もうおうちへかえりましょう の商品レビュー
17年前に出版されたエッセイとは思えないぐらい2021年の人間の感覚で、穂村さんの文章は毎度のことながら自分の中のかゆいところに手が届く感覚があって、今回もたくさんかゆいところを掻けました。
Posted by
「世界音痴」に続く、穂村弘さんの二作目のエッセイ。 元の単行本は2004年発売(かろうじて結婚前)ということで、お姫さまは来ないかもしれないと思い始めた穂村さんが、自力で何とかしようとした、「ボールペンで生まれ変わる」のエピソードに、さっそく爆笑。実際に零時零分零秒ちょうどに、...
「世界音痴」に続く、穂村弘さんの二作目のエッセイ。 元の単行本は2004年発売(かろうじて結婚前)ということで、お姫さまは来ないかもしれないと思い始めた穂村さんが、自力で何とかしようとした、「ボールペンで生まれ変わる」のエピソードに、さっそく爆笑。実際に零時零分零秒ちょうどに、それをしているところを想像すると・・もうダメだ(笑) そもそも、何故それで新しい素晴らしい〈私〉に生まれ変わっている筈だと思ったのか、考えなくていいのに、考えれば考える程、余計に面白くなってくる。 前作は、穂村さんのカミングアウト的な、本人にその意図が無くても、自然と笑えるような内容が多かったが(それにしたって、背表紙の『衝撃的なダメッぷり』はひどい)、本書はそれだけではなく、穂村さん独自の視点からみた考察も興味深い。 例えば、八十年代が、『高度に洗練されたイメージと自意識の時代』であった事について、コカコーラのキャッチコピーを一つの例に取っていることに、なるほどと。 当時は全く気にもしなかったが、確かに「アイ・フィール・コーク」って意味不明だし、『意味の明確さとは無関係に支配力を持つところがイメージの怖さ』という、穂村さんの文章にも納得させられるものがあって、感じることにも信頼性のようなものがあるのですね。はたまた、センスの良し悪しを判断するのが困難な時代だったのか。 そんな中に現れた、「ドブネズミみたいに~」で始まる、あの曲の衝撃も共感でき、当時の音楽番組でのMCとの噛み合わない遣り取りは、ある意味、痛快で面白かったなあ。 また今回は、穂村さんの古書好きというか、本好きなエピソードが多く、改めて短歌だけの人ではないことを実感し、またその話のひとつひとつに、想いの深さを感じ取ることができて、他人事ながら、私まで嬉しくなり、読みたくなった本が増えました(特に往年の女性作家の漫画作品)。 それからやはり、素敵で面白いエピソードを拾い上げる、穂村さんの素晴らしさは今回も変わらず、特に、「恐怖的瞬間」の、漫画家、吉野朔実さんの完璧な三点セットや、ストライクが出てしまったらどうしようと心配する「ボウリング砂漠」に、『お砂糖はエネルギーのもとなのよ』とキツネっぽい母親が、子供たちに云っている商店街のポスターに、胸が締め付けられる「壊れた笑顔」は印象的でした。 また、更に印象的だったのが、ナンパをしたことがないことから生まれたような、告白的小品の「林檎」で、最初、くすくす笑いだったのが、次第に切なさを帯びてくる展開に、詩的で素朴な感動を覚えつつも、これを素で書いているのか、狙って書いているのか、分かりづらい感じが、また穂村さんのミステリアスな一面なのかもしれないと思いました。
Posted by
やっぱり好きだ この謎の親近感と胸の中でふわふわしてる思いだったりをこうやって言葉にしてくれる感じ! あとがきの永遠の寮、すごくいいな笑
Posted by
色々な雑誌や新聞に書いたエッセイをまとめてあります。私はⅢの本の雑誌に書いたエッセイが一番面白く読めました。本についてのエッセイなので、本好きには共感しやすいかと。
Posted by
穂村弘って、ほむほむって愛称なんだ、、。笑 歌人や詩人のエッセイを最近読んでいて、歌って自分が思っていたよりずっと自由なんだ、と感じる。それは言葉が自由だということ。言語化することで考えはすっきりするけれど、枠にはまった言葉にすることで自分の気持ちも枠にはめてしまっていないかと...
穂村弘って、ほむほむって愛称なんだ、、。笑 歌人や詩人のエッセイを最近読んでいて、歌って自分が思っていたよりずっと自由なんだ、と感じる。それは言葉が自由だということ。言語化することで考えはすっきりするけれど、枠にはまった言葉にすることで自分の気持ちも枠にはめてしまっていないかと考えてしまう。 大島弓子の漫画が読みたくなった。
Posted by
穂村弘: 1962年、北海道生まれの歌人。1990年歌集『シンジケート』でデビュー。その後、短歌のみならず、評論、エッセイ、絵本、翻訳など幅広い分野で活躍中。2008年『短歌の友人』で第19回伊藤整文学賞、『楽しい一日』で第44回短歌研究賞、2017年『鳥肌が』で第33回講談社エ...
穂村弘: 1962年、北海道生まれの歌人。1990年歌集『シンジケート』でデビュー。その後、短歌のみならず、評論、エッセイ、絵本、翻訳など幅広い分野で活躍中。2008年『短歌の友人』で第19回伊藤整文学賞、『楽しい一日』で第44回短歌研究賞、2017年『鳥肌が』で第33回講談社エッセイ賞、2018年『水中翼船炎上中』で第23回若山牧水賞をそれぞれ受賞。歌集に『ドライ ドライ アイス』、『手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)』、『ラインマーカーズ』。その他代表作に、『本当はちがうんだ日記』『絶叫委員会』『世界音痴』『整形前夜』『蚊がいる』『短歌ください』『野良猫を尊敬した日』など著書多数。 歌人だということを知らずに本書を読んだ。最初のエッセイが「曇天の午後4時からの脱出」というもの。作者は晴れでも雨でもない午後4時の曇りが怖い・・らしい。寅年の人はえてしてこの傾向が・・という統計的に無意味な話を展開されても、だから?という感想しかない。 やはり、作者の言葉使いや話にある程度の共感を抱けなければ、エッセイ、いや普通の文章としても楽しむことはできない。数編読んだ結果、私には共感しあえない作家だと確信し本書を閉じた。
Posted by
Ⅱの短歌がいっぱいでてくるところで疲れてしまって読むのやめようかなと思ったけど Ⅲは本がテーマだったので、気になって読破できた。 老夫婦の爺婆を、それぞれの生命残量で現す部分が笑えた。 山崎ナオコーラさんの解説部分、エッセイは最初の一文にドアがある。ってところ。 確かに!頷け...
Ⅱの短歌がいっぱいでてくるところで疲れてしまって読むのやめようかなと思ったけど Ⅲは本がテーマだったので、気になって読破できた。 老夫婦の爺婆を、それぞれの生命残量で現す部分が笑えた。 山崎ナオコーラさんの解説部分、エッセイは最初の一文にドアがある。ってところ。 確かに!頷けた。読もうかやめようか、そこで判断する自分がいたから。
Posted by
穂村弘さんの文章に共感できる側の人間はみな友だち。 noteで穂村さんの文章の素敵さについてエッセイを書くくらい穂村弘さんが好きです。「マイナス星人だからこそ生み出せるものがある」という文章が私の仕事、生活、人生を支えています。 作中に出てくるガールフレンドたちと穂村さんのやりと...
穂村弘さんの文章に共感できる側の人間はみな友だち。 noteで穂村さんの文章の素敵さについてエッセイを書くくらい穂村弘さんが好きです。「マイナス星人だからこそ生み出せるものがある」という文章が私の仕事、生活、人生を支えています。 作中に出てくるガールフレンドたちと穂村さんのやりとりが私の永遠の理想。自分の中の「これ」ってものに自分と同じ熱量で惹かれている相手とのくらし。想像しただけでクラクラする〜。あこがれ。
Posted by
あいかわらず かっこわるかわいい 面白かったー 特に、煉獄、あるいはツナサンドイーター とか
Posted by
あるあるが止まらない本。自分のことを深掘ったらこういうことを思うんじゃないかと、自分のあり得た人格のひとつが筆者なんじゃないかと思わせてくれるほど、言語化できなかった何かを、言葉にしてくれ、ユーモアをもって書いてくれいて、なんだか救われる本でした。
Posted by