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f植物園の巣穴 の商品レビュー

3.5

155件のお客様レビュー

  1. 5つ

    21

  2. 4つ

    44

  3. 3つ

    59

  4. 2つ

    14

  5. 1つ

    3

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2009/10/04

なんといえばよいのかわからない。 作風は私が大好きな梨木エッセイに似ている。 内容は私が苦手な沼地のある森を抜けて系に思える。 こう、次から次へと認識を振り回されるのがあまり好きではないので・・・ 大筋に関係ない、fや歯や前世の表象についての表現の回収があまりうまくいってない気...

なんといえばよいのかわからない。 作風は私が大好きな梨木エッセイに似ている。 内容は私が苦手な沼地のある森を抜けて系に思える。 こう、次から次へと認識を振り回されるのがあまり好きではないので・・・ 大筋に関係ない、fや歯や前世の表象についての表現の回収があまりうまくいってない気がした。 最後の大筋の回収に関してはとても良かったと思うけれども、なんだろうこの作家さん。 好きな作品はすごく好きなのに、反面なんで同じ筆でこれが書けるのかという(と私が思っている)ような作品も書く。 読んでみなければ分からないのはどきどきするが、作品を待っている身としてはなんだか納得がいかない気もする。 とりあえず、この作品は私にはあわなかった。

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2013/02/03

(2009.08.05読了)(2009.07.27購入) 神さんのお気に入りは、「西の魔女が死んだ」と「家守綺譚」です。僕のお気に入りは、「村田エフェンディ滞土録」です。 今度の作品はどうだったでしょうか?神さんは、いい作品だったと言っています。思い出したくないこと、家のそばの川...

(2009.08.05読了)(2009.07.27購入) 神さんのお気に入りは、「西の魔女が死んだ」と「家守綺譚」です。僕のお気に入りは、「村田エフェンディ滞土録」です。 今度の作品はどうだったでしょうか?神さんは、いい作品だったと言っています。思い出したくないこと、家のそばの川に何度も戻ってきます。そのことがよく描かれているという評価です。 下宿のおかみが鶏に見えたり、歯科医の家内が犬に見えたり、「家守綺譚」の雰囲気で物語は進みます。 物語の最初のほうで、「私の職場は植物園だ。学校を出てからずっと技官としてK植物園に勤務していた。一度結婚もしたが、年若く嫁いできた妻はまだ二十歳をいくつか超えたばかりで急逝してしまった。死んでから身ごもっていたことが分かった。不憫なことであった。f植物園に転任の話が来たのは妻の三回忌の翌日だった。」と書いてあります。(6頁) すっかりその気で読み進んでいったのですが、「気がつけば、私は布団の中で寝ている。美代は心配そうな表情で、私に話しかける。」(187頁)「美代は私の妻、元に名前は千代であった。流産ののち、千代という名前が、実家で依然溺死したねえやの名前と同一であるので、どうも不吉であると、私の実家から、改名を勧められ、美代と改めたのだ。私は心中それを不服としていた。」(188頁)と書いてあり、妻は死んではいなかったのです。 物語の出だしから、187頁までは、「植物園の、大きな木の、巣穴に、落ちて気を失い、同僚に見つけてもらって、自宅に運ばれ気がつくまでの間の夢だった。」のです。 夢の中の話なので、いろんな理に合わないことが起こってもやむを得ないことなのです。 夢の中で、カエルのような姿のわが子に会い、一緒にしばらく過ごしたり、ねえやの千代が、主人公の大事にしていた宝物(抜けた乳歯)を椋の樹の祠から救ってあげようとして、増水した川に落ちて溺死してしまったことを思い出したり、して心のわだかまりを洗い流すことができたのです。 心のわだかまりの消えた主人公(佐田豊彦)は、人が変わったように明るくなり、一年後、千代が懐妊した。 ☆梨木香歩さんの本(既読) 「エンジェル エンジェル エンジェル」梨木香歩著、原生林、1996.04.20 「春になったら莓を摘みに」梨木香歩著、新潮社、2002.02.25 「りかさん」梨木香歩著、新潮文庫、2003.07.01 「家守綺譚」梨木香歩著、新潮社、2004.01.30 「村田エフェンディ滞土録」梨木香歩著、角川書店、2004.04.30 「ぐるりのこと」梨木香歩著、新潮社、2004.12.25 「沼地のある森を抜けて」梨木香歩著、新潮社、2005.08.30 「水辺にて」梨木香歩著、筑摩書房、2006.11.20 (2009年8月6日・記)

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2009/10/04

最初はとっつきにくかったけど、読み進めていくとするすると綺麗なラストに導かれてしまいました。 すごく不思議な気分になる本。「西の魔女が死んだ」や「りかさん」などとは全然違う雰囲気。 何度でも読み返したくなる本。ちょっと複雑、だけど自分の頭の中で整理していくのが面白い。

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2009/10/04

耐え難い歯の痛みに襲われた植物園の園丁が椋の木の巣穴に落ちた。それからどうもおかしなことが起きる。歯科医の女房はあせると犬の姿になるし、いつも論理的な同僚とは話が通じない。いつしか子どもの姿になっていた園丁は、記憶と現実の入り交じった世界に・・・。

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2009/10/04

出だしから妖しい香りがする。 じとっと陰気なのに、それが妙に心地よい。 側に植物図鑑があればなあ、もっと草花の様子が分かるのに。 しかし心地よかった空間がだんだん息苦しくなり、苦痛になった。 それはそうだ。隠しておいたはずの意識の深い底にある事実を暴く作業に付き合っていたのだか...

出だしから妖しい香りがする。 じとっと陰気なのに、それが妙に心地よい。 側に植物図鑑があればなあ、もっと草花の様子が分かるのに。 しかし心地よかった空間がだんだん息苦しくなり、苦痛になった。 それはそうだ。隠しておいたはずの意識の深い底にある事実を暴く作業に付き合っていたのだから。 最後には以前とは別の穏やかな世界が現れほっとしたものの、無意識に自分の心に負担がかかっていたようで、少し気だるさが残った。

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2009/10/04

家守奇譚と大体おんなし…  と思っていたらこっちは不思議世界から生還したもよう。 なんかしんみり

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2009/10/04

 湯につかっていると、突然歯の中がかゆくなる。治療した方の歯ではない。今まで支障なく使っていた前歯が、突然かゆくなったのだ。もちろんこんな奇怪なことは初めてである。外から掻いてみるが、なにせ内部がかゆいのだからどうしようもない。上下の歯をカチカチ言わせてかゆみを紛らわせながら下宿...

 湯につかっていると、突然歯の中がかゆくなる。治療した方の歯ではない。今まで支障なく使っていた前歯が、突然かゆくなったのだ。もちろんこんな奇怪なことは初めてである。外から掻いてみるが、なにせ内部がかゆいのだからどうしようもない。上下の歯をカチカチ言わせてかゆみを紛らわせながら下宿に帰り、なにもできないので、夜具に潜る。おっと、薬だ。痛みに効くのだからかゆみにも効くかも知れない。ああ、そうだ、これこそ疼痛というものなのだろう。  ――痛いのは心なのでしょう。  突然、私の身の内いっぱいに声が響いて心底たまげた。きょろきょろと辺りを見回すが、もちろん誰もいない。もう薬が効いているのだろうか、いままて、まだ呑んではいない、と思う。こういう場合はどう対処するのがよいのか。知らぬふりがいいのだろう、きっと。だが私はそうはしなかった。思わず応えた。  ――心が痛い? (本文p.44-45)

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2009/10/04

『家守綺譚』に近いけれど、最初はちょっと物語に入り辛かったかも。読んでいくうちにじわじわと取り込まれていく感じでした。無くした記憶を集めていくような物語なので、後半では「あぁ、そうだったのか…」と、じんわり泣けてしまいました。最初は少し取っ付きにくいと思ったものの、また読み返した...

『家守綺譚』に近いけれど、最初はちょっと物語に入り辛かったかも。読んでいくうちにじわじわと取り込まれていく感じでした。無くした記憶を集めていくような物語なので、後半では「あぁ、そうだったのか…」と、じんわり泣けてしまいました。最初は少し取っ付きにくいと思ったものの、また読み返したくなる物語です。

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2012/02/21

表紙の絵は秋海棠:朧おぼろの世界・・・途中で止めたらいかん・連載には向かない〜私の勤めは植物園で低湿地を手に入れて水生植物園を造る計画を持っているが,歯痛で朦朧とする日々。歯医者に行き,前の家から移した木槿の虚が気になって覗き込んだら,妙な世界に引き込まれてしまった。幼い頃の記憶...

表紙の絵は秋海棠:朧おぼろの世界・・・途中で止めたらいかん・連載には向かない〜私の勤めは植物園で低湿地を手に入れて水生植物園を造る計画を持っているが,歯痛で朦朧とする日々。歯医者に行き,前の家から移した木槿の虚が気になって覗き込んだら,妙な世界に引き込まれてしまった。幼い頃の記憶が脈絡なく甦り,木槿の虚に宝物である乳歯を隠したこと,下女の千代が大雨の最中にそれを救おうとして水に落ちたこと,西欧礼賛の父が稲荷に手を合わせていたこと,形もない坊と出会い,分かれ,それは妻が流産した,この世に生まれなかった幼い我が子だと知る〜虚に落ち,千代という名が回り始める。どの千代を捜しているのか,死んだ下女か・若くして亡くなった妻か・不思議なレストランの女給の千代か。下宿の年増の大家と思い込んでいたのは,流産がきっかけで美代と改名した妻であり,熱心の介抱をしていてくれたのだ

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2009/10/04

この人なりのファンタジー色を感じさせながら、 なおかつレトロでしっとりしていて。 読み進めるうちにしんと染み渡るものがありました。

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