夜想 の商品レビュー
「救われる者と救われない者。」という帯に惹かれたが、内容は期待したほどではなかった。 新興宗教の設立に興味のある人は楽しめるかもしれない。しかし、信仰心や、何かを信じることに対する心の葛藤に興味を持っている人には物足りない内容だと思う。 また、筆者の得意技(?)の同時並行で異なる...
「救われる者と救われない者。」という帯に惹かれたが、内容は期待したほどではなかった。 新興宗教の設立に興味のある人は楽しめるかもしれない。しかし、信仰心や、何かを信じることに対する心の葛藤に興味を持っている人には物足りない内容だと思う。 また、筆者の得意技(?)の同時並行で異なる話を進行させ、途中で合体させるという方法を、この作品では中途半端で効果の薄い使い方をしているという印象が残る。
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宗教法人ゴロの笠置という男の存在が、明らかにキーを握る男として描かれている割には、フツーのいい人で、そこがちょっと拍子抜け。2つのストーリーを平行して描いて行って、それが絡み合う。で、お決まりの「叙述トリック」。なんにせよ、スタイルを持つというのはいいことだと思いますが。
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最後にようやく貫井さんがなぜ新興宗教を題材にしたのかわかった気がした。悲しみは乗り越えなくていい。この言葉は心に響く。(私はまだ幸運にもそんな目を逸らしたくなるような悲しみを抱いたことはないですが。)
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宗教がテーマとなってはいるものの。愛する人を失った悲しみ、辛さ、思いやる気持ちを考えさせられる一冊。その合間にミステリーもあり、ひやっとさせられた。さすが貫井さん、トリックの挿入が上手過ぎる。
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【明日の空】から始まって、貫井さんの作品を読み漁っています。今回は私が今まで読んだ『貫井 徳郎』さんの作品の中では、幾分暗く感じる小説でした。多少、『ホラー的要素』も含まれています。 目の前で妻子が焼け死んでいくさまを見ることしか出来なかった主人公の雪藤は、生きる糧を失い、それ...
【明日の空】から始まって、貫井さんの作品を読み漁っています。今回は私が今まで読んだ『貫井 徳郎』さんの作品の中では、幾分暗く感じる小説でした。多少、『ホラー的要素』も含まれています。 目の前で妻子が焼け死んでいくさまを見ることしか出来なかった主人公の雪藤は、生きる糧を失い、それこそ『生きるしかばね』となっていた。そんな彼を支えたのが、カウンセラーの北條であり、亡くなった真沙子の幻影。ところが、物語が進むうち、どこまでが幻影で、どこまでが現実の世界なのか分からなくなってきた。 さらにもう一つの物語―亜由美を探す母の嘉子と遥がどこで重なるのか・・だんだん邪悪の顔を見せてきた嘉子と、純粋が手足を付けて歩いているような遥がどのような結果になるのか、この辺はサスペンスっぽかったです。 最後の締めくくりが、ちょっとあっけなかったなぁ、という気がします。そして、そのあと、二人はどうなるんだろう?と突っ込んでしまいたくなるのは私がやはり俗っぽいからでしょうかね~?雪藤さん?
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新興宗教の誕生と発展を描いた中盤までは流石だが、終盤が駆け足気味になり消化不良。ミステリ要素は無くし「宗教」と「救い」だけを描いても良かったのでは?。テーマとあわせて考えるとラストが希望の持てるものだった点は良かった。
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ちょっとなぁ…と思いながらも最後まで読んだ。新興宗教って書いてたから最初はてっきり慟哭みたくのめりこんじゃうのかなと思ってたら組織を作る側だった。 最後は感動できたし、おおっと思う箇所もあったし、それなりに楽しく読めたからいいかな。
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帰国中に読んだ本。 よくできているとは思うけれど、感情移入ができず、なかなか読み進められなかった。重複が多く、くどい感じだった。
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オビ 『救われる者と救われない者』 前作に続き、新興宗教の話。 こうやって宗教ができるんやなあ 宗教のはなし
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テーマは、デビュー作である「慟哭」と同じく、『宗教』。 夜想はさらに『新興宗教』に焦点を絞っています。 「慟哭」から14年 再び『宗教』をテーマにする …と帯には謳われていたが、今作のテーマは「宗教」ではないように思う。 あくまで1人の人間が悲しみや苦しみにどう向き合い、どのよ...
テーマは、デビュー作である「慟哭」と同じく、『宗教』。 夜想はさらに『新興宗教』に焦点を絞っています。 「慟哭」から14年 再び『宗教』をテーマにする …と帯には謳われていたが、今作のテーマは「宗教」ではないように思う。 あくまで1人の人間が悲しみや苦しみにどう向き合い、どのように生きていくのか、それらを主人公を始めとした登場人物を通じて投げ掛けているんじゃないだろうか。 デビュー作の「慟哭」以来、ほぼ全作品(文庫本に限るけど…)を読んできた貫井作品ではあるがその中でも重い作品だった。 雪籐の被った悲劇。「新興宗教」とはなっているが、要は組織作りの過程における葛藤や雪籐により新たな道を選択する遙。 ひとつひとつが丁寧に、そして表現豊かに描かれてているので物語の進行的には歯痒い部分もあるものの、それらの過程をじっくりと読ませることで結果としては最後に雪籐が導き出す答えにも得心のいく展開となっていた。 …まぁ、よくありがちで先き読みできてしまうトラブルが多いのはこの際置いとくとしよう。。 とにかく、目新しいプロットやギミックは一切ないので派手さはなく、『悪党たちは千里を走る』のような軽さも全く影を潜めている。 ただ淡々と流れる時間の中で「人の苦悩」にフォーカスしたヒューマンドラマとして心に残る作品だった。
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