コインロッカー・ベイビーズ 新装版 の商品レビュー
数年前に購入したこの1冊ですが、 文章が途切れることなくギュッと詰まっていて さらには場面も情景もよく分からず、誰のいつの話だろうと思うこともしばしばあり 何度か読んではみたものの、途中で挫折して……を繰り返しつつもやっと最後まで読み終えました 読み続けのにはかなりのエネルギーが...
数年前に購入したこの1冊ですが、 文章が途切れることなくギュッと詰まっていて さらには場面も情景もよく分からず、誰のいつの話だろうと思うこともしばしばあり 何度か読んではみたものの、途中で挫折して……を繰り返しつつもやっと最後まで読み終えました 読み続けのにはかなりのエネルギーが必要だと感じた1冊 読み進める事自体が大変ではあったけれど、現代文学の傑作という点に置いては妙に納得した1冊でした
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ダチュラを使用した後の世界観がウォーキングデッドのようで、破滅後の世界の表し方がお見事としか言いようがない。ハシの最後の"歌"も地獄の始まりのようで、この先のストーリーが作れそうな締めで面白かった。
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私はものごとを二元論で考えてしまうことが多い 相反するものを内にするのは“幅”になって良いこともあるけれど、私の場合「だからこちらはダメかも」と優劣をつけて対立させてしまう この小説も途中までそんなふうに読んでいた 身体性と精神性 動と静 男性性と女性性 能動と受動 外と内 生...
私はものごとを二元論で考えてしまうことが多い 相反するものを内にするのは“幅”になって良いこともあるけれど、私の場合「だからこちらはダメかも」と優劣をつけて対立させてしまう この小説も途中までそんなふうに読んでいた 身体性と精神性 動と静 男性性と女性性 能動と受動 外と内 生と死 近ごろ「対立させるのではなくて包括的に考えることはできないだろうか」と思っている 黒と白の間ではなくて、黒も白も内包する考え方はできないだろうか 途中で対立させながら読んでいることに気づき、気づいたときにはキクがダチュラを手にする旅に出て、ハシは歪んだ自分の泣き顔に「どこに行っていたんだよ、捜したんだよ」と話しかけていた 「なんだ、全部内包されている小説だったんだ」とわかったあと、ダチュラですべてぐちゃぐちゃになって、清々しい気分だった 以前読んだときは、今まで読んだことのある村上龍作品に通じる「閉塞感の打破」を意識して読んでいたと思う 1980年の小説だけど、いまだコインロッカーの中にいる気がしている ダチュラで世界を壊したい ダチュラで壊れた世界で怒りたい ダチュラで壊れた世界で生きることを決意したい ネットの情報は玉石混交とは言いますが、すごい書評を見つけると震えますね なぜダチュラが深海にあるのか なぜキクはダチュラを高層から撒くのではなく、地面に撒いたのか こんな考察を読んで、なるほど、ただの閉塞感の打破ではないということかと感心する そして、今こそ下からの突き上げるような打破が必要なことなんだろうなと思う
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村上龍というと、若い頃に読んだ時は難解なイメージがあったが、歳のせいかそうでもなかった。 想定外の展開が次々と巻き起こり、破滅に向かっていくさまは世紀末を思い起こさせる。
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あまり音楽は詳しくないけど、 これをロックと言うんだろうなと感じた。 鳴り響く、叫びのような音たち。 それは時として耳を塞ぎたくなるくらいの 激しいボリュームで奏でられ とても一気に読むことが出来なかった。 私にとってとても新鮮な読書体験だった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
メンタルが病んでいると吐きそうになるくらい、狂った感情に満ちている。あまりに目まぐるしい場面描写にここがどこかわからなくなる。でも、キクとハシの生き様最後まで見届けたい。金原ひとみさんの解説もよかった。
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世界観 とかよく言うけど、作者の世界に本当に入り込んだ感じ。 完全に虚構だとわかっているのに何故かめちゃくちゃリアルに感じて、それがすごく恐かった。 文字だけなのに、色も匂いもないのに、ここまでリアルなのって本当にすごい。 お金をかけてどんなにすごいCGを作ったとしても、この本を...
世界観 とかよく言うけど、作者の世界に本当に入り込んだ感じ。 完全に虚構だとわかっているのに何故かめちゃくちゃリアルに感じて、それがすごく恐かった。 文字だけなのに、色も匂いもないのに、ここまでリアルなのって本当にすごい。 お金をかけてどんなにすごいCGを作ったとしても、この本を表す映像は作れないと思う。それってつまり文学の最高峰ということかもしれない どうやって書いたんだろう。って本を読んでいてよく思うけど、今まで思った中でも一味違った。
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読んでる間と読み終わった後も余韻がすごい。キクとハシの必死で生きようとしている様が素晴らしかった。親に捨てられコインロッカーで生まれた2人は同じ境遇ではあるがそれぞれの葛藤があり生きていくということはこんなにも大変なんだなと思った。ハシの誰かに必要とされたかったというのは共感する...
読んでる間と読み終わった後も余韻がすごい。キクとハシの必死で生きようとしている様が素晴らしかった。親に捨てられコインロッカーで生まれた2人は同じ境遇ではあるがそれぞれの葛藤があり生きていくということはこんなにも大変なんだなと思った。ハシの誰かに必要とされたかったというのは共感する点であり全部の人間は不必要なんだと話している場面は悲しい気持ちになった。アネモネの鰐のいる部屋はどのくらい大きいのか気になった。
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我々読者もまたコインロッカー・ベイビーズなんだ。 初めから終わりまで、ずっとエネルギーに満ち溢れて少し怖かった。 毛色は違うと思うけど、途中から頭の中でアジカンの曲が流れて開放を叫び続けていた。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
村上龍2冊目!2冊目に読むなら…ということで口を揃えて本作をお勧めされるのでこちらを、ようやく!『限りなく透明に近いブルー』も面白かったけど、こちらも面白かったなー面白かったけど、どっちが好きかと言われたらとても悩むな…。悩んで『限りなく透明に近いブルー』と言う気がするなあ~~笑 キャラクターは本作の方が好きというか、アネモネが好き!「まじめな女の子には魅力がないから、あたしはまじめになりたくないわ」(p.452)生涯真面目な女の子やってきた気がするので、今から遅すぎるけど真面目じゃない女の子やりたいもんな… ハシの歌、音楽について 「…お前は音の質感を巧みに操作して奇妙な雰囲気を作り上げるのがうまい、いや、雰囲気を作るんじゃないな、真空状態にするんだ、気圧の無い空洞を聞く者の頭の中に開ける、お前の歌を聴く奴が不思議な白昼夢を見るのは、その空洞が記憶の破片を吸い込んでしまうからだ…麻薬と同じだ、だが群衆を支配しある高みに突き上げるためには麻薬だけでは足りない、爆弾が必要だ、聴衆が麻薬で築いた白昼夢を一瞬に吹き飛ばす爆弾が要るんだ…」(p.372) 「…歌や声が熱を帯びると、どういう訳か聴く者を興奮させるタイプの人間がいる、そんな人の声には宗教的な響きがある、祈りとか呪いが無意識のうちに込められてるんだ…」(p.375) 頭が狂うような体験は確かに文章でもないことはないのだけど、音楽の方が圧倒的で、きっとそれはドラッグとかもそうなのだろうなと推察する。その音楽の不思議な思考を奪う支配力、薫り、魔力をハシに与えているのは陳腐と言えば陳腐なのだけど。あとそれから心臓の音、胎児のときに聞いた母の心拍音がカギになるというのも、今考えるとアニメの設定~~ってなるけど、本作が始まりだったといわれると感慨深い。なんかエヴァとか影響受けてそう。 途中まで、安部公房の『第四間氷期』のような感覚を得ていたのだけど、最後は何か違うものに落ち着いた。これが『コインロッカー・ベイビーズ』みと呼べるものなのだろう。
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