レンタルチャイルド の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
貧困、物乞い、暴力、薬物、売春、臓器売買、窃盗、強姦…何でもありだった。とにかく暴力なんて当たり前で、片目を潰された(自ら潰した)人、手足のない人、唇を切り落とされた人、生傷を負って膿の出ている人、瀕死の状態で蛆が這いずり回る人、強姦され誰の子かもわからない子を妊娠している人が当たり前のように出てきて、汚水や虫にまみれた中で生活している。その日の食うだけで必死なのだ。想像できないがこれがリアルなのだからただ打ちひしがれるしか無かった。 貧困から生まれる物乞いビジネス。ただの物乞いでは稼げないので自ら傷つけたり、一般人からの同情をひくようマフィアにわざと傷つけられる。その中で命を落とすものもいる。レンタルチャイルドも物乞いビジネスの一つで他人の赤ちゃんを借りて物乞いして稼ぐ。運が良ければ養子に出されるが、そうでなければ物乞いやマフィアなどの組織に混じって自分の力で生き抜くしかない。 著書は3回にわたりインドでの取材をしている。1,2回目の訪問の時は上記のような状況だったが、2回目から4年後の3回目の時は状況がガラリと変わり、ムンバイの乞食やマフィアは一掃された。しかし貧困が解決したわけでは無く郊外に移動しただけ。物乞いビジネスの取り締まりも厳しくなったが、病人の処方箋を売り飛ばし、死ねば遺体を引き歩いて火葬代で稼ぐというやり方にもなっていた。 しかし4年でかなり変わったように思う。今は2023年。もうこんなことが起こっていないと願いたい。 また、読んでいて思ったのは、皆貧困の中で生きているが、とんでもなく逞しく、人としてのプライドを捨てていない。そして血の繋がりなど関係なく仲間を大切にしている。3章のムニとその母とサジの部分は切なくなった。いくら生活が地に落ちようとも人として大事な所は捨てていなかった所にただただ感服した。 しかしここまで命をかけてまで取材されたのは本当にすごいと思います。というか不衛生な環境や見るに堪えない状況に入り込んでいけるのがただただすごいとしか…しかし場合によっては子供達も巻き込んでまで取材をする目的がわかりませんでした。
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マノージ(路上生活者→石井さんのガイド→テントハウス暮らしで靴磨き→バラックに住み家庭を持つ肉体労働者)と ラジャ(浮浪児→浮浪青年、ギャング的な生き方→最下層の路上生活者) の対比が際立っていた。 2人とも片目の障害者だったけれど、生き方が違う。マノージは幸せを手に入れることができた。 同じ地球で本当に起きていたこと、今も起きていること 神も人権も何もない… 読み物としては秀作 石井光太さんのルポは、読んでおくべき作品群だと思う。2023年、今知れてよかった。
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目を背けたくなるような話。でも、どこか知らない世界の自分に関わりのない話ではない。忘れちゃいけないのは、ここで書かれてる子どもたちは私たちとまったく変わらない同じ人間だってことだ。 私が人を殴ったり貶めたりしないのは、私が彼らより偉いからじゃない。 私が今日寝る所や食べるものに困...
目を背けたくなるような話。でも、どこか知らない世界の自分に関わりのない話ではない。忘れちゃいけないのは、ここで書かれてる子どもたちは私たちとまったく変わらない同じ人間だってことだ。 私が人を殴ったり貶めたりしないのは、私が彼らより偉いからじゃない。 私が今日寝る所や食べるものに困らないのは、私に能力があるからじゃない。 ただそういう環境に生まれて、それを享受してなんとなく生きてるからだ。 10年かけて少しずつ環境は良くなってるように見えるけど、単に見えないところに掃いてすみっこに寄せてるだけにすぎない。 神がいるから大丈夫と彼らは言うけれど、彼らが言う神ってなんなんだろう。 私が思う神とは違う人のような気がする。
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インドの乞食に焦点を当て、筆者が自らスラムに入り込み話を聞きまとめあげた “ノンフィクション”。 生々しく詳細な描写で読み応えはありすぎるのだが、本当にノンフィクションなのかは不自然さを覚えてしまう。 各登場人物の発言や行動がいちいち大袈裟だし、ことの展開も都合が良すぎるぐらい...
インドの乞食に焦点を当て、筆者が自らスラムに入り込み話を聞きまとめあげた “ノンフィクション”。 生々しく詳細な描写で読み応えはありすぎるのだが、本当にノンフィクションなのかは不自然さを覚えてしまう。 各登場人物の発言や行動がいちいち大袈裟だし、ことの展開も都合が良すぎるぐらい進んでいく。 とはいえ浮浪少年や乞食の生活の厳しさは現実問題として存在していると思う。 読んだからと言って何かできるわけではないが、世界で起きていることをリアルに知るためには良い本でした。
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数年おきにムンバイに訪問し、浮浪児を追った3部構成のルポ。インドは本当に闇が深すぎて、フィクションにしか思えない…。
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前橋子供図書館で読んだ。発展途上のインドで起きていることを危険を顧みず潜入し見たこと聞いたことを書いている。途中
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こういう世界こそフィクションだったらいいのにと、ずっと思いながら読んでいました。 インドの路上で物乞いをして生きている子供達。体を傷つけ、時には死をも売り物にして命をつないでいるようです。ようです、と、伝聞形にしかできない。目の当たりにはしていない。できそうもない。 においや空...
こういう世界こそフィクションだったらいいのにと、ずっと思いながら読んでいました。 インドの路上で物乞いをして生きている子供達。体を傷つけ、時には死をも売り物にして命をつないでいるようです。ようです、と、伝聞形にしかできない。目の当たりにはしていない。できそうもない。 においや空気感は、体験するのと文字で読むのとは大きく違いますよね。百聞は一見にしかず。 私は現地に行って取材をしてという気概は到底持てず、映像ですらない、この文字の感覚だけで気持ちが塞いでしまいます。 頭では目の前のひとりを助けたからといって何かが変わることはないと思ったり、だから、取材時の行動に「そうしたからってどうなる」と灼けるような気持ちを持ったり、でも実際目の前にしたら理屈じゃないんだろうと思ったり 石井さんも、他の記事や書籍は見ていないからわからないけれど、葛藤したり悩んだり、矛盾した気持ちを持て余したりしたんじゃないかな…と想像したり。 一方、物理的には豊かとされるこの日本で、毎年たくさんの自殺者も出ていて。 そこにはそこの苦しみがあるのだろうと思います。どちらがマシかとかそういうことではなくて、「苦しみ」は「苦しみ」なのですね。隣にいるあの人も、想像もつかないところで苦しんでいるかもしれない。それを、●●よりは良いなんて括ることはできない。したくなるけれど、してはいけない。それは励ましではなくて、追い詰めることにもなりかねない。 遊んだり、恋をしたり、平和に、笑って生きられる時間が多くいられたらと願わずにはいられません。 ラジャは、ソニーは、ムニは、他の子たちは、あのとき出会ったヒジュラは、その後、どうしているんだろう。
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インドと言えばカレー、ヒンズー教、ガンジス川、経済発展、映画、そしてカースト制 カースト制に代表されるインドの差別の歴史は、学校の勉強で習っただけでも僕の心に暗い影を落としています。生まれた瞬間から既に差別が始まっていて、そこから抜け出すという事自体が容易ではなく、日々食べるだ...
インドと言えばカレー、ヒンズー教、ガンジス川、経済発展、映画、そしてカースト制 カースト制に代表されるインドの差別の歴史は、学校の勉強で習っただけでも僕の心に暗い影を落としています。生まれた瞬間から既に差別が始まっていて、そこから抜け出すという事自体が容易ではなく、日々食べるだけで精一杯なひと達が沢山居ます。これは国家が貧しい訳ではなく、インドという発展著しい国であっても、そもそも人権という考え方が希薄である所から始まる貧困だと思います。 この本では「レンタルチャイルド」という衝撃的なテーマを中心に据え、ドリーミーにインドを賛美する人々ののど元に鋭い刃を突きつける重さ100万トンのルポタージュです。 マフィアたちは、物乞いの成功率を上げる為に、子供の目をつぶし、手足を切り落とし、熱した油をかける。幼児を女乞食に貸出し、その上前を撥ねる。 そして、大きくなって稼げなくなった子供を放逐し、そんな子供たちが徒党を組み、さらに弱い女性やヒジュラ(いわゆる心が女性の男)を襲い暴力の雨を降らせる。 負の連鎖は断ち切られる事は無く、弱い所へとその矛先を向けていくのでありました。 既に15年ほど前の事を書いていますので、今はどうなっているのでしょうか。 発展しているとはいえ被差別階級、不可触民がいなくなるとは思いません。しかもこれは誰かがボランティアでどうのこうの、寄付でどうのこうのではなく、経済発展著しい大国の内部の事なんで、国ぐるみで変えない限り変わらない事柄なんだと思います。 この重苦しく辛い本を読むと貧困というものの本質というか、人間というものがいかに環境や境遇で決まってしまうかが詳らかにされているようで身に染みます
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想像を絶する世界。 赤ん坊が床ずれになるくらい放置されるなんて、10歳に満たない子が、ただ生きていくのに必死になるなんて。 唯一、マノージが職を得て家庭を持つことが出来たことが救われる。
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怖いもの見たさ、興味本位で読んだ。ラジャもムニもソニーもどんなに酷い環境でも生き抜くための選択をする。自ら死を選ぶどころか、少しでも喜捨を多く得るために自ら体を傷つけることもある。自暴自棄な自虐や死の選択をする余裕などないのだろう。すべては生き抜くための選択だ。「死ぬ気で云々」と...
怖いもの見たさ、興味本位で読んだ。ラジャもムニもソニーもどんなに酷い環境でも生き抜くための選択をする。自ら死を選ぶどころか、少しでも喜捨を多く得るために自ら体を傷つけることもある。自暴自棄な自虐や死の選択をする余裕などないのだろう。すべては生き抜くための選択だ。「死ぬ気で云々」というのはこういうことなのかもしれない。 悲しいなぁと思ったのは、男の性欲だ。本能と理解しているけど、どんなに貧しくてもそんな状況ではないとわかっていても納まることはことはないし、女性が無理なら山羊や鶏まで使ってしまう。たしかに浮浪少年たちの相手をする女性はいないだろう。女性には理解し難いだろう、きっと。
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