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ポトスライムの舟 の商品レビュー

3.4

241件のお客様レビュー

  1. 5つ

    19

  2. 4つ

    74

  3. 3つ

    94

  4. 2つ

    21

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2022/05/07

お金がなくても夢は育てていける…確かにそうなんだけど、お金を貯めている日々の暮らしが、あまりに味気ない気がして、あまり共感は出来なかった。

Posted byブクログ

2021/10/03

芥川賞受賞作の表題作は今この国のそこここに生きている人々の姿が静かに綴られた一遍。昨今よく使われる言葉でいうと"世界の片隅で"慎ましく暮らしている人々の姿。主人公は著者がモデルだろうか。正社員の職をパワハラで辞め、契約社員として単純作業をこなす日々(検品バイト...

芥川賞受賞作の表題作は今この国のそこここに生きている人々の姿が静かに綴られた一遍。昨今よく使われる言葉でいうと"世界の片隅で"慎ましく暮らしている人々の姿。主人公は著者がモデルだろうか。正社員の職をパワハラで辞め、契約社員として単純作業をこなす日々(検品バイトは『君は永遠にそいつらより若い』でも出てきていた)。職場に貼られた世界一周旅行のポスターにあった旅行費用が契約社員としての年収と同額だと知り、その額をためるため内職を増やしながらも生活はさらに慎ましくなるが、家庭の問題を抱えた学生時代の友達や職場のリーダーらとの日々の中で自分なりの居場所を見つけていく。とても小さな自己肯定感。でもこれが作者自身、自分の立ち直りのために必要だったんだろう。そして今息苦しさを抱える人にも通じるところが芥川賞で「普遍的」(宮本評)と評されたのだろう。最新作にある柔らかさや余裕は見られない(面白いと思った文章は「よもやこの界隈の平均年齢を下げに派遣されてきたわけではないだろう。」(p.42)くらい)。まだ作者自身もそこまでの余裕がなかったのだろう。同時に所収された『十二月の窓辺』は読んでいてより苦しかった。同様に職場のパワハラで引きこもりになってしまった身内を思い出しながら読んだ。

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2021/08/08

ゆっくり伸びていく日常の様子が淡々と描かれていて、好みでした。なんだかんだ、貯めたお金を使う先は、大きな夢よりも身近な人の笑顔のほうがいいのかもしれない。 「十二月の窓辺」は読むのがかなり辛いです。津村さんの実体験から絞り出された物語なのかと考えてしまいます。これに共感する人が...

ゆっくり伸びていく日常の様子が淡々と描かれていて、好みでした。なんだかんだ、貯めたお金を使う先は、大きな夢よりも身近な人の笑顔のほうがいいのかもしれない。 「十二月の窓辺」は読むのがかなり辛いです。津村さんの実体験から絞り出された物語なのかと考えてしまいます。これに共感する人が少ないといい。

Posted byブクログ

2021/03/15

芥川賞受賞作と知らずに読んだ。 二作品とも異なる切り口だが「仕事」に焦点。津村さんの作品は初めて読んだが、他の作品のタイトルを見る感じ作家さんのスタイルなんだろうなと思う。 主人公はどちらもあまりぱっとしない女性。 ポトスライムの舟のほうがやや明るい感じで、十二月の窓辺は読ん...

芥川賞受賞作と知らずに読んだ。 二作品とも異なる切り口だが「仕事」に焦点。津村さんの作品は初めて読んだが、他の作品のタイトルを見る感じ作家さんのスタイルなんだろうなと思う。 主人公はどちらもあまりぱっとしない女性。 ポトスライムの舟のほうがやや明るい感じで、十二月の窓辺は読んでいてつらい。 両方とも最後はやや晴れ間が見えるけれど、通り魔が哀しい。 他の作品も読んでみたいと思った作家さんでした

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2021/04/19

表題作は、奈良で暮らす三十路手前の女性が一年で163万を貯金しようとする話。というと、味も素っ気もないが、主人公のナガセは端々に人の良さを感じさせ、その人柄が予期せぬ出費を生む。手取り14万弱の彼女は無事に目標を達成できるのか。最後まで見守る価値は十分にあった。『十二月の窓辺』は...

表題作は、奈良で暮らす三十路手前の女性が一年で163万を貯金しようとする話。というと、味も素っ気もないが、主人公のナガセは端々に人の良さを感じさせ、その人柄が予期せぬ出費を生む。手取り14万弱の彼女は無事に目標を達成できるのか。最後まで見守る価値は十分にあった。『十二月の窓辺』は、パワハラ被害にあう女性の話。ほんのりミステリの香り。未熟さはあれど思考停止しなかったツガワに、いい未来を期待したい。

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2020/06/17

表題の『ポトスライムの舟』と『十二月の窓辺』の中篇小説2篇。前作の方は工場社員とバイト掛け持ちで労働に明け暮れるアラサー女子が職場で見た世界一周旅行ポスターをきっかけにその費用の163万円を貯めようという目標を持ったところから始まる物語。最後にナガセは世界一周旅行に行けるのだろう...

表題の『ポトスライムの舟』と『十二月の窓辺』の中篇小説2篇。前作の方は工場社員とバイト掛け持ちで労働に明け暮れるアラサー女子が職場で見た世界一周旅行ポスターをきっかけにその費用の163万円を貯めようという目標を持ったところから始まる物語。最後にナガセは世界一周旅行に行けるのだろうか?と気になりつつ読み進めましたが、本人だけでなく、周りの友達や親や職場のリーダーといった人達の人間模様にも変化が現れて、じわじわと新しい世界がポトスライムのイメージとともに広がっていくところが面白かったです。しんどいこと、辛いことを抱えた人たちを暖かく見守る視点が感じられて、瑞々しさも感じて癒されました。一方後作の方はタイトルが示すように寒々しくて重かったです。職場のパワハラにかろうじて抗っていこうとする新入社員の記録です。V係長のようなパワハラ上司がどこかに本当にいそうで恐ろしかったです。パワハラの無い世の中になって欲しい。最後が衝撃でした。 オフィス街を見つめる目が変わりそうでした。

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2019/11/25

わかる。 わたしも先日はストックの葉をむしりながら、 これは多分煮浸しか、レンジでチンしてお浸し的なやつかな と思った。 食べられそう、って気持ち。 そこじゃないんだろうけどね

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2019/08/26

「次は自分以外の誰かのこともわかることができるようにとツガワは強く願った。自分がナガトと話をするのを楽しみにしていたように、自分も誰かの気休めになることができればいいと思った」(185 ページ) 踏みつけられ、踏みにじられ、 生きる気力も、生きる願いも失ったとき。 そんな時で...

「次は自分以外の誰かのこともわかることができるようにとツガワは強く願った。自分がナガトと話をするのを楽しみにしていたように、自分も誰かの気休めになることができればいいと思った」(185 ページ) 踏みつけられ、踏みにじられ、 生きる気力も、生きる願いも失ったとき。 そんな時でも、誰かにとっての優しさや、 誰かにとっての拠りどころになりたいと思う物語り。

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2019/07/14

芥川賞を受賞した「ポトスライムの舟」と「十二月の窓辺」を収録。 どちらも、会社員をしている著者だから書ける小説だなと感じた。 工場で働いて、世界一周のためにお金を貯め始めた〜ポトスライムより、ブラック企業でいじめられている〜十二月の窓辺の方が臨場感があって、でも不快感もあってのめ...

芥川賞を受賞した「ポトスライムの舟」と「十二月の窓辺」を収録。 どちらも、会社員をしている著者だから書ける小説だなと感じた。 工場で働いて、世界一周のためにお金を貯め始めた〜ポトスライムより、ブラック企業でいじめられている〜十二月の窓辺の方が臨場感があって、でも不快感もあってのめり込んで読めた。

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2019/06/09

★自分だけじゃない★女性の小説家の純文学はあまり読んだことがなかったが、じんわりと染みてくる。文芸誌への掲載時期からみると、パワハラを巡る話が先にあって表題作に続いているのだろうか。パワハラもセクハラも貧すれば鈍する状態から生まれるのが鮮明で、そんな道理を欠いた地点から気持ちをど...

★自分だけじゃない★女性の小説家の純文学はあまり読んだことがなかったが、じんわりと染みてくる。文芸誌への掲載時期からみると、パワハラを巡る話が先にあって表題作に続いているのだろうか。パワハラもセクハラも貧すれば鈍する状態から生まれるのが鮮明で、そんな道理を欠いた地点から気持ちをどう立て直すのか。ピースボートの世界一周163万円という数字を糸口に給与や生活を生々しく浮かび上がらせ、周囲の人の苦しみにも気づいて自分を相対化しているように感じた。

Posted byブクログ