コインロッカー・ベイビーズ 新装版 の商品レビュー
読んでる間と読み終わった後も余韻がすごい。キクとハシの必死で生きようとしている様が素晴らしかった。親に捨てられコインロッカーで生まれた2人は同じ境遇ではあるがそれぞれの葛藤があり生きていくということはこんなにも大変なんだなと思った。ハシの誰かに必要とされたかったというのは共感する...
読んでる間と読み終わった後も余韻がすごい。キクとハシの必死で生きようとしている様が素晴らしかった。親に捨てられコインロッカーで生まれた2人は同じ境遇ではあるがそれぞれの葛藤があり生きていくということはこんなにも大変なんだなと思った。ハシの誰かに必要とされたかったというのは共感する点であり全部の人間は不必要なんだと話している場面は悲しい気持ちになった。アネモネの鰐のいる部屋はどのくらい大きいのか気になった。
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我々読者もまたコインロッカー・ベイビーズなんだ。 初めから終わりまで、ずっとエネルギーに満ち溢れて少し怖かった。 毛色は違うと思うけど、途中から頭の中でアジカンの曲が流れて開放を叫び続けていた。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
村上龍2冊目!2冊目に読むなら…ということで口を揃えて本作をお勧めされるのでこちらを、ようやく!『限りなく透明に近いブルー』も面白かったけど、こちらも面白かったなー面白かったけど、どっちが好きかと言われたらとても悩むな…。悩んで『限りなく透明に近いブルー』と言う気がするなあ~~笑 キャラクターは本作の方が好きというか、アネモネが好き!「まじめな女の子には魅力がないから、あたしはまじめになりたくないわ」(p.452)生涯真面目な女の子やってきた気がするので、今から遅すぎるけど真面目じゃない女の子やりたいもんな… ハシの歌、音楽について 「…お前は音の質感を巧みに操作して奇妙な雰囲気を作り上げるのがうまい、いや、雰囲気を作るんじゃないな、真空状態にするんだ、気圧の無い空洞を聞く者の頭の中に開ける、お前の歌を聴く奴が不思議な白昼夢を見るのは、その空洞が記憶の破片を吸い込んでしまうからだ…麻薬と同じだ、だが群衆を支配しある高みに突き上げるためには麻薬だけでは足りない、爆弾が必要だ、聴衆が麻薬で築いた白昼夢を一瞬に吹き飛ばす爆弾が要るんだ…」(p.372) 「…歌や声が熱を帯びると、どういう訳か聴く者を興奮させるタイプの人間がいる、そんな人の声には宗教的な響きがある、祈りとか呪いが無意識のうちに込められてるんだ…」(p.375) 頭が狂うような体験は確かに文章でもないことはないのだけど、音楽の方が圧倒的で、きっとそれはドラッグとかもそうなのだろうなと推察する。その音楽の不思議な思考を奪う支配力、薫り、魔力をハシに与えているのは陳腐と言えば陳腐なのだけど。あとそれから心臓の音、胎児のときに聞いた母の心拍音がカギになるというのも、今考えるとアニメの設定~~ってなるけど、本作が始まりだったといわれると感慨深い。なんかエヴァとか影響受けてそう。 途中まで、安部公房の『第四間氷期』のような感覚を得ていたのだけど、最後は何か違うものに落ち着いた。これが『コインロッカー・ベイビーズ』みと呼べるものなのだろう。
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暴力的で破壊衝動に満ちた物語、モノローグと台詞が混然一体となった文体、悪趣味に感じられるほど嗜虐的な描写、どれもこれもクセが強くて乗りこなすには気力も体力も必要となる非常にピーキーな小説だ。 初めて読んだ時は、そのエネルギーに圧倒された。ちょっとしたひずみで簡単に壊れてしまいそう...
暴力的で破壊衝動に満ちた物語、モノローグと台詞が混然一体となった文体、悪趣味に感じられるほど嗜虐的な描写、どれもこれもクセが強くて乗りこなすには気力も体力も必要となる非常にピーキーな小説だ。 初めて読んだ時は、そのエネルギーに圧倒された。ちょっとしたひずみで簡単に壊れてしまいそうな限界ギリギリの感情がキク、ハシ、アネモネ三人からひしひしと伝わり、どうしたら自由自在に生きていけるのだという探求心と渇望が、俺はここで生きているのだという叫びが、小説全体に充満しているように感じられた。 その感触は2回目でも変わらなかった。 「壊せ、殺せ、全てを破壊せよ、赤い汁を吐く硬い人形になるつもりか、破壊を続けろ、街を廃墟に戻せ。」 というキクの台詞に突き動かされるように、後半になるほど物語のテンションはあがり、「終末」の予感もまた強まっていく。その迫力に圧倒される。決して読みやすいわけではないのだが、映像的かつ手加減抜きの文体は読むものに「理解させる」というよりは、「感じさせる」詩のような手触りがあり、作品の高いテンションを維持し続ける。 その分、子どものころのガゼルとのひと時とか、アネモネとキクとの邂逅とか、そういうゆったりとした場面が出てくるとすごく心が休まる。なにか美しく懐かしい情景を”思い返している”ような気持ちよさを覚えてしまうくらい心地がいい。そういうふり幅をつくることで、より最後のカタルシスは大きくなる。 これは、コインロッカーから生まれ、そこから這い出して必死に生きようとする者たちの物語。そしてこの物語が持つ激情に胸打たれてしまうのは、コインロッカーとはつまり「世界そのもの」だと言い換えることが可能だからだろう。生まれてきた意味を知りたいと感じること、何かに突き動かされその世界を変えたいとする欲求、そのような押さえつけてきた感情の爆発。各々が少なからず持っているその激情を「再生」させんがために彼らは心臓の音を求め、必死に生に食らいつく。その凄まじいまでの渇きと怒り。 現状のシステムを破壊したいという”熱”。 物語は終盤に近付くにつれ虚構性が強まるが、特異な文体によってグイグイと牽引され、ついにダチュラによって世界が破壊される光景を目撃したとき、同時にハシが「産声」をあげ、終焉を迎える。 なんなんだ。なんなんだこの話は。アナーキーすぎる。ピーキーすぎる。なんという熱量なんだ。 この話に共感はいらない。むしろ嫌悪感を感じたり、意味不明だと感じる可能性の方が高いだろう。 しかし熱は、作品に込められた熱は、確かに届いた。 その熱を受け取れたのなら十分なのかもしれない。 この熱を忘れない限り、内なる渇きも怒りも忘れることはなく、私は再び生まれ変われるだろう。 「壊せ、殺せ、全てを破壊せよ、赤い汁を吐く硬い人形になるつもりか、破壊を続けろ、街を廃墟に戻せ。」
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面白かった。 正直、登場人物がかなり狂っていて圧倒的な世界観で何が伝えたかったのかって聞かれたら簡単には説明出来ないけど気がつけばその狂った世界にどんどん吸い込まれていく自分がいた。 久しぶりに何度でも読み直したくなる作品に出会った。
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ユーチューバー読んで、あれと思って随分昔に読んだか読んでないか忘れたコインロッカーベイビーズを読む やっぱりよかった
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第3回野間文芸新人賞受賞作。 本作の特徴を一言でまとめるなら,視覚描写の暴力に尽きるだろう。身体のドライブ感が一致したときの全能感は貴重である。やがて視覚イメージが歌声に変わるときの描写に圧倒された。
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ただただ圧倒されてしまった。 キクとハシ。二人の痛いほど真っ直ぐな生き様から目が離せない。 センセーショナルな作品。
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「コインロッカー・ベイビーズ」は、BSテレ東の番組「あの本、読みました?」で鈴木保奈美さんが「高校生の時にこの本を読んで村上龍にハマった」と話していたので興味が沸き読んでみました。1980年の上梓ですので、もう40年以上も前の作品です。 タイトルの通りコインロッカーに置き去り...
「コインロッカー・ベイビーズ」は、BSテレ東の番組「あの本、読みました?」で鈴木保奈美さんが「高校生の時にこの本を読んで村上龍にハマった」と話していたので興味が沸き読んでみました。1980年の上梓ですので、もう40年以上も前の作品です。 タイトルの通りコインロッカーに置き去りにされた2人が兄弟のように育ち、産みの母親を探すことと都会への復讐を描いた物語かな。 インパクトの強い作品ですが、残念ながら私には鈴木保奈美さんがハマった理由がよくわかりませんでした。想像力や感性が鈍いのかな?村上龍さんの代表作であり、発売当時も大きな話題となっていたことは僅かながら記憶にあります。
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ものすごいスピード感で進む臨場感のある物語だ。コインロッカーで生まれたキクとハシが胸に秘めるぶつけようのない怒りや葛藤、叫びをそれぞれが日本にぶつける。生々しい表現やグロデスクな表現が盛り込まれており活字だけで情景や匂いまではっきりと伝わる。 好きなフレーズ ・まじめな女の子に...
ものすごいスピード感で進む臨場感のある物語だ。コインロッカーで生まれたキクとハシが胸に秘めるぶつけようのない怒りや葛藤、叫びをそれぞれが日本にぶつける。生々しい表現やグロデスクな表現が盛り込まれており活字だけで情景や匂いまではっきりと伝わる。 好きなフレーズ ・まじめな女の子には魅力がないから、あたしはまじめになりたくないわ。 ・オートバイで夕陽の落ちる海辺を走る時景色が目の裏側で掻き回され混ざる 窮屈な世界だが必死にもがいて強く生きろというメッセージ性を感じた。
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