禁猟区 の商品レビュー

乃南アサ【著】

2023/02/17

今回の内容は、警察内部の犯罪を追う、通常はあくまでも陰の存在である監察官のお話です。

まずこの題材で小説を書こうとする乃南さんの目の付け所が面白いと思いました。

次々と目新しい題材で、そしてきっと緻密な取材を得て書かれたであろう事が推測される丁寧なわかりやすい文章。

ともすれば固くなりがちな題材ですが、登場人物の描写が素晴らしく最後まで面白く読めました。

個人的には昔読んだかなり分厚い「風紋」がとても心に残っていますが、昔も今も変わらず上質な作品を描ける方だと思います。

2022/04/19

監察官物は面白いものが多い中、この小説も若干厚盛りの内容ながらも悪くないと読んでいたが、最終章を読んで一気に評価ダウン。この章はなんだ。本にするには量が足りないから急遽ページ数稼ぐためだけに書いた話なのかと思うくらいに前章までの監察官らしさが皆無になってしまった。
乃南アサさんはほんとムラッ気の多い作家さんで駄作と良作を交互に量産している。まぁ、どの作家にも言えるか。商用作家さんは数出さないといけないからファンはいやでも駄作を掴まされる。図書館通の自分は常に安全地帯！

2021/10/20

警察官が悪いことをしてたら、それを取り締まる
役所(監察)についての、連作短編集でしたー。
警察官を取り締まる話は、初めてだからおもしろかったー。

禁猟区
ホストに貢ぐ警察官
免疫力
ヤクザと一緒に健康になるサプリを売る警察官
秋霖
証拠を作っちゃう警察官
見つめないで
監察の子をストーカーしちゃう警察官

悪いことと思っても、「これくらいなら…」という気持ちが
犯罪へと手を染めさせる。
警察官だろうが、悪いことをやってたらダメだよね。
個人的には、「免疫力」がおもしろかったなぁー。

2020/05/23

やっぱり悪いことをすれば、警察なり弁護士なり政治家なり職業に関わらず処罰される。
当たり前のことが当たり前である世界がそこにあることが、なんだか嬉しかった。
現実の世界では、政治家なんて三権分立が完全崩壊して守られる立場にあるし、警察は身内の恥を隠すこともあるし、とんでもない世の中。
当たり前のことが当たり前になる世の中でありますように。

2018/11/13

警視庁警務部人事一課調査二係に所属する若手・沼尻いくみの奮闘を描いた短編作。

人事一課調査二係は、監察の中でも警察職員服務規程違反を取り締まる「処分屋」といわれ、煙たがられる部署。

・禁猟区
・免疫力
・秋霖
・見つめないで

ホストに溺れ、不良少女家族から金を騙し取る婦警。

独断専行で我が強すぎる中年刑事による情報漏洩。

最後の「見つめないで」はいくみがストーカー被害に。など

なんかシリーズ化しそうな感じで、面白かったです。

2018/04/21

いかにして刑事を狩るか。大抵は欲から身を落とした人だけど、1人は方向性を間違えただけということが悲しい。

2021/05/02

この本には、「禁猟区」など全４作品が収められている。
発表時期が２００８年～２０１０年なので、著者が４８歳位の時に書かれた作品である。

この本に出てきた単語で意味不明のものがあったので、調べてみた。

ウイッグとは、つけ毛だって～。
何か、カルチャーショックですね～。
まあ自分に縁がないので、知らなくても仕方がないと、納得させておこう。

2015/07/27

警察の中にも悪はある。警察官でまさか根っからの悪人はいないだろうと信じたい。普段から犯罪に接していることが多い仕事だし、何かの拍子に気付かずに悪事に手を染めてしまうこともあるのかもしれない。魔が差しちゃうとか・・・。身内の不正を調べるのは、気分のいいものではないだろう。でも身内だからこそ、厳しく、だよね。

いくみは同じ部署の人たちを、最初は何となく毛嫌いしているみたいだったけど、なーんだ、みんな仲間思いの頼れる人たちじゃない。ストーカー事件を通して、そのことに気付けて良かったね。きっと仕事がやりやすくなると思う。

2014/10/02

4話。
監察という警察内部の警察のような仕事。

印象深かったのはやっぱり1話目でしょうか。
短編と思っていなかったので、主人公がどうなるのかと思いつつ読み始めました。

4話ともさすが乃南さん、という感じ。
あっという間に読了です。

2014/02/19

警察内部の悪を告発する監察部のお話。ホストに貢いだり、健康食品を売ったり、証拠をでっち上げたり。
警察内部の実態が垣間見えるのは面白いんだけど、どれも結末がわかりやすいほど想像出来てしまい、ストーリーは全然楽しめなかった。
ただ、最後の沼尻いくみがストーカーに狙われり話だけは少し良かった。犯人も元彼も想像通りだったから、そこは全く面白くないんだけど。いくみがあまり好きではなかった自分の上司たちが、事件に対してスピーディかつ暖かく対応してくれたこと。乃南さんは、こういう世代の違う人間同士の心が近づく過程がすごく良いなあ。完全に綺麗に繋がり切るんではなく、ああこんな面もあるのね、的なじわじわ感。凍える牙の、滝沢と音道のような。
ただ、やはり長編の方が好きかもなあ。