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敗走記(文庫版) の商品レビュー

3.8

22件のお客様レビュー

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2024/06/02

「戦争と日本」で一度読んだ「敗走記」。 一兵士が経験した戦争の記憶。政治家や軍部のオエライサンたちが経験することのない、現実が描かれている。 戦争という極限の中の美談である『レーモン河畔』。 たまたま偶然が重なっての美談であるということは、理解しておきたい。美談にならなかった事...

「戦争と日本」で一度読んだ「敗走記」。 一兵士が経験した戦争の記憶。政治家や軍部のオエライサンたちが経験することのない、現実が描かれている。 戦争という極限の中の美談である『レーモン河畔』。 たまたま偶然が重なっての美談であるということは、理解しておきたい。美談にならなかった事ばかりであるだろうと思うし、だからこそレアケースとして記録したのだろうと思うから。

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2022/07/17

「敗走記」水木しげる著、講談社文庫、2010.07.15 272p ¥550 C0179 (2022.07.17読了)(2022.07.12拝借)(2010.08.11/2刷) 太平洋戦争中の南方戦線における日本軍の話、六編が収録されています。 悲惨ではありますが、生き延びた人た...

「敗走記」水木しげる著、講談社文庫、2010.07.15 272p ¥550 C0179 (2022.07.17読了)(2022.07.12拝借)(2010.08.11/2刷) 太平洋戦争中の南方戦線における日本軍の話、六編が収録されています。 悲惨ではありますが、生き延びた人たちの話もあるので、ちょっと救われる感じがします。 【目次】 敗走記 ダンピール海峡 レーモン河畔 KANDERE ごきぶり 幽霊艦長 あとがき ☆関連図書(既読) 「カラー版 妖怪画談」水木しげる著、岩波新書、1992.07.20 「カラー版 続妖怪画談」水木しげる著、岩波新書、1993.06.21 「カラー版 幽霊画談」水木しげる著、岩波新書、1994.06.20 「総員玉砕せよ!」水木しげる著、講談社文庫、1995.06.15 「カランコロン漂泊記」水木しげる著、小学館、2010.04.11 「ゲゲゲの女房」武良布枝著、実業之日本社、2008.03.11 (アマゾンより) 戦争を生き抜いた著者がつづる生と死の物語 戦記ドキュメンタリー完全復刻! 昭和19年、南太平洋ニューブリテン島中部、部隊は壊滅的打撃を受けたものの、ひとり生き延び、仲間の鈴木と合流することに成功する。そして断崖を通り抜け道なき道を進み、敗走を続けた。敵に追われ、飢えや渇き、暑さに苦しみながらも九死に一生を得た著者が綴る、生と死の物語。戦記漫画の傑作を6編収録。

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2021/03/14

第二次世界大戦にまつわる短編集。 さすが、水木作品のクオリティの高さ。 戦争体験しているからこその実際の戦場の厳しさと、水木センセイのユーモア漂う軽やかさが絶妙にブレンドされている。 「敗走記」 奇跡の生き延びた兵士に下される日本軍の軍隊としての不条理 「ダンピール海峡」 ...

第二次世界大戦にまつわる短編集。 さすが、水木作品のクオリティの高さ。 戦争体験しているからこその実際の戦場の厳しさと、水木センセイのユーモア漂う軽やかさが絶妙にブレンドされている。 「敗走記」 奇跡の生き延びた兵士に下される日本軍の軍隊としての不条理 「ダンピール海峡」 日本国旗を守りきることを使命とされた兵隊の悲劇 水木さんのあとがき 「南方の入道雲をみると、いつも「これが最後…」と何回も思ったことがある。このダンピール海峡を渡った兵隊の気持ちを(なんともいえない気持ち)「ダンピール海峡」という作品にした」 「レーモン河畔」 戦場の美女が無事に救われる 水木さんのあとがき 「明日死ぬかも知れぬ戦場に現れた美女が、なんと、無事に後方まで下がり、今日まで生きのびるという、めずらしい話だ。そして二人のうち一人は、現在、東京にいる」 「KANDERE」 南国の原住民との交流から数奇な奇蹟が起こる。 「ごきぶり」 戦争に翻弄され、戦後も先犯として巣鴨で処刑された名もない一人の男の人生 「幽霊艦長」 自ら犠牲となって敵の前に散ることで味方を救った宮本艦長。 「昨夜の激戦のあった海面はうそのように静まりかえっていた・・・」という場面が印象深い

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2019/10/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

■敗走記 原住民に付け狙われながら、ひたすらひたすら岸壁やジャングルや海を逃げる逃げる逃げる。 雄大な自然背景がすごい。 ■ダンピール海峡 血のしみ込んだ軍旗を守り抜くという使命。 しみ込んだ血から過去の戦士を幻視する。 果ては幽鬼のような見た目になろうとも。 ■レーモン河畔 ホセの娘ふたりを、さてどうするべきかと男ちが右往左往。 結局は逃がしてやるということになる。 ■KANDERE 原住民の娘とねんごろになったおかげで、原住民から食料を得る。 酋長はしかしスパイを働こうとしているので、思い切って結婚してカンデレ(同族)となる。 戦局は進んで……。 ■ごきぶり 逃亡兵士が捕まって死刑。ごきぶりのように逃げ回った人生だと感慨。 ■幽霊艦長 夫婦で連合艦隊の模型づくりを趣味にしていたと自伝にあるが、それも仕事に活用。

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2018/11/17

ゲゲゲの女房視聴後、興味を持ち購入。戦争短編数編が収録されているが、そのどれもに共通して感じたのは物語の悲しさと美しさである。戦争モノは戦争の悲劇性ばかりを捉える作品が多い印象を抱いていたが、水木しげるの戦記物は、死のもつ悲しさだけでなく、美しさも描いている。さらに当時の日本軍の...

ゲゲゲの女房視聴後、興味を持ち購入。戦争短編数編が収録されているが、そのどれもに共通して感じたのは物語の悲しさと美しさである。戦争モノは戦争の悲劇性ばかりを捉える作品が多い印象を抱いていたが、水木しげるの戦記物は、死のもつ悲しさだけでなく、美しさも描いている。さらに当時の日本軍の描写に関しては、彼らの精神性や価値観に対して、嘲笑するのではなく美しいものは美しいのだ、と誠実さを感じる。「生」の醜さ、素晴らしさ、「死」の悲しさ、美しさ、戦地で実際に戦ったからこそ描けた作品。

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2017/09/09

(01) 標題の短編のほか5編が収録されている.いずれも太平洋戦争の南方戦線が舞台となっている. おそらく著者本人が描いたであろう背景の細密が印象的で,南や黒を感じるタッチであり,テーマ(*02)にも即している.その背景に比べると人物や表情は戯画化されシンプルであるが,飄々さ,戦...

(01) 標題の短編のほか5編が収録されている.いずれも太平洋戦争の南方戦線が舞台となっている. おそらく著者本人が描いたであろう背景の細密が印象的で,南や黒を感じるタッチであり,テーマ(*02)にも即している.その背景に比べると人物や表情は戯画化されシンプルであるが,飄々さ,戦場をさまよう亡霊といった感じがよく出ているように思う. 擬音表現も興味深い.それは背景でもなく人物でもない,セリフでもないし,説明の地の文でもない,その擬音たちが細密な背景にうまくデザインされて配置され,漫画を芸術として昇華させている. (02) 無論,反戦の立場から戦争の悲惨さを描いた作品として読んでよいと思うが,戦争礼賛まではいかないものの戦場の美談といったテーマも扱っているところに著者の冷静が表現されているように思う.また,戦場となった南方の現地人,風土風物への言及にも著者ならではの視線を感じる.

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2017/01/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

2010年(底本1991年)刊行。戦時中の体験(第三者のそれを含む)・見聞した状況をマンガで描出した短編集。飄々とした人物(性格面のみならずビジュアル面でも)と、それと対比的なリアルな戦場場面・メカニック。これらが台詞回しの可笑しさや暖かい人間関係が限定空間に止まることを暗示しているのか。光人社文庫や学研M文庫にあるような情景とは異質の、そしてリアルな戦場が描かれている。著者自身によるあとがきも、本書の内容にうまくアクセントをつける。

Posted byブクログ

2016/03/24

あとがきから察するに、ほぼ実話、少しフィクション、のようです。 ほんとうはきっと耳を覆いたくなるようなひどい話、つらい話をいっぱい見聞きされてこられたのでしょうが、その中からこれらの話を選んで漫画にしてきた水木さんの思いのようなものを考えてしまいます。 悲しい物語もどこかこっけい...

あとがきから察するに、ほぼ実話、少しフィクション、のようです。 ほんとうはきっと耳を覆いたくなるようなひどい話、つらい話をいっぱい見聞きされてこられたのでしょうが、その中からこれらの話を選んで漫画にしてきた水木さんの思いのようなものを考えてしまいます。 悲しい物語もどこかこっけいな描写があって、読むのがそんなに辛くなく、過酷な状況で忘れられがちな「人の誠実さ」「友情」「家族愛」が、決していつも損なわれてばかりではなかったことなどを教えてくれます。 前にも思いましたが、漫画というメディアは、かつて日本が我を失い袋小路に迷い込んでしまった戦争の体験を伝えるのに非常に向いていると思います。 特に水木さんの漫画は、少しトボけたような明るい雰囲気があって、「戦争のことを知ろう!」なんて気負うこともなく、読むことができます。それでいて戦争の本質みたいなものはしっかりと伝わってきて、心の奥に残ります。

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2016/01/08

自身の体験だけでなく取材した話を元にした短編集。「総員玉砕せよ!」での非合理さは影を潜めるので、単にストーリーとして面白いと思えた。こういうところにも水木しげるの漫画家の才能の高さが伺える。

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2015/12/20

水木しげる先生の短編集。 最近、こういうマンガ読んでなかったから、面白かった。生々しい。そして、考えさせられる。 マンガなのに読むのに時間がかかるけど、ぜひ一読をお勧めする。

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