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笑う科学 イグ・ノーベル賞 の商品レビュー

3.3

34件のお客様レビュー

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2023/04/13

志村幸雄(1935~2020年)氏は、早大教育学部卒、(株)工業調査会で半導体技術専門誌の編集に携わった後、社長、会長などを歴任。また、産業技術審議会専門委員など政府委員、自然科学書協会理事長など学協会役員、早大、麗澤大学、名大などで非常勤講師を務めた。 私は、「イグ・ノーベル賞...

志村幸雄(1935~2020年)氏は、早大教育学部卒、(株)工業調査会で半導体技術専門誌の編集に携わった後、社長、会長などを歴任。また、産業技術審議会専門委員など政府委員、自然科学書協会理事長など学協会役員、早大、麗澤大学、名大などで非常勤講師を務めた。 私は、「イグ・ノーベル賞」のことをいつ、どのようにして知ったのかは覚えていないのだが、少し前に、英国人のトーマス・トウェイツ氏が、2016年の「イグ・ノーベル生物学賞」を受賞した、四足歩行できる人工装具を使ってヤギになりきる「GoatMan Project」について書いた『人間をお休みしてヤギになってみた結果』を読んでいたところで、偶々本書を新古書店で目にして入手した。(本書は2009年出版だが、紙の本は既に絶版である) 本書は、イグ・ノーベル賞について、内容と歴史、どのような研究・発明が受賞の対象となるのか、これまでの日本人受賞者の研究・開発の事例、同賞を獲得するための心構えと実践的な方法、同賞候補となりそうな日本発の研究・発明の成果を紹介したもの。 イグ・ノーベル賞とは、1991年に米国人のマーク・エイブラハムズ氏が創設し、授賞の公式基準は「人を笑わせ、そして考えさせる」研究で、「真似ができない、またするべきではない」業績であること、更に非公式基準は「目を見張るほどバカげているか、刺激的でなくてはならない」というものである。創設当初は、賞の目的や選考方法を非難・否定したり、受賞の報に戸惑う受賞者もいたが、現在では、「パロディ性」に基づいて「笑わせ」、「科学性」に裏打ちされて「考えさせる」という賞のコンセプトが理解され、また、新聞やTVにも登場するようになって知名度も大きくアップし(本書出版から十余年を経た現在では一層である)、賞としてのステータスを確立していると言えるだろう。 日本人の過去の受賞実績については、「ハトによるピカソとモネの作品の識」、犬語翻訳機「バウリンガル」、「ハトに嫌われた銅像の化学的な考察」、「カラオケ」、「バニラの芳香成分バニリンの牛糞からの抽出」、「粘菌による迷路の最短経路の解法」の6つを挙げ、その内容、研究・発明の経緯、裏話等を詳しく紹介している。 また、受賞の候補となりそうなもの(あくまで著者の主観である)としては、「日本笑い学会」、「トイレ文化」、「回転ずし」、「青いバラ」、「二足歩行ロボットの未夢とアシモ」、「100万分の1グラムの歯車」、「定刻自動起床装置」、「クモの糸による新素材」、「畳ドクター、焚火学会」、「慰謝料電卓」の10例が挙げられている。(残念ながら、2022年までに実際に受賞したものはない) 読み終えてまず感じたのは、「人を笑わせ、そして考えさせる」という同賞のコンセプトは、現代社会においてこそ、重要な意味を持っているのではないかということであった。というのは、科学は、19世紀以降、近代化・文明化を牽引してきたが、21世紀となった今、我々の抱えるプラネタリー・バウンダリー、バイオテクノロジー、AI、軍事など様々な側面における問題には科学が関わっており、その根本的な原因は、科学が「科学のための科学」から「社会のための科学」に変化し、役立つ科学のみを追い求めてきたことにあると考えられるからである。科学の進歩自体は、無論、否定されるべきものではないが、我々が人間らしく生きるためには何が大切なのかを考え直すために、イグ・ノーベル賞(のコンセプト)はもっと注目されていいのかも知れない。 (2023年4月了)

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2022/06/10

人々を笑わせ、考えさせてくれる研究に対して贈られる「イグ・ノーベル賞」の日本人受賞者を中心に紹介した本。 イグ・ノーベル賞の存在は知っていましたが、どのような研究が受賞しているのかを知りたくて読んでみました。個人的にはバニリンの話が面白かったです。 研究者のたゆまぬ努力と奇想...

人々を笑わせ、考えさせてくれる研究に対して贈られる「イグ・ノーベル賞」の日本人受賞者を中心に紹介した本。 イグ・ノーベル賞の存在は知っていましたが、どのような研究が受賞しているのかを知りたくて読んでみました。個人的にはバニリンの話が面白かったです。 研究者のたゆまぬ努力と奇想天外な発想が、どのような形であれ評価されることは素晴らしいことだと思いました。マスコミは科学の賞としてノーベル賞を毎年大きく取り上げていますが、このような賞をもっと取り上げることで科学研究の面白さを世間に広めてほしいと感じました。

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2021/10/17

もともと科学には興味があったが、「笑う科学」というのは考えたことがなかった。「笑える」と聞くと、ふざけたような実験ばかりなのかと思っていたら、犬語翻訳機、牛糞由来のバニラアイスなど、とてもおもしろい実験ばかりだった。

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2021/05/27

<目次> 第1部  「笑う科学」の奇抜な司祭者  第1章  この特異なイグ・ノーベル賞  第2章  イグ・ノーベル賞に見る「パロディ性」と「科学性」 第2部 イグ・ノーベル賞大国を築いた日本人受賞者  第3章  ピカソとモネの作品を識別するハト  第4章  犬との対話を実現した犬...

<目次> 第1部  「笑う科学」の奇抜な司祭者  第1章  この特異なイグ・ノーベル賞  第2章  イグ・ノーベル賞に見る「パロディ性」と「科学性」 第2部 イグ・ノーベル賞大国を築いた日本人受賞者  第3章  ピカソとモネの作品を識別するハト  第4章  犬との対話を実現した犬語翻訳機「バウリンガル」  第5章  兼六園の銅像がハトに嫌われる理由の化学的考察  第6章  人々が互いに寛容になることを教えたカラオケ発明  第7章  バニラの芳香成分「バニリン」を牛糞から抽出  第8章  粘菌による迷路の最短経路の解法 第3部  「笑う科学」に未来あれ  第9章  イグ・ノーベル賞獲得のための実践的方法論  第10章  これだけある「日本発」イグ・ノーベル賞候補 <内容> バカバカしくもまじめな研究(時には批判的に)に対し、与えられるイグ・ノーベル賞。以外にも日本は多くの受賞歴がある。この本は、そうしたイグ・ノーベル賞のすべてを紹介したもの(2009年のもの)。バウリンガルや兼六園の銅像はよく知っていたが、ほかにもあったのだ。ふざけているようで、真面目に紹介しているところが良い。

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2020/06/29
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※このレビューにはネタバレを含みます

本としてのクオリティは低めだが、イグ・ノーベル賞そのものが面白い。 本として微妙だった点としては、例えば的を射ておらず無理矢理権威のある人の言葉を持ってきた感じが否めない引用の使い方が気になる。また、科学読み物においては、専門的な内容をたとえによって噛み砕き、読者が概念として理解できるようにするということが必要だと思う。しかしこの本では、平易な日常の言葉パートと専門用語での説明パートしかなく、良い塩梅の噛み砕きがなされていない気がした。この本はPHPサイエンス・ワールド新書の8冊目らしく、編集者も科学読み物作りに慣れていなかったのかなと思った。 イグ・ノーベル賞の方に話を戻す。考える人が転げ落ちてる認定書は最高。迷路を解く粘菌はヨビノリの動画で見た。 今後の展望として、「笑い」を研究した本を読んでみたいと思うようになった。最近ステイホームでお笑い番組をよく見るようになったのも相まって、興味が高まっている。ベルクソン『笑い』や日本笑い学会の本など。

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2019/04/01
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

イグ・ノーベル賞のことって知っているようでちっとも知らない。そんな賞かなと思うんだけど、それをもう少しだけ詳しく知ることができる本。 内容的に硬めではあるけど、イグ・ノーベル賞の性質もあり、非常に楽しく読み進めることができる。 一つだけ気になったのは、最後の受賞して欲しい科学者の話かな。この内容は、単なる作者の主観を紹介しているだけなので、個人的に不要だと思う。 そんなことはさておき、発刊後も毎年日本人受賞者が現れていることを考えると、本賞と日本人の相性は非常に良いのでは? これからも面白い研究を知ることができれば楽しそうだよね。と思わせてくれる一冊である。

Posted byブクログ

2017/12/15

「イグ・ノーベル賞」をご存じですか?日本の犬語翻訳機『バウリンガル』が受賞してユニークな賞という印象があるかもしれません。でも面白いだけではなく「まず人を笑わせ,そして考えさせる」研究が対象で,実は科学と考えることの大切さを教えてくれる賞なのです。

Posted byブクログ

2015/10/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 大事なことは、この賞の要件が「笑わせる」ことにあるといっても、単に笑って済ませるのとは違うことだ。笑わせると同時に科学性に裏打ちされた「考えさせる」要件が不可欠で、それ自体は、時には常識だと思われていることに疑問をはさんで新たな知見を生み出したり、時には不確実、不合理に見える現実のなかに真理や法則性を見いだしていくことを意味する。同賞の受賞対象になったものに理学、工学、医学、農学、栄養学など自然科学系のテーマが圧倒的多数を占めるゆえんもある。何しろ、カラオケ装置の発明が「平和賞」、著者総数976人による医学論文が「文学賞」の対象になるのだから、他は推して知るべしである。(pp.65-6)  誤解を恐れずに言えば、科学は本来、自然の摂理を明らかにしようとする人間の知的好奇心n根ざした「学問」として発生したもので、それ自体、「役に立つ、役に立たない」といった価値観に拘束されない「自由」の下で取り組まれるべきものなのだ。科学研究の成果を踏まえた「技術開発」の目的が、産業社会やわれわれの日常生活にとって「役に立つ」ものをつくることに最大の眼目があるのと好対照である。(p.177)

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2015/09/30

この本自体の評価としてはイマイチなんだが、なにせ元のネタ - イグノーベル賞受賞対象 - が面白いので楽しく読める。個人的には兼六園の銅像がハトに嫌われる理由を着想から40年かけて成果物にした金沢大・広瀬氏の章が好き。 「経済学賞の受賞者は、授賞式に出席することはまずない。ほと...

この本自体の評価としてはイマイチなんだが、なにせ元のネタ - イグノーベル賞受賞対象 - が面白いので楽しく読める。個人的には兼六園の銅像がハトに嫌われる理由を着想から40年かけて成果物にした金沢大・広瀬氏の章が好き。 「経済学賞の受賞者は、授賞式に出席することはまずない。ほとんどの受賞者が、5-15年の懲役に服しているからだ」 同賞創設者エイブラハムズ氏(P180)

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2015/09/16

☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆http://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB00064434

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