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小説家という職業 の商品レビュー

3.9

104件のお客様レビュー

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2018/01/21

 小説の書き方ではなく、小説家という職業について、著者の体験や考え方を中心に書かれた一冊です。悲観的な意見もたびたび見受けられますが、なるほどなと思える話も多く、個人的には実りの多い内容でした。  冷めた性格というより、はっきりと割り切った考え方をするんだなという印象です。だから...

 小説の書き方ではなく、小説家という職業について、著者の体験や考え方を中心に書かれた一冊です。悲観的な意見もたびたび見受けられますが、なるほどなと思える話も多く、個人的には実りの多い内容でした。  冷めた性格というより、はっきりと割り切った考え方をするんだなという印象です。だからこそ小説の執筆をビジネスだと意識し、プロとしての仕事を貫いているのでしょう。  読み進めていくうちに突き放されているような応援してくれているような、不思議な感覚になりました。何度か繰り返し読んでいますが、回を重ねるごとに自身の体験や知識と呼応する箇所が多くなり、より理解が深まるように思えています。

Posted byブクログ

2018/01/06

小説家とはどういうものなのか。なるためには書くことが大事であり。またなってからどのようにするのかなどが書かれている。また、出版界の締め切りを守らない悪習について言及している部分はなるほどと思わせるものだった。しかし、読書はするなという部分は納得いかなかった。

Posted byブクログ

2017/11/27

森博嗣が小説家について語る。 小説家を目指している人たちへのアドバイス。現在の出版業界が抱える問題と展望。自身の小説家としてのスタンス。 これを読むと、自分には小説家は向いていないなと思う。

Posted byブクログ

2017/07/04

森博嗣氏は平成以後にデビューしたエンタメ系の小説家としてはトップクラスの成功者だ。1996年のデビュー作【すべてはFになる】は累計78万部を販売し、その他かなりの数の著作を含めた印税の合計額は12億円を超えたということである。 森氏のキャラクターと経歴は作家として特殊だ。例えば自...

森博嗣氏は平成以後にデビューしたエンタメ系の小説家としてはトップクラスの成功者だ。1996年のデビュー作【すべてはFになる】は累計78万部を販売し、その他かなりの数の著作を含めた印税の合計額は12億円を超えたということである。 森氏のキャラクターと経歴は作家として特殊だ。例えば自ら読書好きの小説家志望だったわけではないと公言している。別に本が好きでも小説家になりたいと思っていたわけではないんですね。そんな森氏が小説を書き始めた動機が面白い。 当時名古屋大学工学部の助教授だった森氏は鉄道模型というお金のかかる趣味を持っていた。その資金を小説を書いて稼げないだろうか?と考えて執筆を始めたのだという。 こんな事を書いている。 ↓ 『正直にいえば、僕は最初から、金になることをしようと考えて小説を書いた。つまりバイトである。趣味の関係で自分がやりたいことの実現には資金が必要だった。なんとか夜にできるバイトがないか、と考えて小説の執筆を思いついたのだ』 ↑ まぁ賞金狙いまたは印税狙いで何かを書こうとする、というのはどこにでもある話だし、誰でも一度くらいは考えたことはあるかと思う。だけどほとんどの場合、その目論みは夢物語で終わるのが一般的だ。 しかしこの森氏の場合、小説を書くということが全く苦もないことだったようである。実際小説を書いて小遣い稼ぎをしようと思い立ってから3日後くらいに書き始め、一週間後には書き終わっていたということである。一日3時間くらい書いて、トータル20時間程度で書き上げたそうだ。それも習作というレベルではない。後に第二作目として発表される【冷たい密室と博士たち】という作品である。 ↓ (この第二作目は個人的にはそれほど面白いとは感じないが端正でよく出来た推理小説であることは間違いない。これをいきなり20時間程度かけただけの処女作とすると驚異的である。) ↑ その結果として大学の助教授を続けながら(現在は退官)二足目のわらじとして小説を発表し続け(それもびっくりするほどのハイペースで)結果、前述しとおり12億円を超える印税収入ということである。 まさに読んでて夢のような話だ。ただ同時にこういう人こそ天才なのであり、特別なのだろう、とも思わずはいられない。 しかし徹底して「ビジネスとしての小説とは何か?」を考えて書き始めたという森氏の考え方に学ぶべき点は数多い。 例えば本が売れない原因として森氏があげている考え方が面白い。それは出版社の人間が「本が好きすぎる」から「それほど本好きでない人たち」の求めているものを想像できていない、という説である。 この視点は鋭いと思う。ビジネスに限らないかもしれないが「恋は盲目」みたいなもので対象を好き過ぎると俯瞰した視点がもてなくなるのは間違いない。 そんな森氏だからこんなことも書いている。 ↓ 『僕はビジネスで小説を書いた。ビジネスというのは、人気者になるためにするものではない。人気者になりたかったら、無料で本を配りなさい、といつも言っている。』 ↑ そのように考える森氏だからネット上で自分の作品を貶されたり、欠点をあげつらわれることが大好きらしい(笑)それは一種のクレーム情報であり、その顧客の本音の一部を知る方法としてはそれ以上のものはないからだ、ということである。考え方が本当にクールだ(笑)少しマゾっ気があるのかもしれないが(笑) その他も面白い考え方がたくさん書いてある。小説の書き方のノウハウ本としては森氏があまりにスペシャルな才能がありすぎて参考にはなりにくい。 だけど、この本はリアルに副業で12億円稼いだ男の頭の中身を読める一冊だということも言える。おそらく嘘とか誇張がほとんどないような気がする。 つまり「秒速一億稼いだ!」とか語る人たちの怪しい本(笑)とは対極に位置する本だ。 ↓ 余談。 ①クールな印象の森氏だがよしもとばななさんとは家族ぐるみの付き合いがあるらしい。どういう話をするのだろうか?? ②森氏はとにかく書くのが速い。1時間で6000字を、下書きなし、前もって用意したプロットもなく、書きながらストーリーの展開を考えていくらしい。最初から結末が決まっていると面白くないからだそうだ。 ③映像が頭に浮かび淡々と文字に変換していくだけだという。おそらく「カメラアイ」を持っているのだろう。カメラアイとは写真のように記憶やイメージを鮮明に記憶を残せる人のこと。

Posted byブクログ

2017/06/21

最初の章が面白い。 研究者から、小説家へのなる過程が、普通の小説家の小説への思い入れと全く違う。だからこそ、小説への独特な距離感がでていて、客観的な意見がいえるのだろう。 小説家になることよりも、小説家でいつづけるための努力が必要だというところは、小説家を扱う本に書いてある共通項...

最初の章が面白い。 研究者から、小説家へのなる過程が、普通の小説家の小説への思い入れと全く違う。だからこそ、小説への独特な距離感がでていて、客観的な意見がいえるのだろう。 小説家になることよりも、小説家でいつづけるための努力が必要だというところは、小説家を扱う本に書いてある共通項。

Posted byブクログ

2017/06/17

小説家になるには、とにかく「書く」こと。それだけで、小説家にはなれる。それが多くのニーズを勝ちとり、食っていけるだけの商品になるかはまた別の話。ただ、なろうと思えばいつでも、誰でも、1冊書いてしまえばなれるということ。

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2017/02/14

恥ずかしながら、この本を読むまで作者のことは、知りませんでした。タイトルから少し離れるのかもしれませんが、小説の正体は、何かを文章として簡潔に表現されていると思います。 第2章の中で、「小説は、家庭用品などの実用品ではない。人間の感性を売りものにした芸術的な商品」とあり「新しさ」...

恥ずかしながら、この本を読むまで作者のことは、知りませんでした。タイトルから少し離れるのかもしれませんが、小説の正体は、何かを文章として簡潔に表現されていると思います。 第2章の中で、「小説は、家庭用品などの実用品ではない。人間の感性を売りものにした芸術的な商品」とあり「新しさ」と述べられています。その点から、「さらに生産する理由」を考える必要があると著者は、言ってますが、素晴らしい古典が多々あるなか、重要な点だと思います。 第4章の中で、世界の中で小説がない国があるが、「どの文化にも、物語の伝承はある。」とし、人間は、「物語に耳を傾ける好奇心と、そこに美しさ、勇気、優しさ、醜さを見出だす感性は、人間という種の優れた機能の一つである。」と述べているのですが、簡潔にして明瞭な一文だと思います。 「なにも混ざっていない小説の美しさは、読んでいるときに素晴らしく酔えて、本を閉じたときにすべてたちまち消えるものである。」にハッとしました。谷崎潤一郎『細雪』がこれだと感じたからです。『細雪』をどう表現したらよいのか、考えていたのでスッキリしました。テーマがどうこうではないですよね。 第1章の中で、「多くの人は、ただ本をひたすら読むだけで満足しているようだ。中略 僕の場合、一冊読めば、一週間はそれについてあれこれ考えたくなる。」とありますが、とても反省させらました。

Posted byブクログ

2016/11/26

 森先生は、「オリジナリティのあるものを生み出すことが最重要」と仰る。これは、小説家を目指すことに限らず、ビジネスも同じだと思います。この本は、すべてのビジネスパーソンの参考になるのではないでしょうか。  森博嗣先生のこの手の本を読むのは『作家の収支』に続いて2冊目です。森先生...

 森先生は、「オリジナリティのあるものを生み出すことが最重要」と仰る。これは、小説家を目指すことに限らず、ビジネスも同じだと思います。この本は、すべてのビジネスパーソンの参考になるのではないでしょうか。  森博嗣先生のこの手の本を読むのは『作家の収支』に続いて2冊目です。森先生にとって小説を書くことは、作家になるためだったわけではなく、趣味に使うためのお金を稼ぐための手段だったわけですけれども、「いざ小説を書き始めると、次から次へと発想が生まれ。書いている物語はもちろん、次のこと、その次のこと、別のシリーズのことなど、どんどん発想される。そういう発想が、執筆の邪魔になるくらいだ。」と書かれているように、やはり非凡な人なのだと思います。その森先生からのアドバイスは、「とにかく、書くこと、これに尽きる」でした。  「大事なのは、“自分はこれを仕事にする”という“姿勢”である。」小説家に限らず、創造的であることが求められる仕事を自分の仕事にしようとすれば、そこには、具体的なノウハウを知っただけでは越えられない壁が立ちふさがっているはずだ。もしかしたら、この本には、その目に見えない壁の存在を思い知らされる事実が描かれているのかもしれません('◇')ゞ

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2016/11/17

森博嗣の新書は安定して面白い。こりゃ小説も面白いだろう、と思わされる。まさに作者の思うつぼだ。 小説家になりたい人はとにかく書け!というのが一貫した方法論。他には、創作物(ドラマ、映画、漫画)を見て創作するのは駄目。そこにはすでに他者の視点が入っているので、広くて自由な視野が阻...

森博嗣の新書は安定して面白い。こりゃ小説も面白いだろう、と思わされる。まさに作者の思うつぼだ。 小説家になりたい人はとにかく書け!というのが一貫した方法論。他には、創作物(ドラマ、映画、漫画)を見て創作するのは駄目。そこにはすでに他者の視点が入っているので、広くて自由な視野が阻害される、という。これは大変納得の意見だ。引っかかってくる作家は結構いると思う。 個人的に、漢字・ひらがな・カタカナ・送り仮名の統一表を作ったが膨大な量になり放棄した、という話にホッとした。本のレビューを書く時も悩むのだ。自分にとって自然な文章を書くのが一番だ、という。その言葉が聞きたかった!という気分だ。 時々「ん?そうか?」というような話もあるのだが、そこは気楽に読むことにした。「悪口を言わない人は悪口を言われても怒らない」ってそりゃないだろう(笑)。

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2016/11/07

20161107 人気作家、森博嗣がこれまでどのようにして小説を書き続けてきたのか、そして出版社の本当の姿と、これから進むべき道について、包み隠さず、ストレートに表現された一冊。 後作の、作家の収支がとても面白く、その前に書かれた本作をどうしても読めたくなり購入。 漠然と...

20161107 人気作家、森博嗣がこれまでどのようにして小説を書き続けてきたのか、そして出版社の本当の姿と、これから進むべき道について、包み隠さず、ストレートに表現された一冊。 後作の、作家の収支がとても面白く、その前に書かれた本作をどうしても読めたくなり購入。 漠然と小説家に憧れを持っていたが、本当の小説をの覚悟とか迫力のような物を強く感じさせられた。 小説家になりたければ、とにかく書くことに尽きる。 そして数を書く事の大事さを実感させられた。 書いてみたい。けど、書く事で自分に才能が無い事を突きつけられる事が恐ろしい。

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