競争の作法 の商品レビュー
[ 内容 ] なぜ経済成長が幸福に結びつかないのか? 懲りずにバブルに踊る日本人はそんなにバカなのか? 標準的な経済学の考え方にもとづいて、確かな手触りのある幸福を築く道筋を考え抜く。 まったく新しい「市場主義」宣言の書。 [ 目次 ] 第1章 豊かさと幸福の緩やかな関係―リー...
[ 内容 ] なぜ経済成長が幸福に結びつかないのか? 懲りずにバブルに踊る日本人はそんなにバカなのか? 標準的な経済学の考え方にもとづいて、確かな手触りのある幸福を築く道筋を考え抜く。 まったく新しい「市場主義」宣言の書。 [ 目次 ] 第1章 豊かさと幸福の緩やかな関係―リーマン・ショック後に失われた豊かさとは(本章で議論すること;『国民経済計算』の生産と消費 ほか) 第2章 買いたたかれる日本、たたき売りする日本―「戦後最長の景気回復」がもたらした豊かさについて(「いざなみ景気」、「かげろう景気」、そして「戦後最長の景気回復」;状況からするりと抜け出すために ほか) 第3章 豊かな幸福を手にするための働き方―競争と真正面から向き合うために(保身と嫉妬を克服する方法;合理性を超えたところでの合意形成 ほか) 第4章 豊かな幸福を手にするための投資方法―持てる者の責任とは(「失われた10年」における日本経済の破壊と創造とは;「失われた10年」こそが「失われた」? ほか) [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
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「一人一人が真正面から競争と向き合っていくこと」「株主や地主など、持てる者が当然の責任を果たしていくこと」「非効率な生産現場に塩漬けされていた労働や資本を解き放ち、人びとの豊かな幸福に結びつく活動にあてること」 全面同意。 ただ、どこでもよいからとにかく働き口を見つけることが...
「一人一人が真正面から競争と向き合っていくこと」「株主や地主など、持てる者が当然の責任を果たしていくこと」「非効率な生産現場に塩漬けされていた労働や資本を解き放ち、人びとの豊かな幸福に結びつく活動にあてること」 全面同意。 ただ、どこでもよいからとにかく働き口を見つけることが大事と書いてあったのはちょっと納得できない。 どこでもよいから働きたいという人を会社に入れることはできないし。 目に見えない円安とかは知らなかったから、へーってなった。 輸出や輸入に関わる企業はそういうことを知れる状態にないと危険だな。 例えば、顧問に経営学者の方に付いてもらうとか、そういうことが必要かもしれない。 PER等の株式指標をその場その場の雰囲気に流されず、 長期的に見ていくことが大切だと改めて感じた。 --気になった言葉-- 今の日本には、自分の頭で考えることがまったくできないくせに、弁舌にやたらと長じているものが闊歩している。(P73) 実は、投資家も、企業経営者も「ほどほど」の儲けで諒とすることが、過酷な競争社会を生き抜いていく秘訣である。(P91) 競争原理と向き合うということは、決して利己的で自己中心的になることではない。経済合理性や他社への配慮で自分自身の中にある保身と嫉妬の感情を押さえ込み、新しい生き方を考える契機として競争と前向きにつきあっていくことを指している。(P174)
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【新聞書評→ネット】 本年の必読書の一つと思う。 戦後最長といわれた景気回復期、なぜ我々は豊かさを実感できなかったのか。輸出産業は2つの円安に助けられ、表面的な業績は伸びたが、実は原料を高コストで輸入し、低い生産性の製品を売っていたに過ぎなかった。円安が過ぎ去ると……残ったのは国...
【新聞書評→ネット】 本年の必読書の一つと思う。 戦後最長といわれた景気回復期、なぜ我々は豊かさを実感できなかったのか。輸出産業は2つの円安に助けられ、表面的な業績は伸びたが、実は原料を高コストで輸入し、低い生産性の製品を売っていたに過ぎなかった。円安が過ぎ去ると……残ったのは国際競争力のみじめなまでの低下だった。 では今後、私たちはどう生きるのか、と。
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一気に読めた。タイトルからはわかりにくいが日本の今の閉塞感をマクロ経済からわかりやすく論じたもの。特に、新卒就職難や派遣切りなどの雇用調整の部分、設備投資拡大こそ是とする旧へいな企業統治、土地税制の矛盾など、いずれも既得権益者が自己利益の確保、あるいは損失の抑制をめざすことで、へ...
一気に読めた。タイトルからはわかりにくいが日本の今の閉塞感をマクロ経済からわかりやすく論じたもの。特に、新卒就職難や派遣切りなどの雇用調整の部分、設備投資拡大こそ是とする旧へいな企業統治、土地税制の矛盾など、いずれも既得権益者が自己利益の確保、あるいは損失の抑制をめざすことで、へんにバイアスのかかった競争社会になっていることーそこらあたり漠然とした思いが明確化された。図書館本だったのだが購入して再読することになるだろう。著者のサイトも非常によい。 (追記)8月15日あらためて書店で購入。
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2000年前後に、海外勢によって銀座、青山近辺が買い叩かれていた。 トヨタはほどほどの儲けでは飽き足らずに暴走してしまった。 一人ひとりが真正面から競争と向き合っていくこと。 株主や地主など、持てるものが当然の責任を果たしていくこと。 非効率な生産現場に塩漬けにされていた労働や資...
2000年前後に、海外勢によって銀座、青山近辺が買い叩かれていた。 トヨタはほどほどの儲けでは飽き足らずに暴走してしまった。 一人ひとりが真正面から競争と向き合っていくこと。 株主や地主など、持てるものが当然の責任を果たしていくこと。 非効率な生産現場に塩漬けにされていた労働や資本を解き放ち、人々の幸福に結びつく活動に充てていくこと。 個人的には日本はまだまだ明るいと思っている。
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タイトルとは異なり、前半半分以上を主に90年代以降の日本経済の認識確認に割いている。実証の経済学者らしく、GDP・失業・株価・為替のデータを丁寧に追ってゆくことで00年代の「戦後最長の景気回復」が"バブル"に過ぎなかったことを丁寧に解説する。論点そのものは単純...
タイトルとは異なり、前半半分以上を主に90年代以降の日本経済の認識確認に割いている。実証の経済学者らしく、GDP・失業・株価・為替のデータを丁寧に追ってゆくことで00年代の「戦後最長の景気回復」が"バブル"に過ぎなかったことを丁寧に解説する。論点そのものは単純で、円の実質実効為替レートがこの期間2割程度割安だったため、この期間の日本製品の対外競争力が2割ゲタをはいた状態であったということ。これは長期的な実質実効為替レートからは乖離しており、つまり生産性が2割低い状態でモノを作っても売れてしまう。本来、国内の生産性を2割高めなければならないことを意味している。 にもかかわらず、株主も経営者も地主も(不動産価格の話もあるので)、そして個人ベースでも競争と真正面から向き合おうとしなかったことが、その後の閉塞感の原因と見る。典型的なのは、リーマンショックすら、08年以降の経済の落ち込みと「関係ない」と断言していること。 正規労働を非正規に替え、新卒を数十万人規模で失業させても、デフレ環境を考慮すれば企業のコストはたかだか1%しか下がっていないこと。また、所謂「格差社会論争」について、統計数字が貧困化の進行を隠しているわけではないので、格差拡大を強調する人々の主張は正しくないこと、しかし、客観的なデータから貧困化の進行を確認できるので、格差拡大を疑問視する人々の主張も正しくないこと。 巷間、印象で語られることを丁寧に統計数字に基づいて紐解いてゆく手法は、実証経済学者としての誠実さを感じる。リーマンショックが日本経済の落ち込みと「関係ない」というのも、ラディカルだが本書の主旨を踏まえれば間違いではない。 一方、そのような経済状態に対する処方箋と言う意味では、啓蒙書ではあるけれども、フィージビリティの言及には不満が残る。著者も述べるように「個々人のモラルに訴えて社会問題を解決しようとするアプローチは、社会科学者として禁じて」である。にもかかわらず、「一人一人が真正面から競争と向き合っていくこと」「株主や地主など、持てる者が当然の責任を果たしていく」「塩漬けされていた労働や資本を解き放ち、人々の豊かな活動に充てていく」というのは、まさにモラルの問題なのではないか。 処方箋として、どのような制度設計によって個人が、株主や地主が、そのような誘因を持つのかを示すことが必要なのではないだろうか。(一部で固定資産税の安さなどには言及しているが) 語り口がエッセイ調なのもあるが、読後感は経済学の本と言うよりも、自己啓発本(読んだことないけど)に近いように思う。その意味で読みやすい新書の形態は正解で、経済学者が一般向けに書いた本として成功していると思います。
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