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創造者 の商品レビュー

3.8

17件のお客様レビュー

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2024/02/04

20代の頃、気まぐれに買った『伝奇集』がとても面白く、期待をもって次に購入したのがこの詩集。何度か読んだもののピン来ず、ハマるものが無かったので終には手放してしまった。 いま思えば、詩集に注がれるボルヘスの広大な知識を窮屈に感じたのかもしれない。博識な人が読めば2倍も3倍も楽しめ...

20代の頃、気まぐれに買った『伝奇集』がとても面白く、期待をもって次に購入したのがこの詩集。何度か読んだもののピン来ず、ハマるものが無かったので終には手放してしまった。 いま思えば、詩集に注がれるボルヘスの広大な知識を窮屈に感じたのかもしれない。博識な人が読めば2倍も3倍も楽しめる味わい深い詩集なのだと思う。

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2021/05/16

世界の本質を綴り尽くそうという試みが表すものが結局は自分自身の輪郭であるというのは面白い。 作者の事物に対する濃縮された感覚を楽しめました。

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2020/11/23

20世紀アルゼンチンの詩人ホルヘ・ルイス・ボルヘス(1899-1986)の詩文集、1960年。 訳者の「解説」によると、「文体においてつねに精確と簡潔をめざし、個人としての具体的な経験から生じた根源的な感情も抽象化と普遍化をとおしてしか表現しないボルヘス」は、「この世界について...

20世紀アルゼンチンの詩人ホルヘ・ルイス・ボルヘス(1899-1986)の詩文集、1960年。 訳者の「解説」によると、「文体においてつねに精確と簡潔をめざし、個人としての具体的な経験から生じた根源的な感情も抽象化と普遍化をとおしてしか表現しないボルヘス」は、「この世界についての経験のすべてを調和的かつ観念的なヴィジョンによって、或いは絶対的な価値への信仰によって可能なかぎり整序し、純粋な形式もしくは元型を追い求めてきた」(p199)。 □ ボルヘスがこの極限まで切り詰められた詩篇によって繰り返し表現しようと試みているもののひとつは、彼も作品中で書いているように「人間という存在者のその影のような虚しさ」であろう。「鏡」「夢」「死」「記憶」「迷宮」「転生」「無限循環」「無限遡行」といったモチーフも、人間のアイデンティティなるものの幻想性を淡々と表出させるために配置されているのだと思う。 「夢をよそおう夜とさまざまな形の/鏡を神がお造りになったその目的は、/影のような虚しい存在だということを人間に/悟らせるためだった。/それ故わたしたちは怯えるのだ」(p110「鏡」)。 「わたしもまた、わたしではない。シェイクスピアよ、お前がその作品を夢みたように、わたしも世界を夢みた。わたしの夢に現われるさまざまな形象のなかに、確かにお前もある。お前はわたしと同様、多くの人間でありながら何者でもないのだ」(p80-81「Everything and Nothing――全と無」)。 ボルヘスの作品には、時間、空間、属性といった具象性の重みが、どこまでも無化されていくような印象がある。超-属。しかし、人間存在の一切の規定が取り去られてしまおうとするまさにそのとき、そこには何もなくなくなってしまうのではなくて、最も elementary な無内容な何か(哀しみなど)が残るような気がする。無内容に到達してしまうそのぎりぎりの境界、透明になって消失してしまうその直前に、最後に残る何か。ボルヘスがそこを目指していたのかどうかはわからないが、彼の作品を読んで感じるあの特有の戦慄は、この「何か」が垣間見えてしまったということに由来するのかもしれない。 メルロ・ポンティは『知覚の現象学』において、人間の経験や言語の根底にはその前提条件として「身体」があることを明らかにしたそうだが、ボルヘスを読んでいると、それと類比的な人間存在の前提条件、人間が最後までそれをなぞらずにはおれない「形式」があるような気がしてくる。ボルヘスはそこに表現を与えようとしているのではないかと想像してしまう。 「わたしは思ったが、詩人というのは、/楽園の赤毛のアダムのように、/それぞれの事物に、正しい真実の/いまだ知られざる名称を与える人間なのだ」(p121「月」)。 □ もうひとつ、本書のなかで繰り返し語られているのは、人間が言語で以て世界を表現=創造しようなどという企てはそれ自体が法外で破綻に終わるしかない、ということ(「黄色い薔薇」「王宮の寓話」「月」「別の虎」「学問の厳密さについて」「エピローグ」など)。 「一人の人間が世界を描くという仕事をもくろむ。長い歳月をかけて、地方、王国、山岳、内海、船、島、魚、部屋、器具、星、馬、人などのイメージで空間を埋める。しかし、死の直前に気付く、その忍耐づよい線の迷路は彼自身の顔をなぞっているのだと」(p190「エピローグ」)。 言語で世界を包含しようとすることに論理必然的に伴う自己矛盾。そこからくる、詩人の、ひいては人間の虚しさ。 「わたしの仕事道具は汚辱と辛苦である。/いっそ死んで生まれれば良かったのでは」(p183「詩人その名声を告白する」)。

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2019/07/19

シェイクスピアと神、チェス 、JFKを悼みてなどが好き。 めまいがするような、この世に生きている根拠はないというような、わたしにはかえって救いに思える言葉たち。

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2019/02/10

「何かを理解できた」とはとても言えないような読後感だけど、読んでいるうちに無限反復の迷宮に陥ったような気分になったり、ふと自分の中に戻ってきたりという意識の揺さぶりを感じることができる、というのが自分にとってのボルヘス作品の今のところの印象。 作品の世界と読者としての自分の世界、...

「何かを理解できた」とはとても言えないような読後感だけど、読んでいるうちに無限反復の迷宮に陥ったような気分になったり、ふと自分の中に戻ってきたりという意識の揺さぶりを感じることができる、というのが自分にとってのボルヘス作品の今のところの印象。 作品の世界と読者としての自分の世界、過去と現在と未来、確実なものと不確実なもの、西洋と東洋、あらゆる感覚がグルグル回って混沌とした世界に放り込まれるようで、その中になにか一貫性を感じる。

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2018/10/28

【由来】 ・ 【期待したもの】 ・ ※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。 【要約】 ・ 【ノート】 ・ 【目次】

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2019/03/21

詩は興味深い。自己の告白は貴重である。ギリシア神話やローマ神話などに触れたりして効果的と思った。さすがボルヘスだ。ただ解説がやたら難解で難しい言葉が多かった。 再読。ボルヘスならではの世界が楽しめる。衒学的な要素もあるが、知的で世界が広がる読後感はいい。正直半分も理解はできなか...

詩は興味深い。自己の告白は貴重である。ギリシア神話やローマ神話などに触れたりして効果的と思った。さすがボルヘスだ。ただ解説がやたら難解で難しい言葉が多かった。 再読。ボルヘスならではの世界が楽しめる。衒学的な要素もあるが、知的で世界が広がる読後感はいい。正直半分も理解はできなかったが。

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2014/04/22

文句なし人生の一冊。世界を夢見る神さまは夢として万物に偏在するということだとしたら一神教のようでアミニズム的な印象でした。 象棋の駒、指し手、神のスケールが広がっていく様が大好き。

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2013/07/05

記号的な表紙姿が印象的な、ボルヘスが還暦時に編纂した詩文集。ボルヘスの短編がどれも円環を為す無限回廊を形成しているのに対して、ダンテからの直接的な影響を反映させつつ韻文/散文で紡がれる本作は夢や鏡、死の世界等のテーマを用いて夢幻迷宮への入口を創造する。また時に亡き友人たちや自らの...

記号的な表紙姿が印象的な、ボルヘスが還暦時に編纂した詩文集。ボルヘスの短編がどれも円環を為す無限回廊を形成しているのに対して、ダンテからの直接的な影響を反映させつつ韻文/散文で紡がれる本作は夢や鏡、死の世界等のテーマを用いて夢幻迷宮への入口を創造する。また時に亡き友人たちや自らの老いについて語られる言葉はとても人間的であり、ボルヘスの各種著作の中で最も彼の素顔が見える作品だと言えるかもしれない。そしてエピローグの言葉通り、その顔は世界について描こうとした、無数のイメージが織り成す迷路によって作られている。

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2013/05/19

すべて平等にくだらなく、はかない一瞬の光のようなものだとして、限られた前提の中で、楽しいかどうかが大事だな。 ひさしぶりに原点に引き戻してくれるような文章だった。 慣習化の重圧が洗いさらわれるような感覚。 自分が積み上げてきたもの、ときにはばっさりすてる勇気みたいなただのマイナー...

すべて平等にくだらなく、はかない一瞬の光のようなものだとして、限られた前提の中で、楽しいかどうかが大事だな。 ひさしぶりに原点に引き戻してくれるような文章だった。 慣習化の重圧が洗いさらわれるような感覚。 自分が積み上げてきたもの、ときにはばっさりすてる勇気みたいなただのマイナーチェンジ。結局なにやってもそんなに大きく変わるわけじゃない。 可能性は無限に近いとともに、つまり0にも近い。 さ、勉強にもどろう。 引用 月には、夢、捉えがたいもの、 消えた時間、可能なもの、不可能なものー結局は同じものだがーが住むという。

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