海の都の物語(4) の商品レビュー
前半は新興国オスマン・トルコとの攻防を描く。合理的でない国家を相手にするというのは、ヴェネツィアにとっては、もっとも苦手であったかも知れない。しかも、世の中の趨勢はしだいにより強大な軍隊を組織できる大国の時代へと変わりつつあった。後半は「聖地巡礼パック旅行」。1480年にこれを利...
前半は新興国オスマン・トルコとの攻防を描く。合理的でない国家を相手にするというのは、ヴェネツィアにとっては、もっとも苦手であったかも知れない。しかも、世の中の趨勢はしだいにより強大な軍隊を組織できる大国の時代へと変わりつつあった。後半は「聖地巡礼パック旅行」。1480年にこれを利用して聖地巡礼に出かけたミラノ人、サント・ブラスカの紀行が紹介される。ヴェネツィアの実になんとも見事なまでのシステム化。とりわけ、法王庁と現地のアラブ人からの通行許可証を代行手配するなど、もう至れり尽くせり。さすがはヴェネツィア。
Posted by
どの話も面白いけど、この巻収録の第九話、「聖地巡礼パック旅行」が一番面白い。ある聖地巡礼者のヴェネツィアからイェルサレムまでの船旅が書かれていて、それを追体験できる。地中海の地図を片手に読むとさらに面白いと思う。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
「はじめに、商売ありき」の合理的な考え方をもっている、ヴェネツィア共和国の1000年に及ぶ歴史について描かれた本。初めに描かれていた第4次十字軍の話はとっても面白かった。自分たちの利益を最大限になるように考えつつ、大国の力をうまく利用していくところがとても面白かった。 海洋都市であった4国家の比較も面白かった。これにより、ヴェネツィアの異質性がよくわかった。また、ジェノヴァとの戦いは熱いものをかんじた。ヴェネツィアの政治制度であるドージェや十人委員会および国会による権力分立制度はとっても素晴らしいものであり、日本も見習うべきだとは思ったが、この制度が維持できたのはヴェネツィア人の性格があってこそだろう。なぜならば、今の日本の政治家では、このヴェネツィアの方々のように国を想う気持ちはほとんどないだろうから。 さらに、ヴェネツィアの商魂には驚かされた。トルコとの戦いでの大損を取り返そうと和平条約を締結した際にすぐ大使をコンスタンティノープルに派遣し、そのつなぎに捕虜となっていたヴェネツィア人を使うところもさすがだと感じた。このようにチャンスを逃さない姿勢が1000年繁栄できた要因なんだろう。 この後、経済的発展に伴って、政治的・文化的に成熟していき、衰退していく。という人の一生だったら充実してやまないような一生だろう。奢れるものというより、平和でありすぎた故の外交感覚のマヒ。今の日本を見ているような気もした。
Posted by
前半のオスマントルコとの戦いは壮絶できつかったですが、後半の巡礼はガラッと雰囲気が変わって気持ちよく読めました。
Posted by
宿敵トルコ!は、ヴェネツィアの衰退の面影を見る事ができる点で、少しヴェネツィア好きとしては辛い…。 今まで好調期のヴェネツィアの姿ばかりだったから、少し寂しい気持ちになる。 聖地巡礼は、とっても面白。商人ベネツィアが、経済利益のためにとことんやった感じがわかる。
Posted by
前半は海軍力での勝負に乗らずひたすら物量の陸軍で攻め来るトルコとの分の悪い戦いについてのお話。戦いの舞台が変わると強みも発揮できないのだな。 後半は15世紀聖地巡礼の時代にもヴェネツィアはパック旅行的なものを準備して立派に商売していました、というお話。
Posted by
小アジアの内奥から発したオスマン朝は、古代の英雄に憧れる若きスルタン・マホメッド2世の世になってから西進を始める。 東ローマ帝国滅亡となるコンスタンティノープル陥落から、ヴェネツィアは宿敵トルコとの戦いに否応無く突入していく。 トルコ・マホメッド2世の領土的野心。 イタリア半島...
小アジアの内奥から発したオスマン朝は、古代の英雄に憧れる若きスルタン・マホメッド2世の世になってから西進を始める。 東ローマ帝国滅亡となるコンスタンティノープル陥落から、ヴェネツィアは宿敵トルコとの戦いに否応無く突入していく。 トルコ・マホメッド2世の領土的野心。 イタリア半島での商業的利権を巡って繰り広げられるフィレンツェ・メディチ家の策謀。 地中海に息づく国の様々な思惑があって、歴史的な行動は起こっていたのだな、と実感させられた巻でした。 3分の2ほどは宿敵・トルコとの戦いの歴史を描き、残りの3分の1は打って変わって当時の聖地巡礼旅行の旅行記を紹介してありました。 当時は船による航海とラクダに揺られての砂漠越えの長い旅路。そのほとんどが初めての長旅となる巡礼者に対して、ヴェネツィアがパック旅行のように見事に商売化していた、というところは苦笑しました。商魂逞しい、というのは何百年前も変わらないのだな、と。 著者の連作「コンスタンティノープルの陥落」「ロードス島攻防記」「レパントの海戦」を読み直したくなりました。
Posted by
○トルコ=異文化(異教徒)の不可解性 ○質から量の戦いへの変化 ○中世の観光業 ○生活、文化、価値観への宗教の占める割合 ○免罪の買い込み
Posted by
対トルコに苦戦しながらも、持ち前の賢さとスピードで巧みに生き延びていくヴェネツィア。聖地巡礼ツアーの抜け目なさには、呆然とするばかり。しかも悪どさは一切ない。現代人もある意味で見習うべきかもしれない。
Posted by
四巻目は宿敵トルコの台頭と、ヴェネツィア航路を使った聖地巡礼パックツアーについて。 合理主義者は根本的な間違いを犯すことがある。合理的に考えて相手がそんなことをするはずがないと思ったことでも相手はすることがあるのである。その事は当時のヴェネツィア外交官が「良識とは受け身に立たされ...
四巻目は宿敵トルコの台頭と、ヴェネツィア航路を使った聖地巡礼パックツアーについて。 合理主義者は根本的な間違いを犯すことがある。合理的に考えて相手がそんなことをするはずがないと思ったことでも相手はすることがあるのである。その事は当時のヴェネツィア外交官が「良識とは受け身に立たされた側の云々することなのだ。行動の主導権をにぎった側は、常に非良識的に行動するものである」と嘆いている。このことはいつの世になっても、外交問題の普遍性を示している。日本の近くのかの国をみればそれがわかる。 また、ヴェネツィアはその航路と後悔技術で聖地イェルサレムまでの巡礼ツアーを組んでいた。儲けられるところは儲けるのがヴェネツィアのやりかたである。
Posted by
