写楽 閉じた国の幻 の商品レビュー
途中、ちと中だれしたような気がしたけれど、それも含めて最後まで興味深く読めました。 浮世絵関連の脱線話もなかなか面白く、本編とは関係なく楽しませてもらえたのも、また一興でした。
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写楽とは誰かに?に迫った大作。 江戸編と現代編に分けて分析する手法には恐れ入る。 もう一度、写楽の現物を観て、確認したくなる様な説得力のある本。
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正直写楽の正体については、わかりません。 この作品の結論が真実かはわかりません。 ただ、この作品では納得させられます。 さすが島田荘司だと思います。 で、それとは別に江戸後期がある意味幕府だけ閉じているっていうのは、びっくりしました。 教科書だけを信じたらいけないということですね...
正直写楽の正体については、わかりません。 この作品の結論が真実かはわかりません。 ただ、この作品では納得させられます。 さすが島田荘司だと思います。 で、それとは別に江戸後期がある意味幕府だけ閉じているっていうのは、びっくりしました。 教科書だけを信じたらいけないということですね。 思い込んだらものの見方が狭まる。
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かなり時間がかかりましたが読了。 得点が決め難いですが89点(残念90点には届かない、という意味で。) タイトルその物の通り、写楽とはだれぞやに焦点を絞った歴史ミステリー。 物語は浮世絵研究家の佐藤が現代の観点から「写楽現象」の問題点を提起しつつ、その答えを追いかける現代編と、...
かなり時間がかかりましたが読了。 得点が決め難いですが89点(残念90点には届かない、という意味で。) タイトルその物の通り、写楽とはだれぞやに焦点を絞った歴史ミステリー。 物語は浮世絵研究家の佐藤が現代の観点から「写楽現象」の問題点を提起しつつ、その答えを追いかける現代編と、 写楽の浮世絵の版元の蔦谷重三郎の視点から、(著者が導き出した結論に沿って)当時の世界を描いた江戸編の二つからなる。 現代編は一見ミステリー的には非常に気になる要素が幾つか見受けられるが、はっきり言って投げ捨て御免の放置プレイであり、個人的には減点要素です。 一方の江戸編は、現代編の証明でありまた同時に伏線とも言えるものでした。 この小説に関して意見を述べる場合、この島荘御大の出した結論に触れないわけにはいかないと思いますが(ネタバレはしませんが)、 私は浮世絵に無知であり、作中述べられている資料がどの程度正しいのか一切わかりません。 と断った上で今回の著者の導き出した結論を、この小説の形で読むと、非常に説得力があるものだ、と感じました。 ここはさすが推理小説作家の大御所というべきか、自身の持つ結論へ読者を誘う術が非常に長けているように感じました。 ただしこの点は同時に残念な部分も兼ねており、理路整然と結論への道しるべが示されているので作中、現代編で主人公達が結論に至る前に薄っすらと思い至らされたのは、サプライズという観点では勿体無いといえます。 またこの小説の現代編で、導入部の謎や東大美人教授のミステリアスさ、また中盤取材に訪れた某所の話がストーリーと絡みきらなかったことも残念。 この点は著者自ら後書きにて、昔から暖めていたアイデアの連載と言う事で新人張りの意欲のみ先走り、単行本としての分量を大幅に超えてしまった、と反省を述べた上で、書ききれなかった部分の構想自体は存在し、書きたいと思っているようなことも述べているので私は続編に期待しております。 今回の作品の良さは 写楽の謎という魅力的なモチーフ、謎の提示から結論の提示までの丁寧さ、また歴史ミステリーというレア(だと私が考える)ことへの敬意みたいなものか ちなみに後書きの 常識ある作家なら、こういうことをしてはいけない という文章が島荘御大の若さを現していて凄く好きです。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
写楽の正体は? 読む者を真実と虚構の狭間に導く、島田荘司が渾身の力を注いだ歴史ミステリ。 今年読んだあらゆる作品の中で最も心躍る作品だった。私の中では、『異邦の騎士』『占星術殺人事件』などの島田荘司代表作と肩を並べる作品になった。 驚きは大雑把にいうなら2つある。 ひとつは、謎に包まれた江戸の絵師「写楽の正体」をズバリ指摘したところ。もうひとつは、この作品が「未完成」であったことである。 まず、ひとつ目の驚きから。 裏表紙を開くと著者略歴があり、その最後の一行に目が留まった。 「本作品は、構想20年以上に及ぶ大作である」 写楽の正体に肉迫した物語を読み終えたなら、その構想期間の長さにも十分に頷けた。 写楽は、寛政6年(1794年)から翌年にかけてのおよそ10ヶ月のみ活躍した絵師だそうだ。本名、生没年、出生地などあらゆることが不明。そのため、写楽については、これまで多くの者が研究し、その正体を推測する様々な説を唱えてきたという。ただし、既存の説はどれも同意できるところがあるものの、どうしてもある疑問が残ってしまうことも事実。その疑問をクリアするのが、島田さんがこの物語のかたちにして唱える説なのである。これまでに誰も唱えなかった大胆な新説であり、驚嘆まちがいなしの斬新な推理なのである。 江戸を舞台に展開する、歴史ロマン漂う物語には、知的好奇心を刺激されっぱなしだった。 ふたつ目の驚きは、残念ながらマイナス面のことである。 「未完成」と書いた通り、未解決の謎を複数残したたまま終わってしまったのである。 過去の作品を改訂完全版とすべく加筆修正してきたほどの島田さんが、複数の謎を謎のまま終わらせてしまう作品を世に出したのはどういうわけか。 もちろん、「写楽の正体」にはズバリ答えている。問題は、現代側に残された。この作品は「現代編」と「江戸編」とを交互に展開させていく構成なのだが、その「現代編」のほうにいくつかの謎が残されたままなのである。 ただし、島田さんは「後書き」に続編を匂わせることを書いている。続編の出版は、ひとえに島田さんの体力、気力にかかっているようだ。 残された現代編の謎は、どうやらすべて江戸編に繫がる模様である。なんとウキウキさせる情報だろう。島田さんの頭の中にはすでにできあがっているらしいので、楽しみで仕方がない。 かくして、いくつかの伏線が収斂しすべての謎が明かされるというミステリの快感は、続編にお預け。写楽の正体に迫るだけでも最高に楽しませてもらったのだから、ここは静かに待つしかない。続編『写楽 閉じた国の幻Ⅱ』の出版を心から願う。 日経新聞に高橋克彦さんの書評があった。 高橋さんは『写楽殺人事件』で江戸川乱歩賞を受賞した作家。 「同志を得た心持ちである」と結んでいた。
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★★★★☆+ ノンフィクションじゃないかって錯覚するほど面白かった! 700ページ近い長編ながら、それでもいろいろ書ききってないエピソードがある感触で、それが少し残念。東大の女性教授にももっと裏がありそうな設定だし(笑)。お茶の水が懐かしく、無性に恋しくなる。江戸時代のストーリー...
★★★★☆+ ノンフィクションじゃないかって錯覚するほど面白かった! 700ページ近い長編ながら、それでもいろいろ書ききってないエピソードがある感触で、それが少し残念。東大の女性教授にももっと裏がありそうな設定だし(笑)。お茶の水が懐かしく、無性に恋しくなる。江戸時代のストーリーには現代編以上にワクワクした。あとがきも興味深かったです。続編に期待!
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島田荘司による、「写楽は誰だったか」についての ミステリー。 大胆な推理により、見つけ出した 写楽とは、一体誰なのか。 推理と内容は素晴らしいが、 完結していないため、 ★は4つで、、、
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島田荘司さんの写楽にたいする思い入れがたっぷりと詰まった大作。 これだけ書いてもまだ描きたりないような怒涛の思いがひしひしと読み手に伝わってきました。 現代篇も興味深く楽しめましたが蔦谷重三郎の男っぷりが魅力的な江戸篇がよかったですね。
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久しぶりに読んだ島田荘司、それが写楽の謎を解き明かすなんて、わくわくして読み進めた。最初設定で読むのが辛い所もあったけれど、結末はなるほどね〜そういうことかと頷けるもの。続編もあるようなので、こっちも期待したいなあ。教授は謎だらけだし。
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久しぶりに面白いものを読ませてもらいました 先日読んだばかりの葉室鱗さんのオランダ宿の娘と時代がリンクしとても興味深く読めました
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