒に暮らしている、そうしたことが必ずしも家族を作るわけではないだろうと思う。たとえば祖父母を含む2世帯6人暮らし、これを6人一家族とす...
【2016.5.3】 タイトル通り、まさに「平成」の「大家族」の物語なのだな、と。 考えてみたら家族というのは定義が難しい。血がつながっている、一緒に暮らしている、そうしたことが必ずしも家族を作るわけではないだろうと思う。たとえば祖父母を含む2世帯6人暮らし、これを6人一家族とするのかどうかだってきっと誰から見るのか、角度によって見え方がちがう。平成のこの世はとりわけ家族の色が様々だ。(ちなみに6人暮らしは我が家の家族構成で、私にとっては6人家族でした) 『平成大家族』で描かれる緋田家は、老夫婦ふたりと15年間家から出られない長男、92歳の老母の4人暮らし。そこに会社を潰して帰ってくる長女一家3人。離婚、かつ身重で出戻る次女。 誰と誰がどこまで家族なのか、みんなまとめて大家族なのか、それともそれぞれ孤独を抱えて一人なのか。 異なる登場人物から切り取られる家族像が色とりどりで読み応えがある。距離が近ければ近いほど衝突が起きて家族じゃない!という気持ちを強めることもあれば、そこまで衝突できるような関係性は家族だからこそ、と思ったり、奥行きがある。 さらりと読めたけれど、深い後味を残す一編でした。家族って寄せ植えのよう。うまく育ったりそうでなかったり、植え替えたり場所を変えただけで育ち直せたり。
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