かけがえのないもの の商品レビュー
養老孟司先生の人生に対する考察。かけがえのないとは、「それが一つしかないということ」である。その点で、かけがえのない人生とは、予測できないまずやってみようとすることの連続である。まず、やってみよう。手帳に書いた予定は未来ではなく、数ヶ月前から行動を拘束することから、現在である。...
養老孟司先生の人生に対する考察。かけがえのないとは、「それが一つしかないということ」である。その点で、かけがえのない人生とは、予測できないまずやってみようとすることの連続である。まず、やってみよう。手帳に書いた予定は未来ではなく、数ヶ月前から行動を拘束することから、現在である。ミハエルエンデのモモのように意識化して未来を食い潰してはいけない。 最も力をこめて書いたところは、「人は死んだらモノになる」という所かと思います。解剖をやっていることから、死んだ人と関わることが多いからか、モノだと思うような風潮や、記述に対して疑問を呈するような書き振りになっている。 鎌倉の御成小に通った頃の、自然について書いた文章がある。自分が育った頃とはまた違う、都市化する前のすがた。人工的につくった「まち」は、かけがえのないものではない。子供は自然。大人は社会や都市という人工物。早く大人になることを否定している。世の中に合わせなくていい。オウムや創価学会を都市化した仏教とすることで、禅寺のもつ山、自然との共存との違いをコントラストで表現するところも面白い。 自然と人工、心と身体、都市と田舎、コントラストで物事をみる思考は、養老先生の特徴であり、自分でいろいろ考えろやということのんだろう。
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「かけがえのないもの」とはつまり自然なのでした。 養老先生のお話はどの本を読んでも同じことが書かれているのですが、そのブレのなさがいいといつも思います。 ただこの本の構成は、ちょっと取り留めなく文章が並んでいる感じを与えます。編集の仕方の問題かな。せっかくのいいお話がもったいない...
「かけがえのないもの」とはつまり自然なのでした。 養老先生のお話はどの本を読んでも同じことが書かれているのですが、そのブレのなさがいいといつも思います。 ただこの本の構成は、ちょっと取り留めなく文章が並んでいる感じを与えます。編集の仕方の問題かな。せっかくのいいお話がもったいない印象を持ちました。
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「意識の外にあるものを認めない=都市化=バカの壁」と考えていいのかな。「壁(=意識)の外の世界を経験してみなさいよ」ってことだろうか。
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http://daily-roku.hatenablog.com/entries/2013/07/04
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折りにふれて読み返したい本。 埋めてしまった予定は未来ではなくもはや今、予測不能なのが未来の貴重なところ
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脳化した世界では未来が無くなっている。 なるほど、と思いました。 ああすればこうなる。こうすればああなる。 想定して生きる社会にあるのは未来ではなくずっと続く現在なのかも。 予定表が現在なんだ、は何てわかりやすい。 想定外を前向きに受け入れるのが大切だな、と。 思った矢先に...
脳化した世界では未来が無くなっている。 なるほど、と思いました。 ああすればこうなる。こうすればああなる。 想定して生きる社会にあるのは未来ではなくずっと続く現在なのかも。 予定表が現在なんだ、は何てわかりやすい。 想定外を前向きに受け入れるのが大切だな、と。 思った矢先に大災害が起きました。 自然は予測出来ないもの。 都会は脳から生まれた想定内の固まり。 この本でも書かれていた事だけど。 何か災害が起こると不祥事だと言って関係者をつるし上げる。 まさにその通りの事が起こっています。 今回の震災が起きて養老さんが言われた言葉が 「今、僕たちの目の前に起きている事は問題ではなく答え」 色んな養老さんの書籍を読んでいるとこの一言程スっと入ってきてわかり易いものはありません。 がけがえのないもの。 大事にしたいです、ほんと。
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都市化によって人間の生き方が変わったという一貫した主張。 自然を制御するのは難しい。 人生は予測不能だから面白い。
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数ヶ月前からAMAZONで本を買い始めて、活字中毒が加速している。 50歳くらいの時に見るべきものは見た、読むべきものは読んだと思ったことがあるが、いやいやどうして時代も世界も諸行無常、絶え間なく変化するので次々と見たいもの読みたい本が続々出てくる。 今読んでいるのは、養老孟...
数ヶ月前からAMAZONで本を買い始めて、活字中毒が加速している。 50歳くらいの時に見るべきものは見た、読むべきものは読んだと思ったことがあるが、いやいやどうして時代も世界も諸行無常、絶え間なく変化するので次々と見たいもの読みたい本が続々出てくる。 今読んでいるのは、養老孟司さんの「かけがえのないもの」新潮文庫。 「バカの壁」で彼の名が世間に出たときは立ち読みをしたくらいだが、最近何冊か読んですごい人だなと思う。彼の本を読むと、自分の考え方がついつい世の表面的な事象に惑わされているのがよくわかる。 彼の言うことは物事の根本、根っこを捕まえて言うので、言葉にすると見もふたもない話だが、その視点は斬新。彼の使う言葉は平易でありわかりやすいが、根本的哲学的なので言わんとすることをつかむのは結構難しい。この「かけがいのないもの」は彼の本の中でも本質的という意味でベストだと思う。 「我々が住むのにいちばん楽な環境、安心できる環境というのは、私たち個人個人がそれぞれもっている心と体です。この場合、心は意識的なもの、体は自然がつくったもの。両者の釣り合いが我々の中にあるはずで、その釣り合いが狂うと居心地が悪くなります。つまり脳のほうに行き過ぎても、私はそれを脳化社会というふうに表現しましたが、どうも居心地が悪い。しかし完全に自然状態に戻せば、不気味な世界になってしまいます。我々個人が持っている自然と人工、あるいは心と体の釣り合いのようなものがあると思います。両者がうまく均衡する状態に落ち着いたとき、いちばん安心できるのではないかと思います。かけがえのない人間というのは、そういう存在だということです。」 「戦後の日本は何だったかということです。多くの人は民主化とか近代化とか、いろいろなことを言いますが、 私はそれでは話がわかりにくいと思う。話の筋が見えない。戦後起こったことの本質をはっきり言えば、それは「都市化」なのです。」 過剰な脳化、都市化は世界的人類的な課題です。あらゆる国、民族の共通課題です。一部引用でわかりにくいかもしれないが、養老さんの考えを今の世界の色々な出来事にあてはめると、ウーンと思うものがあります。彼の意見には目を離せません。
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立ち止まって肩の荷を下ろすことができる本。科学者もこういうことを考えるんだな、と共感できるところが多い。
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「かけがえのないもの」・・・・なんて、妙にきれいなタイトル。養老先生が何を書いているのかと読み進めた。あなたにとってかけがえのないものは?なんて聞かれても「命」とか「わが子」とか月並みな答えしか出てこないもので、養老先生の考える「かけがえのないもの」とは一体何なのか???読んでい...
「かけがえのないもの」・・・・なんて、妙にきれいなタイトル。養老先生が何を書いているのかと読み進めた。あなたにとってかけがえのないものは?なんて聞かれても「命」とか「わが子」とか月並みな答えしか出てこないもので、養老先生の考える「かけがえのないもの」とは一体何なのか???読んでいくうちにそれは「人間」かなと思ったが、答えはどうも「自然」であるようだ。ここでの「自然」雄大な自然・・・海や山ではなく(いや、それも含まれるのかもしれないが)要するに人工的でないもの、人為的な手がはいっていないものをさす。そういう意味では「人間の身体」もその一つだ。確かに「かけがえのないもの」とは誰も手を施していない自然なるもの・・・。現代では相当価値があるのかもしれない。
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