俺俺 の商品レビュー
最初の方の詐欺まがいの導入部には結構そそられて読み進めたのですが、あれよあれよというまに訳が分からなくなり・・・とどめにアレはないでしょ 具合悪くなりそう・・・作者の意図するところの「俺」の観念的なことは理解できそうです。現代社会の怖さの側面ですね。
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結末の急ぎ具合と投げっぱなし感に『食堂かたつむり』のそれが重なってしまう作品。前半はかなり楽しめる。中盤から終盤もじわじわくる。それだけに、あの結末は、ただただ惜しい。テーマが斬新で、ぎょっとする場面の多い作品だったが、特に「電車のなかに俺以外がひとり」というシーンがなんとも恐ろ...
結末の急ぎ具合と投げっぱなし感に『食堂かたつむり』のそれが重なってしまう作品。前半はかなり楽しめる。中盤から終盤もじわじわくる。それだけに、あの結末は、ただただ惜しい。テーマが斬新で、ぎょっとする場面の多い作品だったが、特に「電車のなかに俺以外がひとり」というシーンがなんとも恐ろしく、嫌な空気に身を抉られそうになった。★2
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見知らぬ人の携帯電話で俺俺サギのまねごとをしてしまったことから、俺が俺であり俺でなくなって、そのうち俺が増殖していってしまう話。暇つぶしにはいい。
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う~ん、合わない。ごめんなさい、どうにもこうにも私には合わなかった…。 半分くらいまでは、奇想天外な展開に引き込まれたのだが、だんだん同じことの繰り返しがくどくてウンザリしてしまい、最後はかなりナナメ読み。 突いているところは面白かったし、決着のつけ方に期待もあったから頑張っ...
う~ん、合わない。ごめんなさい、どうにもこうにも私には合わなかった…。 半分くらいまでは、奇想天外な展開に引き込まれたのだが、だんだん同じことの繰り返しがくどくてウンザリしてしまい、最後はかなりナナメ読み。 突いているところは面白かったし、決着のつけ方に期待もあったから頑張って最後まで読んだが、安直とも思える結末だったのでがっかりしたかも。
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たまたま冗談で俺俺詐欺をしてしまったら、世界中に俺が増殖していってしまう、という謎の設定の小説なのだけど、絶妙なバランスでその不自然さが自然さを保ってるし、何より凄く丁寧に流れを追ってくれてる。 テーマとしては、中二病(?)やん!と言えばそれまでだけど、それをここまでちゃんと追い...
たまたま冗談で俺俺詐欺をしてしまったら、世界中に俺が増殖していってしまう、という謎の設定の小説なのだけど、絶妙なバランスでその不自然さが自然さを保ってるし、何より凄く丁寧に流れを追ってくれてる。 テーマとしては、中二病(?)やん!と言えばそれまでだけど、それをここまでちゃんと追いかける姿勢に作品の誠実さを感じます。とにかくとても感度が高くて、とてもいい小説だと思います! 読むのめっちゃ疲れたけど、疲れるほど夢中になれたことが嬉しい。
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自分と他者との境界線が無くなるお話。 軽快な文章でさくさく読める! でもメッセージはちゃんと伝わる。 男性作家さんで初めてはまりました
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本編の九割はすごく良かった。だから最後の最後であの展開にしてしまったことがとても残念。打ち切られてしまったのか、というくらい不完全燃焼。
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もっとメタ的なじめっとしたタイプを予想していたのだが意外なほどスケールのでかい展開でなんかちょっと笑ってしまった。 こだまでしょうか?いいえ誰でも
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
『新潮』2009年6月号に初回掲載。ちょうど第1章が初回だったのだが、この引きがとてつもなく面白そうだった。たまたま読んで続きが気になってた作品。初回は予備知識というか事前情報がないまま読んだのでよもやこういう展開になるとは想像していなかった。 中盤まではちょっとホラーかSFかっていうテイストで、『増殖』あたりから俺俺俺・・・で頭の中がぐるぐるしてくる。とにかく怖くて気持ち悪いのだが、最後が気になって気になって読んでしまった。昼休みに読んでいたのだが、消化不良になりそう。食事時に読むのはオススメしません。 ラストはある意味想定通りなのだが、あの混乱具合をラストまで書ききって収束させた作者の頭の中ってどうなっているのだろう、すごいなあ。それにしても周りが自分だらけなんて究極の悪夢だ。想像するだけでもイヤすぎる。 同調が猜疑へ、否定・排除から再び信頼・肯定へというストーリーは結局、現実において人が自己と他者を認める作業と同等なものだと思う。メッセージ性が強くて容易に映像化できないこういう本を読むと「小説を読んだ!」という気分になって非常に満足。
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大江健三郎賞受賞のニュースを見て、興味を持ったので読んでみた。俺俺詐欺をきっかけに始まる不条理小説、と言ってしまえば簡単だが、自分が自分である根拠を押し付けられる(奪われるより先に)ことで増殖していく“俺”の物語は、単にシュールで不安を煽るというより、アイデンティティーとは何なの...
大江健三郎賞受賞のニュースを見て、興味を持ったので読んでみた。俺俺詐欺をきっかけに始まる不条理小説、と言ってしまえば簡単だが、自分が自分である根拠を押し付けられる(奪われるより先に)ことで増殖していく“俺”の物語は、単にシュールで不安を煽るというより、アイデンティティーとは何なのか、“自分”という存在の拠り所はどこにあるのか、自分と自分が生きる現代社会について恐怖と共に考えさせる作品になっている。 自分を分かってくれる人が欲しい、という親和への欲求が他者への排他を生み、そうして生まれた他者を斥ける自分が親和の幻想を破壊していく…俺俺世界がたどる末路は、非現実的でありながら、とてつもなく現実的な恐怖感を残す。KYと言われるような存在であってはならず、けれど個性的であることにも価値を置く世界で、我々はどのように自己存在を確立させて生きていけば良いのだろうか?世間のニーズに流され、何となく選んだ“自分”を身にまとって生きる…俺俺世界はかなり身近に迫っているのかもしれない。 自分の価値を認めて初めて、他者の価値を認めることができる。自己存在とは何か、と考えることで、本当の多様性、本当の親和性の在り方についても考えさせられる作品。久々の本格的な和製不条理文学、面白かった。
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