1,800円以上の注文で送料無料

越境 の商品レビュー

4.1

20件のお客様レビュー

  1. 5つ

    7

  2. 4つ

    6

  3. 3つ

    5

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2026/03/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

原題はThe Crossing。 横切ること。交わること。交差点。 これを「越境」としたことで、イメージが果てしなく広がる。 マッカーシーの描く世界はとても冷徹だ。 神の視点に近いかもしれない。 この世に物語はない。陽は昇り、大地を照らし、沈む。または陽は昇る。 その中をビリーは生きる。 なぜ、生きているのかはわからない。 でも生きる。 ビリーは3度、メキシコへ渡る。 1度目は狼を送り届けるため。 2度目は親を殺され盗まれた馬を取り戻すために。 3度目は唯一の肉親である弟を救うために。 1度目は心の赴くままに、 2度目は自ら課した義務のために、 3度目は孤独に押し出されて旅をする。 ビリーがメキシコへ渡るとおとぎ話のような雰囲気になる。 アメリカに戻ってくると、現実に戻り、小説自体も筋道を立て直す。 現実(アメリカ)と夢(メキシコ)を交錯させ、ビリーをその交わるところに置き、あとは傍観者のごとく描写する。 著者は決してビリーを導かない。 生きることの意味や希望はそこにはない。 でも、生きなければいけない世界がそこにはある。

Posted byブクログ

2026/02/13

コーマック・マッカーシー氏の国境三部作の第二作目。 アメリカ南西部とメキシコを舞台に大自然と人々との関係を描く。雄大な自然と過酷な運命。出来事全てを等価に扱い、残酷さも慈愛も綯い交ぜにしてある意味で無関心かつ突き放す文体はとても哲学的。 主人公である16歳のビリー・パーハムは内的...

コーマック・マッカーシー氏の国境三部作の第二作目。 アメリカ南西部とメキシコを舞台に大自然と人々との関係を描く。雄大な自然と過酷な運命。出来事全てを等価に扱い、残酷さも慈愛も綯い交ぜにしてある意味で無関心かつ突き放す文体はとても哲学的。 主人公である16歳のビリー・パーハムは内的な衝動で行動し、ビリーを襲う不条理な運命はまるで聖書のヨブのよう。それなのにビリーの心理描写や感情変化はほぼ描かれる、メキシコで出会う人々の剥き出しの人間性との繋がりのなかで読者に伝えられる。 16歳にしてハードボイルドでタフガイ。しかし美しい情景が目に浮かぶ文章は詩的。魅力的な作品。

Posted byブクログ

2025/04/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

大まかなストーリーは背表紙に、捕まえた狼を故郷のメキシコへ越境して連れて行くと書いてありましたが、3分の1過ぎて予想外の展開に。 前作よりストーリーのスケールは越境のほうが大きいと思いました。 プリマ・ドンナや元老兵士そしてジプシー?や旅人が、様々な世界のあり方や捉え方を予言のごとく語ります。彼らにはビリーをどう見ていたのかどう映っていたのか。 コーマックマッカーシーの本は時と場所を選んで静かに読みたいと思いました。

Posted byブクログ

2025/03/16

著者の作品は、映画の脚本としては触れてきたが、小説は初めて読んだ。 暗喩や挿話が多く、読み進めるのに体力が必要な文章。 3度にわたる越境がビリーに大きな喪失をもたらすことになるが、成長や教訓のようなポジティブな要素を安易に提供してはくれない。 アメリカと異なり、野生的な世界を感じ...

著者の作品は、映画の脚本としては触れてきたが、小説は初めて読んだ。 暗喩や挿話が多く、読み進めるのに体力が必要な文章。 3度にわたる越境がビリーに大きな喪失をもたらすことになるが、成長や教訓のようなポジティブな要素を安易に提供してはくれない。 アメリカと異なり、野生的な世界を感じさせるビリーから見たメキシコは観念的で、神話の世界のようでもある。 3部作の1作目を読まずに本作を手に取ったが、全く問題なし。ただ、3作目は1作目の主人公とビリーが共演するようなので、1作目から読んでみたくなった。

Posted byブクログ

2024/04/07

アメリカとメキシコを行ったり来たりしつつ、悲劇に見舞われながら生きる主人公と対話する人々との哲学的な挿話で構成されている。様々な暗喩が込められて語られる会話がほぼ全体を支配してるので、相変わらず読みにくいが、分かり易い物語や伏線回収云々な小説よりずっと心に残るし、何度も再読出来る...

アメリカとメキシコを行ったり来たりしつつ、悲劇に見舞われながら生きる主人公と対話する人々との哲学的な挿話で構成されている。様々な暗喩が込められて語られる会話がほぼ全体を支配してるので、相変わらず読みにくいが、分かり易い物語や伏線回収云々な小説よりずっと心に残るし、何度も再読出来る小説だと思う。

Posted byブクログ

2023/09/23

舞台は1940年代のアメリカ・メキシコ国境地帯。主人公の少年は、三度び国境を越え、馬に乗ってメキシコの地を延々と放浪する。 一度目は捉えた雌狼を生まれた地に送り届けに、二度目は盗まれた馬を取り戻すために、三度目は生き別れた弟を探しに。 主人公は孤独な旅を逞しく続けるが、その過程で...

舞台は1940年代のアメリカ・メキシコ国境地帯。主人公の少年は、三度び国境を越え、馬に乗ってメキシコの地を延々と放浪する。 一度目は捉えた雌狼を生まれた地に送り届けに、二度目は盗まれた馬を取り戻すために、三度目は生き別れた弟を探しに。 主人公は孤独な旅を逞しく続けるが、その過程であらゆるものを抗いがたい暴力によって喪失していく。 壮大で厳格な喪失の物語である。 文庫本で600ページを超える大作だが、最初の1、2ページを読んだところで、あまりの読みにくさに挫折しそうになった。 独特な言葉遣いと長いセンテンス、詩的な情景描写、短い言葉を交わすだけのダイアログ、場面の切り替わりのわかりづらさ。 心理描写は極力排除され、ただひたすら事物だけが描かれていく。 特に、主人公が放浪の過程で出会う人物によって語られる挿話が長くて哲学的・宗教的で難解で、心が折れそうになるが、そこを乗り越えたときに頭で理解するのとは異なる、深淵な何かが確かに生じるのだ。 主人公の旅に付き合うことで、時間感覚や地理感覚が拡張されていく感じ。 先般(2023年6月)亡くなったコーマック・マッカーシーの「国境三部作」の2作目とされる。 1作目の『すべての美しい馬』より先に読んでしまった。 三部作すべてを読んでみたい気はするが、相当なスタミナが要求されそうだな…

Posted byブクログ

2023/02/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

『すべての美しい馬』とこれと『平原の町』で国境三部作とのこと。 気になる. そして1995年単行本を読んでいる. 最初に、主人公が夜寝床から起き出して、狼の姿を見守る場面でもう絶対にわたしの好きな物語だと確信したし、読み終わるのがすでにもったいないと思った。 そして読後、すばらしくて、訳わからなくて打ちのめされる。。。 主人公は手に入れたいものを追ってアメリカとメキシコの国境を3回越境する。2回は手に入れたいものが手に入らなかった、3回目は手に入れたけどほしいかたちじゃなかった、といった意味の文章がある。 狼を追っていって戻った後、まだ物語が続いて、なんでだろうと思っていたけれど、読み進めながらじわじわとそうかそうかこれでいいんだなと思う。そういうことなのだよ。 3部作の3作目も読みたい。そして、フォークナーの『熊』も読んでみなければ。

Posted byブクログ

2023/01/04

文学ラジオ空飛び猫たち第100回紹介本 https://spotifyanchor-web.app.link/e/KxSicJV3hwb すごい小説。初めて読んだときのインパクトは今でも残っている。今の自分が生きている社会とは違った倫理、ルールで生きているような世界観で、それは残...

文学ラジオ空飛び猫たち第100回紹介本 https://spotifyanchor-web.app.link/e/KxSicJV3hwb すごい小説。初めて読んだときのインパクトは今でも残っている。今の自分が生きている社会とは違った倫理、ルールで生きているような世界観で、それは残酷で厳しくて、かなり暗くはあるけど、美しさも感じる。この何ともいえない、美しさがいい。 読むのは大変だけど、マッカーシーの世界観にはまったら、自分の世界観も影響を受けるかもしれないので、惹かれたら読んでみてほしい。

Posted byブクログ

2022/10/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

3部作の真ん中。 「すべての美しい馬」で、 この作家とテンポが合うのに時間がかかるのは学習したので焦らず読み進んでいたのですが・・・さすがに1/3近く進んでも狼と旅してるんで、ひょっとするとこれはジャック・ロンドンしてしまうの??と心配していましたが、んなことなく、話は展開。 でも、その展開する話より、主人公が旅路で出会う人たちとの脱線部分が断然面白い! こんなにメキシコの人って、皆が皆、 世界のあり方や神との向き合い方、 己の越し方行く末を省察しているのかい?? 最近、ケータイサイトの検査で あまりに幼稚でどーでもいいコンテンツばかりで ケータイユーザーってこんなにお莫迦ばかりかい、 とヘコんでいる所だったので、尚更。

Posted byブクログ

2025/08/10

は!コーマックマッカーシーの「越境」をだいぶ前に読み終わったのに読んだを書いていない。さらに前に読んだ「すべての美しい馬」も。読書中にかなり消耗したし読後は気持ちが昂っているから寝かそうとしているうちに時間が経っちゃった。でも今でもあんまり書けないな。好きな作家なんだな

Posted byブクログ