パノラマ島綺譚 の商品レビュー
全2編収録の作品集。 8月に三重県の鳥羽に旅行したので読んでみた。江戸川乱歩は24歳ごろから1年半ほど鳥羽に住んでいたそう。表題作「パノラマ島綺譚」の舞台はそんな鳥羽の海にある島が舞台。 「自身の空想である(悪)夢の島を作り上げる男の話」だということはなんとなく知っていたが、想...
全2編収録の作品集。 8月に三重県の鳥羽に旅行したので読んでみた。江戸川乱歩は24歳ごろから1年半ほど鳥羽に住んでいたそう。表題作「パノラマ島綺譚」の舞台はそんな鳥羽の海にある島が舞台。 「自身の空想である(悪)夢の島を作り上げる男の話」だということはなんとなく知っていたが、想像よりも犯罪小説の色が強くて驚いた。同時収録されてる短編「石榴」とは同じトリックが使われており、ラストの雰囲気も近いものを感じる。 “古風な物語の癖として、クライマックスの次には、カタストロフィという曲者が、ちゃんと待ち構えていた筈です。”(「パノラマ島綺譚」) 二つの物語のカタストロフィは、とても江戸川乱歩らしいな、と思った。
Posted by
私が読んだ初板の表紙絵の方が好き。その表紙では、白波立つ海面から、海坊主のような大男が鼻から上を突き出し、頭上から無数のコンクリート建造物をはやしている。その後ろには、薄ピンクの垂れ幕をまくり、上半身をあらわにした大女がいる。そして、彼女が目を伏せる体勢で先程の建造物に白濁した涎...
私が読んだ初板の表紙絵の方が好き。その表紙では、白波立つ海面から、海坊主のような大男が鼻から上を突き出し、頭上から無数のコンクリート建造物をはやしている。その後ろには、薄ピンクの垂れ幕をまくり、上半身をあらわにした大女がいる。そして、彼女が目を伏せる体勢で先程の建造物に白濁した涎を垂らしているのである。グロテスクかつエロティックで、パノラマ島奇譚の表紙絵としてはこれ以上ないといったものだったのだが、きれいめなものに変わってしまって残念。そしてその写真をここに投稿できなくて悔しい。 というか、パノラマ島奇譚を再読したくて借りたのだけど、パノラマ島の描写を長々しく、うっとおしく感じてしまってあまり入り込めなかった。たぶん、みなとかなえ的な軽い文体のものばかりを好んで読んでるせい。柘榴(ざくろ)も、グロいだけであんま好きじゃない。
Posted by
読んでる間ずっとゾワゾワしてた。 何でしょう?あの感覚。 「パノラマ」はある意味下品でそれでいて耽美。 生理的に受け付けない、理性がダメだと危険信号を出しているのに本能で怖いモノ見たさで覗いてみるあの感覚に似てる。 見たら最後帰って来れない。自分本位だから主人公の自身はハッピーエ...
読んでる間ずっとゾワゾワしてた。 何でしょう?あの感覚。 「パノラマ」はある意味下品でそれでいて耽美。 生理的に受け付けない、理性がダメだと危険信号を出しているのに本能で怖いモノ見たさで覗いてみるあの感覚に似てる。 見たら最後帰って来れない。自分本位だから主人公の自身はハッピーエンド。 周りもお金に眩んで見て見ぬふりだから割を喰ったのは奥方だけ? 「柘榴」は…。柘榴のビジュアルは当分見たくないかな?思い出してしまう、この話を。
Posted by
いやー、たまに読み返してみたくなる乱歩作品。 このおどろおどろしい雰囲気と乱歩作品の変態っぷりがたまらなくいい。 犯罪としては現代では成り立たないトリックなんだけどその時代背景、まだ夜道を歩くと柳の下にお化けが見えてくるようなそんな雰囲気が 背筋をゾクゾクさせる作品でした。
Posted by
11冊目『パノラマ島綺譚 江戸川乱歩ベストセレクション⑥』 (江戸川乱歩 著、2009年5月、KADOKAWA) 1926〜1927年にかけて連載されていた表題作の他、1934年に発表された中編『石榴』も収録。 どちらも乱歩らしい耽美でグロテスク、そして奇天烈な作品である。 ...
11冊目『パノラマ島綺譚 江戸川乱歩ベストセレクション⑥』 (江戸川乱歩 著、2009年5月、KADOKAWA) 1926〜1927年にかけて連載されていた表題作の他、1934年に発表された中編『石榴』も収録。 どちらも乱歩らしい耽美でグロテスク、そして奇天烈な作品である。 「そして、丁度その時、まるで申合せでもした様に、打上げられた花火の、巨大な金色の花弁は、クッキリと黒天鵞絨の空を区切って、下界の花園や、泉や、そこにもつれ合う二つの肉塊を、ふりそそぐ金粉の中にとじこめて行くのでした」
Posted by
乱歩の作品だと「押絵と旅する男」のような幻想怪奇趣味のあるものが好きなので、期待値高めで読み始めた。 予想はしていたけど、島の描写の比重が大きくてちょっとくどい。。でも沼のそばに寝そべる裸の女性と椿の描写の文章は、耽美で退廃的な筆致に魅せられて繰り返し読んでしまった。読み終わって...
乱歩の作品だと「押絵と旅する男」のような幻想怪奇趣味のあるものが好きなので、期待値高めで読み始めた。 予想はしていたけど、島の描写の比重が大きくてちょっとくどい。。でも沼のそばに寝そべる裸の女性と椿の描写の文章は、耽美で退廃的な筆致に魅せられて繰り返し読んでしまった。読み終わってから思ったけど、パノラマ島のイメージって、ヒエロニムス・ボスの「快楽の園」っぽい。 大きなインパクトと同時に虚無感も感じる終わり方が乱歩っぽくて好きだった。
Posted by
「パノラマ島綺譚」、「石榴」を収録。病死した資産家とすり替わり、自らの理想郷を建設しようとする壮大で狂気的な物語であり、パノラマ島の異様で生々しい描写には作家の独特な感性と表現力の高さを感じる事が出来ます。
Posted by
表紙に惹かれて手に取った、久々の江戸川乱歩!子供の頃よく読んでいた。思えば私のミステリー好きはここが原点かも。 40年以上前のワクワクがよみがえる。
Posted by
表題作はミステリというよりは怪奇小説として面白かった。 色鮮やかでグロテスクな感じが乱歩っぽい。地上の様子も気になるけど、海底の様子が見てみたい!出てくる魚の画像を調べるだけでワクワクゾクゾクした。 乱歩地獄で映像化されてそうだなと思ったけど残念ながらされてなかった。しかし漫画が...
表題作はミステリというよりは怪奇小説として面白かった。 色鮮やかでグロテスクな感じが乱歩っぽい。地上の様子も気になるけど、海底の様子が見てみたい!出てくる魚の画像を調べるだけでワクワクゾクゾクした。 乱歩地獄で映像化されてそうだなと思ったけど残念ながらされてなかった。しかし漫画があるそうなので是非読んでみたい。 石榴は2回目。無駄がなくて面白い。 てかここでもサード侯爵的な人が出てきてたのか…。
Posted by
表題作を途中までなぜか村上春樹作品だと勘違いして読んでて (あれ?なんでこんな古風な言い回しなんだ?) と思ったら乱歩先生でした。でもそう思うくらい今まで読んできた乱歩作品とは雰囲気の異なるものだった。幻想的で耽美的。しかしラストの気持ち悪さに思わず笑い拍手してしまった。さすがっ...
表題作を途中までなぜか村上春樹作品だと勘違いして読んでて (あれ?なんでこんな古風な言い回しなんだ?) と思ったら乱歩先生でした。でもそう思うくらい今まで読んできた乱歩作品とは雰囲気の異なるものだった。幻想的で耽美的。しかしラストの気持ち悪さに思わず笑い拍手してしまった。さすがっす先生。著者のエッセイでも書かれてたようだけど、パノラマ島の描写が確かに独特で想像力を要するので体力を使った印象。江戸川乱歩作品の推理やトリックを読みたい人にはあまりおすすめしないかも。 同時収録の「石榴」はコレコレコレィ!となるザ・推理小説。最後に始まる大どんでん返しの連続に「あっそういう…えっ違うの!?」と振り回されっぱなしで楽しい。 解説でも書かれてたけど、一人二役という共通点のある2作品を1つの本に収録してくださってることがおいしくてありがたい。
Posted by