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水魑の如き沈むもの の商品レビュー

3.8

55件のお客様レビュー

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2024/08/28

「刀城言耶」シリーズ“長編”第五弾。 奈良の山村で「水魑様の儀」と呼ばれる雨ごいの儀式が数年ぶりに行われるということで、現地の村を訪れた怪奇小説家・刀城言耶と編集者・祖父江偲。 儀式の当日、村の山奥にある〈沈深湖〉で行われた「水魑様の儀」の最中、言耶を含む関係者達が見守る中で「...

「刀城言耶」シリーズ“長編”第五弾。 奈良の山村で「水魑様の儀」と呼ばれる雨ごいの儀式が数年ぶりに行われるということで、現地の村を訪れた怪奇小説家・刀城言耶と編集者・祖父江偲。 儀式の当日、村の山奥にある〈沈深湖〉で行われた「水魑様の儀」の最中、言耶を含む関係者達が見守る中で「神男」を務めた宮司の息子が不審な死を遂げてしまい・・・。 シリーズお約束の“前振り長すぎる問題”が、前作『山魔の如き嗤うもの』では薄まっていて、せっかく“おっ読みやすくなった!”と嬉しく思っていたのに、結局本作の冒頭部分での言耶&阿武隈川&祖父江の三人の怪異談義が脱線しすぎて、別ベクトルで“冗長復活”しておりました( ;∀;) (ホント、話が進まないんよねー・・。) とはいえ、宮木正一君の語りのターン(所謂本筋)に入ってからは、物語の中に徐々に引き込まれいき、言耶達が現地を訪れてからの展開には、目が離せなくなりました。 儀式の最中に起きた「神男」の不審死を皮切りに、次々と起こる宮司連続殺人・・共通しているのは“水魑様の神器”が凶器に使われていることですが、その意味とは? さらに、今回の惨劇と13年前にもあった“儀式中の「神男」の死”との関連性は・・? 儀式に携わる四つの神社(水使、水内、水庭、水分)の中で一番権力を持つ水使神社の奥にある“一つ目蔵”と呼ばれる蔵の謎とは・・等々・・。 深まる不可解な謎の数々と、因習に囚われた村の独特な雰囲気とが絶妙にマッチして、ついついこの世界にどっぷり浸りながら読みこんでしまうんですよね~。 で、シリーズ名物(?)、二転三転する言耶の解決編ですが、今回は言耶自身も見切り発車的に推理を披露する羽目になったことを表明しているので、読者側も“これは検証も兼ねた解決編”だなと承知の上で、いつも以上に推理が覆されまくる、言耶の“一人「毒チョコ」ショー(※)”をお楽しみ(?)頂けるという感じになっております。 (※:言耶シリーズの二転三転する解決編の特徴→ある謎に対して複数の解が呈示されていく“多重解決もの”の古典『毒入りチョコレート事件』より) 何度も真犯人が覆る中、私も途中から“あの人が犯人では?”と予想していたのですがそれが“当たった!”と思ったら、最後の最後でこれがまたひっくり返されて“えー、そうくる?”と驚愕した次第です。 因みに、ちょいと気になったのが正一君の母・左霧さんの出身地が〈神々櫛(かがくし)村〉ということが作中で描かれていて、ここってシリーズ一作目『厭魅の如き憑くもの』の舞台となった村ですよね? しかも“さぎり”という名前は、“あの家系”の筋の人・・・にも関わらず、その件を明かされた時の言耶のリアクションが薄くて“おいおい、あんなにガッツリ関わったのに忘れたの?”と、突っ込みたくなりました。 とりま、今回も因習×怪異×ミステリのブレンドを堪能させて頂きました。 余談ですが、本書はシリーズ“長編”の第五弾ですが、前作『山魔の・・』と本作品との間に短編集『密室の如き籠るもの』があるようでして、次はこちらを読んでみたいと思います~。

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2024/04/27

2.9。期待しすぎたらしい。どうも色々ぐずぐずして進まない印象あるし、何より編集者がうっとうしい。このシリーズではワースト。残念。でもオチは良かった。イイ人だなーと思ってたからホッとした&最初に戻ってもう一度ホッとした。ただ二人ばかりとばっちり?可哀想…。

Posted byブクログ

2023/09/10

このシリーズは初読でした。 民俗学メインのホラーミステリ小説で、前半はホラー味が強く、だんだんミステリが強くなっていく形です。割と人間関係的な所が複雑になっていくのでところどころで整理しないとごっちゃになるかも。割と人情味がある話なので読後感はさっぱりします。

Posted byブクログ

2022/05/16

シリーズの中において、過去作で1番読みやすいお話だったと思います。(難しい解説が無かった為)鶴子ちゃんが好きだったので、途中から登場しなくなって寂しかったです。もちろん殺人事件が起こりますが、ラストはハッピーエンド?救いが残っており良かったなぁ〜とい思いました。

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2021/04/04

民俗学+ホラー+ミステリーの〈刀城言耶〉シリーズ。 長編第五作だが読み落としていたので今さらが読んでみた。 久しぶりのシリーズだが相変わらずのわちゃわちゃ感から始まる。 阿武隈川烏と祖父江偲が引っ掻き回し、言耶が落ち着いて解説しているようで余計に脱線したり深みに嵌まったり。言耶...

民俗学+ホラー+ミステリーの〈刀城言耶〉シリーズ。 長編第五作だが読み落としていたので今さらが読んでみた。 久しぶりのシリーズだが相変わらずのわちゃわちゃ感から始まる。 阿武隈川烏と祖父江偲が引っ掻き回し、言耶が落ち着いて解説しているようで余計に脱線したり深みに嵌まったり。言耶が好きな怪奇話になると興奮し過ぎて阿武隈川と偲が逆に落ち着かせ役に回ったり。 正直読み飛ばしたくなるシーンなのだが、こういうところに興味深い民俗学的エピソードを紛れさせるのだから結局はしっかり読んでしまう。 水魑様に水乞い(或いは豪雨が止むこと)する儀式を見に山奥の村にやって来た言耶と偲。そこでは過去に儀式を行った宮司が亡くなる事件が起きていた。 そして言耶と儀式の関係者たちの目の前で宮司が胸を刺されて殺され…。 衆人環視状態という密室で起きた殺人事件。その裏には一番力を持つ宮司が密かに怪しげな儀式を行っているようだ。 それを探ろうとするのは宮司の義理の孫・正一少年。彼は怪しげな蔵や洞窟を見付けるのだが、そこには何か恐ろしい気配が。正一はそんな何かを感じる力があった。 ただですら閉鎖的なコミュニティなのだが、この宮司が強権と人質で以て敢えて警察など外部機関を介入させないという徹底振り。その状況で言耶に事件を解決しろと迫る。偲まで人質に取られた言耶は宮司の命令を聞くしかないのだが、警察のような捜査が出来ない中で真相に辿り着けるのか。 言耶の推理もまた相変わらずの二転三転。しかしこれが彼のスタイルなのだから仕方ない。ましてや警察などの第三者的捜査も望めない環境なのだし。 宮司が怪しげな蔵で行っていたことは予想がついたが、水魑様への様々な儀式の解釈は分からずなるほどと思った。 しかし事件の全容について、特に犯人の動機や行動についてはやや強引かなと思うところがある。 今回はホラー要素は薄め。むしろ宮司の狂気に振り回された人々の悲哀の印象が残った。残された人々が少しは前向きになれたようで良かったが。 結末もまたいつものように明確な部分と朧な部分とに分かれる。いつもならこの朧な部分にホラーな予感を絡めるのだが、それがなかったのは残念。 結局この事件は警察が介入しなくて正解だったのかも知れない。

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2021/01/02

ホラーミステリー単行本。 【刀城言耶シリーズ】 太平洋戦争後、昭和時代の閉鎖的な山間の村で起きた、神社宮司連続殺人事件に挑む。 雨乞の儀式に生贄が捧げられ、蔵の中に人間ではない何かが居るなど、怖い舞台は揃って雰囲気がたっぷりと味わえます。 刀城言耶ならではの迷推理のくだりも楽しい...

ホラーミステリー単行本。 【刀城言耶シリーズ】 太平洋戦争後、昭和時代の閉鎖的な山間の村で起きた、神社宮司連続殺人事件に挑む。 雨乞の儀式に生贄が捧げられ、蔵の中に人間ではない何かが居るなど、怖い舞台は揃って雰囲気がたっぷりと味わえます。 刀城言耶ならではの迷推理のくだりも楽しいです。

Posted byブクログ

2020/05/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

面白かったー! 相変わらず長いので読み応えある! 前置きも長く、殺人事件が起こるまで半分くらい読み進めるないといけないがそれでも面白い! 前半は正一の過去の話や五月夜村についてだが、興味深くスラスラ読めた。 正一、小夜子は世路と一緒に幸せになって欲しかったので残念というか心に残るというか。 1番初めのシリーズと微妙に繋がってるのも◎。 どうリンクしてるか、調べないと!

Posted byブクログ

2020/03/01

何となく先が読めた。 阿武隈川とか偲とか登場させる割には、いない場面の方が多いのが、よくわからないな。 いなくても良くない? 警察が出てこない展開になってるけど、確かに加害者も被害者も白日の下に晒さなくてもいいんじゃないかと思えるくらい、閉鎖的な地域の神事として成立している気がす...

何となく先が読めた。 阿武隈川とか偲とか登場させる割には、いない場面の方が多いのが、よくわからないな。 いなくても良くない? 警察が出てこない展開になってるけど、確かに加害者も被害者も白日の下に晒さなくてもいいんじゃないかと思えるくらい、閉鎖的な地域の神事として成立している気がする。 下手に余所者を招いたりしなきゃ良かったんじゃない、と思えた。 そんなこと言ったら、話にならないか。 シリーズの中で、それほどこの作品が抜きん出ているという感じはしないけど、本格ミステリ大賞なんだよね。 ふーん、そうかあという感じ。

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2019/10/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 船の上で供物を投げ込んで雨乞いをするという村に刀城言耶が立ち寄り、雨乞いの儀式の最中に人が死ぬというストーリー。  「~け」という語尾が特徴的な、「百蛇堂」「蛇棺葬」の舞台の近くらしい。直接的な関わりはないが、「水魑」という蛇や龍の仲間のような妖を祀っている繋がりで出てきたのだろう。二作を読んだ身からしたら語尾を聞くだけで少し怖い。  また、「サギリ」という名の女性が出てきており、読まずとも楽しめるが「厭魅の如き憑くもの」とも繋がっていた。  「サギリ」は「作者不詳」に登場する「迷宮草子」にも登場しているため、お気に入りのモチーフなのかもしれない。  しかし、昔ながらの儀式に纏わる話ではあるが、今回は儀式に関わる村の重役のうち数人は刀城言耶に好意的であり、四面楚歌の状況ではないため人間関係上の恐怖は少ない。また、善良な老人や偏屈な老人、体制に疑問を持つ若者など個性豊かなキャラクターが豊富である。その分、犠牲になってしまったときの衝撃もひとしおではあるが…。また、刀城言耶についてくる煩い編集者も厄介な人物ではあるが、緊張感を和らげている存在ではあると言える。  重要な登場人物の一人正一少年の、戦後からの描写もとても面白く、殺人事件が起きてから、刀城言耶の推理がちょくちょく挟まれる様子がテンポが良くてグイグイ読めた。  三津田作品に特徴的な「追われる描写」「子供視点の話」も健在である。「厭魅の如き憑くもの」で顕著であった、刀城言耶が書いた小説という形式を取る故ののメタ気味の仕込み(いわゆる叙述トリック)は今回は控えていて、純粋な推理で犯人を当てるタイプである。

Posted byブクログ

2019/07/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

推理小説としては少々不満が残る 正一が犯人のままでよかったのではないか? 最後のひとひねりで小夜子を犯人にしたわけだがこれは龍三殺しが実現可能かと考えるとかなり無理を感じてしまう。 しかし正一が犯人じゃ当たり前すぎるか... ならば小夜子の龍三殺しにもう少し信憑性を持たせて欲しかった

Posted byブクログ