1,800円以上の注文で送料無料

さいはての島へ の商品レビュー

3.7

35件のお客様レビュー

  1. 5つ

    5

  2. 4つ

    14

  3. 3つ

    11

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    1

レビューを投稿

2019/05/21

2019/05/21 死を拒絶することは生を拒絶することでもあるんだよ。 生きている者が死にたくないと思うのは当然かもしれないが、そのことと永遠の命を求めることは全く別のこと。その永遠の命を求めた者の愚かしさと、それを手にした者の寂しい末路が描かれていた。と同時に、道に迷う者の...

2019/05/21 死を拒絶することは生を拒絶することでもあるんだよ。 生きている者が死にたくないと思うのは当然かもしれないが、そのことと永遠の命を求めることは全く別のこと。その永遠の命を求めた者の愚かしさと、それを手にした者の寂しい末路が描かれていた。と同時に、道に迷う者の足元をそっと照らす灯火のようなゲドの言葉が、なんだか身にしみた。力を持ったとするならば、それは世界の調和や均衡を守るために使われるべきなんだろう。そして正しい判断のもと、正しい行動をとるには世界のことをもっと知らなくては。何を正しいとするかは、人によって異なるということを根底に。

Posted byブクログ

2019/01/17

「ゲド戦記」の原作、シリーズ第3巻 ゲドとアレンの出会い、そして二人は旅に アレンが旅の中で成長していく

Posted byブクログ

2018/02/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ゲド戦記3冊目、訳者はこれが最終巻だと思って訳していたらしいが、それも納得のゲドの最後の冒険物語。しかし、これはゲドの大魔法使い、大賢人としての冒険の最後ではあるが、同時に新しい王の誕生につながる王子の冒険物語である。喪失と誕生の物語といえる。 多島海の西の端から、魔法が効かなくなり、人々は無気力になり、社会がまともに機能しなくなってきているという知らせをゲドの元に持ってきた若い王子。ふたりはその原因を探るために西方目指して旅立つ。行く先で目にする不可解な現象。人々が生活の拠り所にしていた魔法が効かないのだ。魔法使いや吟遊詩人たち、つまり文化の象徴である中心であった者たちが、呪文、呪文の意味、歌を忘れていく。多島海ではことばが重要である。太古のことば、まじないのことば、代々伝わる英雄や賢者たちを語ることばが存在しないということは、文化の核が消えるということだ。同時に社会に混乱が深まり、人々は平安を忘れ、ハジアと呼ばれる麻薬に溺れている。ここまでの描写がとにかくすごい。内面から崩壊していく社会の脆さを暴き出している。 どうやら世界の一部に穴が開いていて、そこから何かが漏れ出している。まるで世界に傷がついていて、血が流れているように。原因はなんなのか。それを突き止めるため、老人と若者が、一方は自分の力の最期を予感しながら、また一方は自己実現と師匠への敬愛から、西の果てまで旅をする。 この作品のテーマとなるのは、生と死、そして人間の欲望のひとつである生への執着である。大賢人は、永遠の生とは何だ、終わらない生があるというのなら、それは死んでいるのと同じではないか?と問いかける。 私たちも、変わらないもの、永遠への欲求に突き動かされて現代を生きているが、まさにそんな私たち人間への痛烈な批判である。 最後は大魔法使いとして全ての力を出しきり、ボロ切れのように倒れたゲド。最後は竜とともに戦い、そして竜が彼を生まれ故郷のゴンドに連れていった。その後の展開はこの16年後となるが、その続きも最高に面白いものである。

Posted byブクログ

2016/09/18

ゲドがアレンと出会い、船旅で教える1つ1つが本当に深い。 何をするにしても全体の均衡に関わってくる。その均衡を保つにはどうしたらいいのか、私たちは学ばなければならない、、、。 なんて、本当に児童文学なの?(笑) アレンとともにゲドからたくさんのことを学ばせてもらいました。

Posted byブクログ

2015/06/28

死への不安に終止符を打てるというならそれはとても魅力的なことだろう。でも自らの生に執着した不死の代償には耐えられない。 闇を見つめて乗り越えること。弱さを知ってそれでも立ち向かうこと。立派に治めていくだろうなあ。 映画とだいぶ違うのね。

Posted byブクログ

2014/11/12

一貫してこの作者は自主性を貫いて けして脅しや不安恐怖による命令で 人の心を奪って自分の思惑で物事を動かし 無理強いした解決を良しとしない 浅知恵であろうと怯えからであろうと 本人のその時その場の意思と選択を尊重し むしろこの物語の主人公の成長を可能にするために 自分の肉体を提...

一貫してこの作者は自主性を貫いて けして脅しや不安恐怖による命令で 人の心を奪って自分の思惑で物事を動かし 無理強いした解決を良しとしない 浅知恵であろうと怯えからであろうと 本人のその時その場の意思と選択を尊重し むしろこの物語の主人公の成長を可能にするために 自分の肉体を提供しようとすらしてみせる この自主性の村長こそが全体観につながる 調和を目指すことで どの部分にとっても最善の喜びへ向かう旅になることを 意味しているのだと伝えたいようだ 何かを決断するときには 「ある」と「する」のどちらかを選ばなければならない そこに「ある」人生に添うことと 何かを選んで「する」人生に踏み出すことの どちらかを常にイヤでも選んで行かなければならない つまりどちらにしても選ぶことから始まっていく そして何かをすることから何かをすることへと 大きな変化を迎えるときの踊り場では ソコに「ある」人生に身を任せながら 咀嚼する時間を必要とする(63ページ) 歪むことで流れを生み出し学ぶことを 可能にしているこの世だけれども 歪み過ぎた時に自己修復する治癒力によって異変が起こる 又コレとは別の利己的で邪悪な欲望によって 自然に見せかけた密かな思惑による異変もある この飴と鞭で心をくすぐる異変を利己心を離れた心で 全体を加味する冷静さで見つめることは難しい 本文より(65) 「まちがいではないさ。しかしただ行きたいと思うだけではなく、例えば限りない富とか・絶対の安全とか・絶対の命とかを求めるようになったら、その時人間の願望は変わるのだ。そして知識がその欲望と手を結んだら、よこしまなるものが立ちあがる。そうなるとこの世の均衡はゆらぎ、破滅えと傾いていく」 これは学問とか宗教とか魔法とも同じことで 性善説をとるか性悪説を取るかが問題になる 「恥を知るものにこそ栄光がある」(66〜67) 「ソプリは死を求めていたのでない。死にも生にも背を向けて安心を求め死の不安に終止符を打ちたかったのだ」 「でも、死を超えて生に通じる道があるはずでしょう。私達はそれを求めているしあなたはそれを知っているでしょう」 「ワシは知らん。勿論彼らが探していると思っているものが何かということは知っている。だがそれが嘘だということも知っておる。いいかソナタはいつか死ぬ。永久に生き続けることなどない。俺等は幸いな事にいつか必ず死ぬことを知っている。これは人間が天から授かった贈り物だ。そなたは一つの波を救うために、自分を救うために海を鎮め潮の流れを止めようと思うかい?永久の身の安全を得るためになら、持っている技を放棄し喜怒哀楽の情を放棄し太陽の輝きを見られなくなってもいいとおもうかい?」「生を拒否することによって死を拒否し、永遠に生き続けるという!だがな、ワシは絶望から発した勧めなど受け付けない。」「そなたの生身の人間としての恐怖がそなたを引っ張っていく所に行き着かなければならない」(201〜) 「わしらの心の中には裏切り者がひそんでいる。そいつの囁きがわかるのはほんの少しの人間だけだ。魔法使いとまじない師に吟唱詩人と職人たちと英雄がいる。自分自身であろうと務めている人だ。自分であることは偉大なことだ。だが永久に自分自身であることはどうなんだろう?」 「不死を願い気持ちが強いほどその魂が健康だとも言える。」 「よこしまな王が支配し人の術は忘れられ詩人が言葉をなくし皆盲になる。今がこの状態だ。この世では二つのもの、相対立するものが一つのモノを作り上げている。万物の影。光と闇。天の両極。そして生は死から死は生から生まれている。対立しながら求め互いに生を与え合い、永遠に蘇りを続けていく。だとすると変わること無く永遠に続く生とは?死を他にして何がある?」 「誰が許す?誰が禁止する?(誰が善悪を決める?)」(224〜) (自分以外に決定をくだし責任をとれる者などいないだろう)

Posted byブクログ

2013/09/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「影との闘い」の次に好きな作品。 生への欲望に飲み込まれた人間・魔法使いが力を失い、世界の均衡を失っていく。死を否定することは生をも否定すること。過去を否定することは未来をも否定すること…。当たり前のことだけど、納得。 ゲドが強くてかっこいい。ゲドへの信頼と猜疑心に揺れながら成長していくアレンも素晴らしい。ゲドが力を失って、カレシンに連れられて故郷に向かうラストは悲しいなあ。

Posted byブクログ

2015/01/27

ゲド戦記3巻。 今作はエンラッドの王子アレンが登場。 エンラッドでの異変...魔法の力が衰え、人が無気力になる...。 アレンが大賢人となったゲドの元に訪ねることで物語がはじまり、二人で原因を追及する旅に出ます。 いままで同様読んでいる間はずっと雲をつかむような感覚でしたが、...

ゲド戦記3巻。 今作はエンラッドの王子アレンが登場。 エンラッドでの異変...魔法の力が衰え、人が無気力になる...。 アレンが大賢人となったゲドの元に訪ねることで物語がはじまり、二人で原因を追及する旅に出ます。 いままで同様読んでいる間はずっと雲をつかむような感覚でしたが、竜が出てきたあたりからぐぐんと面白くなりました。 どうやら私はそういうわかりやすい展開がぼんぼこ起こるようなお話じゃないとだめみたい。 でも、それでも、時間をかけても読む価値がある気がする。不思議な力を持った小説。 次はどんな物語だろうなあ。楽しみ。

Posted byブクログ

2013/07/07

ゲド戦記 第3弾。エンラッドの王子アレンと、魔法の力を衰えさせ、人々を無気力にさせている敵を求めて、旅をする物語。

Posted byブクログ

2012/11/09

ゲド戦記三作目。 大賢人となったゲドと若き王子レバンネンが、 世界の均衡を保つために旅に出る。 ゲドから言わせると、レバンネンとゲドの旅。 大賢人としてのゲドもしっかり活躍してくれる ので読む側としても嬉しい限り。

Posted byブクログ