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嵐が丘(訳:阿部知二)(下) の商品レビュー

4.1

53件のお客様レビュー

  1. 5つ

    19

  2. 4つ

    17

  3. 3つ

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  4. 2つ

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2021/08/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

19世紀前半、ロンドンから田舎のヨークシャーに療養のため、ロックウッドはスラッシュクロスの屋敷に越してくる。 そのスラッシュクロスと嵐が丘という2つの屋敷の間で2代にわたって起きた復讐劇。 そのことについて、家政婦であるネリーがロックウッドに話し、その後回想を経て物語の鍵となる悪童ヒースクリフが他界しロックウッドがその墓を訪れるまでを描いた作品である。 ヒースクリフは嵐が丘へ拾われてきてそこの娘であるキャサリンと恋に落ちる。 しかし、キャサリンはヒースクリフとの身分の違いからスラッシュクロスに住む長男エドガーと結婚する。 そこからヒースクリフは2つの屋敷を自らの手中に収めようと復讐劇を企てる。 その内容が禍々しいことこの上ないのだが重要なネタバレになるので、割愛する。 作中を通してこの2つの屋敷には異質感が漂っている。 語り手であるネリーと聞き手であるロックウッドがわりと平凡なのに対して、 物語の登場人物は誰も彼もエッジがきいていて共感できる要素がこれといってない。 世界がこの2つの屋敷だけで確立されているような感覚になる。 その異質感に引き込まれて上巻の中盤以降はページをめくる手がとまらなくなった。 恋愛小説でもなければミステリーでもないし、 読んでスッキリするわけでもなく、 むしろ逆に心をかき乱されたような感覚になる。 しかし、面白い。 この面白さがなんなのかうまく表現する言葉が見当たらない。 それを探すためにまた本書を手に取る日が訪れるだろう。 さて、本書を通じて一番感じたのは翻訳と言う役割の重大さである。 本書を手に取る前に新潮文庫版も購入し読んでみたが、 こちらは100ページすら読めず放置してしまったし、 今後も読み返すことはないだろう。 これまでに洋書を手にとってもその面白さがわからない本が幾つか出会ってきたが、それは翻訳に寄るものが大ききかったのかもしれない。 そう思うと原書で読んでみたいという好奇心が語学の探究心を書き立たせてくれる。 こんな感覚を持ったことはこれまで一度もなかった。 そういうわけで趣味レベルで語学に打ち込むのもいいのかもしれないと思えたことは収穫だった。 (本当に取り組むかは甚だ怪しいが…)

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2013/02/12

時代も場所も大きく離れているのに、ここまで面白く読めたのは初めてかも。すごいなあ。ヘアトン可愛いです。

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2013/02/11

最後まで読みきるのは苦行…。こんなに疲れる本は久し振り。 登場人物がみんな我が儘でヒステリックなので、辟易した。もう2度と読みたくない。人としてどうなのかと思う場面が多すぎて、読んでいて辛いし疲れた。 あと、登場人物の名前がややこしいのも読み疲れた原因。名前が片仮名なだけでも...

最後まで読みきるのは苦行…。こんなに疲れる本は久し振り。 登場人物がみんな我が儘でヒステリックなので、辟易した。もう2度と読みたくない。人としてどうなのかと思う場面が多すぎて、読んでいて辛いし疲れた。 あと、登場人物の名前がややこしいのも読み疲れた原因。名前が片仮名なだけでも覚えにくいのに…。 でも昼ドラみたいな愛憎劇が好きな人は、夢中になって読むんだろうな。 名作と言われて評価が高いみたいだけど、私は嫌い。ただ、パワーがあって凄い作品だとは思う。 ☆あらすじ☆ ヒースクリフと再会した夜、キャサリンは女児を 出産、入れ替るように死ぬ。遺された娘もキャサ リンと名付けられ、ヒースクリフは着々と両家を 手中に収めてゆく…。発表当時から「ページを繰 るのももどかしいような面白さ」と評された名作 の新訳。

Posted byブクログ

2012/12/03

ヒースクリフたちの次の世代が話に加わります。 親の世代と子供の世代の違いや、 まぶしい子供たちの姿に自らを省みるヒースクリフ。 そんな図式は好きです。 復讐ってやっぱり何も生まないのでしょうね。

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2012/09/30

「ページを繰るのがもどかしい」ほど面白いと言われたこの名著を今、読了した。 ひとつの古典として確かにそうした、ずば抜けた面白さが始終見いだされる。それはイギリス小説的な内面描写、あるいはその吐露が、読み手の意識の流れとぴったりと整合するという、書き手にとって難儀なことを『嵐が丘...

「ページを繰るのがもどかしい」ほど面白いと言われたこの名著を今、読了した。 ひとつの古典として確かにそうした、ずば抜けた面白さが始終見いだされる。それはイギリス小説的な内面描写、あるいはその吐露が、読み手の意識の流れとぴったりと整合するという、書き手にとって難儀なことを『嵐が丘』は成し遂げているからだろう。 さらにひとつの小説として楽しむだけでなく、英文学の範疇として大いに研究されてきたこの作品だが、一読しただけで大きな興味をもってしまう。 二重の語り手手法を使った小説だが、その回想部分を務めるネリーはとくに興味深い。悪魔じみた凶悪なヒースクリフでさえ「抗いえなかった」この家政婦は、果たして解説にあるような、そしてロックウッドも述べたような善良な女性にとどまるのだろうか。物語の動かし手としての役割は疑うべくもないが、どうしてそこに悪意、あるいは「イギリスで一番幸せ」と語る彼女の絶対の権力のようなものをみるのである。 また文字あるいは知識、信仰、無知という対立を眺めればこの小説の構造がより輝いてくる。終末、ヘアトンの暴力的無知は、嘘臭いジョウゼフの信仰でもなく、ただ文字を読むことを学び啓蒙されるのである。知を得ることがまさに開眼的に描かれており、また他の場面においても文字、書物が果たす役割の大きさは見逃せない。またそれを読む人がキャサリン、一人の富裕な女性であるということも着目されるだろう。 また、文字と信仰との両方を保っているのがネリーであるということに再度目を向ければ、またしてもこの物語における絶対者としての一人の家政婦の姿が浮かぶかもしれない。

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2012/06/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

文庫だし、字が大きめで読みやすい。「世界名作全集」みたいのだと字が小さいので読みにくいと思う…。 いやーこれ、面白いです。なんかこゆ「古典の名作」って難しそうで敬遠しがちですが、なんというか昼ドラっぽいというか、良い意味で俗っぽい面白さがあるんですな。展開が読めなくて目が離せなくなる。 ヒースクリフの性格が最後までつかめなくて、憎まれ役なのに憎めない。キャサリン(母)も無茶苦茶な性格なんですが憎めない。他にもみんなちょっと友達にはなりたくないタイプの人々ばかりなんですがそれでもなんだか面白いんだよなあ。 ふしぎ。

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2012/02/08

ホラー!?ってぐらい怖かった。ヒースクリフの憎悪がハンパやない。出てくる登場人物が全員ヤバイ。まともな人間はこの物語の聞きてであるロックウッドと、話してであるディーンさんぐらい?ディーンさんも時々間抜けでイラつくけど。イヤ~な物語なんだけど、めちゃくちゃ面白いからグングン読める。...

ホラー!?ってぐらい怖かった。ヒースクリフの憎悪がハンパやない。出てくる登場人物が全員ヤバイ。まともな人間はこの物語の聞きてであるロックウッドと、話してであるディーンさんぐらい?ディーンさんも時々間抜けでイラつくけど。イヤ~な物語なんだけど、めちゃくちゃ面白いからグングン読める。タイトルは知ってるけどまだ読んだことないって人はぜひ読んでみてほしい!

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2011/11/22

互いに憎しみ合って、いやな話なのに、惹きつけられる。 特に残り1/3はそれこそ頁を繰る一瞬も惜しい程のめり込んでしま った。 復讐の完遂間近にしてヒースクリフを襲う苦悩と、カタストロフに 胸を打つと同時に、最後に残った希望の光にほっとした。 またいつか、やむにやまれぬ衝...

互いに憎しみ合って、いやな話なのに、惹きつけられる。 特に残り1/3はそれこそ頁を繰る一瞬も惜しい程のめり込んでしま った。 復讐の完遂間近にしてヒースクリフを襲う苦悩と、カタストロフに 胸を打つと同時に、最後に残った希望の光にほっとした。 またいつか、やむにやまれぬ衝動に、嵐が丘を手する日がくるのだ ろう。 この岩波版は1847年初版のものをテキストにしているので、1850年 の、エミリの死後姉シャーロットによって文章整理が行われたテキ ストのものも読んでみたい。

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2011/09/11
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結局誰も彼も救われない。 死は平等に降り注いで、そこに善良なのか等関係なく降り注ぐ。それだけ待って生き長らえたヒースには賛辞を。 狂おしい程の執着と愛と憎しみが面白い。

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2011/08/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

2011 8/6読了。ACADEMIAで購入。 始めてから最後まで、手を休めることなくいっきに読んでしまった・・・キャサリンの死から同名の娘が成長し、ヒースクリフの復讐が最高潮に達するまで。 クライマックス近辺、嵐が丘の屋敷の殺伐・荒涼とした雰囲気ときたら。 登場人物の誰も単なる善人ではなく、どいつもこいつも我侭で付き合いづらそうだけど、(幼キャサリンの聞き分けのなさとかね!)、単なる悪人でもないので突き放しきって見ることもできない。 だからこそ結末に毒気を抜かれたようになり、一方でヒースクリフの形が変わった執着に平穏な終わりという気もしない。 色々な作品でモチーフに使われる理由がよくわかった。

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