宇宙創成(下) の商品レビュー

4.3

99件のお客様レビュー

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2013/05/17

フェルマーの定理が証明されるに至る経過を非常にうまくストーリーに乗せた著作をよみ、サイモン・シンと科学本のファンになった。 それゆえに、この本を読むことになるのは必然ではあったが、フェルマーの定理ほどの感動はなかった。 やはりゴールが明確でないからか。

Posted byブクログ

2013/03/10

 僕は根っからの文系人間なので、数学やら物理やらの世界は理解できない。でも理解できないこうした理系の世界を、わかりやすく説明しながら、その背景にある人物像や歴史に触れつつ物語を運んでいく著者のS・シンが大好きです。著者の処女作『フェルマーの最終定理』を読んで一気にファンになりまし...

 僕は根っからの文系人間なので、数学やら物理やらの世界は理解できない。でも理解できないこうした理系の世界を、わかりやすく説明しながら、その背景にある人物像や歴史に触れつつ物語を運んでいく著者のS・シンが大好きです。著者の処女作『フェルマーの最終定理』を読んで一気にファンになりました。  数学に興味が無くても「無限」、「虚数」やら「円周率」とかの深遠さを誰にでも理解できる処女作は素晴らしい作品でした。『フェルマー』はその定理の単純さも手伝って、数学の魅力に引き込まれる題材であるという点もありますが、その点を差し引いても必読の本だと思ってます。  次作の『暗号解読』が出版されたとき「はぁ、暗号?」って思いました。なぜ暗号が数学に関係しているのかが、わからなかったのです。でも、暗号というのものに興味があったので、読み始めたらこれがまた面白くて一気に読んでしまいました。「暗号って数学と関係があるんだ!」と滅茶苦茶感動してしまいました。そして、その暗号の技術がPC(ネット)にも大きく関係しているという物語の収束感もたまらない作品でした。『フェルマー』と『暗号』は甲乙つけがたい、どちらとも文句なしの★★★★★です。    というわけでS・シンの最新作が文庫本になった時、「宇宙か。こりゃまた面白そうだ」と思い発売日に購入し、早速読み始めました。ところが読んでるうちに「う~ん…」となって、1章を読んで止めてしまったのです。何か理解しずらく、その歴史もあまり興味を惹かなかったのです。  理系の本というのは、こういうリスクがあると思います。読者が理解できない数式、公式や定理を並べても全く面白くない。それらの公式・定理等がどういう意味合いをもっているのか、加えて、それら公式・定理等を分かりやすく説明しなければ、(少なくとも僕のような文系人間のような)読者は読み続けることが難しいと感じるというリスクです。  3年ほど本棚にあった、途中で読むのを止めたこの本を手に取り「せっかく買ったし、読むか」と気合を入れて読みなおしました。そうして読んでみると、上巻の終盤に出てくるアインシュタインの(特殊・一般)相対性理論の件にとても惹き込まれました。  それでも下巻の中頃からまた「う~ん…」となってしまい、興味を失っていきました。  いつもとおり、S・シンの筆致は冴えているとは思いますが、扱うテーマが深遠すぎて著者も扱いに困ったのではないかなと感じるのです。それでも有名・無名な人物が宇宙の秘密に迫ったというのは、よく理解できました。そして宇宙というのはあまりにもスケールが大き過ぎて、一般人には理解し難い世界だということもわかりました。  S・シンの次作は医療がテーマだと聞いています。数学がどうからむのかよくわかりませんが、ただこういう理系の事柄をテーマに書かせたら天下一品であることは間違いないと思います。ハヤカワ文庫から数学をテーマにした一連の文庫本が出版されていますが、世間の「理系を知りたい」という風潮をも反映しているのかもしれませんね。世の中が数学で出来ているのならば、少しでもその世界に触れてみたいという欲求は当然だし、そういう欲求を満たす本に数多く触れたいと思います。そしてその筆頭はこのS・シンであることは間違いないと思います。  

Posted byブクログ

2013/01/13

やっぱり科学史は面白い。 物理学は昔から戦争と大きな関わりを持っていた。一方で宇宙の成り立ちを探るという人類のアイデンティティに関わる研究にもつながっていた。 また、地動説から天動説、ニュートン物理学から相対性理論へと、それは宗教なども巻き込みながら価値観の転換を経てきた。 その...

やっぱり科学史は面白い。 物理学は昔から戦争と大きな関わりを持っていた。一方で宇宙の成り立ちを探るという人類のアイデンティティに関わる研究にもつながっていた。 また、地動説から天動説、ニュートン物理学から相対性理論へと、それは宗教なども巻き込みながら価値観の転換を経てきた。 その歴史や、幸運や不運に一喜一憂する物理学者の横顔を知ると、物理をもっと勉強しときゃ良かったなぁと思う。

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2013/01/08

有名無名にかかわらず天文学者、物理学者、科学者らの研究がからみ 一進一退しながら掴まれる宇宙の様子に息を飲む。 理数系の話はどうにも苦手なんですが、サイモン・シンの著作は 人間ドラマを絡めてあるので、なんとなくわかるし面白いです。

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2012/12/18

こんなエキサイティングな本が存在するなんて…! 図書館でひとり悶えながら読みました。 かつて、夜空の美しさに立ち尽くしたことのある人、宇宙の果てしなさに自分が吸い込まれそうになったことのある人、そしてなにより科学が好きな人には、本書を猛プッシュします。 古代の宇宙観に始まり、ギ...

こんなエキサイティングな本が存在するなんて…! 図書館でひとり悶えながら読みました。 かつて、夜空の美しさに立ち尽くしたことのある人、宇宙の果てしなさに自分が吸い込まれそうになったことのある人、そしてなにより科学が好きな人には、本書を猛プッシュします。 古代の宇宙観に始まり、ギリシャ時代の「地球は球体」の発見、天動説vs.地動説、そして宇宙は無限・永遠とする定常宇宙説vs.始まりのあるビッグ・バン説、という天文学の歴史を軸に据え、それに影響を及ぼした物理化学分野についても触れています。 自然科学発展の歴史だけでなく、その研究者の人となりやエピソードも楽しみながら学ぶことができました。 著者サイモン・シン氏は「ふつうの人」に本書のターゲットを絞っています。なので、難しい数式はほとんどなく、出てきても無視できる程度です。 私の知識は理系高校生レベル(化学×3年間、生物×2、物理×1履修)ですが、著者の狙い通りすんなり読めました。難しかったのは、上巻Ⅱ章の相対性理論と、下巻Ⅳ章の原子核の構造(陽子、中性子、電子)や核分裂・核融合のところくらいです。ガチガチ文系の人でも、時間はかかるとは思いますが、理解できる内容です。 発行順序からすると逆ですが、次はさっそく「フェルマーの最終定理」に挑戦しようと思います。

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2012/12/18

ビックバン・モデルは正しいという事が証明されるまで多くの人が関わってきた事が良く分かった。もう一つの宇宙論、定常宇宙モデルを支持する科学者達との感情的な言い争いは正しいと信じる気持ちがそれぞれ如何に強いかの証でもあったと思う。予測されていたCMB放射の発見は読んでるだけでも興奮し...

ビックバン・モデルは正しいという事が証明されるまで多くの人が関わってきた事が良く分かった。もう一つの宇宙論、定常宇宙モデルを支持する科学者達との感情的な言い争いは正しいと信じる気持ちがそれぞれ如何に強いかの証でもあったと思う。予測されていたCMB放射の発見は読んでるだけでも興奮した。さらにCMB放射に微小なゆらぎがある事を発見しようとする執念は凄いし、この発見により銀河の形成までも突き止められた事には只々、感心するばかりだ。

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2012/11/23

とても面白い本。宇宙がどのように出来上がっているかを解き明かそうとしてきた人間の営みをわかりやすく語ってくれる。単に科学的発見のことだけではなく、科学者たちの人間臭い部分を含めて物語っているのが面白い理由だと思う。

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2012/11/05

前2作同様、人間ドラマを織り込んで宇宙論の歴史を面白く説明してるので読みやすくて良い。フレッド・ホイルとジョージ・ガモフが好きだった。

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2012/11/04

宇宙創成の謎に迫る天文学者たちを描いた科学ノンフィクション。 天文学には、物理学や化学ではあまりないパラダイム・シフトが起こりうる。ハッブルの観測からルメートルが仮説を提唱し、ガモフらが補完・検証し、ホイルらが反証し、ペンジアスらが立証する。科学とはなんとダイナミズムに富んでい...

宇宙創成の謎に迫る天文学者たちを描いた科学ノンフィクション。 天文学には、物理学や化学ではあまりないパラダイム・シフトが起こりうる。ハッブルの観測からルメートルが仮説を提唱し、ガモフらが補完・検証し、ホイルらが反証し、ペンジアスらが立証する。科学とはなんとダイナミズムに富んでいるのだろう。光の彩度や輝度から元素のスープを観測するなど、人間の英知には驚かされるばかりである。 天動説がそうであったように、数十年後には「昔はビックバンっていう説があってさ」なんてやりとりをしているかもしれない。こういう人間ドラマこそ学校で教えるべきだろう。 若干時系列の交錯や不要なエピソードがあり科学初心者の私は混乱してしまったので1点マイナスしているが、内容は素晴らしく難解な理論も可能な限り分かりやすく最後まで興味深く読むことが出来た。

Posted byブクログ

2012/10/06

古代より人々は宇宙に馳せる飽く無き探求心があった。本作品はビックバン理論が確立するまでの壮大なる宇宙の謎に取り組んだ科学者たち3000年の格闘を描いたドキュメンタリー。 本作品の特徴は語り尽くされた感のある話の裏側に潜む失敗の数々と、対抗する勢力に対する科学者のエゴを赤裸々に表綴...

古代より人々は宇宙に馳せる飽く無き探求心があった。本作品はビックバン理論が確立するまでの壮大なる宇宙の謎に取り組んだ科学者たち3000年の格闘を描いたドキュメンタリー。 本作品の特徴は語り尽くされた感のある話の裏側に潜む失敗の数々と、対抗する勢力に対する科学者のエゴを赤裸々に表綴っている。理論と実践に命懸けで向き合ったからこそか。因みに科学者に共通のポリシーはシンプルの方が正しい場合が多い。なるほどね。勿論まだまだ未解決の問題も数多く残されています。悠久の時を想い酒を片手に思考実験。秋の夜長にピッタリかも。

Posted byブクログ