海 の商品レビュー
いろんな短編集。すごく短いのもあったり。でもそれぞれの世界観が好きだなあと。ガイドをしている母と息子と老人の話、缶入りの飴をポケットにしのばせる幼稚園バスの運転手の話、和文タイプの話が中でも好きだった。小川さんは日常の断片を物語にするのが上手いなと思う。そこかしこな落ちていそうな...
いろんな短編集。すごく短いのもあったり。でもそれぞれの世界観が好きだなあと。ガイドをしている母と息子と老人の話、缶入りの飴をポケットにしのばせる幼稚園バスの運転手の話、和文タイプの話が中でも好きだった。小川さんは日常の断片を物語にするのが上手いなと思う。そこかしこな落ちていそうな小さなものを組み上げてまぶしい物語にするのが上手い。尊いものになる。
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喫茶店で一度読んだことがきっかけで購入、何度か読みましたが、お話一つ一つは短いながら引き込まれる作品でした。
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短篇集。表題作は“小さな弟”の楽器が儚く美しい雰囲気で、波の音が聞こえてきそうだった。『風薫るウィーンの旅六日間』は喜劇的。しんみりする場面が、ある一言で可笑しさに変わった。『バタフライ和文タイプ事務所』は官能表現を楽しめた。『ひよこトラック』はどうにも言葉にできない。『ガイド』...
短篇集。表題作は“小さな弟”の楽器が儚く美しい雰囲気で、波の音が聞こえてきそうだった。『風薫るウィーンの旅六日間』は喜劇的。しんみりする場面が、ある一言で可笑しさに変わった。『バタフライ和文タイプ事務所』は官能表現を楽しめた。『ひよこトラック』はどうにも言葉にできない。『ガイド』は、観光日和に川下りを楽しめるのかと思いきや、そうもいかなかった。不穏な観光名所が現れるのもまた一興。他掌編二作。
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短篇7つ。 この短篇群でも、小川洋子さんの世界が広がる。 じゃあ、「小川洋子さんの世界とは?」と聞かれても、言葉にできないのである。 ある種の静けさ、ある種のはかなさ、ある種の美しさ、いろいろな面を一文にもっているのである。 表題作「海」では、「めいりんきん」という不思議な...
短篇7つ。 この短篇群でも、小川洋子さんの世界が広がる。 じゃあ、「小川洋子さんの世界とは?」と聞かれても、言葉にできないのである。 ある種の静けさ、ある種のはかなさ、ある種の美しさ、いろいろな面を一文にもっているのである。 表題作「海」では、「めいりんきん」という不思議な楽器と恋人の弟の話。 お気に入りは、「バタフライ和文タイプ事務所」「缶入りドロップ」「ガイド」である。 特に、「バタフライ和文タイプ事務所」は、単に「すごいなぁ」という読後感しか出なかった。タイプライターの一文字から、こういう世界観を生み出せるのは、すごいとしかなかった。 「海」 「風薫るウィーンの旅六日間」 「バタフライ和文タイプ事務所」 「銀色のかぎ針」 「缶入りドロップ」 「ひよこトラック」 「ガイド」
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
妖しさや奇妙さのある物語が七編収録された短編集。 一つ一つの物語に登場するキャラクターが魅力的でとても好きだった。 歳の離れた人物同士が関わり合いを持つ物語たちに、不思議なわくわく感を抱いた。 『海』では鳴鱗琴(メイリンキン)という作者が創作した楽器が登場するが、それはとても美しく、まるで本当に実在するように思えた。 ラストの主人公の行動が余韻を与えてくれてとても好きだった。 また、主人公にとって「唇」が特別なものであるように見えた。 『バタフライ和文タイプ事務所』では、三階の倉庫にいる活字管理人に会うために、「膣」の文字を傷つけ、持っていく主人公がとても良く、官能的なあやしさを感じた。 管理人が指先で文字をなぞる描写は艶かしく、主人公の欲望が匂い立つようだった。 『ガイド』で登場した「題名屋」、『バタフライ和文タイプ事務所』の「活字管理人」など、小川洋子作品特有の職業がとても好きだ。 現実には存在しないのだろうけど、もしかしたらあるのかもしれないと思ってしまうくらいの生々しさを感じる。 それぞれの物語は短いものだが、魅力が詰まった本だった。 お気に入りの一冊となった。
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ラジオ深夜便 文芸館朗読「ひよこトラック」 心を寄せれば年齢や立場が違っても 言葉がなくても通じるということを 言葉で表現している小説 映像がなくても通じる 心と耳で聴く朗読ならでは 言葉がいきる
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道徳の時間に出てきそうな話が多い。 めちゃくちゃ軽めな味付けだが『バタフライ和文タイプ事務所』みたいに淫靡な作品もあったりする。
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どこかの国の誰かのおはなし 誰が書いたかもわからないけれど 人から人へと語り継がれる 作家本人もどこかで述べていた、 不思議で懐かしくて安心する 生々しくてざわざわする そんな短編たち
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スポットライトを浴びるような華やかな場所ではなく、世の中のどこかでひっそりと、ささやかな居場所とか仕事を持つ人の人生の一コマに、優しくそっと光を当てたような7つの短い物語。小川洋子さんの物語は決して俗に言う「泣ける」のを狙って書かれたものではないと思うのだけど、読むと理由もわから...
スポットライトを浴びるような華やかな場所ではなく、世の中のどこかでひっそりと、ささやかな居場所とか仕事を持つ人の人生の一コマに、優しくそっと光を当てたような7つの短い物語。小川洋子さんの物語は決して俗に言う「泣ける」のを狙って書かれたものではないと思うのだけど、読むと理由もわからず泣いてしまう。表題作の『海』に出てくる架空の楽器〈鳴鱗琴〉は海からの風が吹くと鳴るというのだけれど、この本を開くと私の胸を震わせ響かせるなにかが押し寄せてくるのを感じてやまない。 どのお話しも好みだけれど、『ひよこトラック』はボロボロ泣けてしまった。一番最後の『ガイド』はどことなく『博士の愛した数式』を彷彿とさせるような深い余韻が残る。
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とても不思議な世界なのに小川洋子さんの作品は本当に温かいです。疲れた時や安心したい時によく読む本です。
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