創るセンス 工作の思考 の商品レビュー
エッセイ。工作について。 個人的に、実際の工作とは離れた、抽象的な内容に感銘を受けた。 ものづくりに限らず、思い通りにいかず試行錯誤する、という経験を積むことが、人間の成長に繋がると信じています。
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森博嗣さんの小説を読み、作者への興味が湧き、小説以外の書籍を読み漁っている。 工学という視点で優秀な技術者が育ちにくくなった現状を憂いたり、ものづくりに必要なセンスについて考察している本でした。 物作りという点で、工作も小説を書き上げることも同じようなものと捉えているところに驚い...
森博嗣さんの小説を読み、作者への興味が湧き、小説以外の書籍を読み漁っている。 工学という視点で優秀な技術者が育ちにくくなった現状を憂いたり、ものづくりに必要なセンスについて考察している本でした。 物作りという点で、工作も小説を書き上げることも同じようなものと捉えているところに驚いた。設計図を作って、工作をして有形物を生み出すという工程と同じように小説を書き上げることもあるという。 本書で印象に残っているのが、思考は言葉でのみ行われるものではなく、映像でも行われるものだという著者の見解。 工作のセンスは、映像による思考力。 この著者の言葉にも表れているが、全てのことを上手に言語化する能力のある人ほど、創造的であるし、仕事もきちんとできる人なのだと感じた。
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「もの作り(創作)の生み出す価値とは人間の「凄さ」を見つけること。「凄さ」を形にすること。」 この最後のまとめの文は至極正論だと思った。 絵や漫画、小説にしても、ただ読むだけの人(インプットだけの人)だと「面白かった」「絵がうまい」と感想を云うだけで終わる。 自分も描いてる人...
「もの作り(創作)の生み出す価値とは人間の「凄さ」を見つけること。「凄さ」を形にすること。」 この最後のまとめの文は至極正論だと思った。 絵や漫画、小説にしても、ただ読むだけの人(インプットだけの人)だと「面白かった」「絵がうまい」と感想を云うだけで終わる。 自分も描いてる人間(アウトプットする人)じゃないと何が「凄い」かを理解することは、一生出来ないんだろうな。
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過去に戻って大学生の頃の自分に読ませたい本。 ものづくりに対する著者の考えがつらつらと述べられており、個人的にはその内容が現代人というか10代や20代の人々に刺さる物だと感じた。 私は「楽しいと感じれるものがないなあ」と普段よく思うのだが、本書にはそのような若者に対する著者の...
過去に戻って大学生の頃の自分に読ませたい本。 ものづくりに対する著者の考えがつらつらと述べられており、個人的にはその内容が現代人というか10代や20代の人々に刺さる物だと感じた。 私は「楽しいと感じれるものがないなあ」と普段よく思うのだが、本書にはそのような若者に対する著者の痛烈な意見が述べられていた。耳が痛くなる返答ではあるが自分自身に内在する問題をきちんと認識するには必要な意見だと感じた。 やはり、野次馬的な興味ではなく、職人のような探求者的な興味をもって物事(というか工作)にのぞまないと経験知を得ることはできない。本やネットを見るだけではつまらないし、実世界に活かしにくいみたい。 著者のような工作に生きる人間になりたいものだ。
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小説、研究、工作…様々な創作をしている著者による、工作することの楽しさや難しさについて書かれている。 この本では、「工作をせよ」ということを提言しているというよりも、オリジナリティある(工作のような)創造を行う際に直面する問題や、その経験をもとに粒度の高い想像や洞察をする能力の...
小説、研究、工作…様々な創作をしている著者による、工作することの楽しさや難しさについて書かれている。 この本では、「工作をせよ」ということを提言しているというよりも、オリジナリティある(工作のような)創造を行う際に直面する問題や、その経験をもとに粒度の高い想像や洞察をする能力の重要性を説いていると感じる。 最後に、ものを作る理由について考えられている。 誰かの眼に触れ、褒められることを期待しているのか?しかしながら、実は他者の評価はそれほど重要ではない。褒められても悪い気はしないが、感情が動かされることはない(概ね共感する)。では、何が理由になるか? 「最終的に周囲の人に影響を与えるものは、(中略)『凄さ』なのだと思われる」「これに触れると、もう自分でもなにかしないと気がすまない、という思いに駆られる。」「人間が人間に憧れるメカニズムはすべてこれだと言える」
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
「何が問題の本質なのか」をつかむことが大切 ・珍しく?森先生が危機感を持っているように見える。アナログからデジタルへの転換によって生じたギャップが、技術の神髄や技術の核心的「センス」の伝承を阻み、「何が問題の本質なのか」をつかみ損ねた現場で「どうして上手くいかないのか」という問題が起こっているのだ。「考える工作」のプロセスでしか生まれない「もの作りのセンス」が図面通りに作らされるという労働によって、失われたのだ。工作という行為と共に失われたのは「人間の凄さ」である。「人間の凄さ」は、周囲の人に影響を与え、組織の文化や卓越した技術集団をつくるのだ。 ・私は、森先生と同世代なので、工作マニアにこそなりませんでしたが、絵を描いたり、接着剤の必要なプラモデルを作ることを楽しみながら育ちました。その中で経験したことは、確かに、モノの成り立ちを知るためのヒントだったり、木材や金属、プラスチックの性質だったりしました。カンナのかけにくい木、錆びにくい金属、接着剤が効かないプラスチック…そうした経験が智恵に繋がる? ・まえがきにの要旨の一つは、「そもそも技術の神髄、核心的“センス”は、文章で説明できないものである。ただしかし、技術を“技道”にせず、数字や言葉に置き換え、マニュアル化することで、教え、伝えることができるものにすることが“工学”“テクノロジィ”の姿勢である。」ということだと…… ・私の仕事は、お客様から寄せられる苦情に対応することなのですが、森先生は「トラブル発生は規定内」という項で、「経験ある技術者の解決方法は、上手く行かない動作を何度も繰り返し観察することから始まる」と書いています。当り前のことですが、トラブルを解決するためには、ます原因を確かめなければなりません。そして、観察を地道に繰り返すことが、トラブルを未然に防ぐための技術に繋がるのだと思います。 ・工作(手作り)は、中々上手く行かなくて、嫌になってしまうことが多かったのですが、森先生の話を聞いているうちに「上手く行かないからこそ楽しい」というぐらいの感覚がないと「智恵も技もつかないのかもしれない」と思ってしまいました。最初からパーフェクトを目指さずに、少しずつレベルアップしていこうとする姿勢が大切なのかもしれませんね。何度も試作を重ねて本番に挑む東山魁夷画伯の仕事を思い出しました。 ・森先生は、イラストには自信がある、と仰っていますが、工作も、イラストも、毎日少しずつでも作ったり、描いたりし続ければ、徐々に客観的にも見られるものになるはずです。また、どちらも、自分で手を動かす前に、既にあるものを観察する力が求められるのではないかと思います。
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p.119 そもそも、完璧というものはない。どこまでいってもこれ以上はない、という状況にはならない。むしろ、上り詰めるほど見えなかったものが見えてくる。この感覚は、研究も同じだ。調べるほど、考えるほど、探究するほど、むしろ謎は増える。知れば知るほど、わからないことが多くなる。よ...
p.119 そもそも、完璧というものはない。どこまでいってもこれ以上はない、という状況にはならない。むしろ、上り詰めるほど見えなかったものが見えてくる。この感覚は、研究も同じだ。調べるほど、考えるほど、探究するほど、むしろ謎は増える。知れば知るほど、わからないことが多くなる。ようするに、知ることは、知らないことを増やす行為なのだ。
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ジャンル:森博嗣の工作と人生について。これを読んで物を創られずにはいられない。赤松健と同じ視点の仕事感も面白い。自分のような創りあぐねている人に超オススメできる一冊。
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少年時代から趣味としての工作を続けてきた著者が、「ものを作る」ということの意義と魅力を語っている本です。「ものを作る体験」の中で培われるセンスを重視する著者の姿勢は、養老孟司の都市化・脳化批判に通じるところがあります。 教育論や人生論に話は及んでいきますが、はにかみながらもみず...
少年時代から趣味としての工作を続けてきた著者が、「ものを作る」ということの意義と魅力を語っている本です。「ものを作る体験」の中で培われるセンスを重視する著者の姿勢は、養老孟司の都市化・脳化批判に通じるところがあります。 教育論や人生論に話は及んでいきますが、はにかみながらもみずからの信念を普遍化して語ってみようとする著者の文章に、何とも言いがたいユーモアが感じられます。
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作家である森博嗣が書く、工作についての1冊。 作家として有名な森博嗣であるが、モノを作ることも得意としており、小さいころからモノづくりをしながら育ってきたような人でもある。 そのため、モノをつくるということに対する、基本的なことというか芯の部分から理解することができる1冊となって...
作家である森博嗣が書く、工作についての1冊。 作家として有名な森博嗣であるが、モノを作ることも得意としており、小さいころからモノづくりをしながら育ってきたような人でもある。 そのため、モノをつくるということに対する、基本的なことというか芯の部分から理解することができる1冊となっている。また、予め決められたモノを作るではなく、モノを創り出すとはどういうことかという視点にも立たれており、工学に携わる者なら非常に参考になる本となっている。 この本を読んでいて特にハッとしたのが、自分の先輩も誤差には特に細かかったというのを思い出した。本書の中でも誤差を知ることはとても重要だとされており、誤差は必ず生じるものなので、その誤差がどれぐらいの大きさなのかを知っておく必要があるとしている。同じく自分の先輩も、モノづくりの確認過程におけるチェックでモノ自身の誤差、そして測定する機器にも誤差があることを踏まえ、どの程度の誤差なら許容してもいいかを考える必要があるとしていた。 モノをつくるうえで、設計どおりに作ることは当然重要であるが、誤差がそれ以上に重要であるということを思い出させた1冊でもあった。
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