悪人(上) の商品レビュー
10年前に見た映画の印象が未だに残っていて、懐かしくて読んだ。一気読み。 善悪とは何か。何かの歯車が少しズレたことによって、悪人になってしまったり、本当の悪人が何事もなく生きていたり、するのかも知れない。
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全体的にけだるい雰囲気の中で繰り広げられる博多弁(祐一は長崎だから長崎弁?)の会話が印象的。 いろいろな人の視点で物語が進んでいくけど、全員が悩みやエゴや傲慢や何か鬱々としたものを抱え、またそれがすごくリアリティを感じる。 下巻これから読みます。この後の展開がすごく気になる。
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あらすじ 九州地方に珍しく雪が降った夜、土木作業員の清水祐一は、携帯サイトで知り合った女性を殺害してしまう。母親に捨てられ、幼くして祖父母に引き取られた。ヘルス嬢を真剣に好きになり、祖父母の手伝いに明け暮れる日々。そんな彼を殺人に走らせたものとは、一体何か-。
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『吉田修一といえば悪人』というのを私に植え付けた作品。映画で観て、単行本もざっくり読んでいるのでストーリーは知っているが、再読。映画に比べると、原作はかなりスローリーな展開なんだな。九州を舞台に、保険会社OL殺人事件が起こる。彼女は出会い系サイトをやっていた。彼女に関わる様々な人...
『吉田修一といえば悪人』というのを私に植え付けた作品。映画で観て、単行本もざっくり読んでいるのでストーリーは知っているが、再読。映画に比べると、原作はかなりスローリーな展開なんだな。九州を舞台に、保険会社OL殺人事件が起こる。彼女は出会い系サイトをやっていた。彼女に関わる様々な人間が出てくるが、皆、何かしら孤独と弱さを抱え、淡々とした展開から殺伐さが浮かび上がる。地方の暗い雰囲気と非常にマッチしている。じっとりとスチームサウナで読書しているような錯覚の中、ようやく事件が動き出してきた!?という所で下巻へ~
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
評価は5. 内容(BOOKデーターベース) 九州地方に珍しく雪が降った夜、土木作業員の清水祐一は、携帯サイトで知り合った女性を殺害してしまう。母親に捨てられ、幼くして祖父母に引き取られた。ヘルス嬢を真剣に好きになり、祖父母の手伝いに明け暮れる日々。そんな彼を殺人に走らせたものとは、一体何か―。 人生の言い訳を事件の関係者が次々と話していく。被害者の感情とその相手の感情の食い違いが露わに表現されていてついのめり込んでしまった。下巻は続く
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終わりは見えているのに、これはどう終わるのだろうと先がこれほど気になった作品も珍しい。 「悪人」は誰なのか? 読み終わった時にもう一度読み始めたくなる。 個人的には怒りより好きかもしれない。 吉田修一は人物を多面的に切り取ることがとても上手だ。 三人称一元で描きながら、人物に...
終わりは見えているのに、これはどう終わるのだろうと先がこれほど気になった作品も珍しい。 「悪人」は誰なのか? 読み終わった時にもう一度読み始めたくなる。 個人的には怒りより好きかもしれない。 吉田修一は人物を多面的に切り取ることがとても上手だ。 三人称一元で描きながら、人物にすんなり感情移入できるのに、その人物を他者から見た際まったく違う像が浮き彫りになる。 人って結局自分がいいように生きているし、じぶんがいいように世界を観ているんだろうなと思う。 同時に他者から観られて初めて人物は立体になるし、地に足の着いた生身の人物になる。 吉田作品はその巧妙さをパレードですでに見せていたけど、悪人を読むとさすがにその技術に驚嘆せざるを得ない。 九州の地方の人々をそのまま写し取ってきたような人物は、本の中で間違いなく生きているし、触れることができるくらいリアルな気がする。 新装版にて読了 (登録用)
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もっと早く会っていたら。切ない物語。ラストの供述に愛を感じました。 祖母の、孫への逃げるなの思い。クソ野郎どもに笑われてたまるかの思い。泣けました。 だけど、娘を殺された親の気持ちを思うと、くるしくなります。やっぱり、もっと早く合わせてあげたいと思いました。
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ある程度評判の小説だということ以外は、何の情報も先入観も無しに読み始めた。誰、どこに焦点が当たっているのか、はっきりしない、不思議な小説。。どういう展開をみせるのか、あまり予測ができないまま上巻が終わった。
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上巻の終わりで意外に思わせる話の運びをしていることに少し驚いた。そういうのがない小説だと思ったので。
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典型的な地方の光景。車しか趣味のない兄ちゃん。紳士服量販店で働く三十路前の独身女。いかにも軽薄な小金持ちのボンボン。虚栄心の強い新人保険外交員。寂れた床屋の店主。ごく当たり前の人々の人生が不運な形で交差して殺人事件が起こる。 簡明な筆致で軽すぎるくらいスラスラ読んでしまうが、登...
典型的な地方の光景。車しか趣味のない兄ちゃん。紳士服量販店で働く三十路前の独身女。いかにも軽薄な小金持ちのボンボン。虚栄心の強い新人保険外交員。寂れた床屋の店主。ごく当たり前の人々の人生が不運な形で交差して殺人事件が起こる。 簡明な筆致で軽すぎるくらいスラスラ読んでしまうが、登場人物には、まさにそこに生きている実在感がある。祐一が殺人をしてしまうまでにいたる経過と、終盤の聖人のような振る舞いはつながりがたいところもあるが、それも不自然に思わせず読ませてしまう。佳男が佳乃の霊に会うシーンなど、三瀬峠の「魔」をうまく使っている。
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