新しい資本主義 の商品レビュー
頭のいい人間が集まったとしても、同じような文化背景の人だけが集まるのでは、違う視点は生まれづらい。文化的な背景が異なる人間が集まることによって火花が散り、まったく新しいイノベティブなアイディアが出てくる。
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批判だけでなく、次の方策を提示してある。挙げられている方策は正しいかどうかは後年にならないと分からないが、批判ばかりで方策を提示しない人よりは良心的。
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014 非常に面白い本だった。「ベンチャーキャピタリストとは未来を予測する仕事である」と昔言われたことがあるが、原氏の本を読んでいると本当に「未来を予測する能力」に長けていると思う。 特に「基幹産業をみつける」という件はまさに目から鱗。時代はITなどではなく、むしろITは人間の可能性を広げる類のものではなく、むしろコンピューターに思考を依存させてしまうことで、思考の自由が制限されてしまうということ。そんなこと考えもしなかったよ。 あと「途上国だからこそ、インフラが整っていないからこそイノベーティブな変革を」というくだりもやはり素晴らしい意見だと思う。実際にはサプライヤーが海外にいたりして、なかなか難しいんだけどね。
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原丈二氏の著書。公益資本主義の話。 うーん、考え方自体はよく分かる。 が、まだピンと来ない。 長期株主だけの株式市場とか、ポストコンピュータ時代とか、方向性は理解するが、じゃあ具体例にどうする? IFXはピンと来ない。 後書きの、若くして大金を手にした人たちの戸惑いが描写され...
原丈二氏の著書。公益資本主義の話。 うーん、考え方自体はよく分かる。 が、まだピンと来ない。 長期株主だけの株式市場とか、ポストコンピュータ時代とか、方向性は理解するが、じゃあ具体例にどうする? IFXはピンと来ない。 後書きの、若くして大金を手にした人たちの戸惑いが描写されてたのが、一番心に響いた。ドラッカー先生を引くまでもなく、何のために仕事をするのかは、常に色褪せないテーマの本質だと思う。
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エンゼル投資家として名高い原丈人さんによる、日本経済の未来。グローバリズム批判と日本のポテンシャル強調はともするとお花畑な理想論の典型なのだが、この人が話すと説得力がある。マネーゲームの時代に決別し、真っ当なモノ作りとサービスの国として新しい資本主義を世界に問いかける。
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金融危機を引き起こした金融資本主義から脱却し、社会に新しい価値やソリューションを提供し、世界を変えるような事業に着目する公益資本主義を提唱する。 ただ、非常に崇高な理念だと思うが、著者が例として紹介したケースを読むと若干トーンダウン。結局は地道な草の根活動から始まり、劇的な変革...
金融危機を引き起こした金融資本主義から脱却し、社会に新しい価値やソリューションを提供し、世界を変えるような事業に着目する公益資本主義を提唱する。 ただ、非常に崇高な理念だと思うが、著者が例として紹介したケースを読むと若干トーンダウン。結局は地道な草の根活動から始まり、劇的な変革とはいかないのだとも感じた。
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21世紀の国富論も読んだことがあり、今思えば、金融危機以前にアメリカ型の資本主義に対する危惧を明解に提示していた。 この本は、さらにわかりやすく、また日本人を力づける内容である。 金融資本主義、株主至上主義の誤り、欠陥の理由を指摘するだけでなく、この本には「公益資本主義」という概念で解決策が述べられている。 また、その中で日本の持つ強み、可能性が力強く展開されている。 「公益資本主義」=「会社の事業を通じて、公益に貢献すること」。 つまり、「会社の事業を通じて、会社が関係する経営者、従業員、仕入先、顧客、株主、地域社会、環境、そして地球全体に貢献すること」 これは、まさしく日本の江戸時代の近江商人の三方良しの考え方そのものである。 経営者と一般社員の平均年収の差が400倍。(1990年には100倍程度でこの10年ちょっとの間に急速に格差拡大。) 2007年のヘッジファンドマネージャー上位10人の個人所得の合計は、日本円で1.74兆円で、トヨタ自動車の2007年度当期純利益1.71兆円を上回る数字。 そんなアメリカの歪んだ現状。 対して、日本は長い歴史の中で、 ・新しい技術による新しい基幹産業の創出(ポストコンピュータ産業) ・民間の力による顔の見える途上国支援 ・新しい公益資本主義 すべてにおいて、資質を持ち、実現可能性に満ちている。 来るべき次代で、日本こそがリーダーシップを発揮するにふさわしい、と大いなる希望を感じさせてくれる。 著者は、公益資本主義の有効性を訴えていくために、今後、必要な要素を明確に打ち出し、指標化し、「数式化」し、理論を構築するという。 この「公益資本主義」が、多くの者に対して説得力をもち、当たり前のものとなることを大いに期待したい。
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今、世界を席巻している、金融資本主義というものに対して、その悪いところを指摘し、ポスト資本主義として公益資本主義というものを示唆することを主軸とした本でした。 お金がお金を産む資本主義、金融工学の進歩によってそうなった資本主義の在りように異を唱えてその論拠を次々と述べていくさまは...
今、世界を席巻している、金融資本主義というものに対して、その悪いところを指摘し、ポスト資本主義として公益資本主義というものを示唆することを主軸とした本でした。 お金がお金を産む資本主義、金融工学の進歩によってそうなった資本主義の在りように異を唱えてその論拠を次々と述べていくさまは胸がすかっとするし、もともと自分はそういう話を待望していたのだということに改めて気付かされました。 著者の原丈人さんについては糸井重里さん主宰の「ほぼ日」に登場されたときに知りました。 その糸井さんとの対談を読んで、なんてスケールが大きくて素晴らしい人なんだと、そんときも胸がすくような痛快な思いがして、それが忘れられずに今回この本を買って読んだのです。 読んで、勇気とやる気が湧いてくるのは、彼が説く論説のどれもが、世の中の「なんか変じゃないかな」というベールを剥いでくれるものだからです。 そこまで、「ほんとうのこと」に迫ったならば、あとは個々人が頑張ればいいのです。
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かつて基幹産業といえば繊維産業である。それが鉄鋼になり、現在はコンピューター産業がこれに取って代わっている。交代のサイクルは概ね40年。成熟期に入ってくると産業の伸びが落ち、景気も悪くなるため、金融を緩和することから、新しい基幹産業に移行する端境期にはこれまで金融の過剰流動性が発生してきた。また、経済指標に使われているGDP等経済統計は、ファンドの活動や超過過剰流動性が世に広まる前の定義で市場を測っているため、大きく膨れ上がる過剰流動性によって、数値が実態の景気以上に高くなるという統計との乖離状況が起きている。本物の好景気にするためには、過剰流動性をつくるのではなく、新しい基幹産業を育成する方向に資金を回すことである。バブル的な投資ではなく実業にお金が入っていくようなメカニズムである。ポスト金融資本主義としての新秩序の構築は喫緊の課題だ。アメリカではIT産業が新たな基幹産業となり経済規模を拡大し財政黒字に転じたが、アメリカではもはやコア技術を開発することが困難となっている。リターンだけに関心を持つファンドマネージャーや経営コンサルタントが資金運用の主体となってしまっているからである。ポストコンピューターの基幹産業を創出していくためには、安心して投資できるリスクキャピタル制度をつくることが鍵となる。新しいコア技術を開発し新しい基幹産業をつくりあげていく取り組みに対して投資支援を行うとか、リスクキャピタルに該当する投資を行った場合は損金参入できるようにするという制度である。次の時代のコア技術のほとんどは知的財産であり、高度な知的財産をハードウェアとして実現できるだけのインフラ基盤があるのは日本のみである。著者は、法律、規制、倫理観など、個人の自由を守り経済の活力を高めながら資本主義と公益を両立させる新しい資本主義、公益資本主義を提唱している。会社の事業を通じて地域社会、環境、人、雇用、株主、地球全体に貢献することこそが価値として認められる資本主義である。昨今、アメリカ資本主義が金科玉条となり、金融で儲けるのが賢いあり方の風潮を生み、産業資本主義は低くみられるようになってしまった。しかし、アメリカ発の金融危機は産業の中心になりえない金融業が我が物顔でバブルによって拡大したがために必然的に崩れが起きたことを忘れてはならない。あくまでも主役は企業家であって金融は縁の下の力持ちにすぎないのである。日本には、日本の先達経営者たちがつくりあげてきた経営理念、企業哲学の中に脈々といき続けている。バブル頼みの幻の景気から、皆が恩恵を受ける本物の好景気へ導くことができるのは日本のみと信じる。是非、新しい資本主義の担い手として世界をリードしてもらいたい。
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経済・技術・社会、の3つを組み合わせて持続的に社会問題の解決をしていくスキームを提案しています。この3つを意識してビジネスを考えるときに、頭のバランスを保つ一定のガイドになる本だと感じました。 経済の項では、株主価値最大化の問題点として、新しいアセット(たとえば新技術)は、短期...
経済・技術・社会、の3つを組み合わせて持続的に社会問題の解決をしていくスキームを提案しています。この3つを意識してビジネスを考えるときに、頭のバランスを保つ一定のガイドになる本だと感じました。 経済の項では、株主価値最大化の問題点として、新しいアセット(たとえば新技術)は、短期的には株価に反映されないので育成が難しいことを挙げています。 技術のところは、例として新しいデータベース技術や画像圧縮の技術に触れています。すでに4年経っていて技術の位置づけが変化しているので、ここは考え方だけ受け取って、ささっと読み飛ばせばよいです。 社会のところは、途上国の飢餓と貧困を、地球規模の課題であるとして、それを解決するように経済の仕組みを変えて、新技術を積極的に適用していくことを提案しています。 上記3項のすべてを理解して実行するバックグラウンドを備える日本はこれからチャンスがあるという締め方になっています。
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