モノレールねこ の商品レビュー
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加納朋子、嫌いじゃないの。これ評判いいから読んでみた。 おなじみ日常の謎を解く短編集で、作者の温かい人柄が感じられる。 でも、まあそんなに謎解きに感心もしないし驚きもしないのよね。最後のザリガニが良いという人が多いのだけど、ザリガニがこれほど巧みに言葉を操る知性を持っているとは思えない。その点ですでに乗れないので感動もしないのだった。 っていうか、ラストシーンはもうあの世に行ってるわけで、いつ書いたのこれ?ザリガニになりきって息子が書きましたってオチがあるわけでもないし。 多和田葉子の『雪の練習生』みたいに、ああ、シロクマならきっとこんな文章を書き、こんなふうに思うだろうな、というのがないのよね…。そこまで求めるのは酷なのかもしれないが。
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表題作の「モノレールねこ」を、掲載誌で読んだことがあったので、「アレ?同じのダブって買っちゃった?」と思った。 まあ、そんな事はどうでもいいわけですけど。 でも、過去に読んでいて、物語の筋も仕掛けも完全に分かっているのに、それでもやっぱり面白かった。 加納さんは短篇もいいんだよ...
表題作の「モノレールねこ」を、掲載誌で読んだことがあったので、「アレ?同じのダブって買っちゃった?」と思った。 まあ、そんな事はどうでもいいわけですけど。 でも、過去に読んでいて、物語の筋も仕掛けも完全に分かっているのに、それでもやっぱり面白かった。 加納さんは短篇もいいんだよなー、と。 こう、「小さな物語」の良さみたいなものが、どの作品にも現れているように思う。 起伏は控えめに。だけど爽やかな読後感。山椒は小粒でぴりりと辛い、みたいな。 本書に収録されているどの短篇も、ふんわりとした幻想感が心地よい。 ほっと出来る作品。
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またもや短編集だったのに気が付かず読み始め。 解説を書いた方は泣いたそうだが、そうそう私は泣けない。 電車で泣き始めても困るが。 一番好きなのは「モノレールねこ」かな。 モノレールねこはもう少し読みたかった。 二人がどうなったのか。 いや、こういう展開の場合大概はくっつくのだが。 でもくっついてしまっては面白くないし。 友達エンドを求む! 怖かったのは「シンデレラのお城」。 偽装結婚の二人がお互いの良いところに気が付き本当の愛を、というパターンかと思いきや違った。 主人公はヤンデレだった。 好きだったので偽装結婚のふりをして提案し結婚。 亡くなったら彼の母親へ依存。 ニヤリみたいのが怖いのよ。 「ポトスの樹」はイライラしながら読んでしまった。 あんな親父は嫌だ! 負担をかけないように、死んでもせいせいしたくらいに思われるように行動をしていたのだとは思うけれど、ねえ。 母ちゃん強い。 奥さん器がでかい。 どれも読むとさらっと入ってくる良い本でした。
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「モノレールねこ」と「ポトスの樹」が好き。比較的に悲しかったり、辛いことよりも微笑ましい気持ちになれたから。暗くなったり悲しくなる物語を能動的に選べない、最近。現実に病んでるのかな。 「ポトスの樹」のオヤジがばかったれで愛おしい。こんな人、共依存してくれる相手がいなかったら生活し...
「モノレールねこ」と「ポトスの樹」が好き。比較的に悲しかったり、辛いことよりも微笑ましい気持ちになれたから。暗くなったり悲しくなる物語を能動的に選べない、最近。現実に病んでるのかな。 「ポトスの樹」のオヤジがばかったれで愛おしい。こんな人、共依存してくれる相手がいなかったら生活していけるんだろうか、と思うけどオイラも他人から見れば程度の差はあっても似たようなもんかも。ひとりじゃ生きていけないってことなのかな。みんな、誰かにほどほどに迷惑をかけながら生きてるんだと思う。それでもいいじゃん、と思わせてくれたからこのふたつの物語が好きなんだな。
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猫の日に因んで選んだ作品。 なのに表題作の猫よりも、一匹のザリガニの話にやられてしまった。 様々なものを失くした主人公達が再び本来の自分を取り戻す、心温まる8本の短編集。 文通相手や幼い頃の記憶、家族…人は大切なものを失くしては途方にくれる。 そんな主人公達を、愛嬌たっぷりのデブ猫やつぶらな瞳でじっと見つめる犬、毎年同じ日に宿泊する黄昏ホテルのスタッフ等、みんなが温かく見守っていてくれる。 特にザリガニの「バルタン」の、のんびりしたお人好しのフータ一家を見守る眼差しには参った。 体が小さいからと見くびってはだめ。 体がどんなに小さくても家族に向ける愛情は、「バルタン」が生まれ育った公園の池よりも大きくて深い。
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ザリガニの話が意外とおもしろかった。まさか泣けるとは。 小学校の時に身近なモチーフを主人公にお話を書きなさいという授業があったけど、こんな風に自分も面白い話をかけたらよかったのにと思い出した。
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加納朋子さん、「無菌病棟より愛をこめて」に続く2冊目の本は、読み友さんに紹介いただいた「モノレールねこ」(2009.6 文庫)です。失くしたものを再び取り戻すまでの物語8話が収録されています。小学5年生の「サトル」と「タカキ」が「ねこ」の首輪につけた手紙のやりとり、今度会おう、い...
加納朋子さん、「無菌病棟より愛をこめて」に続く2冊目の本は、読み友さんに紹介いただいた「モノレールねこ」(2009.6 文庫)です。失くしたものを再び取り戻すまでの物語8話が収録されています。小学5年生の「サトル」と「タカキ」が「ねこ」の首輪につけた手紙のやりとり、今度会おう、いいよ、の後、ねこは車にはねられ・・・。このくだりでは「ひどすぎるではないか」と思いました。でも10数年後、この二人が社会人となり同じ会社で出会って・・・。その間ずっと二人の中に生き続けてることで「よし」としましたw。
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ちょっと不思議な話を集めてみました、といった感のある短編集。 各編は完全に独立しているので、加納朋子=連作ミステリという期待をしているとちょっと消化不良かなあ、という印象も正直あります。 が、1つ1つの作品の出来栄えはやはりさすがの一言。なんでもない日常と、そこからはみ出したち...
ちょっと不思議な話を集めてみました、といった感のある短編集。 各編は完全に独立しているので、加納朋子=連作ミステリという期待をしているとちょっと消化不良かなあ、という印象も正直あります。 が、1つ1つの作品の出来栄えはやはりさすがの一言。なんでもない日常と、そこからはみ出したちょっと危うい世界の配分具合が絶妙で、なんとも小粋な仕上がりとなっています。 個人的な一押しは(少数派のようですが)「シンデレラのお城」。ラストのどこか背徳的?なゾクゾク感がたまりません。これ、直前に「パズルの中の犬」を読んでいるからこそ、怖さ倍増なんでしょうねえ。
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『にゃんそろじー』に収められている表題作だけ、以前読んだことがあった。 だから、どんな作家さんか、まだよく知らない。 本短編集では、何か心に傷を抱えた人が、ひょんなことからそれに気づき、少しずつ乗り越えていく物語ばかりだ。 家族があっけなく全員死んでしまったとか、驚くべ展開があ...
『にゃんそろじー』に収められている表題作だけ、以前読んだことがあった。 だから、どんな作家さんか、まだよく知らない。 本短編集では、何か心に傷を抱えた人が、ひょんなことからそれに気づき、少しずつ乗り越えていく物語ばかりだ。 家族があっけなく全員死んでしまったとか、驚くべ展開があるので、どんなことになるのか…とはらはらするけれど、最後に救いがある。 親子関係を取り上げる物語が多い。 「(母は)支配することでしか(娘である主人公と)関係を築けない」とか、両親が共依存だとかというフレーズが出てくるが、できればそういう直接的な言葉で説明するのではなく、そうわからせるような描写をしてほしい気はする。 一方、動物が大きな役割を果たす表題作と、最後の「バルタン最期の日」は、独特の味わいがあって、面白い。 ザリガニの一人称語りって、初めて読んだ(笑)。
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タイトルに惹かれて。 ねこが出てきたのは表題作「モノレールねこ」だけでした。 タイトルにもなっているのはデブねこのことで、両脇から垂れた脂肪でがっちり塀を掴んでいる姿を思い浮かべてもらえれば、誰しも「成る程」と思うところであろう。 そんなねこを介して交わされる文通。最後はご都合主義。 他の物語も動物がたくさん出てくるよ!
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