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故郷/阿Q正伝 の商品レビュー

3.6

43件のお客様レビュー

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2021/12/17

魯迅が漢方医学に疑問を感じ日本に留学、医学を目指していたのが、なぜ文学に道を変えたのか、という「自序」に始まり、「自国の窮状を憂え、なんとかしたい」というような短編が、冷静な描写だが叫びの迸るような作品群になっている。 中でも中編「阿Q正伝」の内容は、現代のデストピア小説にも通...

魯迅が漢方医学に疑問を感じ日本に留学、医学を目指していたのが、なぜ文学に道を変えたのか、という「自序」に始まり、「自国の窮状を憂え、なんとかしたい」というような短編が、冷静な描写だが叫びの迸るような作品群になっている。 中でも中編「阿Q正伝」の内容は、現代のデストピア小説にも通じるものがあっておもしろい。たしかトルストイの民話風の作品にも、短いのがあった気がする。短絡的かもしれないが両雄とも、小説の気風として大陸的なものを感じる。悲惨だけれどもおかしみがあるようなところが。 わたしが読んだのは、竹内 好訳『吶喊』 ​(『魯迅作品集 1』 筑摩書房1966年発行より) 「自序」「狂人日記」「孔乙巳」「薬」「明日」「小さな出来事」「髪の話」「風波」「故郷」「阿Q正伝」「端午の季節」「白光」「兎と猫」「あひるの喜劇」「宮芝居」の14短編が収めてある 昔、教科書で習ったのは「狂人日記」「阿Q正伝」 この光文社文庫​新訳には「明日」「髪の話」「風波」「白光」「宮芝居」はない。 この新訳も読んでみたい。

Posted byブクログ

2021/11/09

中国を代表する作家って、どんな感じなんだろうと思って購読。代表作である「狂人日記」「阿Q正伝」のほか、短編が収められている一冊。どの本も、一般大衆の愚鈍さ、未開さ、卑屈さなどがこれでもかというほど描かれている。それを、都会を経験したものが冷ややかな目で見たり、狂人扱いされている男...

中国を代表する作家って、どんな感じなんだろうと思って購読。代表作である「狂人日記」「阿Q正伝」のほか、短編が収められている一冊。どの本も、一般大衆の愚鈍さ、未開さ、卑屈さなどがこれでもかというほど描かれている。それを、都会を経験したものが冷ややかな目で見たり、狂人扱いされている男が警戒しながら描いたりしているが、その本人も、その性質を持っている。自己矛盾や葛藤に加え、日本人にもありがちな自虐性が垣間見え、何やら共感めいたものを感じる。魯迅の作品は、日本の含む東アジアでよく読まれているようだが、この精神性を理解しやすいからなのかも。

Posted byブクログ

2021/05/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

科挙試験に落ちて馬鹿にされて死んだ人と肺病の人に血の饅頭食わせる話とか、バッドエンド集?と思ったけどエッセイのような話はかなりよかった 小さな出来事が一番好き ちょっとした事なんだけど素敵な文章で書かれてて良かった 血の饅頭の意味がわからなかったけど前に胎盤を漢方薬にする話とか読んだことあったから血も薬なのかなって思いながら読んだ 肺病の人が亡くなってすぐ清明祭やってた感じだけど、1年やらないんじゃないのかな それとも1年経ってもあんなに嘆き悲しんだのか 子供を叱らないおばさんの話めちゃこわだった ああやって罠にはめる人いるんだよな 阿Q正伝は故事とか有名なセリフを知ってて頭良さそうなのにやってることは直情的で愚かなのギャップがすごかった 精神的不戦勝しておけばまだ平安に暮らせたのでは 狂人日記の書き出しすごい好き 今夜は素敵な月明かり

Posted byブクログ

2021/03/28

なんかねー、こう、蟹工船的な、もしくはレミゼ的な匂いがね、するよね…貧乏ってつらい。 ただこちらは革命が理想も信念もなく、美しくもないところがリアルで好感が持てる、私には。 かろうじて共感できるのは『藤野先生』、面白かったのは『吶喊 』の自序と『狂人日記』。

Posted byブクログ

2018/05/31

魯迅の代表作を新訳したもの。故郷、阿Q正伝のほか、狂人日記等を掲載している。明治期の日本文学の影響を感じさせる。魯迅の評価は、時代背景や新しい文体で書いたことも大きいのだろう。いつか原文でも読んでみたいと思った。

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2017/02/18

東京で近代文学を学んだ魯迅は 本国において、ブルジョア生活を満喫しながら共産党を擁護していた 大陸的なおおらかさというか、虫がよすぎるというのか ポストモダンのはしりと呼べるのかもしれないし ある意味では戦後日本を先取りする存在なのかもしれない そういう人物だった 作品には、自虐...

東京で近代文学を学んだ魯迅は 本国において、ブルジョア生活を満喫しながら共産党を擁護していた 大陸的なおおらかさというか、虫がよすぎるというのか ポストモダンのはしりと呼べるのかもしれないし ある意味では戦後日本を先取りする存在なのかもしれない そういう人物だった 作品には、自虐的な認識も反映されているように思う この本の解説では、大江健三郎や村上春樹に与えた影響について 論じられている 「孔乙己」 科挙の合格を志しながら、初級試験に受かることすらできぬまま ホームレスに落ちぶれたアル中おじさんのプライド 「薬」 人血饅頭を万病の薬とする野蛮な風習残りし時代に 奇跡の花が咲き誇る 「故郷」 身分の高い家の息子が、平等な世界を一瞬夢みる話 のんきなものだ 「阿Q正伝」 おれは絶対悪くない、ほんとのおれは世界で一番えらい そんな考え方で自分をなぐさめるみじめな男 その軽薄さはしかし、君子ならざるすべての人民に共有されるものだ 革命がそのことを一瞬だけ明るみにさらす 「端午の節季」 阿Qとは正反対に 人間みんな似たり寄ったり、という理屈で自分を慰める教師の話 みんな給料が出なくて困っている とはいえ、みんなで踏み倒せば借金も怖くないだろう しかし宝くじに当選するのはひとりだけだ… 「あひるの喜劇」 蛙とあひるの共存は可能か否か 共産独裁体制の未来を予見するかのようなユーモア作品 「藤野先生」 民族の敗北を素直に、率直に受け止めようとするところに 魯迅文学の原点がある 太宰治「惜別」の元ネタ小説 「范愛農」 出資と言い換える欺瞞によって賄賂を受け取りつつ 間違った人物ならば出資者といえども批判するのが公正というものだ そう嘯いて罵倒的論陣を張る新聞社 それに文句をつけたらつまらない人間というレッテルを貼られてしまう 「兎と猫」 兎を殺害した猫に復讐を企てる男の子 「狂人日記」 被害妄想者の日記が食人の風習を告発する

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2016/12/06

魯迅の代表作16篇所収。 訳がわかりやすく、読みやすい。 『阿Q正伝』はわりと衝撃的。社会や周りの人に全く受け入れられない人物が抹殺されていく様は不気味さを感じる。

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2016/10/28

最近この光文社の古典新訳が気に入っていまして。 今回は魯迅。昔いつかの教科書で読んだ気がしますが 正確にはおぼえていませんでした。 有名なところでは、 「阿Q正伝」「故郷」「狂人日記」・・ 「故郷」は内容を少しだけ覚えていて、どこかで読んだと 思います。たぶん、何かの教科書だった...

最近この光文社の古典新訳が気に入っていまして。 今回は魯迅。昔いつかの教科書で読んだ気がしますが 正確にはおぼえていませんでした。 有名なところでは、 「阿Q正伝」「故郷」「狂人日記」・・ 「故郷」は内容を少しだけ覚えていて、どこかで読んだと 思います。たぶん、何かの教科書だったような・・・

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2016/08/22

  岩波文庫の竹内好訳を読んでから、この本を読んだ。  竹内好の日本語は見事だと思うが、原文の表現を生かし、現在の日本語で書かれた本書も大変良い。 魯迅の文体に近い訳になっているというだけでなく、注釈、解説が素晴らしい。竹内好の注釈も非常に詳しいが、この本の方がわかりやすい。例え...

  岩波文庫の竹内好訳を読んでから、この本を読んだ。  竹内好の日本語は見事だと思うが、原文の表現を生かし、現在の日本語で書かれた本書も大変良い。 魯迅の文体に近い訳になっているというだけでなく、注釈、解説が素晴らしい。竹内好の注釈も非常に詳しいが、この本の方がわかりやすい。例えば「阿Q正伝」で、阿Qが県城に行ったあと、(竹内訳では「城内」)田舎に帰って、県城で誰でも「麻醤」を打っていると知識を披露する。竹内の注には「ごま味噌の意、麻雀と同音。このころは上層のごく一部でしか麻雀はやらなかった。」と書かれている。藤井注は「半可通の阿Qによる『麻将』すなわち麻雀の言い間違え。」とある。この注で、阿Qが都会に行った田舎者の常で、知ったかぶりして自慢していたということがわかった。同じく「柿油党」についても、竹内の注では意味が分からなかったものが、「『自由党(ツーヨウタン)』という言葉がわからず、似た音の『柿油党(シーヨウタン)』と解釈したもの」で、村人たちも阿Q同様、意味もわからぬまま感心していた、と読み取れた。阿Q正伝が伝えたかったことを考えれば、この辺のことが読み取れるかどうかはかなり大事なところだと思うが、竹内注では読み取れないのだ。(まあ、読み取れる人もいるんだろうけど、わかりやすい書き方ではない。)  ただ、教科書に載っていた「故郷」をもう一度読みたいという人は、この本では同じ感動を得ることはできない。こちらの方が、より原文に近いのだろうが、高橋健二訳の「少年の日の思い出」や内藤濯訳の「星の王子さま」のように、その日本語訳があまりに広く長く読まれたため、たとえ多少間違っていても、なじみのある方に懐かしさを覚えてしまうのだ。竹内好は長い原文を短く切って、歯切れよく、印象深く訳している。「故郷」に関しては、竹内訳でよいではないか、と思ってしまう。  『吶喊』には入っていない「藤野先生」や『吶喊』の「自序」の漢方医のことを詳し書いた「父の病」も入っていて、魯迅の代表作が網羅されている。値段は岩波よりちょっと高いが、これから買うなら絶対にこちらが良い。訳者による解説も大学の講義のようで面白い。

Posted byブクログ

2015/08/11

魯迅『故郷/阿Q正伝』光文社古典新訳文庫 魯迅作品のおもしろさを理解できませんでした。 当時の中国の事や中国の文学について知っておかないと味わえないのでしょうか。 医学ではなく文学で自国を変えようとした魯迅の文学を理解したかったです…。 それにしても個人的には、光文社古典...

魯迅『故郷/阿Q正伝』光文社古典新訳文庫 魯迅作品のおもしろさを理解できませんでした。 当時の中国の事や中国の文学について知っておかないと味わえないのでしょうか。 医学ではなく文学で自国を変えようとした魯迅の文学を理解したかったです…。 それにしても個人的には、光文社古典新訳文庫の訳はとても読みやすくわかりやすい言葉ですが、どうも好きになれないです。

Posted byブクログ