レディ・ジョーカー(中) の商品レビュー
誘拐された城山社長に犯人グループ=レディージョーカーが告げたのは「現金20億。人質は350万キロリットルのビール。警察には6億要求されたと伝え、裏取引の事を告げてはならない」という内容。犯人グループから解放され、警察の聴取に対し裏取引の事実を隠しながら対峙する城山。 警察は城山の...
誘拐された城山社長に犯人グループ=レディージョーカーが告げたのは「現金20億。人質は350万キロリットルのビール。警察には6億要求されたと伝え、裏取引の事を告げてはならない」という内容。犯人グループから解放され、警察の聴取に対し裏取引の事実を隠しながら対峙する城山。 警察は城山の供述に疑いを持ち、身辺警護という名目で合田刑事をカバン持ちという名目で張り付けることに。レディージョーカーから城山への極秘の合図は何か。そしてある日、城山宅の近隣電柱に、あるはずのない白いビニールテープに合田は気づく。裏取引を巡る、警察と城山との駆け引きの始まり…。そして3度にわたる現金授受現場を巡り、警察捜査の裏をかくその巧妙な指示に、レディージョーカー内部に警察関係者の存在が浮かび上がる…。 レディージョーカー中巻は犯人グループからの裏取引を隠し通そうとする城山社長と、その供述に疑いを持つ警察、それらの事実を掴もうとする報道関係者の3者の動きが主体です。しかし中巻では犯人グループのレディージョーカーの構成メンバーの描写は、上巻で城山社長を解放するシーン依頼、一度も登場しません。その構成が、より犯人グループのミステリアスさを際立たせています。 グリコ森永事件をモチーフにされているとの通り、3回目の現金授受未遂現場では、犯人グループに脅されたカップルが、犯人グループの身代わりとして現金授受現場に駆り出されています。「グリコ森永事件のあの段階か」と想像をめぐらしながら読んでいました。中巻も文庫本600ページ弱。この世界にまだまだ浸れるという嬉しさと、この重厚で重苦しい本をあと1冊読まないと結末が分からないのだという義務感とを感じながら中巻読了。いよいよ佳境となる下巻へ!!
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はじめは「誰だっけ?」と登場人物一覧に戻ったりしていたが、中巻ともなると頭のなかに人物像ができてくる。だからこそ愛着も湧いてくる。 みんなにそれぞれ事情があるんだよなあ。痛々しい事情が。 合田と加納が急にBL(というか李歐)みたいになって、えっ?となった。シリーズで読んでいれば急...
はじめは「誰だっけ?」と登場人物一覧に戻ったりしていたが、中巻ともなると頭のなかに人物像ができてくる。だからこそ愛着も湧いてくる。 みんなにそれぞれ事情があるんだよなあ。痛々しい事情が。 合田と加納が急にBL(というか李歐)みたいになって、えっ?となった。シリーズで読んでいれば急でもないんだろうか。
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冒頭の怪文書を読んでいて不思議な気分に浸(ひた)った。創作された存在が目の前に立ち上がってきたのだ。存在は目撃される。しかし、それを誰かに伝える時、存在は言葉と化す。死者を語る行為は新たな生を吹き込む営みでもある。旧字体で綴られた文書を通して私の中に岡村清二という男を立ち上がらせ...
冒頭の怪文書を読んでいて不思議な気分に浸(ひた)った。創作された存在が目の前に立ち上がってきたのだ。存在は目撃される。しかし、それを誰かに伝える時、存在は言葉と化す。死者を語る行為は新たな生を吹き込む営みでもある。旧字体で綴られた文書を通して私の中に岡村清二という男を立ち上がらせる。本来、不在のはずの人間が存在する不思議に目眩(まめい)がした。 https://sessendo.blogspot.com/2021/08/blog-post_3.html
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中巻では犯人側の様子は語られない。 語られるのは犯人を追う側、探る側だ。 犯人に踊らされ蹂躙されながら、 それぞれの使命の元、 じりじりと犯人に近づいていく。 その姿にふと狩猟時代の祖先を思う。 働くことが そのまま生きることだった時代。 獲物を得られなければ、 生命が失われる...
中巻では犯人側の様子は語られない。 語られるのは犯人を追う側、探る側だ。 犯人に踊らされ蹂躙されながら、 それぞれの使命の元、 じりじりと犯人に近づいていく。 その姿にふと狩猟時代の祖先を思う。 働くことが そのまま生きることだった時代。 獲物を得られなければ、 生命が失われることを意味した時代。 少年は初めての狩りに興奮を覚えたろう。 青年は自らの逞しい身体に誇りを覚え、 世界のすべてを手にした気分に なったかもしれない。 けれど壮年はどうだったろう。 長い年月によって蓄積した疲労、 身体中に負った癒えぬことのない傷。 それでも生きるために、 日々、狩りを続けなくてはいけない。 そこには少年や青年時代に感じた キラキラした歓びは無かったと思う。 ただただ繰り返される日々。 現代人も同じなのかもしれない。 確かに世界は変わった。 武器を持って獲物を追うことはない。 けれど結局は獲物を得るため、 諦めと閉塞を感じながら日々を繰り返す。 単に方法が変わっただけだ。 それでも生き続けるのは、 獲物を仕留める刹那の歓びを、 本能が求めるからかもしれない。
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最初は誘拐で始まった事件はだんだんと昔の汚職のことなどに話が発展する。登場人物も、犯人側、被害者である会社側、警察、それらを報道するマスコミと様々。話が広がりすぎてなかなかついていきにくい。
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企業、警察、そしてマスコミの活動がこれでもかというくらい緻密に描写される。 事件の対応に追われまくった社長秘書のスカートの中心線がずれているとか、それに気づいて教えてあげる副社長とかもう(笑)。 社長警護の名目でスパイとして潜入した合田雄一郎だが、社長周辺を警戒しながら分刻みの...
企業、警察、そしてマスコミの活動がこれでもかというくらい緻密に描写される。 事件の対応に追われまくった社長秘書のスカートの中心線がずれているとか、それに気づいて教えてあげる副社長とかもう(笑)。 社長警護の名目でスパイとして潜入した合田雄一郎だが、社長周辺を警戒しながら分刻みの行動についての詳細なレポートを毎日提出するだけでも大変なのに、路上のほんの微かな違和感に気づくくだりなど、超人的な刑事に思えてしまう(実際そういう設定なのだろうが)。 子供の頃見ていた刑事ドラマのように手がかり発見→真犯人逮捕→事件解決とはいかず、警察という組織の行動原理によって、そして被害者であるはずの企業の論理によって事件は解決に「向かわない」。 真相を追いかける記者にちらつく闇社会の圧力、実質的に自ら警察捜査の関係者だと暴露しているような犯人グループの手口、闇と謎だらけの風景の中、合田雄一郎の、城山社長の、白井、倉田副社長の、根来記者の「個人」としての振る舞いがスポットライトのように浮かび上がる。
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内容(「BOOK」データベースより) 城山は、五十六時間ぶりに解放された。だが、その眼は鉛色に沈んだままだ。レディ・ジョーカーを名乗る犯行グループが三百五十万キロリットルのビールを“人質”に取っているのだ。裏取引を懸念する捜査一課長に送り込まれた合田は、城山社長に影のごとく付き従...
内容(「BOOK」データベースより) 城山は、五十六時間ぶりに解放された。だが、その眼は鉛色に沈んだままだ。レディ・ジョーカーを名乗る犯行グループが三百五十万キロリットルのビールを“人質”に取っているのだ。裏取引を懸念する捜査一課長に送り込まれた合田は、城山社長に影のごとく付き従う。事件が加速してゆく中、ふたりの新聞記者は二匹の猟犬と化して苦い臭跡を追う。―カオスに渦巻く男たちの思念。 上巻に続き、読み応えがあります。 映像化を観ていなかったら 頭がごちゃごちゃしそうです。下巻が楽しみです。
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(上巻より) しかし、個人的にはかなり忍耐力が必要な作品であることに変わりはない。 新聞記者のウエイトを軽くした方が バランスがとれたのではないか。 とにかうく、独白をする人物が多すぎる。 合田刑事が誘拐された社長の、 警護という名の間諜を務めたのは面白かったが、 犯人を追い...
(上巻より) しかし、個人的にはかなり忍耐力が必要な作品であることに変わりはない。 新聞記者のウエイトを軽くした方が バランスがとれたのではないか。 とにかうく、独白をする人物が多すぎる。 合田刑事が誘拐された社長の、 警護という名の間諜を務めたのは面白かったが、 犯人を追い詰めるのに脅迫状を送るという手段はいかがなものか。 そして最後の対決でどう追い詰め、追い詰められるのかと思えば、 ナイフで刺すという暴力的な解決。 しかも、何も日の下には明らかにされない。 (下巻へ)
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ギリギリと音を立てて回る歯車は、ときに人を挟み込み破裂させる。 (以下抜粋) ○日ノ出の古い体質のなかでは、人事面での評価はむしろ低かった。 早くから、業務上のトラブルやクレームの対応に率先して当たってきた経歴が、 不当に作用した面もあっただろう。(P.71) ○もちろん、...
ギリギリと音を立てて回る歯車は、ときに人を挟み込み破裂させる。 (以下抜粋) ○日ノ出の古い体質のなかでは、人事面での評価はむしろ低かった。 早くから、業務上のトラブルやクレームの対応に率先して当たってきた経歴が、 不当に作用した面もあっただろう。(P.71) ○もちろん、そうは言っても今日の利益をあげる者がいなければ、明日の変革もない(P.72)
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城山は、五十六時間ぶりに解放された。だが、その眼は鉛色に沈んだままだ。レディ・ジョーカーを名乗る犯行グループが三百五十万キロリットルのビールを“人質”に取っているのだ。裏取引を懸念する捜査一課長に送り込まれた合田は、城山社長に影のごとく付き従う。事件が加速してゆく中、ふたりの新聞...
城山は、五十六時間ぶりに解放された。だが、その眼は鉛色に沈んだままだ。レディ・ジョーカーを名乗る犯行グループが三百五十万キロリットルのビールを“人質”に取っているのだ。裏取引を懸念する捜査一課長に送り込まれた合田は、城山社長に影のごとく付き従う。事件が加速してゆく中、ふたりの新聞記者は二匹の猟犬と化して苦い臭跡を追う。
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