楽園(上) の商品レビュー
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読み始めの印象は「あれ、宮部みゆきってこんなに分かりやすい筋書きを描く人だっけ?」というもの。 でも読み進めると、敏子の生い立ちなど、他人には絶対に分からない家庭の中のドロドロとした悪意のようなものが出てくる。 それが小説全体のトーンとなっていて、気がついたら「重い。でも目が離せない」という状態になっていた。 滋子は模倣犯の時にもそんなに好きなキャラクターではなかった。 今作も「行き過ぎた正義感」のようなものを発動させ、ちょっと鼻につく。でも、ライターとして成長した部分もあるようで、他人から話を聞き出すのが上手。この聞き手上手感がこの小説を面白くしているように感じた。 他人の家庭のことをアレコレ興味持ってもよいことは何もない。教訓。
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傑作(っと私は思っている)「模倣犯」の中で取材者もして登場した前畑慈子を取り巻く事件。 未曾有の連続誘拐殺人事件から9年後。前畑慈子は事件のダメージから立ち直れず、書けないでいたが広告系フリーペーパーのような気が楽な仕事なら書けるようになっていた。そこに交通事故で亡くなってしまっ...
傑作(っと私は思っている)「模倣犯」の中で取材者もして登場した前畑慈子を取り巻く事件。 未曾有の連続誘拐殺人事件から9年後。前畑慈子は事件のダメージから立ち直れず、書けないでいたが広告系フリーペーパーのような気が楽な仕事なら書けるようになっていた。そこに交通事故で亡くなってしまった萩谷等(ひとし)の母から、息子にサイコメトラーとしの能力があるようで調べてくれないか、という話が舞い込む。 調べていくにつれて、等が書いた人の記憶の絵の一つには9年前の連続殺人事件が行われた山荘であった。そして、等が書いた別の絵には16年前の少女殺人事件(殺害者は両親)の行われた家と床下に隠されていた少女の死体らしきものが描かれている。慈子は半信半疑で調べるが慈子が持つ本来の好奇心も手伝い、徹底的に調べていくのだ。 上巻は、慈子が等は人の記憶を読む異能の力を持っていたに違いない!っと確信したところで終わる。 ボリュームのある作品だが、「模倣犯」を読んだ時と同じようにものすごい吸引力で惹きつけられるすぐに読み終わってしまった。下巻をすぐに読みはじめたい!
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女帝宮部みゆきのミステリーに出てくる人物たちは、本当に人間力が強いと思います。 主人公の記者、娘を殺害した被告、被告を守る弁護士、監禁事件の犯人、それぞれのキャラクターが確立していて、イメージもしやすく、分厚いページの割にはスイスイ読むことが出来ました。
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同じ著者さんの本、「誰か」の帯にこちらがおすすめされていたので読んでみた。模倣犯はまだ読んだことがないけれどその本と同じ登場人物が出ているようでそちらを先に読んでから読めばよかった。この本を読み終わったら読んでみよう。
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傑作「模倣犯」のスピンオフで9年後の前畑滋子を主人公とした作品。「模倣犯」と違ってスケールは大きくないし、説明が難しい入り組んだ内容だけどそれでもすいすい読めちゃうのは流石の牽引力。敏子の生い立ちの禍々しさや、花田先生の態度が変わる感じとか「イヤな感じ」が随所に表れていて良き。
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上だけでも十分なくらい長かった笑笑 これからの展開が気になりつつ、私がこうなるのかな?って予想を 3ページごとくらいに裏切ってくるのが、感服というかなんというか… 登場人物全員の観察眼が凄すぎると思う…!
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この人には、等のこの絵の内容がわからないんだ。そもそも、ちゃんと見ていないのかもしれない。見ても、そこから意味を読み取ることはしていないのだ。 あまり、物事を深く考える性質ではない人なのだ。そんな時間も、その必要もない人生を忙しく生きてきて。 敏子の声が、涙で割れた。 「等のこ...
この人には、等のこの絵の内容がわからないんだ。そもそも、ちゃんと見ていないのかもしれない。見ても、そこから意味を読み取ることはしていないのだ。 あまり、物事を深く考える性質ではない人なのだ。そんな時間も、その必要もない人生を忙しく生きてきて。 敏子の声が、涙で割れた。 「等のこと、わたしも知りたいんですよ、先生」 敏子は今きっと、仏壇に目をやっているはずだ。 「思い出せることはみんな思い出したいし、あとからでも知ることがあれば、みんな知りたいです。でも、なかなかそうはいきません」泣き笑いになっている。 「わたし今でも、等のこと、よく話すんですよ。スーパーでも話しますし、近所の人との立ち話でも、ついつい口に出しちゃうんです。皆さん、聞いてくださいます。でもね先生、やっぱりそれは死んだ子の歳を数えることで、皆さん、顔にそう書いてあるんですよ。ああ気の毒だなぁ、だけどしょうがないよなぁって。今はまだそれでもよくってもね、日が経つと、わたしだんだん、パート先や近所の皆さんの迷惑になるんでしょう。 けども先生、わたしまだまだ、等のこと思い出すの、やめられないんです。ずっとやめられないです」 滋子は黙って受話器を握り締め、聞いていた。もしもそばにいるなら、敏子の肩を抱いてやりたかった。 「やめられませんから、先生のこと、お手伝いします。させてください」 花田先生も微笑んでうなずいた。「はい。人は誰でも絵を描きながら生きていますから。たとえ絵筆は持たなくても」 それもまた、滋子が今まで思ってもみなかったことだった。人は誰でも己の絵を描いている。 「あの子を失ったあとも、わたしが元気で生きていくことを望んでくれるでしょう。わたしがそう育てたのではなくて、あの子はそういう子だったんです。天からの授かりものでした。子供は、みんなみんなそうです」 茜さんだってーーと、涙声で言い足した。 「でも、地上ではいろんなことが起こります。天からの授かりものでも、壊れたり、歪んだりしてしまうことがあります。悲しいですね」 あの夜、命を落とさなければ、茜はいつか気づいたろうか。そんな自分の幼い愚かさと、無駄にした時間がいかに尊く、取り返しのつかないものであるかということに。時間を浪費するのはたやすい。買い戻そうとするときに初めて、人は、その法外な金利に驚くのだ。 姿勢を正して、向子は座り直した。もう、頬は濡れていない。涙も止まった。目尻がほんの少し赤らんでいるだけだ。 「茜はわたしの娘です。わたしがお腹を痛めて産んだ子です」声音には、まるで自のような力強さが戻っていた。 「だから、わたしが手にかけました。あの子がああいう人間になってしまった以上、それがわたしの責任です」 十六年の歳月をかけて、土井崎向子はそういう墓碑銘を刻んできたのだ。最初からそう思っていたわけがない。茜の傷を消毒してやった母親が、同じ手で、これほど確に満ちて、茜の首を絞めることができたはずがない。 「ほかに道はございませんでした」 それが結論だ。向子の表情が静まった。
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『模倣犯』の続編。10年前に読んだ本編の細部は忘れていたが、読み進めるうちに記憶がよみがえり、当時の衝撃と余韻を再び味わえた。 あの衝撃的な事件から9年後、前畑滋子が主人公となり、事件を背負ったまま生きる彼女が、超能力を持つ少年や、時効を迎えた家庭内殺人に関わる人々を取材してい...
『模倣犯』の続編。10年前に読んだ本編の細部は忘れていたが、読み進めるうちに記憶がよみがえり、当時の衝撃と余韻を再び味わえた。 あの衝撃的な事件から9年後、前畑滋子が主人公となり、事件を背負ったまま生きる彼女が、超能力を持つ少年や、時効を迎えた家庭内殺人に関わる人々を取材していく。少しながらも「模倣犯事件」の後日談が描かれ、ファンとしてはうれしいポイントでもあった。 一方で、物語の合間に差し込まれる「断章」が不穏な空気を漂わせ、下巻でさらなる事件が起きるのではないかという不安をかき立てられる。
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模倣犯の舞台となった山荘を絵に残した今は亡き少年。公にされていない事実まで描かれていたことに気付いた前畑滋子。はたして少年は超能力者なのか?
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いつ読んでも話に引き込まれますね。 皆さまの評価の様に模倣犯という前作があっての本編。読み終わったあと知りました。結論から話しますと、知らなくても面白かったです。逆にこれからそっちを読んでみたいと思いました。もしかしたら既視感のある内容でしたので読んでいたのかも知れません。
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