あした咲く蕾 の商品レビュー
朱川さんの描くノスタルジー&ホラー小説が好きなんですが。 今回の短編集『あした咲く蕾』は大きく裏切られました!! しかも、嬉しい意味で!! 不思議な出来事は起きるものの、恐怖を覚えるほどの事は無いし。 朱川さんの小説は「恐いから苦手」という人でも、この本は平気です! 全編、(強...
朱川さんの描くノスタルジー&ホラー小説が好きなんですが。 今回の短編集『あした咲く蕾』は大きく裏切られました!! しかも、嬉しい意味で!! 不思議な出来事は起きるものの、恐怖を覚えるほどの事は無いし。 朱川さんの小説は「恐いから苦手」という人でも、この本は平気です! 全編、(強いてあげれば重松清さんチックな)感動作品です。
Posted by
根岸、日暮里、三河島、谷中、宮ノ前…。山手線の1時から2時の方向あたりの地名が並び、そこで20年から30年あまり前に起こったささやかな出来事を、人生の半ばを過ぎた辺りの男女が回想する短編が並ぶ。朱川氏ならではの、ノスタルジックで少し心の痛みを伴うような話ばかりだ。その時代のその場...
根岸、日暮里、三河島、谷中、宮ノ前…。山手線の1時から2時の方向あたりの地名が並び、そこで20年から30年あまり前に起こったささやかな出来事を、人生の半ばを過ぎた辺りの男女が回想する短編が並ぶ。朱川氏ならではの、ノスタルジックで少し心の痛みを伴うような話ばかりだ。その時代のその場所は残念ながら知らないが、今のその場所が身近にハッキリとわかるだけに、20年・30年前、そこで暮らしそこで生きていた人々の人生もなんだかとても身近に感じられた。こういう場合7つの短編のうちどれが好きか書くモノのようだから書いてみよう。「虹とのら犬」がいちばん好きだ。自分にも当てはまるストーリーだということもあるが、それ以上に“ほのかな柑橘系の虹のにおい”という表現に驚いた。虹を見上げた時の気持ちと目に入った色彩から感じたものを柑橘系の匂いと表現するとは…。紅茶に浸したマドレーヌの味でタイムリープしてしまった誰かのようだが、それ以上に美的感覚溢れる表現だ。この部分だけで☆4個っす。「花、散ったあと」「カンカン軒怪異譚」も、むかしは男の子だった自分としては共感を感じる。実は「空のひと」も好きなのだが、むかし女の子だった方はこの話に共感するのだろうか?久々の朱川氏でしたが、相変わらず電車本には不向きな、涙腺に刺激の強い内容でした。
Posted by
+++ 「赦されること」と「受け入れられること」それがこの世の中で、一番うつくしいことだと思いませんか。世界一、うつくしい物語。 +++ 表題作のほか、「雨つぶ通信」 「カンカン軒怪異譚」 「空のひと」 「虹とのら犬」 「湯呑の月」 「花、散ったあと」 +++ ホラー臭はなく...
+++ 「赦されること」と「受け入れられること」それがこの世の中で、一番うつくしいことだと思いませんか。世界一、うつくしい物語。 +++ 表題作のほか、「雨つぶ通信」 「カンカン軒怪異譚」 「空のひと」 「虹とのら犬」 「湯呑の月」 「花、散ったあと」 +++ ホラー臭はなく――ちょっとした不思議は起こるが――心温まる物語集である。いまよりものんびりしていた昭和の頃を思い返す物語が多いのも、効果的である。大切な人と不思議な力。切なくあたたかい一冊だった。
Posted by
「鉄道員」(ぽっぽや)/浅田次郎のような不思議で切ない感じの短編集。 あした咲く蕾 雨つぶ通信 カンカン軒怪異譚 空のひと 虹とのら犬 湯呑の月 花、散ったあと
Posted by
ひとつひとつはいいのに、同じような話を集めたからか、あ、またか、と思ってしまう。当時の事件や流行モノをさりげなくいれてるところもさりげなく感じなくて。不気味なのがもっとあってもよかったなあ。「湯呑みの月」がそれ風味だった。文章は落ち着いてて味わい深い。やっぱ表題作が朱川さんらしく...
ひとつひとつはいいのに、同じような話を集めたからか、あ、またか、と思ってしまう。当時の事件や流行モノをさりげなくいれてるところもさりげなく感じなくて。不気味なのがもっとあってもよかったなあ。「湯呑みの月」がそれ風味だった。文章は落ち着いてて味わい深い。やっぱ表題作が朱川さんらしくて好き。笑って泣かせて最後は泣き笑い。電車の中で読んでて涙が溢れるの我慢して鼻も喉もツーンとなって辛かったわ。
Posted by
小説のジャンルでホラーファンタジーは反則でしょ、とは私オンリーの意見かもしれませんけど。しみじみいいなぁという読み始めの印象があの魔術やら超能力やらで半減。いいままで普通に・・・
Posted by
朱川さんお得意のノスタルジックホラー短編集。 でもホラーっていうよりはちょっと不思議なお話を集めたものばかりです。昭和30年代後半生まれの僕にとってはこの短編集はどれも懐かしさとほろ酸っぱさを思い出させてくれてジーンときました。 ちょっと切なくてホロ苦くてとっても温かくて優しい人...
朱川さんお得意のノスタルジックホラー短編集。 でもホラーっていうよりはちょっと不思議なお話を集めたものばかりです。昭和30年代後半生まれの僕にとってはこの短編集はどれも懐かしさとほろ酸っぱさを思い出させてくれてジーンときました。 ちょっと切なくてホロ苦くてとっても温かくて優しい人と人との物語。 ほんわかとした温もりの余韻に心地よさを感じながら。
Posted by
切なく温かな短編集。わりと毒気のある…というか、後味の悪いものもあったりする朱川作品ですが(苦笑)、今回のは全編通して穏やかな話が集められていてよかったです。『空のひと』が好みでした。
Posted by
今作はう〜ん。感想が難しいな。好きは好きなんだけど、設定が似ている話が多くて、一気に読んで、いざ感想を書こうと(今です)したら、物語を混同してる…。あれ、体弱いのは天使だっけ?父が蒸発したのってどれだっけ…。そもそも父、蒸発したのか?といった具合に頭の中がぐるぐるぐるぐる。 ...
今作はう〜ん。感想が難しいな。好きは好きなんだけど、設定が似ている話が多くて、一気に読んで、いざ感想を書こうと(今です)したら、物語を混同してる…。あれ、体弱いのは天使だっけ?父が蒸発したのってどれだっけ…。そもそも父、蒸発したのか?といった具合に頭の中がぐるぐるぐるぐる。 「空のひと」は一番好きな話で、これはしっかり頭に残ってます。
Posted by
朱川さんの持ち味の昭和テイストは同じ風味ながら、今回はホラーというより超能力の色合いが強かったかな。短編7品で、私は「カンカン軒怪異譚」が一番好きでした。元気がない人しか、入って食べよう、という気にならない町の中華料理屋さん。カンカンというのは、そこのオウナー軒コックさんであるお...
朱川さんの持ち味の昭和テイストは同じ風味ながら、今回はホラーというより超能力の色合いが強かったかな。短編7品で、私は「カンカン軒怪異譚」が一番好きでした。元気がない人しか、入って食べよう、という気にならない町の中華料理屋さん。カンカンというのは、そこのオウナー軒コックさんであるおばちゃんが、ネギ卵チャーハンを作るときに、フライパンをカンカンを叩く音なのですが、まずは、そのチャーハンの美味しそうなこと。そして、実際に食べた後に、「体の中が熱くなるような高揚感」の描写には上手いなぁ、と。ネタバレですおばちゃんがアクシデントに見舞われた時、身代わりになってくれたフライパンの描写には素直に感動しました。また、表題作の「あした咲く蕾」では、命をわけてあげる能力を持つ女性という設定そのものにはちょっと入り込めなかったけど、(なんでだろ、いい話なんだけど、もう少し丁寧に書いてもらいたかったのかも)雨の中拾われた捨て猫が今現在34歳!!!で元気である、というオチには、映画「グリーンマイル」を思い出しつつ、やはり感動。ネタばれ終わり・・・ただ、短編7つの中には結構凸凹があったような。正直、私は前作の「本日サービスデー」のほうが好きでした。
Posted by