追想五断章 の商品レビュー
時は平成4年。父が亡くなり、大学を休学中の菅生芳光は、 伯父の営む古書店に居候をしながら復学を諦めきれずに いました。 ある日店にやってきた女性客・北里可南子が探していた 雑誌を芳光が見つけたのをきっかけに、報酬目当てで 本探しの依頼を受けることになります。 それは可南子の亡くな...
時は平成4年。父が亡くなり、大学を休学中の菅生芳光は、 伯父の営む古書店に居候をしながら復学を諦めきれずに いました。 ある日店にやってきた女性客・北里可南子が探していた 雑誌を芳光が見つけたのをきっかけに、報酬目当てで 本探しの依頼を受けることになります。 それは可南子の亡くなった父が書いた、5つの小説を 探し出すと言う依頼。芳光は調査を進めるうちに、22年前に あった「アントワープの銃声」と呼ばれる事件の存在を 知り・・・ ライトノベル出身の著者が初めて少年少女が主人公ではない 長編ミステリを書いた、ということが売り文句となっていました。 もともとこれまでも、甘さのない落ち着いたタッチで書いていた 著者でしたが、この作品はさらに「渋い」。 ミステリよりサスペンス色がちょっと増している感じです。 作中の5つの小説が ちょっと読むのが辛くなるような (死刑とか、生贄とか・・・)感じなのですが、なぜそのような 小説なのかが、後半明かされていきます。 松本の七夕祭りも効果的に使われていました。 実際松本を訪れたことがあるので、すごくよく分かりました。 読後に気持ちがスカッとしたりする話ではありませんが、 じっくり読ませ、読後も色々と思ってしまう、そんな余韻を 残す作品です。
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私の評価基準 ☆☆☆☆☆ 最高 すごくおもしろい ぜひおすすめ 保存版 ☆☆☆☆ すごくおもしろい おすすめ 再読するかも ☆☆☆ おもしろい 気が向いたらどうぞ ☆☆ 普通 時間があれば ☆ ...
私の評価基準 ☆☆☆☆☆ 最高 すごくおもしろい ぜひおすすめ 保存版 ☆☆☆☆ すごくおもしろい おすすめ 再読するかも ☆☆☆ おもしろい 気が向いたらどうぞ ☆☆ 普通 時間があれば ☆ つまらない もしくは趣味が合わない 2010.7.20 読了 星4つでもいいくらいでしたが、再読はしたいと思わないので、この評価にしました。 おどろおどろしい殺人事件が起こるわけでもなく、密室や孤島も出てこないけれど、ミステリーに有って欲しい、ある種の謎めき感を感じる。 古本屋の居候が、依頼された五つの掌編を探して行くうちに・・・ という話だけど、最近のミステリーにない、大正昭和のような独特の暗さや哀しさで、何かこう、沈んでいく感じが好きです。 掌編の質やその結末の扱いのところでは、う~んっていう気はしますが、面白かったです。
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悲愴とか、悲劇とか、そういったものではなく、運命なのだろうと思った。 結末まで謎を含めるミステリーは面白かった。 また、小説に小説を含める所が米澤さんらしいと思った。 そして、五断章だけあって五つのストーリがあって繋がるのですが、その五つの小出し攻撃が結構効くのです。 この本...
悲愴とか、悲劇とか、そういったものではなく、運命なのだろうと思った。 結末まで謎を含めるミステリーは面白かった。 また、小説に小説を含める所が米澤さんらしいと思った。 そして、五断章だけあって五つのストーリがあって繋がるのですが、その五つの小出し攻撃が結構効くのです。 この本を手にとって感動したのは中表紙。 表と裏は微妙にちがうのです。 製本もがっちりしていて、外も中も完成度高いところが、ハードとして買った喜びもありました。
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結果はなんとなく読めても、持って行き方が絶妙。一気読みするほどじゃないけど、不思議な魅力の漂う作品でした。ただ、全体的な薄暗さと曖昧な部分が残っているせいか、読後感は爽やかとまではいかない。
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家の事情で大学に通えなくなった主人公、商売にやる気を無くしてしまった主人公の伯父、幼い頃の自分の行動に苦しめられる可南子、えん罪なのに反論できない可南子の父。みんな自分ではどうしようもないことに日々少しずつ絶望していくような。 芳光が古本屋の仕事に希望を見いだして継いでいったりし...
家の事情で大学に通えなくなった主人公、商売にやる気を無くしてしまった主人公の伯父、幼い頃の自分の行動に苦しめられる可南子、えん罪なのに反論できない可南子の父。みんな自分ではどうしようもないことに日々少しずつ絶望していくような。 芳光が古本屋の仕事に希望を見いだして継いでいったりしたらいいなと思ったけどやっぱりそんなことはなかった。読み終わってすこし哀しくなった。
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米澤穂信さんてすげえ人だ!と改めて思った。 読後感はそんなによくないものの、素晴らしいと感じた作品。 あれ、これってもしかして… と思った時の胸のざわめきが今も蘇る。
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大学を休学して叔父の古本屋に居候する芳光は父親の遺した5編のショートストーリを捜す依頼を受ける。依頼の裏に「アントワープの銃声」事件があり、作品が結末を伏せたリドルストーリーで、と地味な始まりからの以外な展開。ショートストーリー5編がどれも面白いが、どこか聞いたことがあり全くのオ...
大学を休学して叔父の古本屋に居候する芳光は父親の遺した5編のショートストーリを捜す依頼を受ける。依頼の裏に「アントワープの銃声」事件があり、作品が結末を伏せたリドルストーリーで、と地味な始まりからの以外な展開。ショートストーリー5編がどれも面白いが、どこか聞いたことがあり全くのオリジナルではなさそう。アントワープの銃声事件の顛末も聞いたことがある。これって、TVの脚本で使われたことがあるのか? 妙な所帯臭さ(公衆電話の10円玉の消費速度、一晩置いたカレーの旨さ)がバブル崩壊直後の時代設定というより昭和の苦学生のようで、違和感。
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探し出された五つの小説がそろうと隠されていた古い真実があぶりだされる。発想としてはおもしろかったけれど、人物がみんな中途半端な気がして★3個。
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綺麗に纏まっている。そして、この苦さこそ米澤穂信である。 作中の「ある男」に感情移入できるかどうかで、評価が大きく左右される物語だろう、という感想を見て、確かにと思った。 誰もが華やかな物語の主役になどなれる筈がなかった。しかし、物語の主役にすら苦境はある。
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『5つのリドルストーリー』を探すお話です。 作中小説も、とある事件の手がかりとなっています。家族愛と自尊心のせめぎ合いが根底にありました。 相変わらずの米澤節で、無気力な主人公、救われない結末。 感想を聞かれたならば、いつものように「楽しくはないけれど面白かった」と答えます。 た...
『5つのリドルストーリー』を探すお話です。 作中小説も、とある事件の手がかりとなっています。家族愛と自尊心のせめぎ合いが根底にありました。 相変わらずの米澤節で、無気力な主人公、救われない結末。 感想を聞かれたならば、いつものように「楽しくはないけれど面白かった」と答えます。 ただ、個人的には序章はなくても良かったかな。 あの序章を載せるなら、結末は読み手に委ねて構わなかったかもしれません。そういう物語だったから。
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