太陽を曳く馬(下) の商品レビュー
面白かった。面白かったが…正直語られていることの半分も理解できていない。禅問答的な長文での会話と、旧字体の手紙が本書の半分程度を占めている。なのになんでこれを面白いと思うのか?不思議。一度諦めた春子情歌も今なら読めるかな。
Posted by
上巻で広げまくった宗教、芸術、思想などの風呂敷をどう畳んでいくのかとワクワクして読むが、オウムの辺りから仏教世界の深みにどんどん入り込んでいく。 立ち尽くす合田さんを見て、ああ、これがこの話のクライマックスなんだなあと納得はするものの、私の浅薄なサブカル知識では太刀打ちできず。筆...
上巻で広げまくった宗教、芸術、思想などの風呂敷をどう畳んでいくのかとワクワクして読むが、オウムの辺りから仏教世界の深みにどんどん入り込んでいく。 立ち尽くす合田さんを見て、ああ、これがこの話のクライマックスなんだなあと納得はするものの、私の浅薄なサブカル知識では太刀打ちできず。筆者の親切な誘導でなんとなくの筋は追え、福澤さんの手紙で感情的な解決はこれもなんとなくできたので満足ではあるが、結局自分の不勉強さを恥じ入るばかりである。
Posted by
下巻にきて上巻の冒頭に事件(といっていいか疑問ではあるが)が進んでいく。実にささいなことでありながら、これを普遍化し非日常との対話が延々と続いていく。ここで書かれていることが、これがフィクションである以上筆者の意見そのものかどうかはわからないところがありつつ、むずかしいことをこち...
下巻にきて上巻の冒頭に事件(といっていいか疑問ではあるが)が進んでいく。実にささいなことでありながら、これを普遍化し非日常との対話が延々と続いていく。ここで書かれていることが、これがフィクションである以上筆者の意見そのものかどうかはわからないところがありつつ、むずかしいことをこちらが理解できるように引っ張っていくのは見事としかいいようがない。俗にある推理小説のトリックとか謎解きとはほとんど無縁の世界で、エンドはつらつらとまた上巻にあった人物の語りで終わったとき、この本が書かれた時代で自分は何をやっていただろうと振り返る自分がいた。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
かなり時間がかかりながらも読了。 主人公がすっかり事勿れになってしまったかと思いきや、下巻の出だしで早速上司の不興をかっていて笑ってしまった。定年まで大過なく過ごせるのかと心配になるが、お歳暮の増額は忘れないらしい。 精神不安定でしょっちゅう自分にダメ出し、安定の繊細さにもかかわらず、対外的には切れ者の刑事で、それなのに今一つ世渡り下手で不器用なところは変りなく、合田ファンとしては安心。 事故が起きる背景となった、異物である末永と他の雲水たちとの軋轢を明らかにするには、禅宗とオウムの宗教としての違い、それに対する各人の解釈が出てくるのは当然なのだが、深すぎて所々しか理解が及ばなかった。 そして、それとは別次元となる寺の存続としての思惑や諸々。とりあえず浮世離れして見える明円が食えなさすぎる化け物だったということ? 末永のたどり着いた先が、自分の問いへの答えを得る事ではなく、周囲との溝に自らの病の結果の事故(なのだろうか)。 ひたすら生きにくかったであろう彼の人生を思うと切ない。 物語の流れを追うのに精一杯で内容を理解しきれていないため、間違った解釈や理解をしているだろうとは思いつつ、私には難解で再読するのはちょっと難しいかも…。残念。
Posted by
「晴子情歌」「新リア王」に連なる福澤一族の物語、3部作の最終章は彰之と秋道(シュウドウ)父子の物語であり、合田雄一郎の魂の彷徨の物語でもある。 彰之の息子・秋道は画家となり、前作から10年後、同居する女性と隣人を玄翁で殴打し殺害、女性が産み落とした嬰児も見殺しにした。 その3年...
「晴子情歌」「新リア王」に連なる福澤一族の物語、3部作の最終章は彰之と秋道(シュウドウ)父子の物語であり、合田雄一郎の魂の彷徨の物語でもある。 彰之の息子・秋道は画家となり、前作から10年後、同居する女性と隣人を玄翁で殴打し殺害、女性が産み落とした嬰児も見殺しにした。 その3年後、彰之が初代代表を務めていた東京の修行施設「永劫寺サンガ」で、一人の僧侶が修行中に道路に飛び出しトラックに撥ねられ亡くなるという事故が起きた。 秋道の事件で彼を逮捕・送致した合田雄一郎は、刑事告訴された永劫寺の調査を命じられ、今また、福澤彰之と対面することになる。 殺人事件、謎の事故と一見ミステリーのような体を見せながら、9.11のテロ、オウム真理教による事件、宗教法人の姿、司法の権力などの時代背景も盛り込み、重く、熱く、物語は予期せぬ方向へと進んでいく。 言葉を尽くして美術、思想、宗教の深みをこれでもかと追究し、オウム真理教の宗教性に正面から斬り込む展開に、「事件はどうなったの?」と迷子になりながらも振り落とされないようにしがみついて行く。 合田雄一郎は出て来るけど、今までとは全く違う様相。雄一郎はといえば、永劫寺の管理責任の有無を問う調査にあたり、しっかり「正法眼蔵」を予習し、僧侶たちとガチで問答をしたあげく、検察官に「言語の意味作用」とか「表象する主体」と意味不明(←検事の言)の報告書を上げて、「いっそ警察なんか辞めたらどうです?」となじられ、挙句、税金の無駄使い呼ばわりされる始末。 亡き妻、死刑囚、事故死した僧侶の死に何故を問い続ける雄一郎と、死刑囚の息子を最後まで理解しようと思考し続け手紙を送り続ける彰之。それぞれの場所に、否、もしかすると生きて今この世にあるということにすら馴染めていないような二人はどこか似ていて、愛おしい。そんな不器用な生き方しかできない雄一郎が大好きだ~! 晴子、栄、彰之、秋道親子三代の壮大な物語。足掛け2月かかって終了しました。ふう
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
僧侶たちが話す。オウムについて。てんかん持ち僧侶が死んだ晩について。 刑事事件とは立件できない。世田谷一家殺人事件に駆り出されるゆうちゃん。 さいごは、息子の秋道君にあてた手紙。 難しい。いきなりこれを読んだからか? 最初から読もうかな・・・
Posted by
(上巻より) ほぼ難しくてわからなかった。 あまりに続く宗教論議に、 なんの事件だったか、殺されたのは誰だったのか、 わからなくなるぐらい。 はたして、 殺人事件にからませる必要はあったのだろうか。 この本を読んだすべての人の忍耐力に幸あれ。
Posted by
合田と福澤が合流する、彰之シリーズ最終章。芸術と殺人、宗教の対話を通して一人の僧侶が遂げた謎の死の真相を浮かび上がらせる。宗教の教義の話は特に難解で作者はこれを書くのに相当勉強したのだろうなぁと推測する。詳細→http://takeshi3017.chu.jp/file7/nai...
合田と福澤が合流する、彰之シリーズ最終章。芸術と殺人、宗教の対話を通して一人の僧侶が遂げた謎の死の真相を浮かび上がらせる。宗教の教義の話は特に難解で作者はこれを書くのに相当勉強したのだろうなぁと推測する。詳細→http://takeshi3017.chu.jp/file7/naiyou6708.html
Posted by
わかるとか、わからないとかを求められていない。 とにかく引き込まれて最後には涙が溢れた。 やはり、装丁が素晴らしい。
Posted by
上巻は流し読み。下巻はすごい。簡単にいうとオウム真理教の話です。ヨガや後期密教における気味の悪い身体行法が何を目指していたのか。それらを妙にキャラ立ちした僧侶たちがディスカッションする。
Posted by