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川は静かに流れ の商品レビュー

3.8

61件のお客様レビュー

  1. 5つ

    13

  2. 4つ

    24

  3. 3つ

    16

  4. 2つ

    4

  5. 1つ

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2011/09/06

これはいかにも北上さん好みの父子小説。流れるような展開で一息に読んでしまった。もうちょっとハードボイルド寄りかと勝手に思ってたので、ちょっと物足りない感じがしたけれど、リーダビリティは抜群。評価が高いのもうなずける。

Posted byブクログ

2010/02/11

このミスで紹介してもらわなかったら出会うことのなかった本ですね。ストーリー・事件・構成はわりと平凡。でも、読後感は何かが妙に残ったみたい。

Posted byブクログ

2010/01/10

良い小説である。 冒頭、著者の謝辞にあるように、 ミステリーの範疇に入るのだろうが、 同時に家族をめぐる物語でもある。 少し、ハードボイルドの匂いもするような、しないような…。 読了後は、少し切ない気持ちに。 2008年 アメリカ探偵作家クラブ賞(MWA賞)     最優秀長篇...

良い小説である。 冒頭、著者の謝辞にあるように、 ミステリーの範疇に入るのだろうが、 同時に家族をめぐる物語でもある。 少し、ハードボイルドの匂いもするような、しないような…。 読了後は、少し切ない気持ちに。 2008年 アメリカ探偵作家クラブ賞(MWA賞)     最優秀長篇賞受賞作品。

Posted byブクログ

2012/03/05
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

故郷を追い出され逃げるようにニューヨークで暮らしてきたアダム。突然の旧友ダニーからの電話で助けを求められ、5年ぶりに故郷に帰ってきた。淡い期待と怒りを胸に。だが彼が直面したのは自分を人殺しとして扱う人々の冷たい視線、頑なな父、敵視する継母、機嫌の悪い恋人や幼馴染。さらに、アダムが再会した直後に幼馴染が何者かに暴行され、やがて殺人事件まで起きてしまう。そして彼を呼び出した当の友人は行方不明なままで…。年末年始にかけて良い作品に当たったなぁというのが読み終わった直後の感想。ストレートな感情表現がアメリカらしく、家族や恋人たちとの絆が中心に描かれている。「アメリカ探偵作家クラブ賞」受賞作品とのことだが、あまりミステリらしい謎解きは前面に出てこない。5年前から未解決なままの事件、ある人物の出生の秘密、母の自殺、いま新たに起こった殺人事件の真相など、解明すべき謎は数え上げるとたくさんあるのだが、いずれもが関係する人々の心の内面に深く起因しているため、人間模様を解きほぐしながら次第にわかっていくというスタイル。読みやすく解り易い話の展開で読者への間口を広いが、一方でミステリ色が薄いような若干肩すかしをくらうかもしれない。いずれにしても、徐々に解き明かされる真相、人間関係にいつの間にか物語に引き込まれる良作だ。【以下ネタバレ含むため未読の方はご注意】5年前、アダムに何が起こったのかは過去の回想とともに次第に判明してくる。アダムの父が経営するレッドウォーター農場で少年が殺害されているのが発見され、継母がアダムの犯行だと法廷で主張した。殺人の濡れ衣を着せられた無実のアダム。判決は無罪となったが人々の疑惑は拭えず、アダムはこれ以上この土地に居た堪れない状況に追い込まれたのだった。この過去の事件をはじめ、幼馴染で妹的な存在のグレイスを襲った暴行事件、アダムを故郷に呼び戻したダニーの殺害を、警察の反感を買いながらも半ば自棄になって追いかけるアダムがこの作品の探偵役と言えよう。自分の目の前で母親に自殺されたトラウマを抱え、過去の事件では自分の無実より継母の証言を信じた父親に対して怒りと憎しみを抱きつつも、痛みを堪え少しずつ乗り越えていこうとする姿が印象的だ。子供が親を慕う気持ち、親が子を思う気持ちは一方で、少しよじれると縺れ歪み、嫉妬や憎悪、敵愾心の感情をもたらし、不幸を生んでしまう。暴行、殺人は決して許されることではないが、結末で明かされる意外な真犯人(たち)もこうした不幸の被害者といえるのかもしれない。諸悪の根源は父親ジェイコブの過去の過ちにあり、流産を何度も経験し心身ともに疲れ果てた母親へのダメージを思うと本当に同情するばかりで、幼いアダムの負った傷も痛々しいのだが、ジェイコブのために犠牲的行動をとった親友ドルフの堅い友情、刑事としての難しい立場ながらアダムを思いやる恋人ロビン、アダムの無実を信じ続けたダニーの友情など、心温まるところの多さが救いとなっている。惜しむらくは、現在のレッドウォーター農場が原子力発電所建設を巡る土地の買収に拒否を示しているため地域住民の反感を買っているという設定を、うまく事件に絡められたらよかったかも。

Posted byブクログ

2009/11/10

今まで読んだミステリ本の中で一番になる本に出会いました! 昨日読みおわり、まだその余韻にひたっています。 描写がとてもきれいです。 友情と家族愛をテーマに描いております。 愛するひとのために、自分はどこまで出来て、どこまで許せるのか考えさせられました。 ストーリーが展開し...

今まで読んだミステリ本の中で一番になる本に出会いました! 昨日読みおわり、まだその余韻にひたっています。 描写がとてもきれいです。 友情と家族愛をテーマに描いております。 愛するひとのために、自分はどこまで出来て、どこまで許せるのか考えさせられました。 ストーリーが展開してくると、息を止めて読むくらいドキドキしました。 『あらすじ ある事件で故郷を追われた主人公アダムが、親友からの電話を機に故郷へ戻る。 故郷に戻ったことで、アダムは事件に巻き込まれて行き、過去の事件やはなれた家族と向き合うことになる。』

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2009/10/13

帯のキャッチコピー(期待は絶対に裏切られない)は嘘ではありません! いやーこれは久しぶりにおもしろいミステリを読むことができて、幸せ。 最後までずっと緊張感を持ったまま、すべての謎が解けていくのは、快感でした。 この作家は要注目です。

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2011/09/30

 わかりやすいなあ。ストレートに面白い。先日、ニコラス・ケイジとメグ・ライアンの競演による儚いラブ・ストーリー映画「シティ・オブ・エンジェル」を観て、つくづくそう思った。というのは、この映画がフランス、西ドイツ合作映画「ベルリン・天使の詩」のリメイクでありながら、わかりやすさの点...

 わかりやすいなあ。ストレートに面白い。先日、ニコラス・ケイジとメグ・ライアンの競演による儚いラブ・ストーリー映画「シティ・オブ・エンジェル」を観て、つくづくそう思った。というのは、この映画がフランス、西ドイツ合作映画「ベルリン・天使の詩」のリメイクでありながら、わかりやすさの点でははるかに「ベルリン……」を凌いでいたからだ。「アメリカ流」の優れたところを見せられた。それで、本書。やはり、わかりやすく、シンプルでストレートなストーリー。ジャンルとしては、ミステリというよりはハードボイルド寄り。主人公の本能にまかせた行動は、たやすく気持ちを昂らせてくれた。大雑把な表現でだが、「アメリカ流」を実感した。ときに、悪い意味で使われることもあるが、本書に対しては、かなりの「褒め言葉」のつもりである。本書のストーリーは、これでもかこれでもかと重荷を背負い込んでいく主人公アダム・チェイスが、はたして事件を解決し、背負い込んだ重荷を降ろすことができるのか、という超ド定番の長篇のサスペンス・ミステリ。幼いときに目の前で母親に死なれたことがトラウマとなっているアダム。5年前には、ある殺人の罪を負いそうになる。裁判で無罪になったものの、田舎の町の人々のこと、誰も彼を信じない。大地主の息子だから無罪を金で買ったのだ、と言ってはばからないのだ。それにもまして、継母が目撃を主張する。彼が殺人現場の方から帰って来て、手には血が付いていたという証言を引っ込めない。そして、父親までもがアダムを信じずに、その妻の証言を信じたことが、アダムを暗い闇の底に突き落とす決定的な原因となった。こうして、アダムは町を出た。そして5年後、悪友から、頼み事があるから帰ってきてくれとの懇願の連絡が入る。骨太で、どっしりとした安定感あるストーリーだ。ストーリー・ラインは、家族の物語と、事件の真相を追う物語の二つ。この二つの線がきつく絡み合い、錯綜して綴られていく。家族円満、幸せいっぱいの読者ならば、どう感じるだろう? 余計な心配が頭を過ぎった。それほどに壊れた家族関係が描かれている。ただ、本書は著者ジョン・ハートのまだ2作目の作品。正直なところ、粗さも目立つ。もう少し練り上げ、磨きをかければ、と思うところもないわけではない。それでも、そんなマイナス面をも忘れてしまうほどの、テンポの良い展開があり、深みある心理描写がある。すばらしいと思う。縺れた家族の絆に心を掻き乱されながらも、元恋人との再会に心穏やかにいられない。そんな苦悩の中主人公アダム・チェイスは真相を追い続ける。彼は、いかにして事件の真相に辿り着くのか? 家族や元恋人との関係は修復できるのか?もちろんそこは本書の読みどころだが、しかしそれだけではない。読みどころは他にもたくさんある。暗い情念であったり、精神の内奥を抉るところなどが、随所に鏤められているのだ。本書はしっかりとした読み応えのある、哀しく切なくやるせなく、そして希望ある作品だ。ただし、アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞受賞作品ということで、巧緻なミステリを期待すると、がっかりすることになるかもしれない。アメリカン・ハードボイルド小説好きならいいかもしれない。人間の内奥なんてどうでもいいという方や、青春小説好きには向かないだろう。

Posted byブクログ

2011/10/03

アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長編賞(エドガー賞)受賞作。ふるさとの川のほとりの家。自分のすべてを形作った場所。数年前に殺人の濡れ衣を着せられて故郷を追われた主人公は、親友が助けを求める電話でまた戻ってくる。しかしそこに待っていたのは、家族との不協和音、警官となった昔の恋人との再...

アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長編賞(エドガー賞)受賞作。ふるさとの川のほとりの家。自分のすべてを形作った場所。数年前に殺人の濡れ衣を着せられて故郷を追われた主人公は、親友が助けを求める電話でまた戻ってくる。しかしそこに待っていたのは、家族との不協和音、警官となった昔の恋人との再開、新たな殺人事件だった。 筆者自身が、「自分の作品はミステリーに分類されるのだろうが、自分としては『家族』の物語を書いている」、と述べているとおり、これは謎解きのおもしろさを味わうというよりも、親と子・兄弟姉妹・恋人同士といった、人と人との関係、心の襞を描くことを主眼としている。ノースカロライナの自然と併せて叙情たっぷりに描かれているが、読後は、これほど多くの人が死ぬほどの大事件の一端を一方が担い、そして一方がそれを知ってしまって尚、家族の絆がそれに勝るのか、違和感が残った。

Posted byブクログ

2009/10/04

帰郷と心の闇──このふたつが大きな要素。ミステリとしての謎解きは二次的なものだが、的を得た絡みが非常に効果的で、ストーリーの幅広さに拍車をかけている。トマス・クックが得意としそうな設定だが、この作家の色がきちんと出ていて好印象。展開に秀でているわけでもないのに物語に飽きはこず、キ...

帰郷と心の闇──このふたつが大きな要素。ミステリとしての謎解きは二次的なものだが、的を得た絡みが非常に効果的で、ストーリーの幅広さに拍車をかけている。トマス・クックが得意としそうな設定だが、この作家の色がきちんと出ていて好印象。展開に秀でているわけでもないのに物語に飽きはこず、キャラには誰一人として共感できないが、人物造形は素晴らしい。筆致や構成はあくまで平均レベルなのだが、ぎゅっと身が引き締まったストーリーは旨み抜群で永く脳裏に残る。細部まで見逃さず、エピソードやそれぞれの複雑な関係を、ゆっくり丁寧に書き上げた作者の粘り勝ちなのだろう。ゴダードよりもスローテンポで、ジェファーソン・パーカーほど濃厚でもない。腹八分目でちょうどいいさじ加減。今年のランキングが楽しみに思える帰郷ミステリの傑作。

Posted byブクログ

2011/09/12

「僕という人間を形作った出来事は、すべてその川の近くで起こった。川が見える場所で母を失い、川のほとりで恋に落ちた。父に家から追い出された日の、川のにおいすら覚えている」殺人の濡れ衣を着せられ故郷を追われたアダム。苦境に陥った親友のために数年ぶりに川辺の町に戻ったが、待ち受けていた...

「僕という人間を形作った出来事は、すべてその川の近くで起こった。川が見える場所で母を失い、川のほとりで恋に落ちた。父に家から追い出された日の、川のにおいすら覚えている」殺人の濡れ衣を着せられ故郷を追われたアダム。苦境に陥った親友のために数年ぶりに川辺の町に戻ったが、待ち受けていたのは自分を勘当した父、不機嫌な昔の恋人、そして新たなる殺人事件だった。アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞受賞作。(裏表紙あらすじ) 帯に出ている北上次郎氏の「期待は絶対に裏切られない」の文といい、雰囲気が感じられる表紙のデザインといい、「これは傑作かも」と、読み始めました。ミステリとしての完成度はそれほど高くないと思います。ある人物の目撃証言で、主人公が殺人犯にされてしまうのか疑問。 家族というものを改めて考えさせる物語と言えそうです。

Posted byブクログ