月は無慈悲な夜の女王 新装版 の商品レビュー
ハインラインの代表作といえば日本では「夏への扉」ですが、アメリカ本土では圧倒的にこれらしい。 うん。なるほどゴリゴリ独立戦争の話でした。 石ころと氷ぐらいしか持たない月社会が 母なる地球に対して独立戦争を仕掛けるという、どえらいはなし。 冒頭は月社会のインフラ系すべてを管理す...
ハインラインの代表作といえば日本では「夏への扉」ですが、アメリカ本土では圧倒的にこれらしい。 うん。なるほどゴリゴリ独立戦争の話でした。 石ころと氷ぐらいしか持たない月社会が 母なる地球に対して独立戦争を仕掛けるという、どえらいはなし。 冒頭は月社会のインフラ系すべてを管理する1台のコンピュータと、 それをメンテナンスするためにやってきた凄腕計算技師である主人公のやりとりから始まります。 彼はなんだか横着な人間で、コンピュータへのプログラムの入力を音声認識を使って行うようにし、 加えてその結果も音声で出力できるようにしてしまう。それは自然なこととして行われ、 やがてコンピュータと人間の不思議な対話が始まる。 という。 どうもこのコンピュータは自我を持ちつつあるようだぞと。 そんなこんなやってるうちに、話の雲行きが あれよあれよと月社会の革命運動へ、独立戦争へと発展して行きます。 冗談を覚えることと、戦争をすることの優先度がだいたい同じという、 いたずら好きのコンピュータ「マイク」の成長と物語がリンクして進むなか、 果たして革命は成るのか。否か。 流刑にされた囚人の末裔たちが独自の秩序を形成する月社会が興味深いです。 もと犯罪者であるはずの人々が、過酷な環境の中で安全に暮らすために生み出した、 一切の法律を必要としない強力な倫理観は、自由原理主義としての安定を獲得していて、 対する地球社会は功利主義末期の鈍い摩擦と、生産を上回る消費と、 既得権益にしがみつく権力者達で溢れていて、次第に統率を失って行く。という皮肉な展開。 話が長く、しなければならない説明が多いので中盤ちょっと重くなります。 そのかわり結末はあっという間。 オーケー。マイク、シャーロックで頼む。
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書名がやけに格好いい、ヒューゴー賞受賞の傑作SF。 2076年、月が地球の流刑地として存在する世界。刑期を終えても地球へは戻れず、地球から搾取され続ける植民地のような生活に、月世界の人々は鬱屈した不満を抱えていた。 やがて起こる、地球政府に対する月世界の独立宣言。 そこに巻き込...
書名がやけに格好いい、ヒューゴー賞受賞の傑作SF。 2076年、月が地球の流刑地として存在する世界。刑期を終えても地球へは戻れず、地球から搾取され続ける植民地のような生活に、月世界の人々は鬱屈した不満を抱えていた。 やがて起こる、地球政府に対する月世界の独立宣言。 そこに巻き込まれ、いつしか革命の先頭に立つことになったのは、機械技術者・マヌエル=オケリーと、自意識を持つスーパーコンピューター・マイクだった。 地球からの脅威が迫る中、宇宙船もなければ武器もない月世界に勝ち目はあるのかーー? 翻訳ものらしく、冗長で読みづらい地の文。でも、それすら障害にならないほど先が気になる展開。リアリティを感じられる細やかな設定も、おもしろさを補強している。 初めはぎこちなかったマイクの話し方が、後半に行くにつれ人間と変わらない個性を手に入れるところ、そしてそれだけでは終わらないところが……他のシーンとの相乗効果もあり、ちょっと泣きそうになった。電車内なのに。
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AIとエンジニア・美女・教授による月の独立の物語。流刑地である月が、「タダの昼飯はない」という原理に貫かれた、どんな行動にも正当な対価のある一種の理想郷として描かれている。世界連邦との戦争に入ってからの緊張感がすさまじい。
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---------------------------------- 2011年01月20日 読了 001冊目 購入にて熟読。 ----------------------------------
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この作品が多くの人に愛された要因にマイクのキャラクタ(身体性があるように思える/人間のように振る舞う)と他三人の個性があると思うのだが、逆に「これ意志を持つコンピュータって設定じゃなくても成立してしまうのでは」と思った。良くも悪くも古典的な名作。コンピュータうんぬんの話より、月世...
この作品が多くの人に愛された要因にマイクのキャラクタ(身体性があるように思える/人間のように振る舞う)と他三人の個性があると思うのだが、逆に「これ意志を持つコンピュータって設定じゃなくても成立してしまうのでは」と思った。良くも悪くも古典的な名作。コンピュータうんぬんの話より、月世界の文化・風俗を見ている方が楽しかった。あと見るべきとこと言えば作品のほとんどを占める権謀術数のアレコレか
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流刑地として長年地球の圧政に苦しんでいた月世界植民地は、地球政府に対して独立を宣言した。 主人公はコンピューター技師のマニー。 彼は、偶然暴動に遭遇して、そのまま独立運動の中心となって活動していく。 その彼の相棒は、自意識を持つ巨大コンピューター、マイク。 美しい女性...
流刑地として長年地球の圧政に苦しんでいた月世界植民地は、地球政府に対して独立を宣言した。 主人公はコンピューター技師のマニー。 彼は、偶然暴動に遭遇して、そのまま独立運動の中心となって活動していく。 その彼の相棒は、自意識を持つ巨大コンピューター、マイク。 美しい女性革命家、ワイオ。 マニーと一緒に学んだことがある デ・ラス・パス教授。 3人プラス1は、様々な奇策で独立運動を推し進める。 もう無条件に興奮する。 彼らの活動の根拠は、自分たちの家族を生活を守ることなのだ。それ以上でも以下でもない。その潔さが、眩しいぐらいだ。 しかしながら、「無料の昼飯などというものはない」という言葉が示すように月も、地球も無傷ではすまなかった。 代償を、対価を払って得るもの。 ただ、独立してよかった、という風に着地しないところが、ハインラインらしくて深かった。と、同時にマニーのしたたかな前向きさが、希望という光であるようにも思った。 面白かった。 …新装版になったので買ったんだけど、前の表紙は、やっぱないよなって思うよ。うん。
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設定多すぎて途中で挫折・・。 挫折した直後に読んだ「跳躍者の時空」にマイクの名前が引用されてたのが一番印象的だった。 ダメすぎる。俺が。
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SFの大御所、ロバート・A. ハインラインさんの作品。 昔、出版されたものと訳者も同じで、表紙が違うだけのようですが、私は初読です。 月世界の地球からの独立のため、人格を持ってしまったコンピュータを交えて進められる革命の様子を描いた作品です。 古典SFなので、記憶メディア...
SFの大御所、ロバート・A. ハインラインさんの作品。 昔、出版されたものと訳者も同じで、表紙が違うだけのようですが、私は初読です。 月世界の地球からの独立のため、人格を持ってしまったコンピュータを交えて進められる革命の様子を描いた作品です。 古典SFなので、記憶メディアがパンチカードだったり、固定電話だけの世界であったりしますが、ストーリーとしては今でも十分に楽しめるものでした。
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