天国旅行 の商品レビュー
一番最後の「本書は『心中』を共通のテーマにした短編集である」って一文を読むまでそうとは気づかなかったー!言われてみれば……たしかに。 特に気に入ったのは「遺言」と「初盆の客」と「星くずドライブ」。 心中って究極の愛なのかなあ。違う気がする。究極のエゴ……これも違うか。 た...
一番最後の「本書は『心中』を共通のテーマにした短編集である」って一文を読むまでそうとは気づかなかったー!言われてみれば……たしかに。 特に気に入ったのは「遺言」と「初盆の客」と「星くずドライブ」。 心中って究極の愛なのかなあ。違う気がする。究極のエゴ……これも違うか。 たとえば「初盆の客」は、おばあさんの死に方がまるで愛する人の死に方をなぞるようだったことから、遺された者たちから壮大な心中をしたんじゃないかと語られるお話なのだが、読んでてほっこりはしたけど、これが愛かと問われれば違う気がした。 深いテーマだな、心中とは。
Posted by
予想してた心中小説とはちょっと違いました。 ダメというんじゃないですけど、意外な感じで、あ、そういう感じかあ、みたいな。 君は夜が、個人的には後味悪くて苦手です。 遺言とかSINKは結構オススメです。特に遺言が好き。 初盆の客もおもしろかったです。 いろいろな形の心中小説を味...
予想してた心中小説とはちょっと違いました。 ダメというんじゃないですけど、意外な感じで、あ、そういう感じかあ、みたいな。 君は夜が、個人的には後味悪くて苦手です。 遺言とかSINKは結構オススメです。特に遺言が好き。 初盆の客もおもしろかったです。 いろいろな形の心中小説を味わえるので、いいと思います。 ただ、短編集なので、もうちょっと読み応えがほしかったな、がありました。
Posted by
「心中」がテーマの短編集。7篇収録。はじめ3篇は特に思うところなしだったが、4篇目から気持ちが乗ってきた。胡蝶の夢を描く「君は夜」、片想いしていた先輩の自殺の理由をその彼女と共に探す「炎」、幽霊となった恋人と過ごす日々が描かれる「星くずドライブ」、一家心中の生き残りの青年を描く「...
「心中」がテーマの短編集。7篇収録。はじめ3篇は特に思うところなしだったが、4篇目から気持ちが乗ってきた。胡蝶の夢を描く「君は夜」、片想いしていた先輩の自殺の理由をその彼女と共に探す「炎」、幽霊となった恋人と過ごす日々が描かれる「星くずドライブ」、一家心中の生き残りの青年を描く「SINK」。どれも物語としての力をもつ。意表を突かれる感じだ。「SINK」が一番好み。三浦しをんの描くBLが読みたくなった。
Posted by
「森の奥」「遺言」「初盆の客」「君は夜」「炎」「星くずドライブ」「SINK」全七篇 物語の真相を読者に委ねて終わるものが多い。 こういう短篇集は、最後まで読み終わったときにあまり印象に残っていない篇があることがよくあるけど、これはどれも印象深く、それぞれが個性的な雰囲気のある短篇...
「森の奥」「遺言」「初盆の客」「君は夜」「炎」「星くずドライブ」「SINK」全七篇 物語の真相を読者に委ねて終わるものが多い。 こういう短篇集は、最後まで読み終わったときにあまり印象に残っていない篇があることがよくあるけど、これはどれも印象深く、それぞれが個性的な雰囲気のある短篇だったように思った。ていうか個人的にただ「死」とか「心中」とかに関連する話が好きなだけかも。だから印象的だっただけかも。 「森の奥」「SINK」はしをんさんらしいというか。主に男性が二人登場する話。
Posted by
心中がテーマということで暗い内容を想像して読み始めたけれど、死に関わるちょっと不思議でちょっと怖くてちょっといい話の短編集だった。中でも幽霊に仲をとりもたれた夫婦の話の「初盆の客」と、樹海に自殺しに行った男の話「森の奥」が面白かった。
Posted by
『心中』がテーマの短編集ということなので、重苦しい話ばかりなのかなと思って読んだらそうでもなかった。穏やかな気持ちになる。 おおお、でもこれ書こうと思ったらいろいろ蘇ってきた。それぞれの短編でそれぞれの『死』を感じるんだよね。自分が抱いた思い全部、なんだか愛おしくて忘れたくな...
『心中』がテーマの短編集ということなので、重苦しい話ばかりなのかなと思って読んだらそうでもなかった。穏やかな気持ちになる。 おおお、でもこれ書こうと思ったらいろいろ蘇ってきた。それぞれの短編でそれぞれの『死』を感じるんだよね。自分が抱いた思い全部、なんだか愛おしくて忘れたくない。
Posted by
涙で前が見えん。これまで私は三浦しをんの一面しか見てなかったんだなあ。いっつも「笑えて」「泣ける」ものを読んでいたんだ。この本はあるテーマによる短編集。テーマは読んで知った方がよいと思うので内緒。内容は、ちょっとファンタジックでホラーで、漫画みたいにできすぎの部分もあるかも知れな...
涙で前が見えん。これまで私は三浦しをんの一面しか見てなかったんだなあ。いっつも「笑えて」「泣ける」ものを読んでいたんだ。この本はあるテーマによる短編集。テーマは読んで知った方がよいと思うので内緒。内容は、ちょっとファンタジックでホラーで、漫画みたいにできすぎの部分もあるかも知れないが、ぐいぐい読ませるストーリーテラーぶりは流石です。
Posted by
【そこへ行けば、救われるのか。富士の樹海に現れた男の導き、死んだ彼女と暮らす若者の迷い、命懸けで結ばれた相手への遺言、前世を信じる女の黒い夢、一家心中で生き残った男の記憶…光と望みを探る七つの傑作短篇】
Posted by
3月11日以来、小説を読んでいなかった。父が亡くなったときにも数ヶ月小説が読めなかった。 ほかのエッセイや、映画、漫画なんかは大丈夫なのだが、 小説は無理だった。 小説は、そこに生きる世界にどっぷり浸かってしまう。 そのあいだ、こちらの世界を忘れてしまう。 そう考えると。...
3月11日以来、小説を読んでいなかった。父が亡くなったときにも数ヶ月小説が読めなかった。 ほかのエッセイや、映画、漫画なんかは大丈夫なのだが、 小説は無理だった。 小説は、そこに生きる世界にどっぷり浸かってしまう。 そのあいだ、こちらの世界を忘れてしまう。 そう考えると。 私には読めなくなってしまうのだ。 それでも、なぜだかふと、 そのときはきた。 図書館で、前触れなく、 3歳児の息子を追いかけて 溜め息をついたとき。 三浦しをんの本が目に入って タイトルがよかった。 読んだら短編集で 不思議ば感触の話ばかりだった。 抜群のところで終わる物語たち。 まるで昔話みたいだった。 ひさしぶりのわたしの小説旅行に うってつけだった。
Posted by
さまざまなテイストの物語が乗り込んでいる天国旅行。 最初の「森の奥」はいちばんノーマルな話。 二番目の「遺言」は同性愛だそうだが、私にはわからなかった。ふつうに熱烈な恋愛をした男女の終末のようにしか感じられず残念。 三番めの「初盆の客」はもっともハートウォーミング。どちらにも決め...
さまざまなテイストの物語が乗り込んでいる天国旅行。 最初の「森の奥」はいちばんノーマルな話。 二番目の「遺言」は同性愛だそうだが、私にはわからなかった。ふつうに熱烈な恋愛をした男女の終末のようにしか感じられず残念。 三番めの「初盆の客」はもっともハートウォーミング。どちらにも決められないということはそんなに悪いことじゃないと思う。 「君は夜」「炎」あたりから、世界が加速していく。二つの世界を生きていたと思った女が、それを前世と信じ込むあたりから、急激に世界がゆがんでいく。 焼身自殺をした先輩の真意は?地味派の主人公を振り回した美少女の本音はどこにあるのだろう。 「星くずドライブ」の、死者と生者の違いについては激しく同感である。 「SINK」のラストは胸が痛い。 再読してまた、この物語の妙味を堪能した。
Posted by