宇宙創成(下) の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
フェルマーの最終定理同様、読者が自然と引き込まれるような構成になっている。電車の中で読んだが、2時間くらいあっという間に経ってしまった。サイエンス系の本だと、読んでいても何が書いてあるか分からず、飽きてしまうケースが少なくないのだが、サイモン・シンはそのあたりが本当に上手だ。難しい数式なども出てこないので、予備知識がほとんどない状態でも読み進めることができる。宇宙論は数学や物理学を用いて詳細に説明しようとすればいくらでもできると思うのだが、読み物として読まれることを意識しているのだろう。それでいて、分かりやすく宇宙に関する歴史の概略を理解することが出来る。面白い。
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宇宙論は好きで、関連書を数冊読んだが、わかりやすさ、ワクワク感を含めた娯楽性の高さを考えると、最良の本。この分野に興味を持った人は、真っ先に手に取る本だろう。 本書は天動説から地動説への大転換に至るまでの長い史実の記述から始まる。そして地動説が決定的になった20世紀、科学者たち...
宇宙論は好きで、関連書を数冊読んだが、わかりやすさ、ワクワク感を含めた娯楽性の高さを考えると、最良の本。この分野に興味を持った人は、真っ先に手に取る本だろう。 本書は天動説から地動説への大転換に至るまでの長い史実の記述から始まる。そして地動説が決定的になった20世紀、科学者たちは宇宙の大問題に取り組むことになる。すなわち、「宇宙は過去のある時点で創造されたのか?」あるいは「永遠の過去から存在していたのか?」という大問題である。そして、ビッグバンモデルが考え出された以降も、科学者たちの大半は宇宙の始まりをビッグバンに求めず、静的で永遠な宇宙(定常宇宙モデル)を信じていた。 本書は、(出版された時点での)最有力の理論、すなわち宇宙は137億年に誕生し、30万年後に現れたゆがみから銀河が誕生したという説に至るまでをスリリングに描く。宇宙論の本では「僕らは星のかけら」が一番面白かったが、本書はそれ以上の面白さ。 特にややっこしいビッグバンモデルと定常宇宙モデルの論点を表にして、一つずつ潰してゆくという展開は、リンカーン・ライムシリーズのサスペンス小説並のワクワク感がある。 宇宙論の中で、我々一般人がピンと来ないのは重力と光の関係と思うが、本書は必要最小限な事項を優しく解説してくれている。したがい、宇宙論の本を初めて読む人もストレスなしに読破できるはずだ。 ただし、本書のオリジナルが出版されたのは2004年。したがい、ヒッグス粒子や重力波の話は、直接には出てこない。しかし、それについては、他の本を読めばいい。 とにかく、本当に本当に面白い本。星6つでも足りない。
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非常に面白い。ビックバンを題材に科学とは何かを考えるための良い題材となる。 理論のモデルと実験での検証の両輪が如何に我々の世界観を塗り替えていくかを体感できる。
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下巻では本書の白眉とも言える「宇宙ビッグバン説」が、いかに反対の理論との科学的論争の中で正しいと認められるに至ったかが、様々な科学者たちの生々しい姿ともにスリリングに描かれていく。そして読者はビッグバン説を理解するにあたって、前提として必要となる原子物理学、電波天文学の基礎的な知...
下巻では本書の白眉とも言える「宇宙ビッグバン説」が、いかに反対の理論との科学的論争の中で正しいと認められるに至ったかが、様々な科学者たちの生々しい姿ともにスリリングに描かれていく。そして読者はビッグバン説を理解するにあたって、前提として必要となる原子物理学、電波天文学の基礎的な知識についても自然と得ることができる。 宇宙という深遠な世界について、その誕生の謎を解くために様々な分野の科学者たちが仮説的な理論構築と観測による検証を繰り返す様は大変生々しく、ドラマとしても素晴らしく面白い。なおかつ、科学的な思考プロセス(これはそのまま論理的な思考プロセスと置き換えても良い)を学べる点で、やはり稀有な一冊。何を読んでもサイモン・シンの作品に外れはなく、一級の知的興奮を与えてくれる。こんな作家はそうそういない。
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この写真は昔母が助産婦をしていた時に使った秤です。 キログラムと同時に匁(もんめ)の目盛りまであります。 これで生まれてきたばかりの赤ちゃんの体重をはかったのです。 「2015グラム、ちょっと小さいけど2015年だからちょうどいいわね~」 ってな具合にー さて、今回は重さについ...
この写真は昔母が助産婦をしていた時に使った秤です。 キログラムと同時に匁(もんめ)の目盛りまであります。 これで生まれてきたばかりの赤ちゃんの体重をはかったのです。 「2015グラム、ちょっと小さいけど2015年だからちょうどいいわね~」 ってな具合にー さて、今回は重さについての与太話をお聞きください。 ご安心ください、あなたの体重の話は出てまいりません(笑) 元ネタはサイモン・シン「宇宙創成」という本です。 で、重さということで、ニュートンさんの話からしましょう。 「リンゴの木からリンゴが落ちるのを見て万有引力を思いついた」 という噂が出るほど彼の業績については後世に多大な影響を及ぼしました。 その万有引力の法則ですが、 「2つの物体に間に働く力は、それぞれの質量が大きほど強くなり、 物体間の距離の2乗に反比例する」 つまり、リンゴが落ちるのは、リンゴと地球が重力を介して引っ張り合うから。 しかし、リンゴの動きは確認できるが、地球の動きがわからないのは、 リンゴに対して地球の質量は圧倒的に大きいためなのだそうです。 彼の方程式を使えば地球が太陽の周りを回る仕組みも説明できるそうです。 でも、ここでマッタ!と声をかけたのが、あのアインシュタインです。 そう、私たちに難解な、あの「一般相対性理論」で反論を唱えたのです。 彼は、重力の微弱な地球では万有引力の法則で充分説明できるが、 巨大な重力をもつ宇宙では説明出来ないと考えたのです。 その説明として、光は重力によって曲げられ、 時間と空間も重力によって伸縮するという、 まさに異次元の世界を描き出したのです。 信じられますぅ????? このお話、この本を何度読んでもよく理解できないので 軽くスルーさせてください(⌒-⌒;) でも、わかったことは、こうした科学の法則というのは、 それぞれその理論にはそれに合ったあった条件があるということです。 ニュートンの万有引力の法則はジェットコースターの設計や 昔で言う大陸間弾道弾(ミサイル)の弾道まで充分に適応されているとのこと。 つまり地球上という条件のもとでは今だに立派に通用するということなのです。 それが大宇宙という条件下では説明できないそうです。 アインシュタインが相対性理論を発表してから今年で100年。 でも、彼の理論だけで説明できない現象は山ほどあります。 例えば、宇宙を占める全元素の重量の割合は 実に水素とヘリウムが99.9%を占めているのだそうです。 では何故、水素がこの様に大きな割合を占めるのか? そもそも水素はどうして出来たのか? これらの答はまだ出ていないそうです。 アインシュタインはこう言いました、 「自然は、私たちがライオンにくっついている一匹のシラミのようにしか、 ライオンを見ることはできないのです」 所で、昔のことわざに、「立って半畳寝て一畳」という言葉があります。 一人の人間の行動範囲はたかが知れています。 宇宙から見れば、私たちの極小な世界は本当に限られた条件での空間なのです。 この数知れない宇宙の星の中で、水と緑と燦々ふりそそぐ陽の光の中で、 日々の生活をいとなんでいるわれわれ人類は、 このような恵まれた条件の中でこそかなえられるものではないでしょうか。 こうした条件はある意味、稀有なこと、奇跡ではないでしょうか。 戦前助産婦をしていた母は元気な産声をあげるみどりごを取り上げてきました。 彼女は奇跡の中の奇跡に立ち会ってきたのだと思います。 あのカール・セーガンが 「まったくゼロからアップルパイを作りたければ、まず宇宙を作らなければならない」 と言ったのはまさにこうした意味ではないでしょうか? 私たちは奇跡の一瞬に生きているのだと思います。 「人生には、二つの道しかない。一つは、 奇跡などまったく存在しないかのように生きること。 もう一つは、すべてが奇跡であるかのように生きることだ。」 (アインシュタイン) ※この文は私のブログからひっぱてきたものです。 http://freude21.blog109.fc2.com/blog-category-6.html
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ついに完読。読み切ったという達成感のみ。ガモフ・アルファー・ハーマンのビッグバンモデル、ホイル・ゴールド・ボンディの定常宇宙モデル、パラダイムシフト、ペンジアス・ウィルソン、CMB放射、COBE衛星の観測。
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宇宙が膨張しているというビッグバン理論が、全ての星々が遠ざかっているというハッブルの観測結果により、アインシュタインが間違いを認めるほど優勢になった。だが、証明が完了したわけではない。「宇宙の大きさが一定でも、速度が早い星々だけが遠方まで到達可能なはず」「遠くまで到達した光はエネ...
宇宙が膨張しているというビッグバン理論が、全ての星々が遠ざかっているというハッブルの観測結果により、アインシュタインが間違いを認めるほど優勢になった。だが、証明が完了したわけではない。「宇宙の大きさが一定でも、速度が早い星々だけが遠方まで到達可能なはず」「遠くまで到達した光はエネルギーが失われるため、赤いほうにずれる」といった無理筋なものから「観測結果の年代測定では、宇宙の方が星よりも若くなってしまう」「ビッグバン理論で元素分布を証明できるか?」といった当然の疑問まで、多くの批判検証にさらされることとなる。 天動説がそうであったように、今から思えば明らかに間違いであったと思われるような理論であっても、その時代に可能であった観測範囲においては、現象を説明するのに適していた。その多くが覆されてきたのは、観測の技術の進歩とともに、新たな科学の分野の登場があったからこそだ。 ラザフォードが原子構造から核融合を導き出し、星の誕生プロセスの解明から元素分布の謎が解き明かされ、宇宙の年齢は新たな多数の観測結果により訂正され、二次大戦における電波技術の発達の結果、電波天文学が誕生し、遠方のみに存在する若い電波銀河やクエーサーからの電波が観測され、ついては宇宙誕生の証ともいえる、宇宙背景放射が観測された。 かくして宇宙創生の物語は、神話と宗教の領域から科学へと至った。だが、そこで明らかになったのは、ビッグバンにより時間と空間が誕生したということだった。では、時間と空間が存在しない領域とは一体なんであるというのか。ベビーユニバース、パラレルユニバース、マルチバース。未だ創造の域を出ない領域であり、その端緒を現実世界で掴むことは論理的に不可能といったことすらあり得るだろう。だが、現時点においては、やるべきことは失われてはいない。宇宙の膨張を加速する暗黒エネルギー、銀河の星々の離散を押しとどめる暗黒物質。力の統一理論、ボース粒子、ヒッグス粒子、冥王星探査機。科学技術の進歩の限界は、論理的に証明されていない。
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下巻は、ビッグバンの裏づけのための話と対案となった定常宇宙モデルの論争をポイントに話が進み、ビッグバンが現時点の結論として確からしいというところで話のピークをもってきている。エピローグとしては、ビッグバン直後のインフレーション理論や宇宙の構造等にも触れているが、その証明については...
下巻は、ビッグバンの裏づけのための話と対案となった定常宇宙モデルの論争をポイントに話が進み、ビッグバンが現時点の結論として確からしいというところで話のピークをもってきている。エピローグとしては、ビッグバン直後のインフレーション理論や宇宙の構造等にも触れているが、その証明については、将来ということになる。 概要としては、元素の話から始まり、ガモフ、アルファー、ハーマンらの原子物理学により、初期宇宙は、陽子、中性子、電子からなる高密度のスープだったと考え、宇宙創造の瞬間から30万年後に光が自由に進めるようになり、その光のこだまは今も検出できるはずと予測された。 フレッド・ホイルらは、宇宙はある一点から開始したのではなく、永遠の過去から存在し、膨張はするが、希薄化した宇宙には新たな物質が補充されるという定常宇宙モデルを提示する。 1960年代に光のこだまが発見されたものの詳細なデータを取れるようになったのは、1992年に衛星を使っての観測から。そして、これがビックバンの証拠として認知され、定常宇宙モデルよりビッグバンが正しいという証明となった。 ビッグバン論争に一応の終止符が打たれたあと、宇宙が平坦に見えるのはなぜか?という疑問からインフレーション理論が出てきたり、銀河内部の星の重さが与える重力の研究から、なんか足りないねということで、暗黒物質の存在が認識されてたり、暗黒エネルギーとか。。 ”2001年に亡くなったフレッド・ホイルは、準定常宇宙モデルは正しく、ビックバンモデルは間違っているという固い信念を墓場まで持っていったが、彼は自伝の中でこう述べた。「多くのビックバン支持者がやっているように、自分たちは正しい理論に到達したのだと主張することは、ほとんど傲慢に等しい行いであろう。もしも私自身が過去においてそうした傲慢の罠に陥ったとすれば、ひとときの思い上がりの後には必ず罰が下されたに違いない」こういう健全な反抗の精神は、本来的に科学がもっているはずのものであり、ゆめゆめ否定的に捉えてはならない。” この書籍全般を通じて、宇宙についての論理と観測の両面からの追求が紹介されてきた。多くの研究者たちが、命をかけて、探求してきたものを感じることができた。 ビッグバンの名付け親にして、その対案の支持者であったフレッド・ホイルの自伝の引用では、これまでの宇宙探求の歴史をそのまま言い当てているようで、現在の観測データからビッグバンが正しいとは言えるが、遠い将来、別の観測結果が出てきたら、それもひっくり返ることを示していて興味深かった。 宇宙物理学が観測上の限界に達したことが、ウォール街そしてSNS企業への人材流出とつながってたりするのか?とか思ってみたり。
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上巻ほどの勢いは無かったけど、上下巻通じて大変に読み応えのあるサイエンスノンフィクションでした。自分が生きている間に、どこまで人類は真理を突き詰められるのだろうかと、その先を知ることができない寂しさを感じる読後感。 ■メモ Ⅳ:宇宙論の群雄割拠 ①ビッグバン宇宙VS静的で永遠な...
上巻ほどの勢いは無かったけど、上下巻通じて大変に読み応えのあるサイエンスノンフィクションでした。自分が生きている間に、どこまで人類は真理を突き詰められるのだろうかと、その先を知ることができない寂しさを感じる読後感。 ■メモ Ⅳ:宇宙論の群雄割拠 ①ビッグバン宇宙VS静的で永遠な宇宙 ・惑星の年齢よりも宇宙の年齢が若くなってしまう矛盾 ・原子物理学にその論証のバトンが渡された。軽い元素が重い元素よりはるかに多い理由を説明できるか? ・ラザフォードは核融合を解き明かし、太陽の輝きが核融合によるものであることを示した ・1940年台、ガモフ、アルファー、ハーマンらは初期宇宙を電子、中性子、陽子からなる高密度のスープと考えた ・ビッグバン直後の高温度の中で核融合が進む→軽い元素についてはこれで説明ができたが、思い元素については説明がつかないまま ・宇宙創造の約30万年後から光が自由に進めるように成った、その時の光のこだま(宇宙マイクロ波背景放射)は今も観測できるはず ・同じ頃ホイル、ゴールド、ボンディが定常宇宙論を展開 Ⅴ:パラダイムシフト ①矛盾の解消 ・バーデ、サンディッジが銀河までの距離を修正し、宇宙の年齢が正された ・ホイルが重い元素の創生を解明、死にゆく星の中で生まれていた ・その後電波天文学により銀河の分布が明らかに、定常宇宙論との矛盾が起きた ・セレンディピティによりCMB放射を偶然発見→論争はビッグバン中心に ・1992年、COBE衛生によりCMB放射のゆらぎを観測、ビッグバンの証拠が発見された
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下巻はビッグバン宇宙論が定説となるまでの歴史を一通り。宇宙背景放射とかその辺が証拠になって今に至る、と。今まで読んだ3つのサイモンシンの中では一番、一般向け科学史って感じの内容だった。非常に面白かったのだけれど、ブラックホールとかダークマター的な粒子の話とかまではいかなかった。今...
下巻はビッグバン宇宙論が定説となるまでの歴史を一通り。宇宙背景放射とかその辺が証拠になって今に至る、と。今まで読んだ3つのサイモンシンの中では一番、一般向け科学史って感じの内容だった。非常に面白かったのだけれど、ブラックホールとかダークマター的な粒子の話とかまではいかなかった。今日新聞でたまたまニュートラリノ?とかいう知らない粒子の話を読んだのだけれど、CERNで実験して探す予定らしい。ダークマターの候補らしく、本著の後も宇宙、素粒子物理は日々進化しているようだ。エーテルとヒッグス粒子の違いも分からない自分には、もうお話としてもついていけなくなりつつある…
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