ハイドラ の商品レビュー
悲しいことに自分のアイデンティティというものを自分で決めるということはあまりにも難しい。自分が人間でなくなっていくその感触はたしかに苦痛だから生きていると、実は思えたりする。 個性が素晴らしいものなんて、だれが言いはじめたのか。
Posted by
モデルをしている早希はカメラマンと同棲していて、彼の要望を満たすべく吐き噛みをし続けている。そんな彼女に別の男が現れて一時はそちらに行くが、結局はカメラマンの元へ戻っていく... 一種の病んでいる心の病気を描いた作品である。
Posted by
いつもほどは狂ってないかな。 松木さんと暮らして まともになっていけばいいのに 新崎さんの元に戻るなんて。。 でも、わかるよ。。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
もうこの人読むのやめよう、と 前回〃アッシュベイビー〃を読んで思ったのですが 買ったまま長らく放置していたことに気付き、読みました。 やっぱり、読んでいてキリキリしました。 ああ、知っている。うっかり「わかる」って言いたくなるくらい。 この思考、傾き方、歪み加減。最後の選択も。 噛み吐きは、鮮明な描写でぐったり。
Posted by
『アッシュベイビー』でうちのめされてから、かなり久しぶりに手に取った金原さん。何となく気になって。 ずっと前、私は、何でも「大は小を兼ねる」のだと思っていた。それは人間関係においてもそう。容姿でも財力でもスキルでも、余分にあるに越したことはないのだとあまり疑っていなかった。でも...
『アッシュベイビー』でうちのめされてから、かなり久しぶりに手に取った金原さん。何となく気になって。 ずっと前、私は、何でも「大は小を兼ねる」のだと思っていた。それは人間関係においてもそう。容姿でも財力でもスキルでも、余分にあるに越したことはないのだとあまり疑っていなかった。でもどうもそうでもないらしい。片一方が何かを持ちすぎているためにそれが別の片方に対して、うまく働かないことがあるようである。それは持ちすぎている片方の余剰リソースをなんとか駆使して片付けられる問題ではないらしい。リソースの大小でそもそも関係性を捉える前提自体が変なのかもしれないけれど。 『ハイドラ』には人と人との関係についての興味深いくだりがある。矛盾を認める新崎と認めない松木。「矛盾を認めない」というのは常に何かを積み上げていく考え方。でもそれが相手にとってプレッシャーになることがある。早希はどちらかというと新崎側の人間なのだけど、どこか松木的な感覚への憧憬もあって、そこが煩悶を生んでいるような気がする。そしてたどり着くのは拒食という歪み。 早希が「拒食は自分の武器」と言うところがある。これが早希なりの戦い方なのだなと思う。
Posted by
有名カメラマン新崎の専属モデルを務める早希。実は恋人であり同棲もしているが世間には“仕事だけの関係”で通している。対等とは程遠い新崎との関係に悩みながらもあえてそれに捉えられようとするかのような早希の前に、新崎とは正反対のバンドマン、松木が現れる…。 早希が松木と出会い「彼が好き...
有名カメラマン新崎の専属モデルを務める早希。実は恋人であり同棲もしているが世間には“仕事だけの関係”で通している。対等とは程遠い新崎との関係に悩みながらもあえてそれに捉えられようとするかのような早希の前に、新崎とは正反対のバンドマン、松木が現れる…。 早希が松木と出会い「彼が好きになった」と自身に結論付けるところが唐突過ぎてついていけなかった。もうちょっと読者を納得させるような何かはないの??と思ってしまった。 拒食とか同性の愛人関係とかもそのままだと、もうそろそろいいです…という感じ。
Posted by
一緒に棲んでいても恋人だという実感、安心感を持てない日々。新崎に植え付けられた無機的な美に心を囚われ噛み吐きを繰り返す。一度は愛され人間らしい温かみに触れながらも、自らに抱えたハイドラと決別できず、再び新崎の被写体に堕する。歪んだ図式で世界を捉えている人が常識的な世界に戻るのは難...
一緒に棲んでいても恋人だという実感、安心感を持てない日々。新崎に植え付けられた無機的な美に心を囚われ噛み吐きを繰り返す。一度は愛され人間らしい温かみに触れながらも、自らに抱えたハイドラと決別できず、再び新崎の被写体に堕する。歪んだ図式で世界を捉えている人が常識的な世界に戻るのは難しい。普通の幸せに浸りきることができない人間の不可解。深い感興を覚えた。
Posted by
生きるって苦しい。 ひたすら受容と排出の繰り返し。 結局彼女が存分に愛されることを恐れるのは生きることから逃れられないからなのかな。
Posted by
ここ最近の著者の作品のなかでは一番面白かった。拒食症の美人モデルが、ずっと不倫関係にあるSで陰気なカメラマンと、たまたま騙されて会ったロックバンドのボーカル(若いときのウルフルズみたいな)との間で、揺れるというもの。ストーリーは単純だが、そこには「1+1=2になる人」と「1+1=...
ここ最近の著者の作品のなかでは一番面白かった。拒食症の美人モデルが、ずっと不倫関係にあるSで陰気なカメラマンと、たまたま騙されて会ったロックバンドのボーカル(若いときのウルフルズみたいな)との間で、揺れるというもの。ストーリーは単純だが、そこには「1+1=2になる人」と「1+1=0にしかならない人」の対立があって、後者の人間の意地の悪さや、虚栄心、どこへもいけない感じがよく出てる。最後の主人公の行動は、そうだろうなぁ、という感じ。あと、若いゲイ(もちろん後者の人間)に対する共感みたいなのも、よく見てるな、と思う。
Posted by
心も身体も不健康だと愛情も歪んでくる。金原ひとみ、いつものパターンの作品にしては、久しぶりに読みやすくて面白かった。 あと少し、ドキドキワクワク感があったら、もっと印象に残ったかなぁ。 でも一気に読めた。 久しぶりの読書は楽しかった。 次またなんか読もうって気になる。
Posted by