ぼくのメジャースプーン の商品レビュー
再読です。 主人公は小学生の「ぼく」 設定が微妙にブレてしまう場面は多々あるのですが、それでも、色々と考えざるを得ない一作だと思います。 世の中にはどうしようもない悪意ってのはあって、それを覆すことは善意側からはほぼ不可能であり、それならば目には目をというのは正しいのか否か、...
再読です。 主人公は小学生の「ぼく」 設定が微妙にブレてしまう場面は多々あるのですが、それでも、色々と考えざるを得ない一作だと思います。 世の中にはどうしようもない悪意ってのはあって、それを覆すことは善意側からはほぼ不可能であり、それならば目には目をというのは正しいのか否か、それをやることは肯定されるのか否か、そういう類のことに正しい答えなんて無いんでしょうけど、ついつい自分も考えながら読んでいました。 辻村さんは、人間の些細な悪意や自己愛をネガティブに書くのが恐ろしく上手く、ときにそれは、そう感じてしまう自分が悪いのかしら?と思うこともあるのですが、そこを、肯定されるようで、読んでて救われます。
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こんな小学生いねーよとツッコミいれつつ、でもなんか物語には引き込まれました。なかなか読ませてくれたのでマル。
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小学生の視点までこうも新鮮に書けるとは辻村先生恐るべし。子供のころだれもが経験したような甘酸っぱい初恋や世界の無常理。それらに触れたとき、自分がどうしようもない子供だということを自覚し、大人になりたいと願ったあの日。そんなことを思い出させてくれます。 それにくわえ辻村先生物語...
小学生の視点までこうも新鮮に書けるとは辻村先生恐るべし。子供のころだれもが経験したような甘酸っぱい初恋や世界の無常理。それらに触れたとき、自分がどうしようもない子供だということを自覚し、大人になりたいと願ったあの日。そんなことを思い出させてくれます。 それにくわえ辻村先生物語の構成力と、至るところににちりばめられる複線にはいつも舌を巻かされます。ちょっとしみじみしたい人にお勧めの一品。
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どこのグループにも所属しないふみちゃんとぼくの小学校のお話。 「人間は、絶対に他人のために泣いたりできないんだって。誰かが死んで、それが悲しくって泣いていても、それは結局、その人がいなくなっちゃった自分のことがかわいそうで泣いているんだって。」 周りより少し早く大人になっ...
どこのグループにも所属しないふみちゃんとぼくの小学校のお話。 「人間は、絶対に他人のために泣いたりできないんだって。誰かが死んで、それが悲しくって泣いていても、それは結局、その人がいなくなっちゃった自分のことがかわいそうで泣いているんだって。」 周りより少し早く大人になってしまったふみちゃん。 ふみちゃんが大好きで、みんなの好き勝手さ、無責任さが許せないけど、何もできないぼく。 ある事件をきっかけにふみちゃんは声を失う。 変えられない現実。 そこに憤りを感じるぼく。 ぼくの持つ声の不思議な力。条件ゲーム提示能力により、その事件の犯人に立ち向かう。 ぼくは声の力を知るために、同じ力をもつ先生と会うことになる。 「相手の人生に身体ごと飛び込こ決意ができないなら、罰なんて与えるべきではない。」 ぼくが犯人に使った声とは…。 やっぱり人は誰かのために泣けるんだ。 誰かのために一生懸命になれる。 信じたっていい。
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読み終わって思うけど、とてもタイトル通りの小説だな、と。『ぼくのメジャースプーン』うん、これはとても良い。 主人公である<ぼく>の小学校で飼育されていた<うさぎ>に起こった凄惨な事件。そして言葉を失ってしまう<ふみちゃん>を救うために特殊な能力をどのように使うか、思い悩み右往左往...
読み終わって思うけど、とてもタイトル通りの小説だな、と。『ぼくのメジャースプーン』うん、これはとても良い。 主人公である<ぼく>の小学校で飼育されていた<うさぎ>に起こった凄惨な事件。そして言葉を失ってしまう<ふみちゃん>を救うために特殊な能力をどのように使うか、思い悩み右往左往する<ぼく>。彼の道しるべとなる<声の先生>とのやりとり。罪と罰に対する『命の授業』という言葉が思い浮かんだ。 人がどうしようもなく手の施しようすらない残酷な現実に出会った時に、それにどう立ち向かうか? 復讐とは一体何なのか? <ぼく>は小学生だがとても頭の良い少年で、共感が持てた。その一直線過ぎる純粋さが招いた彼の選択は本当に正しかったのか、心に訴えかけられる内容だった。彼の立場になった時、はたして自分はどういう答えを見付けるだろうか? なんてね、不思議な感慨を抱く。 それから読者サービスが素晴らしいですね、是非とも『子どもたちは夜と遊ぶ』と『凍りのくじら』を読了した後に読むと良いでしょう。それらの登場人物と再会出来た時、ちょっと純粋に嬉しかった。【514P】 詳しいレビューは→http://d.hatena.ne.jp/kikinight/20101016/1287170852
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2010.10.15 人を想うということは、どういうことなんだろう。 先生にとても惹かれた。 ちょっと人と違う読み方をしてしまったかもしれない。 お話はとてもよかったのだけど、それよりも作中に書かれている先生の、割り切り方・考え方、に心を持っていかれた。 決して冷たくない。...
2010.10.15 人を想うということは、どういうことなんだろう。 先生にとても惹かれた。 ちょっと人と違う読み方をしてしまったかもしれない。 お話はとてもよかったのだけど、それよりも作中に書かれている先生の、割り切り方・考え方、に心を持っていかれた。 決して冷たくない。温かいのだけれど、だけどどこか冷たいように感じる。 本を読んでいつも思うのだが、作家ってホントにすごい。 登場人物の言葉はすべて作者から生まれたものだ。 ということは、これらはすべて辻村深月が考えたものである。 こういう考え方を持っている人って本当にすごいと思う。 あと、私はこの前に「インシテミル」を読んでいる。 同じ『一週間』という区切りがあり、同じように、一日が章ごとに分かれている。 同じ、一日、一週間がこうも違うふうに書かれていることが、なんとなく人はそれぞれに人生を持っていて、ここでこうして感想を書いている私が居れば、全く違うことをしている人もいるんだと、当たり前のことなんだけれどなんとなく不思議な気持ちになった。
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言葉は人を縛る。決して、特殊な力なんかではなく、私たちが毎日発している言葉の1つ1つが、同じくらい力を持っていることを忘れてはいけない。人はほんとに自分のためにしか泣けないのだろうか?だとしたら、小説や映画に感動して流す涙は、どのように説明されるのだろう。自分の命を投げ出してでも...
言葉は人を縛る。決して、特殊な力なんかではなく、私たちが毎日発している言葉の1つ1つが、同じくらい力を持っていることを忘れてはいけない。人はほんとに自分のためにしか泣けないのだろうか?だとしたら、小説や映画に感動して流す涙は、どのように説明されるのだろう。自分の命を投げ出してでも守りたい人。そんな誰かに出会えたらきっと幸せだろうな。
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厚いけどぐんぐん読める。 読んでしまう。 大事なひとを傷つけられたら、 ほんとの強さってなんだろう、 いろんなことを少年を通して考える。
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心無い犯人のせいでぼくの友達は声を失ってしまった。ただ、ぼくにはある力があることがわかった。それは相手を縛る声。たった一度きりのチャンスに僕は犯人に対して何ができるのだろうか。 本当にいろいろと考えさせられました。そして感動しました。 ぼくが力に関して1週間、秋先生という...
心無い犯人のせいでぼくの友達は声を失ってしまった。ただ、ぼくにはある力があることがわかった。それは相手を縛る声。たった一度きりのチャンスに僕は犯人に対して何ができるのだろうか。 本当にいろいろと考えさせられました。そして感動しました。 ぼくが力に関して1週間、秋先生という大学教授に指導を受けます。その中での復讐とは、命とは、という話があるのですが改めて考えさせられました。何が尊重される命となり得るのか、復讐は新たな復讐を生む、では諦めるのか、それでも果たすべきなのか等々。 ぼくの出す答えがとても心に刺さります。 素晴らしい作品です。
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途中までは純真な子供が事件をどう乗り越えていくかというような話かと思っていたら主人公の男の子は勇気のある行動を起こしてラストへ
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