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写楽 閉じた国の幻 の商品レビュー

3.7

120件のお客様レビュー

  1. 5つ

    24

  2. 4つ

    43

  3. 3つ

    34

  4. 2つ

    7

  5. 1つ

    4

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2011/02/16

久々の島田荘司。さすがの筆力! 分厚いし写楽も浮世絵も全く興味ないけど読めるかな、と少々心配だったが、本当に面白かった。 序盤の引き込みと終盤の盛り上がりにはしてやられたけど、途中、謎解きを仲間と話し合っている部分はやや冗長で、ちょっと飽きた。 でも読み終えてみれば、中だるみを...

久々の島田荘司。さすがの筆力! 分厚いし写楽も浮世絵も全く興味ないけど読めるかな、と少々心配だったが、本当に面白かった。 序盤の引き込みと終盤の盛り上がりにはしてやられたけど、途中、謎解きを仲間と話し合っている部分はやや冗長で、ちょっと飽きた。 でも読み終えてみれば、中だるみをものともしない読み応えのある見事な作品に仕上がっていた。 構想20年というだけあって、謎解きにかける主人公の思いは生半可ではなく、それはそのまま著者の情熱に比例するらしい。 劇中、片桐教授や編集者たちとの細かいやり取りも、実際に島田氏が写楽について、様々な文献を隈なく調べたその時のことがかなり細かく再現されているようだ。 主人公が、なんとなく島田氏とダブって見えるところもいい感じ。 主人公の身辺のストーリーが描き切られていないのは、主軸の写楽の謎解きに熱を入れすぎて枚数オーバーになり、そこまでいかなかったとのこと。 というより、書いていて、そんなに長い話にはなってないと思っていたというのだから、著者のこの作品への思い入れぶりがわかるというものだ。 ご本人いわく、続編というか、描き切れなかった部分をまた別の機会に書きたいということなので期待も込めて☆5つ。 楽しみが増えた!

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2011/02/13

謎の浮世絵師 写楽の正体に迫る。現代の浮世絵研究家パートと江戸パートに分かれ写楽の正体がどんんどん解き明かされて行くのが楽しかった。分厚かったけど。

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2011/02/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

写楽研究以外の小説としてのストーリーがひどい。 後書きで描ききれなかった膨大なストーリーがあると言い訳がついているがなら改稿すればいい。 主人公が目を離した隙に息子が事故死するのだけれど 責める妻を自分だって悲しんでいるのにと悪者にし自分は全くの被害者として話が進む。 数回街中で泣き崩れるがその度に知り合った美しい教授に偶然助けて貰う。 登場人物同士を知り合わせる為だけの息子の死があまりにも無意味。 主人公の息子への思いが却って自分勝手さを強調している気がする。

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2011/02/08

歴史ミステリー。写楽の謎 写楽の意外な正体に迫ります。 日本の浮世絵は、欧州でブームとなり逆輸入の形で、日本で見直され研究が深まった文化です。江戸という近い時代なので、有名人物の作品や人物については資料が多く遺されていますが、写楽だけは作品のみが多数あるだけで、その人物像につい...

歴史ミステリー。写楽の謎 写楽の意外な正体に迫ります。 日本の浮世絵は、欧州でブームとなり逆輸入の形で、日本で見直され研究が深まった文化です。江戸という近い時代なので、有名人物の作品や人物については資料が多く遺されていますが、写楽だけは作品のみが多数あるだけで、その人物像についてはほとんど知られていません。そこで、「写楽別人説」というのがあって、丸山応挙説、葛飾北斎説、山東京伝説など、さまざまな説が繰り広げられ、その謎は現代まで多くの研究者たちを悩ませてきました。 出版元の”蔦屋”(つたや)が当時無名の写楽という作家の作品を、140点も出版したのは何故か、写楽が10ヶ月で活動をやめてしまったのは何故か、後に自身が写楽だったと名乗る者も皆無なのは何故なのか。 作者が長年興味を抱き着想から20年というテーマの作品です。日本美術史にうとい私でも、歴史ミステリーとして、とても楽しく読めました。 続編も期待できそうですね。

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2011/02/02
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

≪内容覚書≫ 江戸時代の謎の絵師「写楽」。 現代の写楽研究が進行していく物語と、 江戸当時の様子を描いた物語が展開し、 その正体を追求していく。 ≪感想≫ 他の写楽研究に目を通したことが無いので、 その正体考察がどの程度まで、認められるものかわからない。 が、なるほど!と衝撃とともに納得させられた。 久々に、良い衝撃を与えてもらえた作品。 また写楽の謎以上に、 蔦屋重三郎の器の大きさに惚れる。 ただ、現代部分のストーリーが、好きではなかったので、4つ止まり。 ミステリとしては久々の個人的ヒット作。 写楽について調べてみようと、世界も広げてもらえた良作。

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2011/02/02

高橋克彦、池田満寿夫など写楽別人説は多々あるが、これも興味深い仮説が小説形式で紹介される。 現代、江戸時代の物語が交互に登場。 現代は謎解きの部分が、江戸時代はその時代の雰囲気とか、蔦屋を中心にした才人たちの交流ぶりが面白い。 しかし、最後の江戸の部分は蛇足気味な気がしないでもな...

高橋克彦、池田満寿夫など写楽別人説は多々あるが、これも興味深い仮説が小説形式で紹介される。 現代、江戸時代の物語が交互に登場。 現代は謎解きの部分が、江戸時代はその時代の雰囲気とか、蔦屋を中心にした才人たちの交流ぶりが面白い。 しかし、最後の江戸の部分は蛇足気味な気がしないでもないが。

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2011/01/30

内容の大部分は写楽に関する研究本。 わずか10ヶ月だけ活躍して忽然と消えた写楽とは何者だったのか。 かなり分厚い本だが、写楽も歌麿も北斎も区別がつかないくらい予備知識のない私でも面白く読めたという点では素晴らしいと思う。 しかし元々が雑誌連載だったせいか、同じような内容の繰り返し...

内容の大部分は写楽に関する研究本。 わずか10ヶ月だけ活躍して忽然と消えた写楽とは何者だったのか。 かなり分厚い本だが、写楽も歌麿も北斎も区別がつかないくらい予備知識のない私でも面白く読めたという点では素晴らしいと思う。 しかし元々が雑誌連載だったせいか、同じような内容の繰り返しが多いのが気になったし、主人公の周囲の話や、きっかけとなった肉筆画の謎などは放り出されたままである。あとがきによれば、それを書くと本が分厚くなりすぎるので今回は断念したとのことだが、全体の構成がアンバランスに感じてしまった。

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2011/07/17

※ネタバレありますかなりの文量で、読みきるのがなかなか大変でした。ですがその分、重厚で奥深い作品です。主人公である写楽の正体を探る学者の、導入部分の事故とその顛末が衝撃的でしたね。えっ、このタイトルでこんな始まり方すんの?みたいな。読み終わってみると、この事故の部分の決着がほとん...

※ネタバレありますかなりの文量で、読みきるのがなかなか大変でした。ですがその分、重厚で奥深い作品です。主人公である写楽の正体を探る学者の、導入部分の事故とその顛末が衝撃的でしたね。えっ、このタイトルでこんな始まり方すんの?みたいな。読み終わってみると、この事故の部分の決着がほとんどつかないまま終わってしまい、メインの写楽について語る部分と結びつける必然性があるのかが「?」でした。もちろん、外国の発想と、日本の発想の融合という考え方や、物語の進行とともに進む調査に必要になる能力を集めるという意味では必要な背景だったと思いますが。また、あとがきで筆者自身が述べているように、紙幅の都合等々あって仕方の無いことだったのかもしれません。それとは知らずとも誰もが見たことの浮世絵の作者・写楽が、そもそも正体不明だったこと、そしてまた、その画風が当時であっても特異であったことなど、そもそもの部分でまったく知らないことばかりで、この本で読んだことのすべてに新鮮な驚きを覚えました。楽しく読んで勉強になる小説というのはなんともおトクなものです。特に作者の想像である「江戸編」の、江戸の町の描写やこうであったのかもしれないという人々のやりとりがとても面白かった。

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2011/01/15

寛政6年(1794年)5月から翌年新春にかけて十ヶ月間という短期間に140点余りの作品を生み出し、大ヒットになりながらも、その正体が全く記録に残っていない写楽。 これまで、円山応挙、谷文晁、葛飾北斎、鳥居清政、歌川豊国、酒井抱一、司馬江漢、喜多川歌麿、絵師以外にも山東京伝や十返捨...

寛政6年(1794年)5月から翌年新春にかけて十ヶ月間という短期間に140点余りの作品を生み出し、大ヒットになりながらも、その正体が全く記録に残っていない写楽。 これまで、円山応挙、谷文晁、葛飾北斎、鳥居清政、歌川豊国、酒井抱一、司馬江漢、喜多川歌麿、絵師以外にも山東京伝や十返捨一九など数多くの別人説が挙げられてきた。 この作品では、息子を六本木の超高層ビルの回転扉事故で失った江戸美術研究者とオランダ人の血をひく美人東大機械工学教授が事故原因の研究会でたまたま知り合い、大首絵という独特の構図や歌舞伎役者のブロマイドだった「美人画」の常識を覆すデフォルメされた顔かたちが発想できたのは、実は作者が出島から定期で江戸参府してきたオランダ人一行の商人の落書きだったから、という説にたどり着く。 登場人物の設定が平凡で興ざめだが、世界に認められた写楽の名画が、実は外国人が遊びで書いた風刺画だったという事実、名人歌麿がしきうつししたことから「写楽」(しきうつす楽しみ)という名がついたこと、江戸の名プロデューサー蔦屋重三郎が禁制を犯して外国人を歌舞伎に連れて行き下絵を描かせ、蔦屋に恩のある歌麿が無理矢理手伝わされたため、写楽の正体が一切知られることがなかった、という論説には説得力がある。

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2011/01/11

突如として現れ10ヶ月だけ活躍して忽然と消えたという写楽という人物は、日本美術史上最大の謎でファンタジーだ。 週刊新潮の連載ものだっただけに、ミステリ小説としてのまとまりには欠けるとこもあるかもしれないが、そんなものはなんてことない。 そもそもこの方に計画性なんていうものは期待...

突如として現れ10ヶ月だけ活躍して忽然と消えたという写楽という人物は、日本美術史上最大の謎でファンタジーだ。 週刊新潮の連載ものだっただけに、ミステリ小説としてのまとまりには欠けるとこもあるかもしれないが、そんなものはなんてことない。 そもそもこの方に計画性なんていうものは期待してはいけない。 ご本人も後書きで言っているように本作で解決しなかった諸々の事は、次作での課題にすればよい。 島田荘司だからこそできた写楽探しの旅は、鮮やかな視点で誰もが想像しなかった意外な結末へと誘う。 このことのみが、久しぶりの「このミス」入賞という結果を齎した。 他にも写楽研究本はあまたあれど、一番読んで楽しい写楽本だと思う。 600ページなどなんのその。ぐんぐん引き込む筆力は健在で、あっという間ですよ。 記事URL:http://spenth.blog111.fc2.com/blog-entry-2.html

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