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ねにもつタイプ の商品レビュー

4.1

169件のお客様レビュー

  1. 5つ

    58

  2. 4つ

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  3. 3つ

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  4. 2つ

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2012/02/16

『一ミクロンの役にも立たず、教養もいっさい増えないこと請け合いです。』と裏表紙の紹介文に書かれている通り、本当に何の実にもならないような、言ってしまえばくだらない内容。 なのに、じわじわと引き込まれていきます。 エッセイというのは、本来こういう、とりとめのないことを書き留めるもの...

『一ミクロンの役にも立たず、教養もいっさい増えないこと請け合いです。』と裏表紙の紹介文に書かれている通り、本当に何の実にもならないような、言ってしまえばくだらない内容。 なのに、じわじわと引き込まれていきます。 エッセイというのは、本来こういう、とりとめのないことを書き留めるものなのかもしれません。 挿絵はクラフトエヴィング商會。 著者は翻訳家。翻訳作業の傍らに心に浮かびあがるさまざまな思いが書かれています。 取りとめのないテーマでありながら、自分の性格そして考えを包み隠さず書いている、なかなか深く掘り下げた内容になっています。 人に話すまでもないようなあまりに些末過ぎる事柄が綴られているため、人は、内心ではこんなことを考えているものなのか、とわかったような気分になりました。 なにげない日常生活で思うことに焦点を当てて書かれているかと思いきや、突然彼女の妄想世界も描かれます。 はじめはエッセイかと思ったため、あまりに荒唐無稽な内容にたまげました。 短編集のような様相も呈しており、日常エッセイと妄想短編が入り混じった独特の世界観を醸し出しています。 妄想も、ここまで明確な形を持って展開しているのであれば、もはや一つの文芸作品になるものなんですね。 おもしろおかしい内容ながら、文章は簡潔で読みやすく、やはりプロの翻訳家だけあって、情景も伝わってくるような読みやすさ。 古い足踏み式シンガーミシンについての微に入り細に入った記述では、かつて家にあったミシンが思い出されて、とても懐かしくなりました。 また、「毎日がエブリディ」という、翻訳家が一番書いてはならないタブーに敢えて踏み込んだタイトルで、自分の日常を書いているところに、ユーモアと自虐性のはざまを見ました。 また、「波平(なみひら)レディスクリニック」という看板を見るたびに、サザエさんの父がマタニティ・ドレスを着ている絵を想像する、というくだりでは、私も連想して笑ってしまいました。 「赤ん坊」という言葉が不気味、という意見から始まった、言葉の印象についてのエッセイに、同じ点が気になる私は(そうそう!)とうなずきながら読みました。 「刺身」「好々爺」「腕っ節」など、そのイメージに翻弄させられそうな言葉はあれこれあるものです。 「美人局」を官庁街の一角にあり、美人が勤務する局だとか、「野球拳」を中国三大拳法の一つとする、という感覚が、まさに自分と一致しており、親近感が持てました。 オリジナリティあふれる妄想短編は、発想が飛びすぎていて時にグロテスクで、ついていけない部分が多いものの、この人のエッセイならほかの本も読んでみたいと思います。 あとがきに「タイトルのせいで"ねにもつタイプ?"とよく聞かれるけれど、そんなことはない」と書かれていますが、本文中に「18年前に海外の空港でおつりをごまかされたことを今でも覚えている」とあったため、著者は十分根に持つタイプだと思いました。

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2012/01/30

他人に話すと「くだらな~い」と言われてしまいそうなことを筆者もあれこれ思い巡らしているんだなぁと思うと、仲間になったような気分になりました。ぷぷっと笑える話がたくさん。

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2012/01/14

笑えるエッセイと聞いたはずなんですが…。何でしょう、この「え?それ話しちゃっていいの?」というドキドキ感は。 仕事しなきゃいけないときにいらん妄想がわく、一度頭に浮かんだらそればっかりが頭のなかで繰り返してしまう、そういうことは誰にでもあると思うんです。ですけど、内容を人に話そう...

笑えるエッセイと聞いたはずなんですが…。何でしょう、この「え?それ話しちゃっていいの?」というドキドキ感は。 仕事しなきゃいけないときにいらん妄想がわく、一度頭に浮かんだらそればっかりが頭のなかで繰り返してしまう、そういうことは誰にでもあると思うんです。ですけど、内容を人に話そうとすると余りに下らなくて、「は?なにそれ?」と相手が引いてしまうんじゃないかと思って言わないでいることを、著者は堂々書いてしまう。大袈裟な表現ですが、パンドラの箱が開かれる場面に居合わせたようなショックを受けました。 一番印象に残ったのは「アイ・スパイ」。ほんとは幼稚園もオトモダチも嫌い、けど無邪気さを求められる立場でそんなこと言っちゃいけない。だから同じように秘密を持ってる魔法少女たちに憧れたんだ、と自分の子供時代に納得がいきました。

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2013/01/28

いやー、これはすごい。夢中で読んだ。 翻訳家岸本佐知子さんの日常妄想(?)エッセイ(エッセイなんだろうか果たして・・・) 三浦しをんさんらと仲がよろしいということで気になり読んでみた岸本さん。白水μブックスに著書が入っていたのは何となく知っていたので、ただ者(?)ではないのだろ...

いやー、これはすごい。夢中で読んだ。 翻訳家岸本佐知子さんの日常妄想(?)エッセイ(エッセイなんだろうか果たして・・・) 三浦しをんさんらと仲がよろしいということで気になり読んでみた岸本さん。白水μブックスに著書が入っていたのは何となく知っていたので、ただ者(?)ではないのだろうと思っていたがこういうものを書かれる方だったとは! 読んで30ページぐらいしてもう次の岸本さんの著書を買うことを考えていた。 日常のささいなことからこれだけ面白い文章をいくつも展開できるのはすごい。引き出しがいっぱいあるのだろう。あと「こんなものどうせ誰も読んでないだろう」と岸本さん本人はご自分の著書に対して思っている、と書いているが、たぶん書かれるものにはそれなりに自信があるのではないかと、私は読んでいて思った。「どうだ、面白いだろう」という読み手を威圧する感じの自信ではなくて、「このように書くと面白くなると思うんだけど、どう?」といった感じの、ご自分が蓄積されてきた「面白いもの」に対する、あまたある根拠みたいなものへの信頼のようなものが感じられる。何というか、強い。上手く言えないなあ・・・ 何か気持ち悪いヘンな褒め方になっているかも・・・ 素直に「クスクス笑いが止まりません」でもいいような気がする。 とにかく読んでて終始「おそろしく頭のいい人」という印象だった。あと育ちがいいんじゃないかなあ、とも思ったり(もちろん悪い意味ではありません)。ちょっと気になったので調べるとサントリーにお勤めであったとか。北杜夫さんの娘さんの斎藤由香さんもサントリーだったと思うが、文筆家を引き寄せる企業なのだろうか。どことなく普通にお勤めをされた方だったのだろう、という感じがはしばしに見えて、そこもまた自分の「強い」(「たくましい」のほうがいいかな?)という印象につながっている。 岸本さんの訳書も読んでみたい。虜になるかもしれない。

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2011/11/14

面白かった!!  この人の頭の中を常にのぞいていたい(^-^) 現実と非現実の境目があやふや。 毎日楽しいだろうなぁ

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2011/11/06

ユーモアに溢れ、小気味良い。 実にくだらない事ばかり書いてます、と銘打っていらっしゃいますが、 この本を読んで、街に繰り出せば(窓の外を覗くでも良い) ひと味違う日常がそこにある。そんな気がします。 ずっと、大切にもっておきたい本。

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2011/10/02

短いエッセイたちを集めた本。実際の岸本さんの話し。 桃太郎の桃の話と、「愉快な牧場」の替え歌が個人的に面白かった。しょんぼりした時にまた読もうかなと思いました。

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2011/09/11

著者が日頃抱いている妄想を文章化。短編集。 思わずくすっとしてしまうものもいくつか。文章が美しい。内容はほんまどうでもいいことばかりだけど、好きな感じ。あと挿絵もシュールで好きな感じ。調べでみたら『クラフトエヴィング商會』という人たち?作のよう。初耳だったが実はいろんなところでそ...

著者が日頃抱いている妄想を文章化。短編集。 思わずくすっとしてしまうものもいくつか。文章が美しい。内容はほんまどうでもいいことばかりだけど、好きな感じ。あと挿絵もシュールで好きな感じ。調べでみたら『クラフトエヴィング商會』という人たち?作のよう。初耳だったが実はいろんなところでその作品を目にしているみたい。

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2011/07/27

どこまでが本当!? かなりヘンです。 でも共感できるところもあって、変わったエッセイでした。 「気がつかない星人」だとか「郵便局で横入りしてくるおばさん だとか。 面白かった☆

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2011/06/30

こんなエッセイは初めてかも。実にくだらない、し、時に度を越した妄想が展開される。しかし、読み進めるうちにハマってしまう。ものを書く人は、知ってか知らずか必ず知識や教訓めいたいいことを言おうと意気込みがちであるが、この方にはまったくその片鱗もない。文字通りなんの役にも立たないエッセ...

こんなエッセイは初めてかも。実にくだらない、し、時に度を越した妄想が展開される。しかし、読み進めるうちにハマってしまう。ものを書く人は、知ってか知らずか必ず知識や教訓めいたいいことを言おうと意気込みがちであるが、この方にはまったくその片鱗もない。文字通りなんの役にも立たないエッセイが散り散りに転がっているだけである。しかし、心に浮かんだ有象無象の思考をダイレクトにお届けする姿勢は素晴らしいし、ユーモアの感性が半端じゃない。こんな感性のみで文章を書く人は珍しいかもしれないし、憧れてしまう。

Posted byブクログ