予定日はジミー・ペイジ の商品レビュー
物語のようなエッセイのような、軽めの文体でスイスイ読める。ページが厚く、挿絵も多くて、物語とエッセイと絵本の間みたいな感じ。自分の妊娠体験と被ったり被らなかったりだけど、こういう感情って発信されることがないから、内心安心して心の支えになる人が沢山いるとおもう。不覚にもちょっと泣い...
物語のようなエッセイのような、軽めの文体でスイスイ読める。ページが厚く、挿絵も多くて、物語とエッセイと絵本の間みたいな感じ。自分の妊娠体験と被ったり被らなかったりだけど、こういう感情って発信されることがないから、内心安心して心の支えになる人が沢山いるとおもう。不覚にもちょっと泣いてしまった。妊婦になる前もなったあとも、産んだ後でも。寄り添ってくれる物語
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非常によかった。 わたしは妊娠・出産を経験していないのですが、これを読んだら経験してみたくなりました。 と、書くと、妊娠や出産を推奨している本のように思うのですが、そうじゃない。(こともないんだけれど) 「妊娠ってすばらしいよね」「子どもを産むのって幸せだよね」 それって、確かにそうなんだけど、それが全てではない。 だけど、世の中には不妊で悩む人もいるし、「せっかく授かったのに」「悩んでいる人もいるのに贅沢」なんて言われてしまうと、「産みたくない」とか、「子どもができて嬉しくない」とか、言いづらい雰囲気がある。 もちろん命は大切だし、堕胎も気軽に行っていい行為だとは思わない。 だけど、それも一つの選択肢なんだと、自分の善悪の価値基準を他の人に押し付けてはいけないんだと、そう改めて思います。 妊娠や出産に対する考えがマイノリティで、それに引け目を感じている人を肯定してくれるような本でした。
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主人公の感情の起伏に見事に乗り、自分が見る夢がだいぶ面白くなった(起き抜けに無心でメモするほど)。この本は、妊娠という未知の世界への不安を少し軽減してくれ、また日常に彩りを添えてくれたので、けっこう感謝している。
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この本に関係ない話も多く含まれており、不快な気持ちにさせてしまうかも知れません。ご了承の上お読みください。 2ちゃんねる創設者のひろゆきに最近ハマってる。 ひろゆきさんが角田光代さんをボコボコに論破してる動画を見て、角田光代さんの本を読んでみたくなって、家の本棚にあったこちらを手に取りました。 たしかに本当に角田さんが妊娠したかと錯覚するほど心情の揺れ動きが自然で緻密で、それでいて読みやすかった。 しかしながら!どうしても読書中に論破されヒスを起こしてる角田さんがチラついてしまうのだ!! あの動画をみる前にこの本を呼んだらもっと楽しめたのに! ペンネームはペンネームだけであって欲しいなぁと思った今日この頃。
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流石サスガの角田光代。素晴らしい。素晴らしく良い。いやもう、何度でも言いますが言えますが、これは、凄く良いです。「読んでよかった!」って、何の留保も衒いもなく言う事が出来る本というのは、素敵ですよ。そんな本に出会うことができるのは、素敵なことですよ。何度でも言います。コレは、とても素晴らしい本です。 赤ちゃんができた夫婦の、妻寄りの内容の日記体裁の小説、という感じなのですが、うーむ。ばりリアル。最初は、まあ、王道の誤解だと思うのですが、角田さんの実体験だと思って読んでました。つまり、小説というより、エッセイ寄りの小説、私小説、みたいなもんだと思って読んでましたね。ええ。 全部創作かい、っていうね。こんなにとんでもなくリアル(に俺にとっては感じられた作品)なのに。それは即ち、角田光代さんの創造する世界は、俺にとっては、とても「他人事とは思えない」から、なのだろうか。 「ああ、、、そうだよなあ、、、あんたの気持ち、、、マジ分かるよ、俺。それは『わかった!という錯覚』なだけなのかもしれないけれど、でもマジであんたの気持ちわかるよ、って思う俺の気持ちは俺にとっては真実なんだよ」 って感じ。ちょー回りくどいですね。でも、そういう感じなんだよ。 ちなみに、俺は勝手に、 角田光代の感覚 ≒ チバユウスケの感覚 説を提唱している次第です。「≒」は「ニアリーイコール」ってヤツですね。「いっしょ」ではなく「ほぼいっしょ」って記号です。 初期作品に漂う、圧倒的な寄る辺なさ、ひねくれさ加減、斜に構えた感じ、いたたまれない感じ、てやんでえべらぼうめえな感じ。 そこからの、 中期~現在?に至る作品に感じる。圧倒的な強さ、明るさ、一周回ったヘンなてやんでえべらぼうめえ感、正しく成長している感をヒシヒシ感じさせてくれる感じ。 そこらへんが、あくまでも個人的には、角田さんとチバさんの創造物に通じる共通点、だと、勝手に感じている次第です。 まずもって全然この作品の解説になっていないのですが、もうね。言いたいんですよこの事が。 角田光代 ≒ チバユウスケ 説。誰かこの説を共感してもらえる人と、一晩でも語り明かしたい感じ。 ま、んで、この作品のどこが素晴らしいか、というと、、、うーむ。とりあえず、読んでください。という、超投げやりな結論です。だってもう。凄く良いんだもの。読んだら分かるよ。って感じなんだもの。本当にイインダヨ。この作品は。 ちなみに、あとがき、も、めちゃくちゃ良いです。あとがきで判明する、「まずこの小説は最終章が短編?としてあって、そっから逆算で最初から話を作っていって長編小説になった」ってネタばらしとか、もう最高です。あと、角田さんの「作家の書く実体験風の話はわたしは基本てんで実体験だと信用しない」みたいな論とかマジ最高。 当然ながら本編は最高。いやもうホンマに素晴らしい本です。 あ、そうそう、角田さんご本人の描き下ろしの絵(イラスト?)も、ちょこちょこ収録されています。角田さんと、イラストレーターの唐仁原教久(とうじんばらのりひさ)さんの共作?というところでしょうか? このイラストが、バリ良い。不思議な哀しさと孤独と優しさがある。ように感じられる。角田さんのこの感性が、やっぱ好きですね。小説内で、主人公のマキが、ネット上で妊婦同志の「きのうちつやこ」さんのホームページを見つけて、そこにアップされていた「きのうちつやこ」さんの撮影した写真に「なんということはない写真なのだけれど、不思議なさみしさがある」という評が、まさに俺が角田さんのイラストに対して感じた思いと ≒ なのよね。うーむ。素敵。 あと、夫の「さんちゃん」と、妻の「マキ」の関係性も、マジ最高。こんな夫婦、最高です。「さんちゃん」の頼りなさそうで頼れそうな所が最高です。こんな男になりたい。
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角田さんの描く女性像が本当に好きだ。 今回の主人公マキも、予期せぬ妊娠による戸惑いから、次第におなかの中の子へ湧いていく「ただ無事に生まれてくれればいい」という愛情の変化を遂げていく心理描写が、自身の妊娠体験とも重なる。 母親学級で知り合った、気の合わない妊婦に「うるせえ、うるせ...
角田さんの描く女性像が本当に好きだ。 今回の主人公マキも、予期せぬ妊娠による戸惑いから、次第におなかの中の子へ湧いていく「ただ無事に生まれてくれればいい」という愛情の変化を遂げていく心理描写が、自身の妊娠体験とも重なる。 母親学級で知り合った、気の合わない妊婦に「うるせえ、うるせえ、うるせえ」と心の中で吐き捨てたり、無事出産できたらタバコを吸ってビールを飲みたい!と素直に言える「不良妊婦」なマキは、私そのものだ…。 女性は妊娠したら、聖母マリアのような慈悲深い愛を持つ母親になるわけではない。出産の苦しみ、その後も続く乳児期のお世話を経て、時間をかけて子どもと一緒に「母親」になっていくのだから、世間が思い描くようなお花畑なマタニティライフでは決してないし、そう過ごせない自分に劣等感を感じることもないんだ、がんばらなくてもいいんだと思える、救われる一冊だった。
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主人公が妊娠をしてから、子供を産む直前までのお話。 わかるーと思う部分がいっぱい。 赤ちゃんを授かったのはとても嬉しいことだけど、一昼夜でお母さんになんてなれるわけがない。 毎日毎日を過ごしていく中で、少しずつ少しずつ実感と自覚をしていくものであり、その中では「こんなこと考える...
主人公が妊娠をしてから、子供を産む直前までのお話。 わかるーと思う部分がいっぱい。 赤ちゃんを授かったのはとても嬉しいことだけど、一昼夜でお母さんになんてなれるわけがない。 毎日毎日を過ごしていく中で、少しずつ少しずつ実感と自覚をしていくものであり、その中では「こんなこと考えるなんて母親失格では...」と思うようなことも多々。 この作品の主人公は、子供ができて嬉しくない、と旦那さんにばっさり告げる。 ここで怒らずに、おろすなんて許さない、と泣く旦那さん。物語全体を通じ、この旦那さんの器の大きさと愛情深さにぐっときた。冷やし中華のくだりとかたまらない。 徐々にお腹な中の赤ちゃんを愛おしく思っていく中で、しげぴーと会っている時に主人公が覚醒する部分が好き。 お腹の中の生き物は、私たちが幾度となく繰り返してきた、祈りのようなものでできている。
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『あとでどんなに後悔しても、どんなに泣きたくなっても、どんなに自己嫌悪にさいなまれても、私は最後まで父を嫌いでいよう。それが私とこの人の、代用のきかない関係というものではないか。』(p.168) 再々読くらい。 最初に読んだとき、こういう引き受け方もあるのか、こういうのでもいい...
『あとでどんなに後悔しても、どんなに泣きたくなっても、どんなに自己嫌悪にさいなまれても、私は最後まで父を嫌いでいよう。それが私とこの人の、代用のきかない関係というものではないか。』(p.168) 再々読くらい。 最初に読んだとき、こういう引き受け方もあるのか、こういうのでもいいのかとびっくりして、許してもらえたような気になった。何度読んでもこの部分に励まされる。
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まずは自分は女性ではないので。と前置きし。 出産へ向けての気持ちの変化がよくわかった気がします。 最後は嫌いだった父も受け入れることができた。 そこまで思わせる出産。 やはり素晴らしいことですよね。
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まだ子どもを授かった経験はないけれど、このご夫婦の様に、ふたりで過ごす最後の生活、3人になるこれからの生活も楽しめる様になりたいと思いました。
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