神様のカルテ の商品レビュー
「一に止まると書いて、正しいという‥‥本当に正しいこというのは、一番初めの場所にあるのかもしれませんね」 信濃の病院に勤める医師、栗原一止と写真家のハル
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全ての人仕事にやりがいや誇りを持つ事が出来れば世界は変わるのだろう、と、何故かそんな事を思った。最後の"桜"には号泣。良い人達だ、本当に。
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友達曰く 「登場人物が全員聖人かと」 まさにそのとおり 漱石先生好きにはたまらない一冊 主人公一止の謙虚な生き方は見習いたい。 最後に主人公の妻ハルさんがかわいいと言っていた 私に女友達が言った一言 「こんな女いねーよ」
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表紙の絵がかわいかったのと、オビ見て買っちゃいました。 でも内容もよかった! こんな病院があればな、と 心があったかくなるね
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“補足をせねばなるまい。 私こと栗原一止は、本庄病院に勤務する五年目の内科医である。 信濃大学医学部を卒業したあと、単身、松本平の中ほどに位置するこの病院に我が身を投じた。以来、五年間働き続けている。本庄病院は病床数四百床で、同じ松本平にある信濃大学医学部付属病院の六百床には及ば...
“補足をせねばなるまい。 私こと栗原一止は、本庄病院に勤務する五年目の内科医である。 信濃大学医学部を卒業したあと、単身、松本平の中ほどに位置するこの病院に我が身を投じた。以来、五年間働き続けている。本庄病院は病床数四百床で、同じ松本平にある信濃大学医学部付属病院の六百床には及ばぬまでも、地方都市の一般病院としては相当に大きい。一般診療から救急医療まで、幅広い役割を果たす地域の基幹病院である。 ちなみに、私の話しぶりがいささか古風であることはご容赦願いたい。これは敬愛する漱石先生の影響である。学童期から『草枕』を愛読し、全文ことごとく暗誦するほど反読していると、こういうことになる。瑣末な問題のはずだが、世の人々はこの一事をもって私のことを変人と笑うのだから嘆かわしい。このような場合は、彼らの不寛容をこそ笑い飛ばせばよいのだ。” こんな良い本を読んだのは久しぶりだ。 まず、語り手が面白い。 夏目漱石を愛する彼の語り口調も喩え言葉も面白い。二ページ目にして思わず噴きだしてしまった。 また、一止とハルの愛し合いっぷりったらない。 この二人のやり取りを見てるだけで楽しくなってくる。 医療の世界の方面は少し難しかったけど、伝えたいことがわかってくる。 そして、患者さんと一止とのやり取りも、面白いのと泣けるのと。 安曇さんの手紙の場面なんかもう泣くしかないだろう。 “悲しむのが苦手”な一止にとってハルはかけがえのない心の拠り所なのだろう。 内容は深いけど、長さ的には短かった。 この人がまた作品を出すのなら、それはもう読むしかないだろう。 それが一止の物語であるのなら尚更のことである。 しかし、本当に良い物語だった。 “突然の珍客に戸惑った我々は、三者三様に無様な醜態をさらしただけであった。 「あの時、別の家を探しに戻ろうかって、少し本気で考えたんです」 「正常な判断だ。私がハルの立場なら、迷うことなく雨の中へ引き返していたであろう」 「でも」 細君はふいに顔をあげて私を見た。 「イチさんは、ずぶ濡れの私を見て、すぐにどこかに駆けだして行きました。そして戻ってきた時には、大きなタオルを一枚持ってきてくれましたね。それがとっても嬉しかったんです」 そう言って、細君は花が咲いたように明るく微笑んだ。 この笑顔に会えるなら、タオルの百枚や二百枚、万難を排して届けてみせようというものだ。胸中では破笑しつつも、とりあえず外面だけは気難しい顔をしている私の耳に、細君の澄んだ声が響いた。 「あの時イチさんが、真剣な顔をして言ってくれた言葉を今も覚えています」 「なにか言ったのか?」 細君は小さくうなずくと、私の声音をまねるように声を低めて、 「“大丈夫です、止まない雨はありませんから”って」 「支離滅裂だな」 「そんなことはありません」 ため息をつく私に、細君はぐいと手を引いて語を継いだ。 「だってびしょ濡れになって困っている私を、一生懸命励ましてくれているんだって、すごく伝わってきましたから。私、とっても感動したんですよ」 それが、私と未来の細君との初めての出会いであった。”
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仁の道徳本である。 とある先生から、最後の方で忘れかけていた気持ちに共感できるからと言われてお借りした。最初は一般受けする医療小噺や茶番劇で、最後の方も確かに正論ではあるが、現実として誰がこんなことを感じているんだと言わんばかりの桃源郷世界。今の若い医師はもっと現実的だし、死者に...
仁の道徳本である。 とある先生から、最後の方で忘れかけていた気持ちに共感できるからと言われてお借りした。最初は一般受けする医療小噺や茶番劇で、最後の方も確かに正論ではあるが、現実として誰がこんなことを感じているんだと言わんばかりの桃源郷世界。今の若い医師はもっと現実的だし、死者にいちいちこんな感情をいだいている暇がないのが現実なのだ。しかも描かれているのは内科医の心。外科医の心とは違うと思う。しかし、このような気持ちを持って患者に、医療に当らなくてはならないというのは正論であり、いわば道徳の教科書である。医学生に読ませるにはいいかも。
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心が満たされていない今日この頃 本屋に立ち寄ると 「奇蹟が起きる」「心が温かくなる」 というフレーズを見て なんとなく買ってしまった 感想はまた後ほど
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信州の松本平の医療の話。 地方医療の大変さや問題を描きつつも、面白おかしく書かれていて、楽しく読めた。 面白いのに感動できる。いい本だった。
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こんなに優しいお医者さんが、いつまでも活躍できる医療現場であって欲しい。 そう願わずにはいられません。 あっさりした文体で、気楽に読めます。主人公は癖のあるしゃべり方をしますが、すぐに慣れてしまうし。 けれど、サクサクと読ませながらも、物語の底の方に医師としての理想や現代医療の...
こんなに優しいお医者さんが、いつまでも活躍できる医療現場であって欲しい。 そう願わずにはいられません。 あっさりした文体で、気楽に読めます。主人公は癖のあるしゃべり方をしますが、すぐに慣れてしまうし。 けれど、サクサクと読ませながらも、物語の底の方に医師としての理想や現代医療の問題点が隠されているように感じます。 とてもいい作品。多くの人に読んで欲しいです。 感動したけど、もうちょっと重い作品の方が好きなので、星は4つにしてあります。
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栗原一止は信州の小さな病院で働く、悲しむことが苦手な内科医である。ここでは常に医師が不足している。 専門ではない分野の診療をするのも日常茶飯事なら、睡眠を三日取れないことも日常茶飯事だ。 そんな栗原に、母校の医局から誘いの声がかかる。大学に戻れば、休みも増え愛する妻と過ごす時間が...
栗原一止は信州の小さな病院で働く、悲しむことが苦手な内科医である。ここでは常に医師が不足している。 専門ではない分野の診療をするのも日常茶飯事なら、睡眠を三日取れないことも日常茶飯事だ。 そんな栗原に、母校の医局から誘いの声がかかる。大学に戻れば、休みも増え愛する妻と過ごす時間が増える。最先端の医療を学ぶこともできる。 だが、大学病院や大病院に「手遅れ」と見放された患者たちと、精一杯向き合う医者がいてもいいのではないか。 悩む一止の背中を押してくれたのは、高齢の癌患者・安曇さんからの思いがけない贈り物だった。
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