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闇の奥 の商品レビュー

3.8

58件のお客様レビュー

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2011/01/04

未開の河を遡上して、文明から外れかけた西洋人の支配する混沌とした世界に入って行く物語。 『地獄の黙示録』の原案(?)だけあって、手探りで河を進む息苦しさがよく描かれています。

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2010/06/27

 20世紀の植民地支配・虐殺の歴史を知らないと、話の筋がつかめない。本書の解説を読んで、初めて理解できた部分も多かった。そのうえで本書の内容を思い返すと、かなり考えさせられる。というか、人間の心の奥の闇が垣間見えて、自分にも同じ闇があるかと思うと空恐ろしくなった。新訳版は、やはり...

 20世紀の植民地支配・虐殺の歴史を知らないと、話の筋がつかめない。本書の解説を読んで、初めて理解できた部分も多かった。そのうえで本書の内容を思い返すと、かなり考えさせられる。というか、人間の心の奥の闇が垣間見えて、自分にも同じ闇があるかと思うと空恐ろしくなった。新訳版は、やはり読みやすかったように思う。

Posted byブクログ

2010/04/21

西洋植民地主義の「闇」を描いたジョセフ・コンラッドの代表作。 よくこの本の感想で「結局一番怖いのは人だよね」なんていう安易な結論を見るが、実際に読めば「闇の奥」のさらに奥に広がる先が見えない奥深さがわかる。  ゴールディングの「蠅の王」もあわせて読むと相互に作用し合うものが多い...

西洋植民地主義の「闇」を描いたジョセフ・コンラッドの代表作。 よくこの本の感想で「結局一番怖いのは人だよね」なんていう安易な結論を見るが、実際に読めば「闇の奥」のさらに奥に広がる先が見えない奥深さがわかる。  ゴールディングの「蠅の王」もあわせて読むと相互に作用し合うものが多い。 誰が読んでも長いレポートが書ける、知的欲求を刺激する本。 光文社の古典新約じゃないと読むのしんどいと思う。

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2010/03/28

植民地時代のコンゴの奥地に深く分け入って行くと同時に、人間性の闇の奥に迷い込んで行く重層的な語りの物語。 ストーリーや思想を読むのではなく、感覚を味わう物語。 イメージに迷い込んで、宇宙の深淵に放り出されるよう。 植民地時代や文化を描いた物語では全く無い。

Posted byブクログ

2010/01/02

19世紀イギリスの作家、ジョゼフ・コンラッドの代表作。 船上の場面から始まり、これから大航海が幕を開けるのかと思いきや、そうではなくて男の独白の海に飲みこまれる。印象主義的な描写が難解で、ときどき立ち止まりそうになるが、船の上でマーロウの語りを聞いている一員になったつもりで、そ...

19世紀イギリスの作家、ジョゼフ・コンラッドの代表作。 船上の場面から始まり、これから大航海が幕を開けるのかと思いきや、そうではなくて男の独白の海に飲みこまれる。印象主義的な描写が難解で、ときどき立ち止まりそうになるが、船の上でマーロウの語りを聞いている一員になったつもりで、その圧倒的な語りのフローに身を委ねた。 コンゴへ赴いた当時のクルツは、高く見積もったところで「普通の天才」でしかなかっただろう。残された婚約者の心の中にいるクルツの姿はまさにそれだ。そんなクルツがコンゴ体験、すなわち「魔境 wilderness 」での体験を経て、例の最期の言葉、「恐ろしい!」に示されるような実存的真実を発見するに至る。この変化こそが「闇の奥 heart of darkness 」に潜んでいるものに他ならない。このドラマティックな変化を、マーロウの語りを通じてわれわれは追体験する。もちろんその衝撃の度合い、アクチュアリティは、クルツ自身のもの、マーロウが感じたもの、そしてわれわれ読者の順に小さくなってしまう。残念なことであるが、われわれも自ら「闇の奥」に足を踏み入れなければならない。 訳者が真摯に取り組んだ仕事なのだというのがよく分かる好訳。黒原敏行は信頼できる訳者である。

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2009/10/31

難解な小説と言われてましたが、「リーダブルな新訳」という帯の言葉につられて購入した。物語は、面白く、あっというまに読み終えました。昔見た「地獄の黙示録」の映像がちらつきます。

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2011/08/06

書評や広告で見かけて気になった本は”いつか読む本リスト”に残すようにしていて、読み終わると削除していくんだが、「闇の奥」は書店で見かけることがなく、かれこれ5年はリストに載ったまま。やっと手に取ったものの、どうしてこの本を読みたいと思ったのか、今では記憶も定かではなく、なにしろ怖...

書評や広告で見かけて気になった本は”いつか読む本リスト”に残すようにしていて、読み終わると削除していくんだが、「闇の奥」は書店で見かけることがなく、かれこれ5年はリストに載ったまま。やっと手に取ったものの、どうしてこの本を読みたいと思ったのか、今では記憶も定かではなく、なにしろ怖い本らしい、という印象だけ。作品が書かれたのは1899年。当時の人たちがアフリカをどう見ていたのか、現実にアフリカで何が起こっていたのか、を考えさせられる一冊。情報化が進む現代に生きる私でさえ、アフリカというのがどんなところなのか、実はあまりイメージできないけれど、「13(古川日出男)」を読んだ後に、この本にめぐりあったというのもきっと何かの縁に違いない。多少は、イメージを膨らませる助けになってくれた気がする。

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2009/10/07

単なるアフリカ冒険小説かなと思っていたのですが、なかなか難しい小説です。かといって読みにくくはないのですが、話がきれいにまとまらない所が難しい。そういうタイプの難しさです。作者はもとポーランド貴族で、船員をやり、小説家に転身した人物で、英文学と東欧文学の血脈をひいているそうです。...

単なるアフリカ冒険小説かなと思っていたのですが、なかなか難しい小説です。かといって読みにくくはないのですが、話がきれいにまとまらない所が難しい。そういうタイプの難しさです。作者はもとポーランド貴族で、船員をやり、小説家に転身した人物で、英文学と東欧文学の血脈をひいているそうです。語り手マーロウ、コンゴでやりたい放題をしていた象牙の略奪者クルツ、彼のことを何もしらないのに、全てを知っていると豪語する「幸せな」婚約者、道化のようなロシア人、狡そうな支配人、下劣な社員「巡礼たち」などが織りなす、文明と野蛮、植民地の悲惨、物語を消費する読者の内なる野蛮を考えさせられる作品です。解説も秀逸です。

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